ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~   作:零たん

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第11話:あげは来訪

 

ランニングが終わり自宅に帰宅した3人はリビングで朝食をとっている。しかし部屋の中はちょっぴり重たい空気に包まれていた。

 

「つーん…」

 

「ふーんだ…!」

 

ハルトはましろに顔を背けながら黙々と料理を口の中に運んでいく。彼より早めに食事を終えたましろも、ハルトと顔を合わせないようにミルクを飲むエルを抱っこしていた。

 

結局先ほどの言い争いは収束しなかったので、ソラが半ば強引に話を中断させて二人を家に連れて帰った。そのためハルトもましろもまだ不機嫌なのだ。

 

(気まずいです…)

 

ソラは鮭の塩焼きを摘まみながら二人の様子を窺っている。せっかくの大好物も、この重い空気のせいであまり美味しく感じられなかった。

 

(まあ、ハルトさんをほっとけない気持ちはわかりますが…)

 

ハルトは私生活がだらしなかったり危なっかしい行動を取ることがある。ましろはそんな彼を放っておくことができず、つい世話を焼いてしまうのだろう。ソラも年の離れた弟がいるのでましろの気持ちは共感できる。

 

とはいえハルトにだってプライドがあるのだから、あまりしつこく構いすぎるのもよくない。それにこの間のスカイジュエルの散策の時と言い、ましろはハルトに対して少々過保護な面があるとソラは感じていた。

 

(そもそもましろさんは、どうしてハルトさんのお姉ちゃんなんでしょうか?)

 

そう疑問に思っていると、玄関からチャイムの音が聞こえてきた。

 

「こんな朝から誰だろう?」

 

「私が出ます!」

 

ソラはそう言うと玄関に向かう。外には栗毛のロングヘアーの女性が立っていた。

彼女はソラが玄関を開けるなりいきなり抱き着いてきたのだ。

 

「あはは、久しぶりー!ちょっと見ないうちに背が伸びた?髪型変えた?あれ、髪色も何だか…?」

 

女性はソラからいったん離れると、いきなり抱き着かれて目を回すソラをまじまじと見つめる。

 

「……だれ?」

 

「こっちのセリフです!!」

 

女性の言葉にソラが叫ぶ。ハルトとましろも、やたら騒がしいので何事だろうと顔を出す。

 

「あげはちゃん!?」

 

「げっ!?あげは姉…!?」

 

ましろとハルトは女性を見るなり、驚いた表情を浮かべている。

そんな二人を見てあげはと呼ばれた女性は嬉しそうに微笑んだ。

 

「ましろん!ハルるん!めっちゃ久しぶりー!」

 

そんな二人を見てあげはと呼ばれた女性は嬉しそうに微笑んだ。

 

「でもハルるん?人の顔を見るなりげっ!?ってひどくない?」

 

しかしハルトの反応に不満そうな表情を浮かべると、あげはは彼に詰め寄った。

 

「ねえハルるん、久しぶりに会えたのにその反応はあんまりじゃない?それとも私が来てなにか都合が悪いことでもあるのかな~?」

 

「ち、違う違う、ちょっとビックリしただけだって…」

 

ジト目で迫ってくるあげはにハルトは慌てて弁明する。

 

「へー、じゃあ私に会えて嬉しい?」

 

「え?あ、はい。嬉しいです…」

 

「よかった!私もハルるんに会えて嬉しいよ♪」

 

あげは嬉しそうに微笑むと、ハルトをグイっと引き寄せ彼を抱きしめた。

 

「うわぁっ!?な、何いきなり!?」

 

「ハルるん大きくなったね~!お別れした時ハルるんは幼稚園…いや小学生だったかな?どっちにしても小っちゃかったもんね~。ましろんと仲良くやってる?パパやママのいうことはちゃんと聞いてる?ご飯はしっかり食べてる?もういじめられたり、家出はしてない?」

 

「だ、大丈夫だって!は、離してくれ!ましろやソラが見てる…!」

 

ハルトはすっかり大人の女性らしく成長したあげはに抱き着かれ、顔を真っ赤にしながら抵抗する。

 

「どうしたのハルるん?昔は『あげはねぇ~』って自分から抱っこをせがんだのに…。あ、もしかしてもう思春期だから大人になった私に抱き着かれて恥ずかしいとか?可愛い~!ほらほら、恥ずかしがらないで昔みたいに甘えていいんだぞ~!」

 

「そんな記憶はねぇ!早く離してくれ!…ああ柔らかい、香水のいい香り…」

 

ハルトは抵抗しつつも、あげはの柔らかい感触と甘い香りにトロけてしまいそうになる。

 

「あ、あげはちゃん!ハルくん困ってるし、そろそろ離してあげないと!」

 

「そ、そうです!朝早くから男女が抱き合うなど、ハレンチです!」

 

ましろとソラは顔を真っ赤にしながら、慌ててあげはからハルトを引き剥がす。

ようやく解放されたハルトはホッとしたような、少し名残惜しそうな表情を浮かべていた。

 

「ごめんごめん!ハルるんの反応が可愛くて、つい調子に乗っちゃった♪」

 

「もう、あげはちゃんったら…。それでどうしてここに?」

 

「ちょっとこっちに用事があってさ!」

 

「ハルトさん、あの方は?ハルトさんやましろさんとお知り合いのようですが?」

 

「あの人は『聖あげは』ましろの幼馴染みで、俺のファーストお姉ちゃんだよ」

 

ハルトはそう言いながら、ましろと会話するあげはを見つめる。

聖あげははハルトとましろの幼馴染だ。

 

虹ヶ丘家とは隣同士と言うこともあり、幼い頃から一緒に遊んでいた。彼女は二人より5歳年上で、「はるるん」「ましろん」とあだ名で呼び、よく可愛がってくれていた。特にハルトのことは、ある事情から彼のお姉ちゃんを名乗りたくさん構ってあげていた。だがある日、あげはは母親の仕事の都合でソラシド市を離れ、遠い町へ引っ越すことになったのだ。

 

「それを知ったあげはちゃんは『ママきらい!こんなうちでていってやる~!』…さて、お家を飛び出したあげはちゃんは、これからどうなってしまうのでしょうか!?」

 

「ど、どうなるんですか!?」

 

「日が暮れちゃうから手短にね…」

 

リビングにつくなりタブレットを取り出して紙芝居を始めるあげはに、ましろが苦笑いを浮かべながらツッコミを入れる。

 

「だね!おほん…私は『聖あげは』!18歳!血液型はB!誕生石はペリドット、ラッキーカラーはベイビーピンク!最近のブームはイングリッシュティーラテ・ウィズ・ホワイトチョコレート・アド・エクストラホイップ♪……はい、そっちのターン!」

 

あげはは今度はソラに指差し、自己紹介を促す。

 

(大丈夫かソラ?この子、正直者だから余計なコト言いそうで心配だ…)

 

ましろもハルトと同じ気持ちなのか不安そうな表情を浮かべている。ソラが異世界人だとか、エルがお姫様で悪人にその身を狙われているとか、プリキュアに変身して戦っているとか、人に話辛い秘密がたくさんある。彼女がそれをペラペラ喋ってしまわないか心配なのだ。

 

「あ、初めまして!この家でお世話になっている、ソラって言います!」

 

まずは無難な自己紹介をするソラ。

 

「へー、ソラちゃんはこの町の子?」

 

「いいえ、エルちゃんと一緒に別の世界から来ました!」

 

「?別の世界…?」

 

「「タァーイムッ!!」」

 

予感的中。もはや二人の十八番となったタイムを発動し、秘密を喋りかけたソラを慌てて止めた。ハルトもましろも口元にばってんしたり、ジェスチャーしたりして、彼女に秘密を喋らないよう必死に伝える。それに気づいたソラがハッとなり、さらにとんでもないことを口走った。

 

「そ、そうでした!大騒ぎになるから、スカイランドの事やエルちゃんがプリンセスだってことは内緒にするって三人で決めたのにっ!」

 

「プリンセス…?」

 

「おぃいいっ!!全部喋ってんじゃねえか!!」

 

正直者が服着て歩いているようなソラに内緒ごとは不可能らしい。

ワーワー言いながら慌てる三人。

 

「あげはさん!今耳にしたことは綺麗さっぱり忘れてください!!」

 

「そうだ!その方がいい!ソラ!スカイランド神拳の力であげは姉の頭から記憶を消去することってできる?」

 

「ソラちゃんに乱暴させようとしないの!というかスカイランド神拳も言っちゃダメでしょ!?」

 

必死に秘密を守ろうとする三人の反応を見て、あげはは口をとがらせて拗ねる。

 

「え~、みんな隠し事~?」

 

「ごめんね、あげはちゃん。でも友達の秘密は言えないよ…」

 

「ソラもエルもちょっと事情があってな。言える時が来たらちゃんと説明するから、今は辛抱してくれないかな?」

 

ましろとハルトが真剣な表情でそう言うと、あげはは拗ねた顔から一転して、ニコッと優しく微笑んだ。

 

「うん、オッケー!でもまたいつか教えてね!」

 

納得してくれたあげはは改めてソラと向き合う。

 

「てことで、これからよろしくねソラちゃん!それに、エルちゃん♪」

 

「えるぅ~♪」

 

エルも新しいお姉ちゃんができたみたいで、嬉しそうにあげはに手を伸ばした。あげはもそんな彼女を優しく抱っこする。

 

「あはは、可愛い~♪ハルるんが赤ちゃんの頃を思い出すな~♪泣いてぐずったハルるんに子守歌歌ったり~、オシメも替えたことあったけ~♪」

 

「俺たちその頃は出会ってねえだろ!やめろよ!ましろといい過去のエピソードを捏造するのは!」

 

 

「お、ハルるんツッコミがさえてる!将来はお笑い芸人になれるんじゃない?」

 

「そうねん。俺高校卒業したら芸人になるために大阪へいくつもりやねん…ってなんでやねん!これしきのツッコミでなれるほど、芸人は甘くねえんだよ!」

 

「あはは!ハルるんしばらく見ないうちに随分ユニークになったね!あんなにグレてたハルるんが明るくなって、お姉ちゃん嬉しいな~」

 

「ああもう!人をおちょくるのはいい加減にしろ!!」

 

あげはのペースにすっかり乗せらるハルト。ハルトはあげはに会うたびに色々からかわれたりするので、彼女のそういうところがちょっぴり苦手だった。

 

 

「運命がまた動き出したようね…」

 

一方、庭でお茶していたヨヨがにこやかにそう呟く。

 

彼女の向かいのガーデンチェアーにちょこんと乗ったオレンジ色の丸っこい鳥は、そんな彼女を不思議そうに見つめていた。

 

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