ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~ 作:零たん
「皆さん!お食事中にすみません!転校の挨拶をもう一度やらせてください!」
お昼休み、教室に戻ったソラは教壇に立つなりそう宣言した。
「転校の挨拶?」
「もう一度って…どういうこと?」
昼食を食べようとしていたクラスメイトの視線が一斉にソラへと集まる。みんな何事だろうといった表情で彼女を見つめていた。
そんなクラスメイトの視線を余所に、ソラは黒板に自分の名前を書き始めた。コミュ力MAXの番長張りに、でかでかと自分の名前を豪快に書き上げる。
「私の名前はソラ・ハレワタールです!」
自信満々に自己紹介をはじめるソラ。なお、黒板に書かれたハレワタールの『ル』の部分だけが逆になっている。台無しだが、心優しい2年2組のみんなは誰もその事は触れなかった。
「私はましろさんとハルトさんの家でお世話になっています!」
「それもう知ってるけど?」
「黙って聞け」
ツッコむ軽井沢をハルトが睨みながら制止した。
「今朝私は自分のことを恥ずかしがり屋だと言いました。でも本当は違います!私は早くこの学校に馴染みたくて、自分を偽っていたんです!」
そしてソラは黒板の端にいるましろとハルトの方を向いて頷いた。そんなソラを優しく微笑むましろ。だがハルトは不安そうな表情を浮かべていた。
「でも気づいたんです。やっぱりちゃんと自分の事を知ってもらいたいって。だから言います!」
ソラは勇気を振り絞って思いのたけを言い放った。
「わたし、ソラ・ハレワタールはヒーローを目指してます!」
それを聞いてどよめくクラスメイトたち。こんなに堂々とヒーローを目指すと宣言する者を初めて見たからだろう。
「へ~!ソラちゃんヒーローを目指してるんだ」
「なんかかっこいい!」
るいとつむぎが感心した様子で声を上げる。他のクラスメイトもソラに好意的な反応を見せていた。
「私はここに来たばかりで慣れないことも多いです。でもハルトさんやましろさんと友達になって新しいことをたくさん知って、この学校に通うのもすごく楽しみなんです!」
ソラはハルトやましろと過ごした楽しい日々を思い出しながら、クラスメイトに自分の気持ちを伝えた。
「だから皆さんと友達になりたいです!よろしくお願いします!」
そうしてソラは深々と頭を下げた。一瞬沈黙するクラスメイトたち。だがつむぎが拍手したのを皮切りに、皆も彼女に暖かい拍手を送った。
「話してくれてありがとう!」
「私たちはとっくに友達だよ!」
「こちらこそよろしくな!ハレワタールさん!」
クラスメイトたちが次々にソラへ歓迎の言葉をかけてくる。皆に受け入れてもらえて、ソラは感激のあまり瞳を潤ませていた。
「皆さん!ありがとうございます!」
ソラはクラスの皆に満面の笑みを浮かべながらお礼を言った。
「よかったね、ソラちゃん!」
「はい!」
ましろもソラに祝福の言葉をかける。隣にいたハルトもソラに声をかけるが…。
「ヨ、ヨカッタナーソラ!クラスノミンナト ナカヨクデキソウデ…」
なぜか片言で喋るハルト。顔はどこか引き攣っており、額には冷や汗が浮かんでいた。
「ありがとうございます。あの、ハルトさんどこか具合でも悪いんですか?」
「はぇっ!?だ、大丈夫!俺はいつも通り元気だぞ~!」
ソラが心配そうに声をかけるが、ハルトはわざとらしく元気アピールをして誤魔化した。
(落ち着け…ソラに友達ができるのはいいことなんだ…!ヤキモチ妬くなんて間違ってるんだ…!)
ハルトは心の中で必死に自分に言い聞かせていた。
(ハルくん今すごく悩んでるんだろうな~…)
ましろはハルトの今の様子を見て思う。彼の本心としては、ソラは自分とだけ仲良くしてほしいと思っているはずだ。何故ならソラはハルトにとって特別だからである。彼女はハルトの恩人で、友達で、守りたい大切な存在だ。そんなソラを独り占めしたいと無意識のうちに思っているのかもしれない。
もっともソラと同じくらい特別に思ってるましろなら、彼女と仲良くしても大丈夫だろう。だが対して仲良くもないパッと出のクラスメイトがソラと友達になるのは許せないはずだ。ハルトは他人に対する警戒心が強いので、尚更そう思うに違いない。
だがソラがクラスの皆とも仲良くしたいと望むなら、友達としてその想いを尊重してあげたいとも思っていた。でもそれがどうしても許せない自分もいる。ハルトは今自分の本心と友人としての理性の間で葛藤しているのだ。
「じゃ、じゃあソラちゃんの自己紹介も済んだところでご飯にしよっか!」
ハルトの心情を察したましろがそう提案する。ご飯を食べて、少しでも気持ちを落ち着かせてほしいと考えたのだ。
「今日のお弁当は私が作ったよ!ソラちゃんの転入祝いだから気合入れちゃった!」
「おお~!それは楽しみです!ハルトさん!一緒に食べましょう!」
「わ、わかった…」
ハルトはましろ達と一緒にお昼を食べるため、いったん席に戻って机をくっつけようとする。すると軽井沢たちが話しかけてきた。
「俺達も一緒に食べていい?」
「私ももっとソラちゃんとお話した~い」
ニコニコしながら尋ねる軽井沢とつむぎ。
「ガルガルゥ~!」
「「ひぃっ!?」」
が、ハルトが威嚇してきたので悲鳴を上げてしまった。
「ハルくん落ち着いて!お顔がガルガルになってるよ~!」
「えっ!?ああ、すまんすまん!作品が違ったな!」
「いや、何の話?」
訳の分からないことを言うハルトに るいが呆れ顔でツッコむ。
「あの、もしかしてお邪魔だった?それなら遠慮しておくけど…」
「そんなことありません!私も皆さんとお話したかったので嬉しいです!」
ソラは嬉しそうに答えると、るい達が机をくっつけられるようスペースを開けた。
「どうぞどうぞ!」
「ありがとうソラちゃん」
「お邪魔しまーす」
こうしてるい達が合流し、今日は6人で食事をとることになった。皆でお弁当を食べながら楽しそうに談笑する。
「ソラちゃんってどうしてあんなに運動神経がいいの?」
「毎日体を鍛えてるからです!」
「へ~!さすがヒーローを目指すだけのことはあるね~!」
「えへへ、それほどでもないです」
ソラは新しい友達と話すのが嬉しくて仕方がないようだ。ヒーローを目指すのに夢中で友達を作ってこなかったから、クラスメイトとこうして楽しく過ごすのは新鮮で楽しいのだろう。るい達もソラを気に入ったようですっかり打ち解けていた。
(面白くねえ…)
そんな中、ハルトだけがこの輪に入れず不機嫌そうな表情を浮かべていた。やはりソラが自分以外の子と仲良くするのが気に入らない様子だ。
「そんなにヒーローが好きなら、俺のお勧めの特撮教えよっか?」
「特撮!?ソウガみたいなヒーローが他にいるんですか!?」
軽井沢の言葉にソラは目を輝かせる。
「あ、ソウガは知ってるんだ?俺のお勧めはガッチャンコって言って最新のライダーなんだけど、これがまた面白いのよ!」
「ガッチャンコ…どんなライダーなんですか?」
「主人公の ほうたろうが、アイボーグってロボットと一緒に…」
それから軽井沢がガッチャンコなるヒーローの魅力をソラに解説し続けた。ソラが興味津々で聞く傍ら、ハルトは楽しそうな彼女を見て一層複雑な気持ちになる。
「ガッチャンコ面白そうです!私今度見てます!」
ソラは軽井沢のプレゼンですっかりガッチャンコに興味津々の様子だ。
「お、マジで!?じゃあ今度感想聞かせて!ガッチャンコは全話録画してるし、もし気に入ったならDVD貸してあげるよ!」
「ありがとうございます!軽井沢さん!」
(うがぁぁぁぁっ!!)
すっかり意気投合してしまった二人を見て、ハルトのイライラが限界に達してしまう。軽井沢がソラに馴れ馴れしくするだけでも腹立たしい。そのうえソラが新作のライダーに鞍替えするかもしれないという危機感も抱いてしまった。
(それに今のソラ、俺と一緒にいる時より楽しそうじゃないか…?)
ハルトはソラの笑顔が自分ではなく他人に向けられているのが気に入らなかった。もっと自分を見てほしい。だがそれを口に出すことができず、ただ黙り込むしかできなかった。
(ソラと楽しい時間を過ごすはずだったのに、なんでこんなことになるんだよ…)
予想していた展開と全く違う状況に、ハルトの気持ちがどんどん沈んでいく。
「ハルくん大丈夫?」
そんな中、ましろがハルトにこっそり耳打ちしてくる。
「…別にどうもしてないけど?」
「ほんとに?なんかすっごく辛そうだから」
「そんなことねえよ…」
素直になれないハルトはぶっきらぼうに返事をした。内心かなりイラついているのだが、それを悟られたくないのだ。
「大丈夫だよハルくん」
だがましろにはお見通しだった。ハルトがソラのことで悩んでいるのはわかっている。だからましろはハルトを安心させるように語りかける。ソラがどれだけハルトを大切に思っているのかを伝えてあげようと思ったのだ。
「ソラちゃんはね、ハルくんのことを本当にー」
「みんなぁぁ!大変だぁあぁ!!」
だがそれを伝えることは叶わなかった。ひとりの男子生徒が血相を変えて教室に飛び込んできたからだ。
「なんかもう一人転校生っぽいのが現れたぞ!?」
「転校生?」
みんな首を傾げた。なんでもモヒカン頭の不良が突如学園に現れたというのだ。そいつは購買のパンを買い占めたり、学食のカレーを飲み干したりとやりたい放題らしい。
「ハルトさん、ましろさん。もしかして…」
「うん、きっとカバトンだよ!」
ソラ達はその転校生の正体がカバトンだと確信した。この平和な学園でそんな蛮行に走る奴は他にいないからだ。
「そうかカバトンか。いい時に来てくれたな」
「え?どういうことです?」
何故か嬉しそうなハルトを見てソラは首を傾げた。
「いや何でもない。それより早くアイツをとっちめに行こうぜ」
「そうですね…これ以上何か悪さをする前に止めましょう!」
ハルト達は急いで席から立つ。それを不思議に思ったつむぎが呼び止めた。
「三人ともどこ行くの?」
「カバトンをぶちのめ…じゃなくて、ちょっと野暮用!」
ハルトはそう言うとソラとましろと共に急いで教室から出て行った。
「三人とも急にどうしたんだろ…」
「なんか怪しいな~」
るいがポツリと呟く隣で、軽井沢が興味津々といった様子でニヤついていた。
そしてハルト達は噂の不良がいるという校舎の中庭へたどり着いた。やはり問題児の正体はカバトンだった。彼はましろのお気に入りの桜の下に腰掛け、呑気に飯を食っていた。
「うまぁ~♪目を閉じれば北の大地でたわわに実ったメロンたちが舞い降りてくるようなのねん♪」
カバトンは購買で買ったメロンパンのあまりの美味しさに思わずうっとりする。
「そのパンは形がメロンっぽいだけで、メロンは入ってないよ!」
そんなカバトンにましろがビシッとツッコミを入れた。
「ああん!?誰だ!?」
食事中に茶々入れられてキレたカバトンが振り返る。そこで初めてハルト達がいることに気付いた。
「お、お前らはプリキュア!?なぜここに!?」
「それはこっちのセリフです!一体何しに来たんですか!?」
「多分過ぎ去った青春時代を取り戻したくなったんだろ?手遅れなんだよな~。お前みたいなチンピラは中学生より幼稚園…いや、いっそ母親のお腹の中に戻って一から人生リセットしてこいや」
「てめえメソメソ野郎!またそんな暴言吐きやがって!お前こそそんな悪口を言わないよう、親に教育し直してもらうのねん!!」
カバトンはいつもよりひどく煽ってくるハルトにブチ切れた。
「ハルくん落ち着いて!それでカバトン、どうしてここに来たの?」
「ふっふっふ。いいだろう、説明してやるのねん」
ドヤ顔で語りだすカバトン。彼が言うには野原で寝そべっていたところ、突然何者かにボールをぶつけられたという。危うく永遠の眠りにつきかけたが何とか持ちこたえ、その衝撃を与えたものの正体を確かめようと向かったところ、この学園にたどり着いたらしい。
(そのボールって、ハルくんがスポーツテストの時に投げたやつじゃ…)
そう思い至るましろだったが口には出さなかった。カバトンの怒りを買いたくなかったからだ。
「ここは美味いもんが盛りだくさんでカロリー補給もバッチリ!そのうえお前らまで発見することができた。さすが俺なのねん♪」
カバトンは残りのメロンパンを口に放り込むと、悪人面を浮かべながらハルト達を睨みつける。
「この場でお前らをぶっ倒して、その後プリンセスをゆっくり探してやるのねん!」
「それより先にてめえの息の根を止めてやらぁぁ!!」
だがハルトが雄たけびと共に駆け出すと、カバトンの土手っ腹目掛けて渾身の飛び蹴りをぶち込んだ。
「ごへぇぇぇええぇぇっ!?」
蹴り飛ばされたカバトンは地面をバウンドしながら転がっていく。
「図に乗るなよカバトン。こないだ俺がランボーグを秒殺したこと忘れたか?」
ハルトは蹲るカバトンの前に立ちふさがる。
「お前なんか俺の相手じゃねえ…さっさと消えな!でないとこの場でブチころがしてカツサンドの具材にするぞ!?」
拳をボキボキ鳴らしながら凄むハルト。彼はいつも以上に殺気立っていた。
「ハルくん!いくらカバトンが悪者だからってここまですることないんじゃないかな!?」
見かねたましろが慌てて止めに入る。
「ましろさんの言う通りです!ヒーローは理不尽に暴力を振るったりしてはいけません!めっですよ!」
「ご、ごめんなさい。やりすぎました…」
ソラにも怒られてしまい、すっかりハルトはしょげてしまった。
「うっぷ…おいメソメソ野郎!俺様にも謝るのねん…!」
カバトンが口元を抑えながらハルトを睨みつける。彼に腹をおもっくそ蹴られたことでさっき食べたものをもどしかけていた。
「はぁ?お前なんかに謝るわけないだろ ふざけんなバーカ」
「ムッキー!またそんな悪口言いやがって!お前それでもヒーローかぁ!?」
カバトンは拳を地面に叩きつけながら怒り狂う。今日のハルトはイライラしているのでお口がすこぶる悪いのだ。
「もう許さんのねん!カモン!アンダーグエナジー!!」
怒りに燃えるカバトンは地面に手を置きアンダーグ・エナジーを呼び出した。その黒いエネルギーに呑まれた桜の木が怪物へと姿を変えていく。
「ランボォォォグゥゥゥ!!」
巨大な桜の木の姿をした怪物『桜ランボーグ』が出現した。
「よりにもよってましろさんの想い出の桜を…許せません!」
「うん!行こうソラちゃん!ハルくん!」
ソラとましろはミラージュペンを構えてプリキュアに変身しようとする。
「ちょい待ちだ二人とも」
だが、ここでハルトがまたしても待ったをかけてきた。
「こいつの相手は俺がやる」
「ええっ!?またですか!?」
止められたソラは耳を疑った。この間の戦いで、ハルトはもう一人で無茶はしないと自分に約束してくれたはずだ。それなのにまた同じ行動をとろうとしているのが信じられないのだ。
「どうしてそんなこと言うんですか!?まさかまたカッコつけたくなったんですか!?」
「そ、そうじゃない!あのランボーグはヤバそうだから、俺が速攻でぶっ倒そうと…」
「危険な相手なら猶更一緒に戦うべきです!」
「大丈夫だって!俺だって最初より強くなったんだから!」
ソラが必死になって説得するがハルトは聞く耳を持ってくれない。
「一体どうしちゃったんですか?こんなのいつものハルトさんじゃないです!」
「ハルくん?ソラちゃんがこんなに心配してるんだよ?意地張らないで一緒に戦おうよ!」
見かねたましろもハルトを嗜めるが、彼は頑として首を縦に振らなかった。
「いつもの俺ってなんだよ。俺の気持ちなんか知らないくせに…」
「ハルトさん…?」
「だぁ~もう!いいから任せとけって!」
「あっ!ハルトさん!?」
ハルトはましろとソラの静止を聞かずにスカイトーンとミラージュペンを構えて変身した。
彼はとにかくこのイライラを発散したかったのだ。そして今回も一人でランボーグを倒して、自分がどんなにソラにとって頼れる存在かをアピールしたかった。今のハルトはまるで好きな子に遠回しにアピールする小学生男子のようだった。
「ひろがるチェンジ!サンライト!」
ハルトの体を眩い光が包み込み、瞬時に炎のような赤髪のプリキュアに姿を変える。
「熱くひろがる太陽の輝き!キュアサンライト!」
「でたなキュアサンライト!こないだみたいにワンパンするつもりなんだろうが、そうはいかないのねん!」
「ランボォォォグゥゥゥ!!」
ランボーグは桜の花で覆われた両手を重ね合わせる。そしてサンライト目掛けて桜吹雪を模したエネルギー波を撃ち込んだ。
「こいっ!サンライトシールド!!」
それを見たサンライトは『サンライトシールド』と名付けた赤い太陽型の盾を生成し左腕に装着。ランボーグのエネルギー波を真正面から受け止め、あっさりと防いでしまった。
「効くかよ、そんなへなちょこ光線」
「ぐぬぬ~!」
余裕そうなサンライトに歯ぎしりをするカバトン。
「丁度いい。俺の編み出した新しい技を見せてやる!」
「え?新しい技…?」
サンライトは左腕に構えた盾を巨大化させ、高速回転させた。
「見てろソラ!これが俺がこっそり特訓して習得した新技だ!!」
「ま、まってハルくん!?それで何するつもりなの!?」
ましろは丸鋸のように回転する盾をみて嫌な予感がしていた。だがサンライトは彼女には目もくれず、空高く飛び上がるとランボーグ目掛けて回転する盾を振り下ろした。
「喰らえっ!サンライトエッジ!!」
解説しよう。『サンライトエッジ』とは、巨大化させたサンライトシールドを丸鋸のように高速回転させ相手を斬りつける技である。
「ぶった切ってやるぜぇ!!」
だがこの必殺技は女の子向け番組で披露するにはあまりにショッキングな技だった。回転するサンライトシールドの刃がランボーグを頭から真っ二つに切断したのだ。左右に分かれた胴体がメリメリと木が割れる音と共に分離、地面にドスンと倒れたのである。
「あ、あわわ…思い出の桜が真っ二つにぃ~」
「ま、ましろさん!しっかりしてください!」
ソラはショックで卒倒しそうになるましろを慌てて支える。
「どうだ見たか!俺の新技すごい威力だろ?」
一方、サンライトは得意げに鼻を鳴らしていた。またランボーグを一撃で倒してみせたのだ。きっとソラも自分を見直してくれるに違いないと思っていた。だがサンライトの期待とは裏腹に、ソラは厳しい表情を浮かべていた。
「…ハルトさん!こっちに来てください!!」
「え、なんで?ソラ急にどうしたんだよ?」
「いいからそこに座ってください!」
「は、はい!!」
サンライトはソラに言われるがまま芝生の上に正座した。ソラもサンライトの正面に正座すると、彼に説教を始めた。
「どうしてこんな酷いことをしたんですか!?あれはましろさんの大事な桜なんですよ!?」
「わ、わかってる…。だから速攻でランボーグを倒そうと…」
「それでも真っ二つにするのはやりすぎです!あんな事したらましろさんが傷つくとは考えなかったんですか!?」
ソラは我が子を叱りつけるようにガミガミと怒鳴った。
「ランボーグを倒す必要があるにせよ、もう少し他にやり方があったはずです!そもそも私たちが一緒なら、あんな技に頼らなくてもアップドラフトシャイニングでランボーグを無傷で浄化できたはずです!」
「あ、あんな技って言うことないだろ!?ソラ達の役に立ちたくて一生懸命練習したのに!」
新技をあんな呼ばわりされ、怒って反論をするサンライト。だが彼以上に怒っているソラには火に油を注ぐだけだった。
「新しい技を考えたのはすごいと思います!でもよく考えて行動してください!人の大切なものにこういう仕打ちをするのは最低なことだと私は思います!」
「さ、最低…!?」
ハルトはその言葉にショックを受け、呆然としてしまった。憧れのソラにここまで言われたのは初めてのことだったからだ。
「そんな…俺はただソラの役に立ちたくて…」
「そ、ソラちゃん!もうそのへんでいいよ!」
目に見えて落ち込むサンライトを見て、ましろが慌てて仲裁に入ろうとする。
「いいえ!まだハルトさんに伝えておきたいことがあります!」
だがソラは厳しい表情でサンライトを見つめる。どうやらまだまだお説教は続きそうだ。
「おいお前ら。仲間割れしている場合なのねん?」
そんなソラ達にカバトンが声をかけてきた。ランボーグが倒されたのに随分余裕そうな表情である。
「カバトン静かに!今取り込み中です!」
「これを見てもそんなことが言えるかな?ランボーグ!再生しろぉ!」
カバトンが叫ぶ。すると、桜ランボーグの切れ口から体が生成され2体に分裂したのだ。
「「ランボォォォグゥゥゥ!!」」」
「うえっ!?マジかよ元に戻りやがった!?」
「よ、よかった…でも2体に増えてる!?これは大変だよ~!!」
ランボーグが2体に増えるという予想外の事態に、サンライトとましろはビックリ仰天だ。
「ギャーッハハハ!今回のランボーグは生命力が強いから、真っ二つになった程度じゃくたばらないのねん!」
自慢げに笑うカバトン。伊達にカロリーを消費して生み出したわけではないようだ。
「しかも二体に増えて強さ倍付け♪さあランボーグ!反撃開始なのねん!」
「「ランボォォォグゥゥゥ!!」」
ランボーグは2体同時に桜吹雪のエネルギー波で攻撃してきた。サンライトが咄嗟に盾を構え、ソラとましろを庇いながら攻撃を防いだ。だが流石に2体同時の攻撃は強力で、徐々に押されそうになる。
「うわぁぁぁ!増えて攻撃も激しくなったよ~!」
「ホントにごめん!俺が見え張ったばっかりにこんな面倒なことに~!!」
自分が軽率な行動をしたせいでソラとましろに被害が及んでしまった。サンライトはただ二人に謝るしかなかった。
「大丈夫!向こうは2体でもこっちは3人。力を合わせれば何とかなるよ!」
「ましろさんの言う通りです。ハルトさん、一緒に戦いましょう!」
「二人とも…すまねえ!力を貸してくれ!」
「「もちろんです(だよ)!!」」
ソラとましろは力強く頷くと、スカイトーンとミラージュペンを構えプリキュアに変身する。
「ひろがるチェンジ!スカイ!」
「ひろがるチェンジ!プリズム!」
眩い光が二人を包み込み、ソラはキュアスカイに。ましろはキュアプリズムに姿を変える。
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」
変身した二人は盾で防御しているサンライトの後ろから飛び上がる。そしてプリズムは光弾で、キュアスカイはキックでそれぞれ別のランボーグに攻撃を仕掛けた。
「「ランボォォグゥゥ!?」」
攻撃はクリーンヒット。ランボーグ達は大きくのけ反った。
「こっちも反撃開始だよ!」
「ヒーローの出番です!行きましょうサンライト!」
「は、はい!頑張ります!」
スカイに促されたサンライトは緊張気味に返事をした。見栄を張った結果、とんだ大失態をしでかしたサンライト。果たして彼は汚名返上できるのだろうか?