ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~   作:零たん

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今回はオリジナルエピソードです。色々あってまた最新話の投稿に1ヶ月以上かかってしまいました。もっと更新ペースを上げれるように頑張らないと!

2024/6/28 後半部分加筆修正しました。



第30話:映画を観に行こう!

 

前回ハルトたちの学園に転入したソラは、ましろのおかげでクラスメイトと打ち解け楽しい学園生活をエンジョイしていた。

 

一方、ソラがクラスメイトと仲良くするところを見てOST 【O(俺が)S(先に)T(友達になったのに) 】を発症してしまったハルトだが、ソラの自分に対する気持ちを再確認したことで彼らにヤキモチを焼くことは少なくなった。もっとも男子生徒達への当たりは強く、彼らがソラと仲良さげな雰囲気を醸し出す度に睨みつけてビビらせることがあったが、それを除けば大きなトラブルもなくあっという間に1週間が過ぎた。

 

今日は日曜日の朝9時過ぎ。日課のトレーニングと朝食を終えたハルトはリビングでソラと一緒に軽井沢お勧めの特撮番組『仮面ライダーガッチャンコ』を視聴していた。ちなみにエルもソラのお膝に座って一緒に見ている。

 

『いくぞアイボーグ1号!俺達の友情パワーをガッチャンコだ!』

 

『あいぼーぐ!』

 

主人公の ほうたろうがサポートメカのアイボーグをドライバーに装填する。それと同時にほうたろうの背後に人型ロボットが出現する。

 

『変身!』

 

ほうたろうの掛け声とともにロボットが分離。バラバラになったパーツがほうたろうの体に装着され、彼を仮面ライダーガッチャンコへと変身させる。

 

『アーマーオン!仮面ライダーガッチャンコ!!』

 

変身完了と共にガッチャンコが勇ましい決めポーズをとる。

 

「カッコいい~!」

 

「える~!」

 

ソラとエルは目を輝かせながらガッチャンコの決めポーズを見つめていた。

 

『いくぞワルボーグ!お前たちの野望は俺達が止めて見せるぜ!!』

 

啖呵を切ったガッチャンコがアイボーグと共に悪役ロボット『ワルボーグ』に果敢に立ち向かっていく。

 

「がんばってくださいガッチャンコ!」

 

「える~!」

 

ガッチャンコにエールを送るソラとエル。みんなガッチャンコを視聴するのは今日が初めてだがソラはすっかりハマってしまったようだ。エルも小さな両手をパタつかせながら一緒に応援している。

 

「ガッチャンコ意外と面白いな…」

 

ハルトはワルボーグと戦うガッチャンコの勇姿をぼんやり眺めながら呟く。実は彼が仮面ライダーをリアルタイムで視聴するのはソウガ以来なのだ。

 

数年前、まだ幼かったハルトは毎週のようにソウガを視聴しましろの父親に変身グッズを買ってもらうほどソウガにのめり込んでいた。しかし番組が終了してからソウガロスに陥ってしまい、続編のライダーが放映されても見る気が起きず自然とライダーから遠ざかっていた。

 

軽井沢にお勧めされたガッチャンコも当初興味はなかったが、ソラに一緒に観ましょうと誘われて視聴したところ これが意外と面白い。人間とロボットの共存というシリアスなテーマを扱いながらも、全体的に明るい作風で大人も子供も楽しめる内容となっている。そしてソウガの頃よりパワーアップしたCG技術と力強いアクションシーンはかなり見応えがあった。

 

(まあそれでもソウガが一番に変わりないけどな。ガッチャンコもいい線いってるけどソウガのカッコよさと比べりゃまだまだだな…)

 

だがあくまでソウガが一番のハルトは内心ガッチャンコをこきおろす。彼は若干懐古厨の気があるようだ。

 

「ハルトさん!ガッチャンコ面白いですね!」

 

隣にいるソラが興奮した様子でハルトに話しかけてきた。

 

「そ、そうだな!ソウガ以外のライダーは初めて見るけど結構カッコいいよな~」

 

突然話しかけられたハルトは慌ててソラに話を合わせる。

 

「はい!ソウガもカッコいいですがガッチャンコだって負けてません!どんなピンチでも諦めずにアイボーグと共に困難に立ち向かう姿は正にヒーロー!」

 

ガッチャンコはすっかりソラの心を鷲掴みにしたようだ。心なしかソウガを見た時よりも熱が籠っているように見えた。

 

「えるっ♪えるぅ~♪」

 

しかもエルまでガッチャンコの活躍を見て喜んでいるではないか。

 

「見てくださいハルトさん!エルちゃんもガッチャンコが気に入ったみたいですよ!」

 

「へ、へ~!エルもガッチャンコの良さが分かるのか~。将来有望だな~」

 

とは言うもののハルトは内心面白くなかった。せっかくソウガを布教したのにソラの興味は早くもガッチャンコに移りつつあったからだ。しかもエルまでガッチャンコの虜になりつつあるから余計に危機感が募っていく。

 

「…ちなみにソラはガッチャンコとソウガどっちが好き?」

 

ハルトは恐る恐るソラに尋ねた。

 

「私は二人とも好きです!」

 

特に悩む様子もなくあっさり答えるソラ。まあ誰にでも分け隔てなく接する彼女らしい返答だろう。

 

「そ、そっか!二人ともカッコいいもんな!どっちが上とか決められないよな!」

 

ホッとしたような残念なような複雑な気持ちを抱きながらもハルトは相槌をうつのであった。

 

「ソウガもガッチャンコも素晴らしいヒーローですよ。強くてカッコいいだけでなく子供たちに笑顔を与えてくれて…」

 

ソラは膝の上ではしゃぐエルを優しく見つめながら呟いた。

 

「彼らを見ているとシャララ隊長を思い出します…」

 

「シャララ隊長…もしかして昔ソラを助けてくれた人のことか?」

 

「はい!その方です!」

 

ソラはにこやかに頷いた。

 

「シャララって言うのか、ソラの憧れのヒーロー…」

 

昔、禁断の森に迷い込んだソラを救ったヒーロー。かねてより話は聞いていたがその人の名前を知ったのは今日が初めてである。

 

「その人確か青の護衛隊ってヒーローチームの隊長だったっけ?」

 

「そうですよ。シャララ隊長は護衛隊の皆さんと共にスカイランドの平和を守っているんです。王国だけでなく世界中を飛び回って困ってる人たちを助けてるんですよ」

 

「世界中を!?そりゃまたスケールが凄いなぁ」

 

ハルトが驚くのも無理はなかった。ソラの話によると青の護衛隊はスカイランドのあちこちで起こるトラブルを解決するため日夜活動しているそうだ。中でもシャララ隊長の活躍は群を抜いており、ソラのように彼女に助けられた人は大勢いるらしい。スカイランド一の剣士として武勇でも名を馳せており国民からも絶大な信頼を寄せられている。

 

「まさに本物のヒーローなんだな…」

 

ソウガやガッチャンコのような創作物ではなく実在するヒーロー。しかも非の打ち所がない完璧超人ときたものだ。ソラが強い憧れを抱くのも当然だろう。

 

「私はそんなシャララ隊長に憧れてヒーローを目指しています。ですが憧れのあの人の背中は果てしなく遠い…」

 

そう語るソラの表情が少し曇った。

 

「でも私はめげません!今はまだ未熟ですが、いつかはシャララ隊長のようなヒーローになって見せます!」

 

だがソラはすぐさま力強い表情を浮かべ決意を新たにするのであった。

 

「シャララ隊長みたいなヒーローか…ソラはもうとっくになってると思うけどな…」

 

そんなソラの横顔を見つめながらハルトは小声で呟いた。

 

「え?ハルトさん、今何か仰いましたか?」

 

「い、いや何でもない!気にしないでくれ!」

 

ソラが突然尋ねてきたので慌てたハルトはつい誤魔化してしまった。

 

「お、俺もソラならシャララ隊長みたいになれると思う!応援してるぜ!」

 

「は、はい。ありがとうございますハルトさん」

 

ソラはハルトの様子を不思議に思いながらも笑顔でお礼を言うのであった。

 

「える!えるぅ!」

 

その時、エルがテレビの方を指差しながらえるえると騒ぎ始めた。

 

「どうしたんですかエルちゃん?」

 

「まさかガッチャンコがピンチか?……いや違う」

 

ハルトの目に飛び込んできたのは『スーパーヒーロー大戦F』という映画のCMだった。テレビ画面にはガッチャンコの他に歴代のライダーやスーパー戦隊がズラリと並んでいた。

 

「すご~い!ガッチャンコの隣にソウガがいます!他にも知らないヒーローがたくさん!ハルトさん、これから一体何が始まるんです!?」

 

ソラが目をキラキラと輝かせながらハルトに尋ねてきた。

 

「これはCMだよ。スーパーヒーロー大戦Fって映画が本日公開だってさ。知らぬ間にライダーも銀幕デビューしてたんだな~。ビックリだぜ」

 

「?すみません。えいがって何ですか?」

 

ソラが小首を傾げる。彼女の故郷スカイランドにはテレビはないらしいので映画のことも知らないのだろう。

 

「映画ってのは家で見るテレビやブルーレイを他のお客さんと一緒に観賞するものなんだ。でっかいスクリーンで観る映像は迫力満点だぞ~」

 

ハルトがソラに映画について分かりやすく説明する。

 

「それはすごいですね!ちなみにこのテレビよりも大きいんですか!?」

 

「見ればわかるけど比較にならないな。あまりの迫力にソラも腰抜かしちゃうかもしれないな~?」

 

「そ、そんなにすごいんですか…」

 

ハルトが脅かしてくるのでちょっと尻込みしてしまうソラ。

 

「で、ですがヒーローはどんな相手でも恐れず立ち向かうものです!えいがというものがどんなに凄くても私は絶対に負けません!」

 

「いやいや、そんなに身構えなくても大丈夫だって」

 

フンスと意気込むソラをハルトは苦笑しながら宥めた。ソラは些細なことも真に受けてしまうので あまりからかうべきではなさそうだ。

 

「そうだ!あの映画今日から上映するらしいし、今から一緒に観に行ってみるか?」

 

「え?ソラシド市でも映画が観れるんですか?」

 

「ああ。こないだソラの服を買いに行ったソラシドモールって覚えてる?そこの最上階にシネマランドがあるんだよ。あそこは休日でもそんなに混んでないから今から出掛けても間に合うと思うぜ」

 

「あそこは映画館もあるんですか!この世界のお店は何でも揃ってるんですね~!」

 

ソラは大層驚いた様子でハルトの話に耳を傾けていた。

 

「それでどう?一緒にライダーの映画観に行く?」

 

「はい!観に行きたいです!」

 

ソラは目をキラキラさせながら嬉しそうに頷いた。生まれて初めて観るであろう映画、それもヒーローが出てくる作品とあっては期待せずにはいられないのだろう。

 

「このえいがには色んなライダーが登場するみたいですし、彼らを通じてヒーローのことを学ばせて頂きたいとおもいます!」

 

「ソラはほんと勉強熱心だな~。じゃあ決まりってことで早速準備するか」

 

「える!えるぅ~!」

 

ハルトが出発の準備をしようと立ち上がると、ソラの膝に座っていたエルが急にぐずり出した。

 

「もしかしてエルちゃんも映画を観に行きたいんですか?」

 

「えるえるっ!」

 

ソラの問いかけにコクコク頷くプリンセス。

 

「ハルトさん。エルちゃんも一緒に行っても大丈夫ですか?」

 

「大丈夫じゃない?最近じゃ赤ちゃんでも入れる映画館もあるらしいし」

 

ハルトはあっけらかんと答えた。

 

「それに学校が始まってからエルとお出かけする機会がなかったしな…。ずっとお留守番してくれたご褒美だ。今日は一緒に映画を楽しもうぜ!」

 

「える~♪」

 

「ふふ、よかったですね!エルちゃん!」

 

嬉しそうに笑うエルを見てソラもニッコリ微笑むのであった。

 

「みんな~!何かすごく盛り上がってるみたいだけど一体どうしたの~?」

 

その時、二階で用事をしていたましろがリビングに入ってきた。

 

「ようましろ。実はかくかくしかじかでな」

 

「皆で映画を観にソラシドモールへ?それなら私も付いていってもいい?」

 

ハルトの話を聞いたましろが鞄からメモ書きを取り出しながら尋ねてくる。

 

「そのメモ、もしかしてヨヨさんのお使いか?」

 

「そうだよ。また色んな材料を買ってきてって頼まれたんだ。ソラシドモールなら色んなお店があるから全部揃えられると思って」

 

「色んな材料…きっとスカイランドのトンネルを作る為のものですね」

 

「ヨヨさんも頑張ってくれてるんだな…」

 

ヨヨはエルをスカイランドで待つ両親の元へ送り届けるため、異世界同士を繋ぐトンネルの製作に取り組んでいた。完成させるには100種類もの素材と精巧な技術が必要らしい。

 

「じゃあ今日の俺たちの務めは決まったな」

 

「はい!ヨヨさんのお使いをこなして映画を楽しむ、ですね!」

 

ハルトとソラは互いに顔を見合わせ頷いた。

 

「ありがとう二人とも!じゃあ準備できたら皆で出掛けよっか!」

 

「了解(です)!」

 

「える~♪」

 

こうして一同はソラシドモールへ行くために身支度を始めた。そして各々準備が終わったところで玄関のチャイムが鳴り響く。

 

「おいおい、今から出かけようって時に一体誰だ?」

 

ハルトはぶつくさ言いながら玄関へ向かいドアを開けた。しかし外には誰もおらず周囲を見渡しても人影はない。

 

「なんだよこのご時世にピンポンダッシュか!?質悪いな~!」

 

ハルトはプンスコ怒りながら家の中に戻ろうとした。その時、ドアの裏に隠れていた女性が後ろからハルトに抱き着き目隠しをしたのだ。

 

「だーれだ♪」

 

悪戯っぽい女性の声がハルトの耳元で囁かれる。ハルトは飛び上がりそうになったが、声の主はハルトの良く知っている人物だったのですぐに落ち着きを取り戻した。

 

「この声は…悪戯好きのあげは姉だな?」

 

「おしい!正解はハルるんが大好きなあげはお姉ちゃん、でした~♪」

 

そう言ってこのドッキリの仕掛け人こと聖あげははハルトの目隠しをそっと外した。

 

「何で隠れたんだよ!危うく警察に通報するとこだったぞ!?」

 

「ごめんごめん!足音でハルるんが来るって分かったからついイタズラしちゃった♪」

 

あげははケラケラ笑いながらハルトに謝ってきた。

 

「全く、俺は寛容だから許すけどソラやましろにこんなイタズラするなよ?特にソラなんかメチャクチャ強いから下手すりゃ投げ飛ばされるかもしれないぜ?」

 

「大丈夫!心配しなくてもハルるんにしかやらないから♪」

 

「いや俺ならいいわけじゃねーよ!?やるな!誰に対してもイタズラは!」

 

ハルトがあげはにツッコミを入れると、騒ぎを聞きつけたましろ達が玄関へやってきた。

 

「ハルくん何を騒いでるの…って、あげはちゃん!?」

 

「やっほーましろん!ソラちゃんにエルちゃんも元気してる~?」

 

「えるぅ~♪」

 

エルは嬉しそうにあげはに微笑んだ。

 

「おはようございます、あげはさん!この間はありがとうございました!」

 

「おはようソラちゃん!ちゃんと自分の気持ちをハルるん達に伝えることができたんだね。力になれてよかったよ!」

 

ソラもあげはとすっかり打ち解けたようで、ハルト達に告白する後押しをしてくれた彼女に礼を言った。

 

「それであげは姉は何しに来たんだよ?」

 

「何しにって、今日はお休みだから遊びに来たんだよ。エルちゃんにも会いたかったしね~♪」

 

「えるえる~♪」

 

にこにこ笑いながらあげはとハイタッチするプリンセス。

 

「来てもらったとこ悪いけど俺達これから用事で出るんだ」

 

「用事ってどこへ行くの?」

 

「ソラシドモールだよ。ハルくん達は映画を観に行くんだって。私もお使いを頼まれたから一緒に行くんだ」

 

「へ~。皆でお出かけするんだ」

 

あげはは口元に手を当て考えるそぶりを見せた後、ハルト達にこう提案した。

 

「それなら私のピヨちゃんに乗ってきなよ!この子ならソラシドモールまであっという間だよ♪」

 

そう言ってあげはは駐車場に停めてある、黄色く塗装されたハマーを親指で指し示す。

 

「乗ってきなって…あげはちゃん送ってくれるの!?」

 

「うん!その代わり私もましろん達に付いて行っていい?」

 

「大歓迎だよ!ありがとうあげはちゃん!」

 

ましろは嬉しそうにあげはにお礼を言った。一方ソラはあげはのピヨちゃんことハマーに興味津々だった。

 

「うわぁ~!これって街で見かける車という乗り物ですよね?あげはさんのは大きくてカッコいいですね~!」

 

「でしょ~?うちのピヨちゃんはカッコよくてきゃわわなんだから!」

 

ドヤ顔でモデルのように整った胸を張るあげはお姉さん。

 

「ていうかあげは姉 車に名前つけてんの?しかもピヨちゃんって…ゴツイこの車には似合わなくね?」

 

ハルトはピヨちゃんと命名されたあげはの愛車を横目にツッコむ。ハマーは米軍の車両を元に開発された車で大きくて無骨な見た目が特徴的だ。可愛いというより カッコいいとか渋いといった言葉が似合いそうだしピヨちゃんの愛称もハルトにはあまりしっくりこない。

 

「え~、別にいいじゃん。名前があった方が愛着湧くし、センスなんて人それぞれなんだからさ」

 

あげははむすっと頬を膨らませた。

 

「でも車があればソラシドモールまですぐだし買い物にも便利だな。お言葉に甘えて乗せてもらうよ」

 

「え~?ハルるんも乗りたいの~?」

 

何故かジト目でハルトを見つめるあげはさん。

 

「な、何だよ…もしかして俺だけ仲間外れにする気か?」

 

「そんなことしないけど、乗りたいならお姉ちゃんにしっかりお願いしてほしいな~」

 

ニヤニヤと悪戯っぽく笑うあげはさん。この笑みはハルトに良からぬことを企てる時に見せる顔だ。嫌な予感を感じたが乗せてもらう以上はそれなりの礼儀を見せるべきか…と自分を無理やり納得させたハルトはあげはに頼み込む。

 

「お願いします。俺も一緒に乗せてってください」

 

「うーん、なんか違うな~」

 

「くっ…あげは様!どうかこの私めもピヨちゃんに乗せてください!」

 

「そう言うのじゃなくて、弟君が大好きなお姉ちゃんにおねだりする感じでお願い♪」

 

ハルトはあげはを恨めし気に睨む。朝っぱらから何故こんな辱めを受けなくてはならないのか。だがここまであげはを調子つかせた以上自分が折れないと収拾がつきそうもない。ハルトため息をついた後、覚悟を決めてあげはにお願いした。

 

「俺、大好きなあげは姉と一緒にお出かけしたい!だから俺も連れてってください!」

 

「おっけー!いいよ、ハルるんも一緒にお出かけしようね~♪」

 

やっと満足してくれたあげはがハルトの頭を優しく撫でた。柔らかな掌の感触と共に敗北感がスリスリとハルトに刻まれていく。

 

「あ、あげはちゃん。今のはちょっとハルくんが可哀想だよ~」

 

一連のやり取りを見かねたましろがあげはに苦言を呈した。

 

「ごめんごめん。おねだりするハルるんが見たくてちょっと意地悪しちゃった。なんかハルるんとお話してるとついあの頃みたいなノリでからかいたくなっちゃうんだよね~。これもファーストお姉ちゃんの愛情表現ってやつかな?」

 

「あってたまるかそんな愛情!」

 

すっかり不貞腐れたハルトはプイッとそっぽを向いた。

 

「拗ねないでよハルるん。ちゃんと映画館まで安全に送ってあげるからさ。さあ皆も乗って乗って!」

 

「はい!では失礼します!」

 

「あげはちゃんに車を運転してもらう日が来るなんて…何だか不思議な気分だよ~」

 

あげはに促されたソラとましろはハマーの後部座席に乗り込んだ。ハルトも渋々助手席に座った。

 

「よーし、今日は皆で初めてのドライブだね。テンションアゲアゲで行くよ~!」

 

「「おお~!」」

 

「えるぅ~♪」

 

「くっそ~今回のお出かけは俺が提案したのにいつの間にかあげは姉が仕切ってるし…。全くあげは姉と一緒だといつもこうなるんだ…ブツブツ」

 

あげは達が盛り上がってる中ハルトだけ不満そうにブツブツ文句を垂れていた。

 

(久しぶりに皆とお出かけ…初めての車にライダーの映画…。くぅ~!ワクワクが止まりません!)

 

後部座席に座るソラが期待に胸を膨らませる中、一同を乗せたハマーはソラシドモール目指して出発するのであった。

 

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