ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~ 作:零たん
ソラシド学園で1限目が始まった頃。帰宅したソラは三角巾とエプロンを身に付け、家の掃除を始めようとしていた。
「ハルトさんとましろさんが学校で勉強をしている間、私は私のやるべきことをやります!」
ふんすと気合を入れて腕まくりをするソラ。日頃この家でお世話になっている恩義を返そうと張り切っているようだ。
「ではまず家中をピッカピカにします!」
そういうと雑巾を手に取り、廊下や手すりを拭き始めた。虹ヶ丘家はかなり広くて掃除は大変だが、体を鍛えているソラにとっては何のその。使い慣れない掃除機の取り回しに悪戦苦闘しながらも、瞬く間に床拭きや窓拭き、水回りの掃除を終わらせる。
合間の時間を利用して、この世界の文字を勉強したり、エルのお世話やトレーニングをこなしていく。
「やることいっぱいです!」
そう言いながら次々と用事をこなしていくソラ。そうしてずっと働き続けた結果…。
「やることがなくなってしまいました…」
家中を綺麗にピカピカに磨き上げたソラは、シミや埃一つない天井を眺めながらポツリと呟いた。何せ休憩を挟まずにノンストップで用事をこなし続けたのだから無理もない。それでも体力が有り余っているソラはすっかり手持ち無沙汰になってしまった。
「まだ11時半…ヨヨさんにお手伝いできることがないか聞いてみましょう」
ソラはそう呟くとヨヨの部屋へと向かった。彼女は丁度この世界とスカイランドを繋げるための材料をすり潰している最中だった。ソラはヨヨに代わり、すり鉢を使ってゴリゴリ材料を砕いていく。
「トンネルを開くためにはたくさんの手順が必要だから、とっても助かるわ」
「お役に立てて良かったです!ンぐぐ…っ!結構力がいりますね、これ…!」
ソラは不慣れな手つきで、すりこぎを動かす。すり鉢の中には、どこで調達してきたのか分からない様々な木の実が入っており、それらが中々つぶせず苦戦していた。
(ヨヨさんはいつもこんなに大変なことを…)
ソラは先日、ヨヨにスカイランドのゲートがなかなか開かないことを当たり散らしてしまった事を思い出した。ヨヨはいつもソラやエルの為に頑張ってくれている。そんな彼女の苦労も知らずに、なんて自分勝手な態度を取ってしまったのだろうとソラは後悔していた。
「ヨヨさん、この間はごめんなさい!私、自分の事ばかり考えてヨヨさんに嫌な態度を取ってしまいました」
「いいのよ、気にしないで」
いてもたってもいられず謝罪しにきたソラに、ヨヨが優しく微笑みながら答える。
「それよりどう?こっちの世界にはなれた?」
「はい!けど私お世話になりっぱなしで、皆さんにも迷惑をかけてばかりです…」
「そんなことないわ。ソラさんの何事も一生懸命なところ、本当にいいと思うわよ」
ヨヨはソラをニコニコ見つめながら言った。
「ハルトさんもましろさんも、ソラさんの頑張ってる姿に元気をもらってるはずよ」
「え!?そ、そうでしょうか…?」
急に二人の名前が出てきて、ソラは動揺してしまう。
「ええそうよ。ハルトさんもましろさんも言ってたわ。ソラさんが来てから毎日が一層楽しくなった。ソラさんが頑張ってるから、自分たちも負けずに頑張ろう…てね♪」
ヨヨはソラに向けて茶目っ気たっぷりにウィンクする。
「そうですか!お二人がそんなことを…!」
ヨヨの言葉に、ソラは嬉しさで胸がいっぱいになる。彼女は自分が虹ヶ丘家にやってきたことで、ハルトやましろの迷惑になっていないか密かに心配していたのだ。でもそんなことはなかった。むしろ自分の存在が二人の励みになっていたことを知り、ソラは胸が熱くなるのを感じた。
(二人に会いたいな…)
ソラは急にハルトとましろに会いたくなった。彼らと別れてまだ3時間ほどしか経ってないが、二人の自分への想いを聞いたことを切っ掛けに、ハルトとましろに会いたい気持ちがどんどん膨れあがっていく。
(ハルトさんもましろさんも、今何してるんだろう?)
チラッと時計を見ると、もうすぐ12時になろうとしていた。もう午前の授業が終わり、二人はお昼ごはんを食べ始める頃だろう。
(お昼休みの時間くらい、会いに行ってもいいでしょうか…?)
ソラがそんな風に考えていると、ヨヨがおもむろにソラに話しかけてきた
「ソラさん」
「な、何でしょう!?」
「あなたも学校に行きたい?」
「えっ!?学校!?」
突然学校に行きたいか尋ねられ、戸惑うソラ。
「ハルトさんやましろさんと同じ学校、ソラさんも通いたい?」
「い、いいえ!私はこの家の中でやることがありますし!」
ヨヨの申し出にソラは一瞬悩んだが、すぐに首を横に振った。二人と同じ学校に通えればどんなに楽しいだろう。しかし自分は虹ヶ丘家の居候の身だ。これ以上甘えられないし、それよりもお世話になっている恩義を少しでも返さなければならないとソラは思った。
「本当にいいの?」
ヨヨが再びソラに問いかける。彼女の眼差しは、まるでソラの気持ちを全部見通しているかのようだった。
「ええと、その…」
ソラは言葉に詰まる。本当は学校に通いたいし、もっと二人と一緒にいたい。しかしこれ以上迷惑はかけたくないので、自分の気持ちを正直に伝えることはできそうになかった。
「そうだわソラさん。ちょっと買い物頼めるかしら?」
ヨヨは急に何かを思い出したかの様にソラに尋ねる。
「買い物ですか…?」
「ええ、ちょっと買い忘れた品物があって。頼めるかしら?」
「も、もちろんです!お任せください!」
いきなりお使いを頼まれてソラは驚くが、すぐに快く頷いた。
「じゃあ行ってきます!」
「お願いね」
「えるぅ~!」
ヨヨとエルに見送られながら、ソラは財布とメモ帳を持って買い物に出発した。それを見届けると、ヨヨはスマホを取り出しある場所へ電話をかけ始めた。
―――――――
ソラが買い物へ出発した頃、ハルト達のいるソラシド学園にお昼休みを告げるチャイムが鳴り響いた。待ちに待った昼食の時間。学生たちは教科書を机にしまい、お弁当を机の上に広げたり、急いで購買へ繰り出したり、各々の食事の準備を始める。
「ましろんも一緒に食べよ~」
ましろが教科書を机にしまおうとした時、黒髪のボブカットの少女が声をかけてきた。
彼女の名前は『仲田つむぎ』、ましろのクラスメイトで友人である。
「うん!ハルくんも一緒にどう?」
ましろは近くの席にいるハルトに声をかける。
「はぁ…」
しかしハルトは窓の方を見ながらため息をつくばかりで、ましろの方を見ようともしない。彼はソラとエルのことが気になって、学校にいてもずっと上の空だったのだ。
「ましろん、ハルトくんどうしたの?学校来てからずっとこんな感じだけど…」
つむぎが心配そうにましろに尋ねてきた。
「ちょっとソラちゃんシックになっちゃってるんだよ」
「ソラちゃんって誰?」
「あ、いや!?何でもないよ!?」
ましろは慌てて誤魔化す。当然だがつむぎはソラの事を知らないので首をかしげていた。
「ねえハルくん。やっぱりソラちゃんたちの事が気になるの?」
ましろがハルトに近寄りこっそり尋ねてみる。
「ああ。ソラが何してるか気になるし、エルも俺の一発ギャグが恋しくて泣いてるかもしれないし…」
「そんなことで泣いちゃうほどエルちゃんはハルくんのギャグに依存してないと思うな!?」
自分の一発ギャグに謎の自信を見せるハルトに、思わずツッコんでしまうましろ。でも一応返事はしてくれたのでホッとした。
「ハルくんの気持ちはわかるよ?でも今は一緒にご飯を食べて、午後の授業に備えるべきだと思うな!」
ましろはお弁当箱をハルトに見せながら、彼を元気づけるように言った。
「ご飯は食べるけど、女の子の中に男子一人は気まずいなぁ」
「そんなこと気にしなくてもいいのに」
「そうだよ。私もハルトくんと一緒に食べたいな~」
ましろに続いてつむぎもハルトに一緒に食べようと声をかけてくる。
「でもなぁ…」
渋るハルト。彼は学校では一人でいるのが好きなのである。そんな彼にとって、女子の輪の中に入って食事をするのはハードルが高い。あと昼食の時くらいましろと離れて一人でゆっくりしたいというのが本音だった。
「なら俺も一緒に混ざってもいい?それならハルトだって気を使わないで済むでしょ?」
ハルトがどう断ろうか思案していると、眼鏡をかけた少年が声をかけてきた。
「げ、軽井沢!?」
「軽井沢くん!いいよ、一緒に食べよ!」
この少年の名は『軽井沢あさひ』友達がいないハルトの数少ない話し相手だ。
ちなみに彼の名前の「あさひ」とハルトの苗字の「朝日」が被っているため、軽井沢はハルトを名前で、ハルトは軽井沢を苗字で呼び合っている。
「軽井沢てめぇ、余計なコト言いやがって…」
「まあそう言わずに!せっかく虹ヶ丘さんが誘ってくれたんだからさ!」
軽井沢はそう言いながら机を近づけてくる。彼は誰にでも気さくに話せる出来た性格の持ち主だ。ハルトも彼の事はいい奴だと思っているが、こういうおせっかいな部分は勘弁してほしかった。
その後、ましろとつむぎの友人の『吉井るい』も合流し、結局5人で昼食をとることになった。
「ましろん春休みは何してたの?」
「私はハルくんとお買い物行ったり、ハルくんと山にスカイジュ…じゃなくて!ハルくんと山に遊びに行ったりしたよ。あ、あとハルくんと一緒に朝のランニングも始めたんだ~」
「ランニング!?運動音痴のましろんがお寝坊さんのハルトくんと?一体どうしたの!?」
るいがギョッとしながらましろに尋ねる。ましろが運動が苦手というのは友達の中でも共通認識のようである。あとハルトが寝坊助であることも彼女たちに筒抜けであった。
「う、運動音痴…。いや、ちょっと体を鍛えたくてね!えへへ…」
ストレートに言われてショックを受けたましろだが、何とか笑顔を作ってごまかした。
「そうなんだー。ていうかましろんって春休みでもハルトくんと一緒なんだね。やっぱり同じ屋根の下で過ごしてるだけあって仲良しなんだね~」
「ホントにね。これはもう二人は付き合っているといっても過言でないのでは…?」
「お、お付き合いとかはしてないよ!?でもハルくんとは仲良しだけどね!えへへ…」
つむぎとるいの冷やかしに、ましろは照れながらそう答えた。
「幸せ者だな~ハルト」
「うるせえ、黙って食え」
ニヤニヤしながら絡んでくる軽井沢を、ハルトは不機嫌そうにあしらう。
「そういえば軽井沢くん。キュアチューブの動画投稿始めたって言ってたけど、再生数やチャンネル登録者数はどうなの?」
るいが軽井沢に質問する。キュアチューブとは、動画共有サービスの一つだ。キュアチューバ―を目指す軽井沢は、春休みから本格的に動画投稿やライブ配信を始めたらしいのだが…。
「実はまだどっちも全然でさ。試しにゲーム実況や解説動画を投稿し始めたけど、二桁いけばいい方で…」
苦笑いを浮かべる軽井沢。
「そっかぁ。まあ最初はそんなもんじゃない?」
「そうそう!まだ始めたばかりならこれからだよ!」
そんな彼をるいとましろが励ます。
「でも最近のキュアチューブって飽和状態で、俺みたいな新参者がはじめてもチャンネルは全然伸びないって言われるんだ。それにコメント欄にも『つまらない』とか『プレイが下手』って書かれる始末だぜ?そういうのきた時、心が折れそうになるよ…」
「そ、それは辛いね…」
つむぎが同情するように言う。軽井沢少年のキュアチューバ―の道のりは前途多難なようだ。
「でも応援してくれるリスナーもいるんだろ?」
頭を抱える軽井沢に、ハルトが問いかける。
「うん、少しはな。『面白かった』って褒めてくれる人もいるし、動画に高評価がついた時は嬉しかったなぁ」
「それはよかったじゃないか」
「でもそう言うコメント貰えるのはほんの少しだけだけどな」
ハルトの言葉を聞いて、軽井沢は自嘲気味に笑った。そんな彼にハルトが言葉をかけ続ける。
「吉井さんも言ってたけど始めたばかりならそんなもんだって。それに千里の道も一歩からっていうし、真面目にコツコツ投稿すれば少しずつでも視聴者は増えるんじゃないか?」
「そ、そうかな…?」
「そうだよ。それにチャンネル開設して2週間だろ?まだまだこれからだって」
ハルトはぶっきらぼうながらも、軽井沢を励ました。
「今度俺も軽井沢の動画見てみるよ。素人目線でも何かアドバイスできるかもしれないし」
「そ、そうか!ありがとなハルト!」
ハルトの言葉に、さっきまで落ち込んでいた軽井沢の顔がパァっと明るくなった。
「へ~。ハルトくんが軽井沢くんをフォローするなんて珍しいね。なんか新鮮かも」
るいが意外そうにハルトを見つめる。ハルトはクラスメイトに無関心で、用事があるとき以外は自分からは話しかけようとしない。ましてや励ましの言葉をかけるなんて、今までにないことだった。
「そうか?まあ、ヒーローは頑張ってる人を見捨てないもんだからな」
「え?ヒーロー?」
「何でもねえよ」
キョトンとする3人を余所にそっぽむいて卵焼きを頬張るハルト。
そんな彼をましろはニコニコしながら見つめていた。
「ヒーローと言えば…みんなは最近ソラシド市で噂されてる話は知ってる?」
「噂?あ、もしかしてアレのこと!?」
「アレなら私も知ってる~!」
急に盛り上がる3人。一方、こういう噂には疎いハルトとましろは首をかしげる。
「おい軽井沢。噂ってなんだよ?」
「怖い話とかじゃないよね…?」
「なんだハルトも虹ヶ丘さんも知らないのか?遅れてるなー」
そう言いながら軽井沢は得意げにスマホの画面を見せてきた。
「これだよ!『ソラシド市に出現する怪物と戦うヒーロー!プリキュアの謎に迫る!!』
「ぶぅぅぅっ!?」
突然見せられた動画の内容に、ハルトは思わず吹き出してしまった。
その動画にはランボーグと戦うハルトらプリキュアの3人がバッチリ映っていた。
隣でそれを見たましろもあんぐりと口を開けて固まってしまう。
「か、かるいざわくん…?これどこで?」
ましろは動揺しながら軽井沢に尋ねる。
「どこでも何も、これキュアチューブで投稿されてる動画だよ。SNSを中心にネット上でも話題になってるぜ?怪物はどこからやってくるのか?この少年少女たちの正体は何者なのか?いろんな噂や考察が飛び交ってて、このソラシド市どころか日本中…いや、世界中で一番ホットな話題だよ」
「に、にほん!?いや世界中!?」
まさか自分たちの活躍が世界に広まっているとは思わず、ましろは卒倒しそうになる。
「その動画私も見た!このキュアスカイって水色の髪の子めっちゃいいよね~!戦う女の子って感じがしてカッコいい!」
「私はキュアプリズムが好みかな~。なんかお姫様みたいでとっても可愛いし!」
「俺はどっちも好きだな~!この二人はコンビで並んだり活躍しているところが非常に絵になるよ!まさに『ふたりはプリキュア』って感じでさ!」
るい、つむぎ、軽井沢の3人は楽しそうにプリキュアについて語り始めた。
「そ、そうなんだ!なんか照れるなぁ…」
その傍ら、キュアプリズムを褒められたましろは、まんざらでもない様子で微笑んだ。
「…ところでキュアサンライトの評判はどうなんだ?」
ハルトが仏頂面を浮かべながら軽井沢に尋ねる。誰もサンライトについて触れてくれないからだ。
「キュアサンライト?ああ、ネットの評判じゃ散々だな」
軽井沢はさっきまで嬉しそうだった表情を一転させ、冷めた目つきで動画のコメント欄を読み始めた。
「そもそもこいつ、スカイやプリズムと比べて圧倒的不人気だよ。『サンライトだけ出る作品間違えてる』『スカイとプリズムという百合の花に割り込む害悪』とか、挙句の果てには『サンライトのせいでプリキュアの印象が悪くなるから引退してほしい』とか、まあ酷い言われようさ」
「な、何だとぉ…!?」
ハルトは拳を握りしめプルプルと震えだす。自分が二人と比べて浮いてる自覚はあったが、まさかそこまで嫌われているとは思わなかった。
「で、でも私はサンライト好きだよ!すっごく強いし頼りになるし!」
ましろは目に見えて不機嫌になったハルトをフォローすべく、サンライトを褒めはじめた。当事者であるましろとしては、実際サンライトに何度も助けられたので、今の言葉は紛れもない本心である。
「サンライトねぇ。確かに強いけど、ちょっと戦い方が野蛮過ぎるというか…」
「だよね~。なんか敵やっつけるついでに建物や車を壊しちゃうし。最初見たとき怪物の仲間かと思っちゃったよ~」
「わかるわかる!ある掲示板で『サンライトはプリキュアの皮被ったランボーグ』とか書かれてて、思わず吹き出したよ!」
だが3人はサンライトに対してあまり好感を抱いていないようだ。本人が目の前で聞いているとは露知らずに、彼に対する本音を漏らしていく。
「み、みんな!もうこれ以上はやめた方がいいんじゃないかな!?サンライトが聞いたらすごく気を悪くすると思うし…はっ!?」
ましろが慌てて止めようとするが、時すでに遅し。サンライトことハルトは気を悪くするどころか、完全に頭にきている様子だった。
「へえ~。みんなサンライトの事をそんな風に思ってるんだ…」
ハルトは顔をひきつらせながら、怒りを堪えるように唇を噛みしめる。そんな彼をましろはハラハラしながら見守っていた。
「どうしたんだよハルト。そんな怖い顔して。あ、もしかしてお前もサンライトのファンだったのか?変わってるなー」
軽井沢が意外そうに尋ねる。するとハルトは立ち上がり、軽井沢の方をギロリと睨む。ハルトから只ならぬ殺気を感じたつむぎとるいは、怯えたように肩を震わせた。しかし軽井沢はハルトの変貌にまったく気づいていない。
「ほう、そんなにダメか?キュアサンライトは?」
「ダメとは言わないけどプリキュアとはかけ離れてるよなぁ。あれって女の子がなるものっぽいし、怪物より乱暴なサンライトじゃイメージに合わないって言うか…。って!?ぐぇぇっ!?」
それ以上言葉は続かなかった。怒ったハルトが軽井沢の首を絞めあげ強引に黙らせたからだ。
「いい加減にしろよこの野郎!悪いかよ男がプリキュアでよぉ!?俺だって毎日頑張ってるのに、お前もネット民も好き放題悪口言いやがってよぉ!?」
「ぐわぁっ!?落ち着けハルト!悪かったから!てか何でお前がそんなに怒って…ぐぼぇぇぇっ!?」
首を思いっきり締めあげられ、軽井沢は泡を吹きながら悶絶してしまう。
「うわぁ!?ダメだよハルくん!いくらサンライトの悪口言われたからって軽井沢くんに八つ当たりしちゃ!?」
ましろは急いでハルトの腕にしがみつき、軽井沢から引き離そうとする。
「こ、これはまずいよ!つむぎ!私たちもハルトくんを止めよう!」
「ちょっと待ってるいちゃん!軽井沢くんの苦しそうな表情参考になるかも!ちょっとその顔スケッチさせて~」
「いやそんなことしてる場合か!?」
イラストレーター志望のつむぎが、おもむろにスケッチを取り出しペンを走らせるのを見て、るいが思わずツッコミを入れる。
その後、他のクラスメイトの助太刀もあり、ハルトをどうにか取り押さえることができた。しかしハルトに絞め落された軽井沢少年は、下校までの時間を保健室で過ごす羽目になってしまったのだとさ。