ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~   作:零たん

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第21話:ハルトのスカイトーンの謎

 

電車ランボーグとの戦いを乗り切った翌日の早朝、ハルトはソラ達と一緒に朝のランニングに励んでいた。現在ハルトはソラと並走しながら、ゴール手前の坂道を走っている。

 

「ハルトさん、もう少しですよ!」

 

「はぁはぁ…!おっしゃぁ!ラストスパート!」

 

ソラに応援されたハルトは坂を一気に登り切ろうとペースを走る。それを見たソラも負けじと速度を上げる。

そして二人は同時に坂を上り切り、ゴールの丘へと辿り着いた。

 

「お疲れ様でしたハルトさん!」

 

「ぜぇぜぇ…おう、お疲れ…」

 

近くの岩にもたれかかって息を整えるハルトに対し、ソラは涼しい顔で汗一つかいていなかった。ランニングを始めた当初と比べると多少は体力も付き、ソラと最後まで並んで走れるようになったが、まだまだ彼女に追いつくには時間がかかりそうである。

 

「ハルトさん!お日様が昇ってきましたよ!」

 

「おお、待ってました!」

 

ハルトはソラの隣に立ち、山から昇ってくる朝日を見つめる。陽の光が少しずつ山や街を照らしていく。今日もまた新しい一日が始まるのだ。

 

「「おはようございます!」」

 

ハルトとソラは太陽に向かって挨拶すると、丘の上から日の光に照らされた景色を一望する。ランニングを一日休んだだけなのに、この景色を久しぶりに見るような気がした。

 

「なあソラ」

 

「どうしました?ハルトさん?」

 

ハルトは隣で朝日を見つめるソラに声をかける。

 

「俺、ソラと仲直りできてよかったよ。またこうして一緒にこの景色を見ることができたから」

 

「はい、私も同じ気持ちです…」

 

ソラは嬉しそうに微笑むと、ハルトの手をギュッと握ってきた。ハルトは一瞬驚いたが、彼も照れながらも直ぐに手を握り返した。

 

「また明日も一緒に見ような」

 

「はい、一緒に見ましょう…」

 

二人は微笑み合うと、手を繋ないだままキラキラ輝く朝日を眺めた。

 

「ハルくん…ソラちゃん…いい雰囲気のとこ邪魔して悪いんだけど…」

 

すると後ろから女の子の弱々しい声が聞こえてきた。

 

「私のこと、忘れないでほしいなぁ~…」

 

ハルトとソラが振り返ると、そこには芝生でうつ伏せになって倒れているましろの姿があった。彼女は疲れきった表情を浮かべながらゼーゼー息を荒げている。

 

「あれましろ?いたの?」

 

「いたよ!頑張ってゴールしたのに、その反応は冷たくないかな!?」

 

ハルトの言葉にましろはガバッと上半身を起こしつつツッコミを入れた。しんどい時でもツッコミを忘れない芸人の鏡である。

 

「ましろさん大丈夫ですか?そこのベンチで休憩しましょう!」

 

ソラはましろに駆け寄り優しく抱き起すと、ベンチに案内し座らせた。

 

「あ、ありがと~ソラちゃん!ソラちゃんは優しいね…ハルくんも少しは見習ってほしいよ…ぜえぜえ…」

 

「さっきのは冗談に決まってるだろ?お疲れ様、はいこれ」

 

ハルトもましろの傍に行き、彼女へ水筒を渡した。

 

「ありがとだよハルくん…こくこく…」

 

彼女は可愛く喉を鳴らして水を飲み始めた。

 

「ハルトさん、私たちも休憩しましょう」

 

「ああ、そうだな」

 

ハルトとソラも、ましろの隣に腰掛け休憩をすることにした。

 

「いやぁ、平和だな~」

 

「そうだね~。昨日あんな大変な目に遭ったのが嘘みたいだよ」

 

ハルトとましろは街の景色を眺めながらしみじみと呟いた。

 

「こうして平和なひと時が過ごせるのは、ハルトさんとましろさんのおかげです。昨日の戦いは、私一人ではどうにもなりませんでしたから」

 

「ソラちゃんだって頑張ってたよ。それにあの戦いは、皆で力を合わせたから勝つことができたんだよ」

 

暗い顔をするソラをましろが優しくフォローした。

 

「ましろの言う通りだ。俺たちの誰か一人でも欠けてたら、あのランボーグを倒すことはできなかったな」

 

「そうですね。それなのに私は自分一人だけで戦うなんて無茶をして、ハルトさんやましろさんに迷惑をおかけして…お恥ずかしい限りです」

 

ソラもハルトの意見に同意しながら、申し訳なさそうに頭を掻いた。

 

「でももうあんな無茶はしません。友達と一緒なら、どんな困難でも乗り越えられることを学びましたから…!」

 

そう言ってソラはハルトとましろに微笑みかける。

 

「ハルトさん、ましろさん、そのことに気づかせてくださってありがとうございます!これからもエルちゃんを守るために、お二人の力を貸してください!」

 

そしてソラはハルト達に向かって頭を下げた。

 

「頭を上げてくれよソラ。俺達はいつでもソラの力になるから」

 

「うん!これからも力を合わせて頑張ろうね、ソラちゃん!」

 

ハルトとましろは笑顔でソラの申し出を受け入れた。

 

「ハルトさん、ましろさん…ありがとうございます!」

 

ソラは嬉しそうに微笑むと、再び二人に向かって深々と頭を下げた。その時、ぐぅ~っと誰かのお腹の音が鳴る。

 

「今の音は…?」

 

「すみません、私です…」

 

ソラが頬を染めながら恥ずかしそうに手を上げた。それを見たハルトとましろは、顔を見合わせクスリと笑う。

 

「そろそろご飯食べに帰ろっか!」

 

「だな。しっかり食べて、今日も一日頑張ろうぜ!」

 

「はい!では行きましょう!」

 

そしてハルト達は立ち上がり、家に帰るために歩き出すのであった。

 

 

 

―――――――

 

 

 

「ねえハルくん。ずっと不思議に思ってることがあるんだけど聞いていい?」

 

家に帰る途中、ましろがおもむろにハルトに話しかけてきた。

 

「いいけどどんなこと?」

 

「昨日私たちは、エルちゃんのおかげで新しい必殺技を習得したけど…なんでハルくんだけ大昔のプリキュアの技に目覚めたんだろうなーって」

 

ましろは首を傾げながらハルトとソラに問いかけてきた。

 

「それは私も思いました!あのおっきな太陽の盾が、大昔のプリキュアが使った技だと聞かされた時はビックリしましたよ!」

 

ソラも興奮気味に声を上げる。ちなみに昨日サンライトに起きた現象のことは、家に帰った後ソラとましろに説明している。二人はたいそう驚いていたが、ハルトの話を素直に信じてくれた。

 

「うん、俺もビックリしてる。どうして俺だけシャイニングサンの力を使えたんだろうって」

 

「エルちゃんのプリンセスパワーのおかげではないですか?サンライトに向かってぷりきゅあー!って叫んでましたし!」

 

ハルトの疑問にソラがエルの真似をしながら自信満々に答えた。

 

「確かにあの技を使えたのはエルのおかげだ。でもそれだけが理由じゃない気がする」

 

ハルトはポケットから父親から預かったスカイトーンを取り出しじっと見つめる。エルの叫びに答えるように金色の輝きを放ったトーンは、今は力を失ったように元の半透明に戻っていた。

 

「上手く説明できないけど、サンライトとシャイニングサンは何かの繋がりがある気がするんだ…」

 

「私もそう思うよ。二人とも太陽にちなんだ名前のプリキュアだし、どっちも盾を持ってて同じ必殺技が使える。無関係には思えないよ」

 

ましろもハルトと同じ考えのようだ。

 

「サンライトとシャイニングサンの関係…それを知る手掛かりがあるとすれば…」

 

ソラはハルトの持つスカイトーンに視線を向け、言葉を続ける。

 

「ハルトさんのお父さんの持ってたスカイトーン。それに秘密が隠されているのかもしれませんね」

 

「やっぱりソラもそう思うか」

 

ハルトも改めてスカイトーンに目を向ける。ただのアクセサリーだと思っていたこのトーンは、ソラとエルの来訪を切っ掛けに不思議な力を発揮するようになった。ランボーグが内蔵するアンダーグエナジーの気配を探知したり、ハルトをキュアサンライトに変身する力を授けてくれた。

 

更に昨日は太古のプリキュアの必殺技まで習得させるという奇跡を起こした。ソラやましろの持つスカイトーンにはない不思議な力をこのアクセサリーは秘めている。

 

それに最初に変身した黒いサンライトのことも気になる。闇の力を操るプリキュアに似た存在だが、エルの力で封じ込められてからは一度も変身していない。しかし昨日スカイトーンが黒く染まったことで、あの力は今だ失われていないことが証明されてしまった。

 

あれの正体は不明だが、エルが力を封じるほどだ。危険な力には違いない。またあの姿に変身してしまわないよう、今後も注意しなければならないとハルトは思った。

 

「そもそもこのスカイトーンは何なんだろう?私たちの持ってるものと違って、不思議な力が多すぎるよね?」

 

「親父ならこれの正体を知ってるかもしれない。でもどこにいるかわからない以上、聞きようがないな」

 

ハルトの持つスカイトーンは元々彼の父親が持っていたものだ。これの秘密を彼が知っている可能性は大いにあり得る。しかしハルトの父親は、ハルトをスカイトーンと共に虹ヶ丘家に預けてから13年間行方知れずだ。彼はどこで何をしているのか、そもそも生きているのかすら分からない。

 

「もう興味がねえと思ってた親父に、今更会いたくなるなんてな……」

 

ハルトは複雑な表情を浮かべながら空を見上げた。そんな彼をソラとましろが心配そうに見つめている。

 

「取り合えずハルくんのスカイトーンの事は、おばあちゃんに調べてもらおうよ!おばあちゃんなんとかレジェンドって博学者なんだし、きっと何とかしてくれるよ!」

 

ましろがハルトを元気づけるように言った。

 

「でもヨヨさんスカイランドのゲートを開ける作業もしてるのに、これ以上お世話になるのは…ん?」

 

悩むハルトの鼻先に、美味しそうな匂いが漂ってきた。丁度近くを通りかかったサラリーマンの買い物袋から、揚げ物のいい香りがしたのだ。

 

「いい匂い…そういえばこの近くにラブリーマートがあったなぁ。ましろ!この話は一旦置いといてコンビニ寄ってかない?」

 

「え、今から!?」

 

ハルトの提案にましろは目を丸くする。

 

「ハルくんもしかして買い食いするつもり?」

 

「うん、俺ひさしぶりに唐揚げが食べたいんだぁ。ヨヨさんの家に来てから全然食べる機会がないし」

 

ハルトがコンビニの方を指さしながら言う。彼は鶏肉料理が好きで、特にから揚げやチキン南蛮等の揚げ物類が大好物だ。だがヨヨの家では何故か鶏肉を使った料理が食卓に出ない。そのためハルトは時々学校の帰り等にコンビニに寄って、唐揚げ棒などを買い食いしているのだ。

 

「ダメだよ~!これから朝ごはん食べるのに間食はよくないと思うな!」

 

「え~?いいじゃんちょっとくらい!」

 

ましろがハルトをたしなめるが、彼は不満げに口を尖らせる。

 

「あの~すみません。コンビニとは何ですか?」

 

そこへコンビニを知らないソラが首を傾げながら尋ねてきた。

 

「簡単に言うと24時間あいてるお店だな。食べ物から雑貨品まで色んな商品を取り揃えてるぞ」

 

「24時間…ということは一日中あいてるんですか!?お店の人はいつお休みするんです!?」

 

「店員さんはかわりばんこで店番してるんだ。だから一日中お店をあけてられるんだよ」

 

「まあ最近は24時間営業を廃止してるコンビニも増えてるけどなぁ」

 

ハルトとましろが説明すると、ソラはコンビニに興味がわいたようで目をキラキラ輝かせはじめた。

 

「コンビニってすごいんですね!私、行ってみたいです!」

 

「ほら。ソラもこう言ってるし、ちょっと寄ってこうぜ」

 

「もうしょうがないなぁ。でも朝ごはんも食べるんだから、あんまり買いすぎちゃだめだよ?」

 

ましろは諦めたようにため息をついた。

 

「よっしゃー!じゃあ早速…」

 

「助けてくれぇぇ!!」

 

コンビニへ向かおうとしたハルト達の耳に、突如男性の悲鳴が聞こえた。

 

「おいおい、いきなり何だよ!俺達はこれから…!?」

 

声をする方向へ振り向いたハルトは言葉を失った。何故なら近くの牛丼屋の前で、よく見知ったモヒカンヘアーのブタ怪人が大量の牛丼を貪っているのを目撃したからである。

 

「やめてください!このままじゃお店中の食材がなくなってしまいます!」

 

「やかましい!俺様は一刻も早くカロリーを摂取して、あのクソ憎たらしいプリキュアどもにリベンジしなければならないのねん!」

 

泣きながら縋りつく店員に怒鳴り散らすブタ怪人。そう、毎度おなじみエルを狙う宿敵「カバトン」である。彼は昨日の電車ランボーグを生み出すのに大量のカロリーを消耗したため、それを補充するべく牛丼屋を襲撃していた。彼の足元には空になった丼が何十個も転がっており、昨日はガリガリだった体も元の肥満体に戻っていた。

 

「うわぁぁ!?またカバトンだよ!?」

 

「何かこないだもこれに似た光景を見た気がするなぁ」

 

ドカ食いするカバトンを見たましろは叫び、ハルトはデジャヴを感じる。確かソラと最初に買い物に出かけた日も、カバトンはこうしてバーガーショップを襲う蛮行に及んでいたはずだ。

 

「また性懲りもなく悪さを働いて…いい加減にしなさい!ギュウドン!!」

 

「ああんっ!?俺様の名前はカバトンだって言ってるのねん!?というかこの憎らしい声はまさか…!?」

 

また名前を間違えられたカバトンは、声の主を見てギョッとする。憎たらしいプリキュア御一行様がそこに立っていたからだ。

 

「お、お前ら!?こんなところで何してるのねん!?」

 

「それはこっちのセリフだよ!ダメだよ朝からこんなにいっぱい食べたら!身体によくないよ!?」

 

「いやそれよりも無銭飲食してることを咎めるべきでは?」

 

カバトンのドカ食いを咎めるましろに、ハルトが珍しく冷静にツッコミを入れる。

 

「余計なお世話なのねん!俺様はまたTUEE~ランボーグを生み出すために高カロリーを取る必要があるのねん!」

 

「!?貴方はまた昨日みたいなランボーグを生み出す気ですか…!?」

 

カバトンの言葉にソラが目を見開く。昨日のような強力なランボーグが生み出されたら、自分たちだけでなくソラシド市の人々にとっても脅威だ。それは何としても防がねばならない。

 

「そんなことはさせません!貴方の企みは私が止めて見せます!」

 

ソラはカバトンに向き直ると、スカイトーンとミラージュペンを構える。それに続くようにハルトとましろも、ソラの隣に並び立った。

 

「ソラ。そこは私がじゃなくて、私たちが…だろ?」

 

「そうだよ、わたしたちは3人でプリキュアなんだから!」

 

「ハルトさん…ましろさん…!」

 

ソラはハルトとましろを交互に見つめる。彼女はもう一人ではない。一緒に戦ってくれる友達が傍にいるのだ。

 

「はい!おっしゃる通りです!ハルトさん、ましろさん、一緒に戦いましょう!」

 

「「もちろんだ(よ)!」」

 

微笑みかけるソラに、ハルトとましろは力強く頷いた。

 

「お、お前らまさか俺様とやる気か!?昨日たまたま勝てたからって調子に乗りやがって~!」

 

対するカバトンは、変身アイテムを構えて自分を睨むソラたちに苛立ちを見せる。

 

「いいだろう!まだカロリーは足りねえが、そっちがその気なら望むところなのねん!カモン!アンダーグ・エナジー!!」

 

そしてカバトンは地面に手を置き、アンダーグ・エナジーを放出する。それは背後の牛丼屋…ではなく近くの自動販機に注ぎ込まれ、みるみる怪物の姿に変貌していく。

 

「ランボォーグゥゥ!!」

 

自動販売機ランボーグが、ハルト達を睨みながら雄たけびを上げた。

 

「お、バーガーショップに出番を取られた自動販売機くんか。オリジナルエピソードとは言え、無事出演できてよかったな」

 

「ハルくん、一体何の話をしてるのかな?」

 

アニメ本編を観てる人しか知らないメタ発言をかますハルトに、ましろがジト目を向けてくる。

 

「ハルトさん、ましろさん、敵がきます!変身しましょう!」

 

「3人がかりでやっつけるのは心苦しいが仕方ないな…おいランボーグ!文句があるならこれ書いてる人に言いな」

 

「だからハルくんは何の話をしてるの!?」

 

ツッコむましろを無視して、ハルトとソラはスカイミラージュとスカイトーンを構える。ましろもこれ以上追求しても無駄だと悟ったのか、彼らに少し遅れてミラージュペンを構えた。

 

「ここからは…」

 

「「「ヒーローの出番(です)(だ)(だよ)!!」」」

 

そして3人はスカイトーンをスカイミラージュにセットし、プリキュアへと変身する。

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

「熱くひろがる太陽の輝き!キュアサンライト!」

 

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」

 

「「「レディ…ゴー!!ひろがるスカイ!プリキュア!!」」」

 

そして初の3人同時変身をお披露目したプリキュアたちは、迫りくるランボーグとの戦いに身を投じるのであった。

 

 

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