ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~   作:零たん

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第26話:伝えたい気持ち

 

ハルトが軽井沢を締め上げている頃、ソラはヨヨから頼まれたお使いをこなすべく街を歩いていた。

 

「これもトンネルを繋げるための材料なのでしょうか…?」

 

ソラはヨヨから預かったメモを見ながら首をかしげる。メモには『マシュマロ2kg』『たこぶつ200g』と食材の名前が書かれていた。かと思えば『フクロウの羽』に『ノート2冊』『ボタン電池』など、関連性がよくわからない品物も書かれている。

 

「まあヨヨさんの事です、きっと何か意味があるのでしょう」

 

深く考えるのをやめたソラは、再びメモに書かれた商品を求めて歩き出す。

 

「ついにパウダーフレグランスを買っちゃったね!」

 

「あはは!ポフポフしようよ~♪」

 

「…?」

 

近く通りかかった女の子二人の方へ振り向くソラ。彼女らはましろ行きつけのコスメ店『Pretty Holic』から出てくるところだった。

 

「わぁ~!可愛い!」

 

丁度ショーウィンドーに飾られているパウダーフレグランスが目に留まり、ソラは目を輝かせる。

 

「こういうのましろさん好きそう!ハルトさんもそう思いませんか?」

 

思わずソラはハルトに話しかける。しかし彼は学校にいるので当然返事なんて返って来ない。

 

「…やっぱり一人は寂しいです」

 

ソラは寂しげにそう呟き、ショーウィンドーに置かれている商品をしばらく眺めていた。

 

「ソ~ラちゃん♪」

 

そんなソラを何者かが突然後ろから抱きしめてきた。

 

「はいっ!?」

 

ビックリして振り返るソラ。そこにはあげはが立っていた。

 

「コンちゃ♪」

 

「あ、あげはさん!?どうしてここに…?」

 

「学校帰りだよ!それよりどうかしたの?なんか浮かない顔してたよ?」

 

彼女は右手で狐のポーズを作りながらソラに気さくに話しかける。

対するソラはなかなか話し出せずに口ごもっていた。

 

「おっけー!とりあえず気分アゲてこ!」

 

「え?アゲてこって…ちょっとあげはさん!?」

 

あげははそんなソラの手を取り彼女を連れて『Pretty Holic』の2階の喫茶店へ向かう。

ソラはそこでパフェをご馳走になった。青空をイメージしたおしゃれなパフェに舌鼓をうち、ソラは大満足の様子だ。

 

「元気出た?」

 

丁度食べ終わった頃、あげはが再び尋ねてきた。

 

「はい!…あ、でも…」

 

ソラは一瞬笑顔を見せるも、すぐに暗い表情を浮かべてしまう。

 

「それはまだ悩みが解決してないって顔だね…。そういえばどうして今日は一人なの?ハルるんやましろんは?」

 

「ハルトさんとましろさんは学校で…私はヨヨさんに言われてお使いに来ていて…」

 

「そっかぁ…ましろんとハルるんは今日から学校だっけ。だからソラちゃんは二人に会えなくて寂しいんだ」

 

「…はい、寂しいです…」

 

ソラはあげはの問いかけに素直に頷いた。

 

「うんうん、わかるよ~その気持ち!」

 

ソラの心情を理解したあげはが、優しく微笑みながら話し始めた。

 

「ましろんの優しさはポカポカ陽気みたいに暖かいし!ハルるんはちょっとツンツンしてるけど、笑顔が日差しのように明るくて、見てるこっちも元気を貰えるんだよねぇ~!」

 

あげはは二人の事を思い返しながらしみじみと語り続ける。それを聞いていたソラは何かに気づいたかのように、眼を大きく見開いた。

 

「だから二人が傍にいないと途端に寂しくなる…」

 

「そうなんです!!」

 

ソラが突然テーブルに身を乗り出し大声で話し始めた。前の席にいたあげはは驚いた様子でソラを見つめ、周りのお客さんも何事だろうといった表情でソラを見ている。

 

「私、ハルトさんやましろさんと別れてまだ半日も経ってないのに、なんでこんなに寂しいんだろうってずっと考えてました!」

 

しかしソラはそんなのお構いなしに話し続ける。

 

「でも今その理由が分かりました!それはズバリ、ハルトさんとましろさんは、私のお日様だったからです!」

 

興奮気味に話すソラを、あげはは目を丸くしながら眺めている。

 

「ハルトさんとましろさんは、私がこっちの世界に来てからずっと傍にいてくれました!ハルトさんは明るく、ましろさんは優しく私を照らしてくれる、お日様みたいな方たちなんです!」

 

「そっか、ソラちゃんもハルるん達をそう思っててくれてるんだ!嬉しいな!」

 

あげははソラの勢いに圧倒されつつも笑顔を浮かべる。彼女が自分と同じように、ハルト達を特別な存在だと思ってくれていた事に喜びを感じていた。

 

「そんなお二人とずっと一緒にいるのが当たり前でしたから…今、離れ離れになってしまって凄く寂しいです…」

 

ソラはあげはに気持ちを打ち明けた後、再び悲しげな表情を浮かべ俯いた。

 

「そうだよね、ハルるん達が傍にいないと寂しいよね…」

 

あげははソラを優しく見つめながら呟いた。あげはも昔、ハルト達とお別れするのが嫌で家出したことがある。その優しさであげはをいつも元気付けてくれたましろ。何だかんだ自分を姉と呼んで懐いてくれる弟分のハルト。父親や姉たちと離れて寂しかったあげはにとって、二人の存在は大きな支えになっていた。だから今のソラの気持ちがよくわかる気がした。

 

「ねえソラちゃん、その気持ちをハルるん達に伝えてみたら?」

 

だからあげはは、悲しそうに俯くソラにそうアドバイスしてみる。

 

「そ、それはできません。ハルトさん達に言うのは照れくさいですし…」

 

しかしそれを聞いたソラは恥ずかしそうに頬を染めてしまう。

 

「うーん…よし!」

 

そんなソラを見たあげはは何か思いついたように立ち上がる。

 

「ソラちゃん、もうちょっと付き合ってよ!」

 

「え?ちょっとあげはさん!?」

 

そしてあげはは再びソラの手を引き、彼女をメイクのお試しコーナーへ連れて行った。

 

「あの…あげはさん!私メイクは…」

 

「じっとしてて」

 

「はい…」

 

あげはにじっとしているよう告げられ固まるソラ。そして棚からリップやパウダーフレグランスを取ると、手際よくソラの顔に化粧を施していく。

 

「メイクはさ、ただ美しくなれるだけじゃない。ちょっとの勇気が足りない時に、力を貸してくれるんだ…」

 

「あげはさん…」

 

「仕上げに、もっとキラキラ~♪…はい!これでどうかな?」

 

メイクを終えたソラは鏡に映る自分の顔を見る。桃色のリップで艶やかに彩られた唇。

いい香りがするフレグランスでキラキラに飾られている。

いつもと違う自分の姿に、ソラは戸惑いながらも思わず笑顔を浮かべた。

 

「すごい、キラキラです…!それに、良い香り…」

 

「キラキラってアガるよね~!」

 

「はい!今ならなんだって出来そうな気がします!」

 

すっかり自信を取り戻したソラは、あげはに大きく頷いてみせる。

 

「よーし!じゃあ、ソラちゃんのさっきの気持ち、ちゃんとハルるんに伝えて♪」

 

「はいっ!行ってきます!あげはさん、ありがとうございました!」

 

ソラは笑顔であげはにお礼を言うと、急いで店から出て行った。

 

「いや~青春だね♪」

 

あげははニコニコと笑顔を浮かべながらソラの背中を見送るのであった。

 

 

 

―――――――

 

 

 

下校を告げるチャイムの音が、ソラシド学園の校舎中に響き渡る。

今日の授業が終わり、生徒たちはみな解放感に満ちた表情で帰り支度を始めていた。

 

「ましろんばいばーい」

 

「うん、ばいばーい!」

 

つむぎと別れの挨拶をするましろ。

 

「ハルト―!虹ヶ丘さんとお幸せにな-!」

 

「うるせえぞ軽井沢ぁっ!てめぇまた絞め落されてぇか!?」

 

その隣にいるハルトは、復活した軽井沢の冷やかしに青筋を立てながら怒鳴り散らした。これ以上学校に居たら、彼だけでなく他の生徒からもいじられかねない。ハルトはましろを連れてさっさと教室を後にした。

 

「終わった…。やっぱり学校に行くと疲れるなぁ」

 

「でもハルくんいつもより楽しそうだったよ!つむぎちゃんやるいちゃんとも打ち解けたし、この勢いでクラスの皆と仲良くなれたらいいね!」

 

「いいよもう、これ以上人間関係が増えたってしんどいだけだって…」

 

人付き合いの苦手なハルトは、昔から集団やグループでつるむのが大の苦手だった。

彼は親しい人以外には心を開かないので、ましろ以外のクラスメイトとはなかなか関係がうまくいかないのだ。

 

「それにしても、私たちの戦いがソラシド市に…いやそれどころか日本や世界中で注目の的になっているなんて、恥ずかしすぎるよ~!」

 

「これからは変身する場所は考えたほうがいいかもな…」

 

今や何でもネットに拡散されるのが当たり前な時代。プリキュアがソラシド市内で活動していると割れている以上、油断していると即身バレしかねないのだ。

 

「軽井沢くん、プリキュアの情報について知ってることがあれば教えてほしいって言ってたけど…どうしようか?」

 

「変なことする前にシメとくか。校舎裏に呼び出してプリキュアを詮索するのをやめさせるか、それが嫌ならボコボコにして二度とシャバを歩けない体にされたいか、どっちか選べと…」

 

「それはダメだよハルくん!?言葉や暴力で脅したりするのはヒーローのやることじゃないよ!?」

 

物騒なことを言いだすハルトをましろは必死に宥めた。

 

「落ち着けよ、冗談に決まってるだろ?」

 

「目つきが全然冗談じゃなかったよ…」

 

苦笑いを浮かべながらハルトを見つめるましろ。やはり彼はプリキュアになったことでランボーグよりも乱暴な一面が出てきているようだ。ほっとけば軽井沢少年をシメた時のように、誰かに危害を加えないか気が気でなかった。

 

「そんなことより早く家に帰ろうぜ。エルも俺の一発ギャグを待ちわびてるに違いないしな!」

 

「ハルくん、その自信は一体どこから出てくるの…?」

 

謎の自信を抱くハルトを困り顔で見つめるましろ。確かにあのギャグはエルにウケるが、彼女が今それを心待ちにしているかは別であろう。

 

「でも早く家に帰るのは賛成だよ。ソラちゃんたちがどうしてるか気になるし」

 

「だろ?じゃあ急ごうぜ」

 

ハルトとましろは頷きあうと、急ぎ足で校舎を出ていった。

 

「ハルトさーん!ましろさーん!」

 

そして校門を抜けた時、自分たちを呼ぶ声がしたので二人はそちらへ振り返る。

家で留守番しているはずのソラがこちらに走ってきたのだ。

 

「あれソラちゃん?どうしたの?」

 

ましろがびっくりした様子でソラに尋ねる。

 

「じ、実はお二人に伝えたいことがありまして…!」

 

二人の元へたどり着いたソラは、呼吸を整えながら話を切り出した。

 

「伝えたいこと?それって一体……ん?」

 

その時、ハルトはソラがメイクをしていることに気が付いた。

 

「ソラ…そのメイクどうしたの?」

 

「ここに来る前にあげはさんにやってもらったんです。勇気が出るようにって」

 

ようやく息を整えたソラが、少し照れくさそうに答えた。

 

「そうなんだ~!ソラちゃんすごく可愛いよ!」

 

「そ、そうですか!?嬉しいです!」

 

ましろが褒めるとソラは嬉しそうにはにかんだ。だがハルトが何も言わずにこちらをジッと見つめるので、ソラは急に不安そうな表情を浮かべる。

 

「あの、ハルトさん…もしかして変ですか?」

 

ソラが恐る恐る尋ねてみると、ハルトがようやく口を開いた。

 

「綺麗だ…」

 

「ほぇ!?き、きれい!?」

 

ハルトに綺麗と言われて、ソラは顔を真っ赤にしながら動揺してしまう。

 

「うん、綺麗だ。そのメイクとっても似合ってる…」

 

ハルトはおめかししたソラにすっかり見惚れてしまっていた。リップで艶やかに輝く唇。フレグランスでキラキラに飾られた肌。鼻腔をくすぐる甘い香り。彼女に施されたのはナチュラルなメイクだが、それがソラ本来の魅力を存分に引き立てていた。

 

「は、ハルトさん…そんなに見つめられると恥ずかしいです…」

 

ハルトの熱っぽい視線に耐えられなくなったのか、ソラは恥ずかしそうに顔をそらした。

 

「ご、ごめん…ソラがあまりにも可愛かったから…」

 

「そ、そんなに私、可愛いですか…?」

 

「うん。普段のソラも可愛いけど、今はもっと魅力的に感じる。まるでお姫様みたいに素敵だよ…」

 

「そ、それはちょっと大げさすぎます!」

 

ハルトのオーバーな誉め言葉に、ソラはますます顔を赤らめてしまう。

 

「でもハルトさんにたくさん褒めて頂けて嬉しいです!えへへ…」

 

それでもハルトに喜んで貰えたことがすごく嬉しいのか、ソラは満面の笑顔でハルトにお礼を言った。

 

(は、ハルくんがソラちゃんにデレデレだぁ~!?)

 

一方、いつの間にか蚊帳の外になっていたましろは、ハルトがソラをベタ誉めしているのを見て焦っていた。

 

(ソラちゃん、ハルくんにこんなに褒めてもらって羨ましいよ~!)

 

どうやらましろはソラにやきもちを焼いているようだ。

 

(私もハルくんに可愛いって言ってもらいたいなぁ…よし!今度あげはちゃんのところに行って、このメイクを教えてもらわなきゃだよ!)

 

もっとハルトに自分を見てもらいたいましろは、心の中でそう決意するのであった。

 

「へっくしょん!…あれ風邪ひいた?それとも誰かが私のうわさしてる?」

 

同じころ、街のどこかで車を運転していたあげはは、突然のくしゃみに首を傾げるのだった。

 

「あの、そろそろ本題に入ってもよろしいですか…?」

 

ソラが申し訳なさそうに言うと、ハルトとましろはハッと我に返った。

 

「そ、そういえばソラちゃん、私たちに伝えたいことがあるんだよね!?」

 

「ご、ごめん!すっかり話の腰を折っちゃったな!どうぞ、遠慮なく言ってくれ」

 

慌てた二人はソラに話をするよう促す。ソラは気持ちを落ち着けるためにゆっくり深呼吸をすると、二人に真剣な表情で向き直った。

 

「ハルトさん、ましろさん。わたし…!」

 

そして遂に意を決して想いを伝えようとした時…。

 

「だぁぁぁーっ!!ストォォォ―ップ!!」

 

この大事な場面で水を差すものが現れやがった。ヘルメットをかぶったカバトンが突然こちらへ走ってきたのだ。彼は工事警備員に扮装し朝からプリキュアが来るのをずっと待ち構えていた。しかしやっと通りかかったソラにガン無視されたので、慌てて彼女の後を追ってきたのである。

 

「何ですか貴方は!?今大事なところなんで引っ込んでてください!!」

 

ソラは告白を邪魔したカバトンに向かってキレはじめた。

 

「そうだよカバトン!邪魔しないで!」

 

「大体お前何で来たんだ?今日は出演予定日じゃないから、ノコノコ出てきたところでギャラはでないぞ?」

 

「いや嘘つくなよ!?俺様今回もちゃーんと出番があるのねん!勝手に出演キャンセル扱いするのはやめるのねん!?」

 

ハルトに嘘をつかれたカバトンは、走って疲れた体に鞭打ちながらツッコミを入れた。

 

「ええい、お前ら!とにかく俺様の話を聞けぇ!」

 

そう叫んで強引に話を進めようとするカバトン。

 

「前回の俺様はカロリーが足りなくてパワー不足!あえなく失敗に終わったが今回はー」

 

「うるせぇぇぇー!!」

 

ちんたら話を続けようとするカバトンにブチ切れたハルトは、彼の顔面に強烈なパンチを叩きこんだ。

 

「へぶぅぅぅー!?」

 

殴られた衝撃で吹っ飛んだカバトンは、地面をバウンドしながら仰向けに倒れ込んでしまった。

 

「うちのましろが邪魔するなって言っただろ!これ以上痛い目見たくなかったらさっさと帰りな!」

 

「いや確かに言ったけど、暴力で黙らせるのはひどすぎじゃないかな!?」

 

ましろは堪らずハルトにツッコミを入れる。いくら何でもカバトンが可哀想だと思ったのだ。

 

「ち、ちくしょう…!人が説明してるのに、いきなりぶん殴りやがって許せんのねん…!」

 

カバトンが殴られた頬を擦りながら立ち上がり、ハルト達を涙目で睨みつけた。

 

「やる気なんですか?こっちはあなたに構ってる暇はないというのに…」

 

「理不尽に暴力奮われて引き下がるわけねえだろうが!!」

 

怒り狂ったカバトンは、サテンでテイクアウトした超特盛パフェをどこからともなく取り出した。

 

「覚悟しろよプリキュアども…このメッチャ高カロリーなパフェを食って、めちゃくちゃTUEE~ランボーグを生み出してやるのねん…!」

 

そう言うとカバトンは超特盛パフェをあっという間に平らげてしまった。

 

「うめぇ~♪では…カモン!アンダーグ・エナジー!」

 

そしてカバトンはアンダーグ・エナジーを呼び出すと、自分が被っていたヘルメットをランボーグに変化させた。

 

「ランボォォォグゥゥゥ…!!」

 

巨大なヘルメットを模した怪物『ヘルメットランボーグ』がハルト達の前に出現した。

 

「ハルトさん、ましろさん、行きましょう!」

 

「うん!」

 

ソラが二人に呼びかけミラージュペンを構える。

 

「待ってくれ、二人とも」

 

するとハルトが何故か二人を制止した。

 

「どうしたんですかハルトさん?」

 

「今回は俺に任せてくれないか?」

 

「「えっ!?」」

 

驚くソラとましろ。いつも一緒に戦うことを心がけているハルトが、そんなことを言うとは思わなかったからだ。

 

「ハルトさん、一体どうして…?」

 

「プリキュアに変身したらメイクが崩れちゃうだろ?だから今回は俺にやらせてほしい」

 

「で、ですが…」

 

ソラはハルトの申し出に納得できない様子だ。あのランボーグは、カバトンの口ぶりからして相当強そうだ。そんな相手に一人で立ち向かうような無茶をしてほしくないのだろう。

 

「大丈夫だ、俺を信じてくれ」

 

ハルトはソラの目を真っ直ぐ見つめる。彼の表情は揺るぎのない自信に満ち溢れている。

 

「ソラの大事な告白を、これ以上アイツに邪魔させたりはしない」

 

「ハルトさん…!」

 

ハルトの力強い言葉に、ソラは胸が熱くなるのを感じた。

 

「な、ならハルくん!せめて私も一緒に…」

 

「心配するな、すぐに片を付けるから」

 

心配するましろを余所に、ハルトはスカイトーンとミラージュペンを構える。

 

「ひろがるチェンジ!サンライト!!」

 

そしてキュアサンライトに変身すると、ランボーグと対峙する。

 

「今日はタイマンだ。お前の自信作、このキュアサンライトが直々に叩きのめしてやるよ!」

 

サンライトが不敵な笑みを浮かべながら、ランボーグに向かって拳を突き出した。

 

「かぁーっ!!メソメソ野郎の奴、女の前だからってカッコつけやがってぇ!」

 

そんなサンライトを見て、カバトンが地団駄を踏みながら怒りを露わにする。

 

「上等だぁ!一人で挑んだことをあの世で後悔させてやる!ぶっ潰せランボーグ!!」

 

「ランボーグゥゥ!!」

 

命令を受けたランボーグは、逆さまになって高速回転しながらサンライトに突っ込んできた。

 

「そうだカバトン、お前にこの世界のことわざを一つ教えてやるよ」

 

「ああん?」

 

サンライトは迫りくるランボーグを見据えながらこう言い放った。

 

「女の子の邪魔する豚は、俺の拳でくたばりやがれってなぁ!!」

 

そして右手に浄化のパワーを込めて、ランボーグに向かって必殺技をお見舞いした。

 

「ひろがるっ!!サンライトバスタァァァーッ!!!」

 

サンライトの体を炎のオーラが包み込み、巨大な拳となってランボーグを迎え撃つ。そしてランボーグのボディを粉砕し、紅蓮の炎で焼き尽くしてしまった。

 

「モエツキタ…?」

 

ランボーグは何をされたか分からないまま浄化された。そして元のヘルメットに戻ると、地面に落下して転がった。

 

「ば、バカなぁぁぁ!?高カロリー取ったのにワンパンでやられたのねぇぇぇん!?」

 

頭を抱えて叫ぶカバトン。こんなにあっさり倒されるとは思わずショックを隠しきれないようだ。戦いを見守っていたソラ達も、言葉を失う程に呆然としていた。

 

「まだやる気か?なら次はお前が焼き豚になる番だぜ?」

 

サンライトはカバトンを睨みつけながら指をボキボキ鳴らす。その気迫に圧倒されたカバトンは、腰を抜かしてしまった。

 

「く、くそ~!ただのランボーグじゃメソメソ野郎には敵わねえ…作戦を考え直すのねん!」

 

そういうとカバトンは呪文を唱えてさっさと退散してしまった。サンライトはそれを確認すると、変身を解除し元の姿に戻った。

 

「やっと行ったか…おっと!?」

 

ハルトは体から力が抜けるのを感じ、その場に倒れそうになった。

 

「ハルトさん!」

 

「ハルくん大丈夫!?」

 

それをソラが素早く支える。ましろも心配そうに駆け寄ってきた。

 

「大丈夫。サンライトバスターを使って疲れただけだから」

 

「まったく…あれはうかつに使わない様にって言ったよね?」

 

ましろが眉をひそめながらハルトに言う。

 

「ごめんごめん。ちょっと二人の前でカッコつけたくなったんだ…」

 

「もう、ハルトさんったら…」

 

ソラは困ったように微笑むと、優しくハルトを抱き寄せた。

 

「そ、ソラ…?」

 

「そんなことしなくても、ハルトさんは十分カッコイイですよ」

 

そう言って優しくハルトに囁くソラ。今度はハルトの顔が真っ赤になり、傍で見ていたましろも目を大きく見開いた。

 

「だから無茶はしないでください。今度やったらお説教ですよ?」

 

「は、はい…気を付けます…」

 

照れるハルトは消え入りそうな声で返事した。それを見たソラは満足そうに笑顔を見せる。

 

「う~ソラちゃん大胆だよ。なんかよく分からないけど、ウカウカしてられない気がするよ~!」

 

ましろはハルトを抱きしめるソラを、羨ましそうに見つめながら呟いた。

それからしばし休憩をはさんだ後、ソラが改めてハルト達に自分の気持ちを伝えはじめた。

 

「今日はハルトさん達と離れ離れで寂しかったです。ずっと一緒に居てくれた二人は、私にとってお日様のような存在でしたから」

 

「俺たちがソラのお日様…?」

 

ハルトは不思議そうに首を傾げる。

 

「はい!ハルトさんとましろさんは私のお日様です!二人はどんな時でも私を明るく、そして優しく照らしてくださいますから!」

 

ソラは二人に向かって満面の笑みを浮かべながら答えた。

 

「だから私は…ハルトさんとましろさんと、もっと一緒に居たいです!」

 

そしてハルト達をまっすぐ見つめながら自分の想いを告白した。それを聞いたハルトとましろは顔を見合わせると、くすっと笑いあった。

 

「実は俺も、学校にいる間ずっとソラのこと考えてたんだ。ソラと一緒にいられなくて寂しいってさ」

 

「私も!ソラちゃんも一緒じゃないと、心にポッカリ穴が空いたみたいで、落ち着かないな~…って思ってたんだ!」

 

ハルトもましろもソラの気持ちを肯定し、彼女に自分たちも同じ思いであることを伝えた。そして二人の気持ちを聞いたソラは嬉しそうに顔をほころばせる。

 

「私も!今日はお家で掃除とかお手伝いを頑張ったりしたけど!早く、ハルトさんやましろさん帰ってこないかなーって、ずっと思ってました!」

 

「みんな同じ気持ちなんだな…」

 

「うん、私たちは三人揃ってないとダメみたいだね…」

 

ハルトとましろはお互いの顔を見合わせ苦笑する。この三人は、自分たちが思っていた以上にお互いを必要としているのかもしれない。

 

「じゃあさ、家に帰ったらヨヨさんに頼んでみようぜ」

 

「頼むって、何をですか?」

 

「ソラを俺たちの学校に通わせてもらえないかってさ!」

 

ハルトの提案に、ソラもましろも驚いた表情を見せた。

 

「は、ハルくん!いくらおばあちゃんでもそれは難しいんじゃないかな…?」

 

ましろが困惑した表情を見せる。確かにソラも学校へ通えれば、今まで通り三人で過ごせるだろう。だが彼女はスカイランドという別の世界からやってきたのだ。その辺の事情をどう学校側に説明するのか?そもそも手続きは可能なのか?色々問題が山積みだ。

 

「大丈夫、ヨヨさんならきっと何とかしてくれるって!それにソラだって俺達と学校通いたいだろ?」

 

「ハルトさん達と同じ学校…!」

 

ハルトの問いかけにソラは目を輝かせる。この世界の学校にも興味があるし、何より3人で過ごす学校生活はとびっきり楽しいに違いない。

 

「はい!一緒に通いたいです!」

 

「そうか…よし、善は急げだ!早く家に帰ってヨヨさんに相談してみよう!」

 

「わかりました!行きましょう!」

 

ハルトとソラは頷きあうと、家に向かって走り出した。

 

「ちょっとハルくんにソラちゃん!私を置いていかないでよ~!」

 

そして一人取り残されたましろは、慌てて二人の後を追いかけるのであった。

 

_______

 

____

 

__

 

 

「というわけでヨヨさん!ソラを俺たちの学校に通わせることってできますか?」

 

帰宅して早々、ハルトはヨヨに相談を持ちかけた。

 

「ハルくん気持ちはわかるけど、こればっかりはおばあちゃんでも難しいってば…」

 

ハルトの無茶ぶりに難色を示すましろ。しかしヨヨはいつも通りの落ち着いた口調でこう返した。

 

「もう手続きは済ませたわ。ソラさんは来週にはハルトさん達と同じ学校に通えるわよ」

 

「ええっ!?もう手続き済ませたのぉ~!?」

 

ましろは驚きのあまり思わず叫んでしまった。ヨヨはソラが買い物に出掛けた後、学園に連絡し彼女の転入の手続きを行ったというのだ。

 

「ほらましろ!だから言ったろ?ヨヨさんなら何とかしてくれるって?」

 

「いやもしかしたらとは思ったけど、こんなに早いなんてビックリだよ!?おばあちゃん、その根回しの早さスゴスギレジェンドすぎないかな!?」

 

ましろはあまりにも用意周到すぎるヨヨにツッコミを入れた。

 

「とにかくやったなソラ!」

 

「はい!ハルトさん達と学校楽しみです!」

 

驚くましろを尻目に、ハルトとソラはハイタッチを交わして喜び合う。こうしてハルト達と同じ学園に通えるようになったソラ。彼女が加わったことで、ハルトとましろの学校生活はどのように変化していくのか?それは次回のお楽しみである。

 

 

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