ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~   作:零たん

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プロローグ

 

昔々あるところに、暗闇に包まれた世界がありました。

そこは太陽がありません。空も海もない、枯れた大地が広がり生き物や植物もごくわずか。闇に閉ざされたその世界で人間は一人の女の子しかいませんでした。

 

女の子はいつも泣いていました。ずーっとひとりぼっちで寂しかったのです。

そんなある日、その世界に一筋の光が差しました。

 

それに気付いた少女はいてもたってもいられずその光へと向かいました。光のある場所にたどり着くと、そこに一人の少年が倒れていました。少年はお腹が減っていて起き上がる力がありません。

 

少女はついさっき見つけたちいさな木の実とほんの少しの水を少年にあげました。すると少年は少し元気になったようで助けてくれた少女にお礼を言います。

少女もまた「どういたしまして」と答え優しく微笑みかけました。

 

それから数日後、すっかり元気になった少年に少女は「あなたはどこからやってきたの?」と聞きます。少年は「僕は外の世界からやってきた旅人さ。この世界はそうしてこんなに真っ暗なの?」と聞きました。

 

少女は「わからないわ。私が生まれた時からこの世界は真っ暗なの。私はここでずっと一人ぼっちだわ」と答えました。それを聞いた少年は「ああ、可哀想に。外の世界はもっとたくさんの明かりで満ち溢れているのに」と言いました。

 

少年は少女に語ります。外の世界は青い空がどこまでも広がり、太陽が明るく人々を照らすこと。

鮮やかな植物たちが育ち、数多くの生き物が力強く生きていること。

そして、夜にはきらめく星々が輝き、優しい月の光が世界を包み込むことを。

 

それを聞いた少女は目を輝かせて言いました。

 

「私、外の世界に行きたいわ!」

 

それを聞いた少年は笑って言いました。

 

「なら僕が君を外の世界に連れていってあげる。一緒に行こう!」

 

そして、二人は手を繋いで歩きだしました。

 

二人が進む先は暗闇ですが何も怖くありません。

何故なら手を繋ぎあった二人の笑顔は、太陽のように眩しく輝いているのですから。

 

 

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「そして少年と少女は暗闇の世界から飛び出して、太陽が照らし青空が瞬く美しい世界に旅に出たのでした…。さて、今回のお話はどうだったハルト?」

 

「あぶぅ?あっぶ~」

 

男性が腕に抱く赤子に声をかける。

ハルトと呼ばれた赤ちゃんは、男の腕から身を乗り出して絵本を触ろうと手をバタバタ動かしていた。ハルトの父親は苦笑すると優しくハルトを抱き直し、再び絵本のページをめくった。

 

「この絵本はパパのお父さん。つまりハルトのお爺ちゃんがパパが子供の頃誕生日にくれた絵本なんだ。昔はこんなつまらない絵本よりもっといいものをプレゼントしてくれよ~!って怒ったもんだけど、最近妙に好きになってね…」

 

男は絵本の最後のページを見つめる。少年と少女が笑顔で手を取り合って花畑を進んでいる絵が描かれている。

 

「この絵本を好きになったのは このお話に出てくる子供たちが昔のパパとママに似てるからだと思うんだ。…あっ!今の話はママには内緒だぞ~ハルト?」

 

「うっぷぅー?」

 

生まれて間もないハルトは父親の言葉が理解できず首をかしげる。

 

「この絵本の二人は外の世界へ旅立ったけど、僕の夢はちょっと違うな」

 

男は絵本を閉じて、ハルトに話しかける。

 

「僕はこの世界すべてが、太陽と青空で輝く美しい世界になればいいと思ってるんだ」

 

「おー!」

 

父親の力強い言葉にハルトは目をキラキラと輝かせる。その笑顔を見た父親は目を細めて微笑み、首に下げたアクセサリーをハルトに見せた。

 

金色に輝く太陽のエンブレムが刻まれた半透明のトーンだ。

 

「これは大事なお守りだ。ハルトがもう少し大きくなったらプレゼントするからな」

 

男性はアクセサリーに手を伸ばそうとするハルトを両手で抱きかかえ高く掲げる。

 

「あう~!きゃっきゃっ♪」

 

抱きかかえられたハルトは嬉しそうにはしゃいだ。

 

「はははっ!ハルトはよく笑うなぁ!お前の笑顔は太陽みたいに輝いているぞ~!」

 

そう言いながら父親はハルトの頬っぺたを優しくつつく。ハルトはくすぐったそうに笑いながらキャッキャと喜んだ。

 

「ハルト、元気で明るい子に育ってくれよ。大きくなってもその笑顔で皆を明るく照らしてくれ…さて!それじゃあママのところに行こうか!」

 

「まんま~!あ~い♪」

 

父親は絵本を棚に戻しハルトを連れて部屋を出ていく。

そして愛する妻の元へと歩き出した。

 

 

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「ハルくん!ハルくん!もういい加減に起きてよ~!」

 

「ん…んー?」

 

ハルくんと呼ばれた少年は聞き慣れた女の子の呼びかけで目を覚ます。ベッドから体を起こし、黒髪をクシャクシャ掻きながら大きくあくびした。

 

「ふあぁ~…おはようましろ。もう朝?」

 

「もうお昼前だよ!ハルくんったら春休みだからってだらしがなさすぎるよ~」

 

少年を起こしに来た少女の名前は虹ヶ丘ましろ。ハルトの幼馴染だ。ピンクがかった薄い小豆色のロングヘアーと、後頭部に結んだ白いリボンが特徴的な少女は、生活態度が乱れてるらしい少年の寝起き姿に呆れた表情を見せる。

 

「ごめんごめん。今すぐ着替えて準備するから、部屋から出てくれる?」

 

「二度寝しちゃだめだよ?」

 

「しないしない。出ていかないならこのまま着替えてもかまわんが?」

 

「うええっ!?ちょっと女の子がいる前でそれはだめだよハルくん!セクハラだよ~!?」

 

「冗談だって。とにかく着替えるから外で待っててくれよ」

 

少年はベッドから体を起こし目の前で赤面する幼馴染に部屋から出ていくように促す。

ましろが慌てて出ていった後、彼は先ほど見た「夢」のことを思い返した。

 

「あれが俺の親父なのか?もし本当なら随分ロマンチストな人なんだな」

 

少年は夢で見た男の息子「ハルト」が成長した姿らしい。

ハルトは首に下げたアクセサリーを手に取る。

 

父親が持っていたものと同じ、太陽の紋章が刻まれたトーンがキラキラと光っていた。

 

 

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