ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~   作:零たん

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第19話:仲直り

 

「プリンセスは貰ったぁ!!」

 

キュアスカイとキュアプリズムが衝撃波で吹き飛ばされ、無防備になったエルに電車ランボーグの魔の手が迫る。

 

「まだだよ!」

 

だが即座に起き上がったプリズムが再びランボーグ目掛けて二つの光球を放った。

しかし二つともランボーグの両手で受け止められてしまう。

 

「バーカ!そんなYOEEE~攻撃がコイツに通用するわけないのねん!」

 

プリズムを嘲るように笑うカバトン。

しかし彼女の狙いはランボーグにダメージを与えることではない。

 

「きらめけ!!」

 

その言葉と共に光球が眩しい光を放ち、ランボーグとカバトンの視界を奪う。

 

「ぎゃぁぁっ!目がっ!目がぁ~っ!?」

 

閃光をもろに喰らい悶絶するカバトン。同時にランボーグの視力を奪うことに成功した。たが所詮は目くらましで相手にダメージを与える技ではない。敵がこちらを見失っているうちに体勢を整えなければならない。

 

「スカイ!立てる?」

 

ましろは地面に倒れているキュアスカイの元へ駆け寄った。

 

「ましろさん…私はだいじょう…うぐっ!」

 

「スカイ!?」

 

自力で立ち上がろうとしたスカイだが、全身に激痛が走り膝から崩れてしまう。

続けざまに強力な攻撃を受けたことで、ダメージが深刻なレベルに達してしまったのだ。

 

「私を置いて逃げてください…!」

 

「だめ!そんなことできないよ!」

 

今だ自分が犠牲になろうとするスカイにプリズムが反論する。

こうなったら彼女を抱きかかえてでもこの場から逃げるしかない。

 

「ちくしょう…!脇役の分際で小細工しやがってぇ…!キレた!まーじーでーキレたぁーっ!!」

 

カバトンの怒りと共に、電車ランボーグの額の表示が『急行』から『特急』に替わる。

それと共に電車ランボーグの全身が黄色いオーラを纏ってパワーアップした。

 

「ランボォォォグゥゥゥ!!」

 

そしてスカイとプリズムに向かってものすごいスピードで突進してくる。

 

「スカイ!危ないっ!!」

 

「ましろさんっ!?」

 

このままでは二人とも撥ね飛ばされてしまう。

そう思ったプリズムは咄嗟にスカイを突き飛ばした。

プリズムに庇われたことによりスカイは電車ランボーグの突進から免れることができた。

しかし代わりにプリズムが直撃を受け、ビルの壁に叩きつけられてしまう。

 

「ましろさぁぁぁん!!」

 

スカイの悲壮な叫びが響く。

壁に叩き付けられたプリズムは、そのまま地面に倒れ伏してしまった。

 

「ギャーッハハハ!!思い知ったか脇役めっ!!身の程をわきまえずにカバトン様に楯突くからこうなるのねん!!」

 

カバトンが愉快そうに高笑いする。

 

「よくもましろさんをっ!…うぐぅっ!」

 

スカイは怒りに震えながらも体に受けたダメージのせいで起き上がれずにいた。

 

「もうプリキュアは虫の息。さあ今度こそプリンセスは貰ったのねん!」

 

「える…えるぅ~!」

 

「エルちゃん!!」

 

電車ランボーグが恐怖で怯えるエルに迫っている。このままではエルが連れ去られてしまう。

だがスカイもプリズムもダメージが大きすぎて立ち上がることすらできない。

 

(私のせいだ…!私がましろさんの言葉に耳を傾けなかったから…!ハルトさんから逃げて…一人で戦うなんて意地を張ったから……!)

 

後悔と絶望がスカイの心を蝕んでいく。だがもう間に合わない。

無情にもランボーグの巨大な手がエルを捕らえようと迫っていた。

 

「いっただっきまぁ~す!」

 

「っ!?やめてぇぇぇーっ!!」

 

スカイはエルに手を伸ばしながら叫ぶことしか出来なかった。

エルに迫る電車ランボーグの魔の手を止める者はいない。

 

――ただ一人を除いては。

 

「オラァァッ!!」

 

その雄たけびと共に、電車ランボーグの横顔が何者かの拳でひしゃげ、その巨体が吹き飛んだ。

 

「へぶぅぅぅっ!?」

 

「ランボォォォグゥゥゥーッ!?」

 

殴り飛ばされたランボーグは、カバトンを乗せたまま落下し地上へ叩き落された。

突然の出来事にスカイは戸惑うが、ランボーグを殴り飛ばした張本人を見て更に驚いたした。

 

「ハルト…さん!?」

 

スカイの目の前に、キュアサンライトに変身したハルトが立っていたのだ。

 

「みんな、遅くなってごめん!」

 

エルを抱きかかえながらサンライトはスカイとプリズムのところへ向かう。

 

「サンライト…!ありがとう、来てくれたんだね!」

 

何とか起き上がったプリズムは、駆けつけたサンライトの姿を見て安堵の表情を見せた。

 

「スカイ…プリズム…こんなにボロボロになって…」

 

サンライトはスカイとプリズムの姿を見て悲しそうにつぶやく。

二人ともランボーグの攻撃を受けて満身創痍の状態だ。

もっと早く駆けつけていれば、二人がここまで傷つくことはなかったのに。

自分の不甲斐なさに苛立ちがこみ上げてくる。

 

「ごめんな…もっと来るのが早かったら、二人をこんな目に遭わせなかったのに」

 

「気にしないで!それよりエルちゃんを助けてくれて、ありがとうだよ!」

 

「えるぅ、えるぅ~♪」

 

サンライトにお礼を言うプリズム。

彼に抱かれているエルも「ありがとう」と言っているかのように手を伸ばしていた。

 

「ハルトさん…どうして来たんですか…?」

 

そう声をかけられたサンライトは声の主の方を振り向いた。そこには膝をついたスカイが呆然とこちらを見つめていた。ランボーグの攻撃で体中に傷を負っており、服も破れ血が滲んでいて非常に痛々しい姿をしている。

 

「決まってるだろ、皆を助けに来たんだ」

 

サンライトは傷ついたスカイを見て胸を痛めながらも答えた。

 

「それと、スカイにさっきの喧嘩の事で謝りたいんだ…」

 

「私に謝りたい…?」

 

「ああ。今大変な時だけど、どうしても先に言っておきたいんだ…」

 

サンライトはエルをプリズムに預けると、スカイに近づいて跪き彼女と目線を合わせた。

 

「スカイ…さっきはごめん!」

 

そしてサンライトは深々と頭を下げ、謝罪の言葉を口にした。

 

「俺、スカイの力になるつもりが自分の気持ちばかり押し付けてた。その結果、スカイを追い込んで余計に傷つけてしまった…。絶交するなんて酷いこと言葉まで口にした…」

 

「サンライト…」

 

「えるぅ…」

 

プリズムとエルがサンライトを心配そうに見守る。やはり彼はスカイに浴びせた言葉に罪悪感を感じているようだ。

 

「俺、スカイに最低なことをしたと思ってる。だけど…」

 

ずっと俯いていたサンライトは意を決して顔を上げた。

 

「それでも…それでも俺はスカイの友達でいたい!ソラと縁が切れるなんて絶対嫌だから!」

 

そしてスカイの目を真っ直ぐ見据えて自分の想いを伝えた。サンライトの言葉を聞いたスカイは目を見開き、彼の顔をじっと見つめる。

 

「さっき言った絶交するって言葉を取り消させてほしい。もうあんなことは二度と言わない。そして今度こそスカイの…ソラの力になるって約束するから…!」

 

サンライトは必死に言葉続け、最後に彼女へ今本当に伝えたい気持ちを告白する。

 

「だからソラ…もう一度…俺の友達になってください…!」

 

そう言いながらサンライトは再びスカイに向かって頭を下げ、彼女の返事を待つ。この後スカイにどんなことを言われれるか想像がつかず、彼女の顔を直視できない。プリズムも、スカイとサンライトを不安げな様子で見守っていた。

 

「頭をあげてください、ハルトさん…」

 

スカイが優しく語り掛けてきたのでサンライトは恐る恐る顔を上げる。彼女は穏やかな表情でサンライトを見つめていた。

 

「私の方こそ…ごめんなさい」

 

今度はスカイがサンライトに頭を下げて謝り始めた。それを見たサンライトは複雑な表情を浮かべるが、すぐに真剣になって彼女の言葉に耳を傾けた。

 

「私もハルトさんを危険に巻き込みたくなくて、力になろうとしてくれるハルトさんを拒絶してしまいました。友達をやめるなんて酷い言葉であなたを傷つけました…」

 

俯いたままサンライトに言葉を紡ぐスカイ。彼女の表情にも後悔と悲しみの感情が浮かんでいる。

 

「私も同じです…私もハルトさんに最低なことをしてしまいました…だけど…!」

 

スカイの目からポタポタと涙が零れ落ちる。それでも再び顔を上げて、まっすぐにサンライトの顔を見た。

 

「私も、ハルトさんと友達でいたいです!ハルトさんは私を初めてヒーローと呼んでくれて…この世界に来てからずっと傍で支えてくれた、大切な人だから!」

 

「ソラ…!」

 

スカイの気持ちを聞いたサンライトは息を呑んだ。彼女も自分と友達でいたいと言ってくれた。自分を大切な人だと言ってくれた。そのことが嬉しくて熱いものが胸の中から込み上げてくる。

 

「だから、ハルトさんが傷つく姿を見るのは嫌だったんです…。でも、でもハルトさんの友達でいられなくなるのはもっと嫌です!だったら一緒に戦います!ハルトさんやましろさんが傷つかないで済むように、今よりもっと強くなってみせます!」

 

スカイは涙で顔を濡らしながらも、力強くサンライトに思いを告げた。

 

「だからハルトさん。もう一度私と友達になってください…お願いしますっ!」

 

そしてスカイは再びサンライトに頭を下げようとする。だができなかった。サンライトがスカイを抱きしめたからだ。

 

「ああ、もちろんだよソラ…俺達はまた友達だ…!」

 

「ハルトさん…ひぐっ!うわぁぁん!!」

 

サンライトの胸に抱かれたスカイは大声で泣き出した。安堵感と喜びのあまり今まで抑えていた感情が一気に溢れ出してしまったのだ。

そんなスカイの頭をサンライトは目に涙を浮かべながら優しく撫で続けた。

 

「よかった…二人が仲直り出来て、ほんとによかったよ…!」

 

「える…ひぐっ…えるぅ~!」

 

プリズムとエルも、仲直りした二人を見て嬉しそうに涙を流していた。

 

「ハルトさん…」

 

「なに?」

 

スカイが顔を上げサンライトを見上げる。彼女は微笑んでいた。

 

「これからまたよろしくお願いします。友達としても…ヒーロー仲間としても」

 

「ああ、もちろんだ。むしろこっちがお願いしたいくらいだよ」

 

サンライトはスカイを解放すると、彼女に向かって手を差し伸べた。

 

「また友達になってくれてありがとな、ソラ」

 

「はい!私の方こそ、ありがとうございます!」

 

スカイは涙を拭うと満面の笑顔をサンライトに向け、差し出された手を握り返した。

こうしてハルトとソラは仲直りし、一時は壊れかけた絆は、より強く結び直されたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぃぃい!!待てお前らぁ!!俺様を無視して何勝手に締めようとしてるのねん!?」

 

「ランボォォグゥゥ!!」

 

ところが、お話を終わらせようとしたところでカバトンとランボーグが復活した。サンライトの強烈な不意打ちを喰らい、ビルの屋上から地面に叩きつけられたランボーグはカバトン共々伸びていたが、今しがたようやく意識を取り戻したようだ。

 

「なんだよアイツら、殺〇す気で殴ったのにまだ起きてくんのか。あのまま永久に眠っててよかったのに」

 

「ヒーローがそんな物騒な言葉を使っちゃだめだよサンライト!しかもそれ伏字になってないよ!?」

 

怒りの形相を浮かべながらこっちへ飛んでくるランボーグを見て、サンライトはウンザリした様子で呟く。そして殺〇す等と物騒な言葉を口にする彼に、プリズムはいつもの調子でツッコミを入れた。

 

「そうです、ランボーグはまだ健在でした…サンライト、プリズム、私と一緒に…っ!?うぐっ…!」

 

「「スカイ!?」」

 

「えるぅ!?」

 

起き上がろうとして再び膝をつくスカイにサンライト達が慌てて駆け寄る。電車ランボーグの攻撃を立て続けで喰らってボロボロの彼女に、戦闘を続行する余力は残されていなかった。

 

「無理するなよスカイ。その傷で戦うなんて無茶だぜ」

 

「ハルトさん…でも…!」

 

「わかってる。あいつなんだろ?ソラの夢で見たランボーグってのは?」

 

サンライトは電車ランボーグを睨みつけながら言った。奴から感じるアンダーグ・エナジーの力は今まで戦ってきたランボーグの比ではない。これまでの敵とは一線を画す存在であると直感で理解できた。

 

「大丈夫だ」

 

サンライトは心配そうに見つめるスカイの頭を優しく撫でながら微笑んだ。

 

「俺は絶対に負けない。大切な友達をこれ以上傷付けさせたりするものか!」

 

サンライトは決意を新たにして立ち上がった。その瞳には強い意志が宿っている。

 

「シャララ隊長…?」

 

サンライトの背中を見たスカイは、彼がかつて自分を救ってくれたヒーローと再び重なって見えた。

 

「プリズム。スカイとエルを頼めるか?アイツは俺が食い止めるから、その間に安全なところで体勢を立て直してくれ」

 

「サンライト…うん、わかったよ」

 

プリズムは素直に頷いた。本当は自分も一緒に戦いたかった。だが特急モードにパワーアップした電車ランボーグのタックルのダメージが残っていて戦える状態ではない。

 

そう、スカイとプリズムが負傷した今あのランボーグと戦えるのはサンライトしかいない。彼女たちの命運は全てサンライトに掛かっているのだ。

 

「気を付けてねサンライト。私たちもなるべく早く合流するから!」

 

「えるえる~!」

 

スカイを支えるプリズムと、虹の小舟に浮かんだエルがサンライトに声をかけた。

 

「おう、よろしくな!……というかエル。お前いつの間に舞空術を身に付けたんだ?」

 

「える?」

 

サンライトは小舟に乗ってプカプカ浮かぶエルを不思議そうな目で見つめている。

 

「違うよサンライト。これはおばあちゃんが用意してくれた不思議なゆりかごだよ」

 

「え、そうなのか!?こんな不思議アイテムを持っているなんて、やっぱりヨヨさんはウィザーディング・ワールドの魔法使いか22世紀のおばあちゃん型ロボットじゃあ…」

 

「だからおばあちゃんで変な妄想しないでよ!?ダメだよサンライト!今から一大決戦が始まろうとしてるのに、緊張感を保たなきゃ!?」

 

「いやーだってシリアスなシーンが続いて読者も辛かっただろうし、ちょっと空気を和ませようと思ってな。あ、なんなら一発ギャグもやっとこうか?」

 

「やらなくていいよ!あの顔芸はエルちゃん以外誰も求めてないからね!?」

 

先ほどまでのシリアスムードはどこへ行ったのか、サンライトは相変わらずのマイペースぶりを発揮しプリズムも芸人張りにツッコミまくっていた。だがそんな二人を見てスカイはクスッと笑った。

 

「フフッ…ハルトさんはやっぱり面白い人です!ハルトさんのおかげで、今まで抱いていた不安が嘘みたいに消えてしまいました!」

 

「え、そう?それなら良かったけど…」

 

どうやらサンライトのボケがスカイの緊張を和らげたらしい。おかげで彼女の顔からは不安が消えていた。

 

「じゃあそろそろ行くか。あの電車の野郎、運転席にいるボンレスハムごと叩き潰してやるよ」

 

サンライトは拳を打ち鳴らすとランボーグのところへ向かおうとする。

 

「ハルトさん!」

 

その時、スカイがサンライトを呼び止めた。サンライトが振り返ると、スカイが彼を真っ直ぐに見据えて言った。

 

「お願いします…ヒーロー!」

 

「!?」

 

それはいつか自分がスカイに向けていった言葉とそっくりだった。あの時は彼女に図らずもプレッシャーを与えてしまった。けど今は違う。スカイにヒーローと呼ばれてサンライトのやる気の炎は最高潮に燃え上がった。

 

「おう、任せときな!」

 

サンライトはスカイに力強くサムズアップすると、空中で律儀に待っている電車ランボーグのところへ飛び立った。

 

「ここからは…ヒーローの出番だ!!」

 

そしてサンライトと電車ランボーグの戦いの火ぶたが切って落とされるのであった。

 

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