ひろがるスカイ!プリキュア~ SUNLIGHT×STORY ~   作:零たん

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第8話:しくしくホームシック

 

キュアサンライトのデビュー戦から数日が経過した。

あの日からカバトンが襲撃してくる様子もなく、ハルト達は平穏な日々を送っていた。

 

今日ハルトはましろと一緒に彼女の両親とビデオ通話で会話していた。

 

「ましろちゃ~ん!ハルトく~ん!早くこっちでの仕事を終わらせて二人に会いたいよぉ~!」

 

タブレットの画面に映るましろの父親…虹ヶ丘あきらがうかれた様子でハルト達に話しかける。ビデオ通話とはいえ、愛する子供たちと久しぶりに会話出来ていつになくテンションが上がっている様子だ。

 

「ましろちゃんも寂しい思いをさせてごめんね!そっちへ戻ったらお土産たくさん買って帰るから!それまで泣かないで待ってておくれよ~!ほわほわの、まっしろわたぐも!ま・し・ろ・ちゃん♪」

 

「やめてよパパってばそういうの!もう子供じゃないんだから~」

 

ましろは恥ずかしそうに頬を赤らめた。

 

「そう?じゃあハルトくん!」

 

「は、はい!何ですかおじさん!?」

 

急に話を振られたハルトがびっくりしながら返事する。対するあきらはハルトに『おじさん』と言われてショックを受けてしまった。

 

「お、おじさん…。ハルトくん、また昔みたいに僕の事をパパって呼んでくれないかい?何だか他人行儀な気がして寂しいよ~」

 

「いや、でも今からパパって呼びなおすのはハードル高いっすよ…」

 

カメラの前で泣き真似をするあきらをハルトは若干引きながら宥めた。

 

「そんなこと言わないで!ハルトくんだって僕たちの子供なんだからさ!さあ恥ずかしがらずにパパって言ってごらん♪ぽっかぽかのあったかお日様!ハ・ル・ト・くん♪」

 

「ははは…まあそのうち」

 

カメラにグイグイ顔を近づけて迫ってくるあきらにハルトは苦笑いを浮かべて誤魔化した。

 

「パパ!ハルくんが困ってるよ!」

 

見かねたましろがハルトに助け舟を出した。

 

「そうよ貴方。ハルトくんだって年頃の男の子なんだし父親をパパなんて呼んだりしないわよ」

 

そう言いながらあきらの隣にいる眼鏡をかけた女性も夫を嗜める。彼女は虹ヶ丘まひる。ましろの母親だ。

 

「でもハルトくん、何か悩みや相談があれば遠慮なく私たちを頼ってね?ハルトくんは私たちの家族なんだから!」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

まひるの言葉にハルトは嬉しそうに返事した。

 

「それでましろ、ハルトくんとは仲良くやってる?そろそろ何か進展あった?」

 

「ほぇ!?し、進展ってどういうこと!?ママ!?」

 

突然母親にハルトとの仲を尋ねられたましろは素っ頓狂な声を上げてしまう。

 

「ふ、二人っきりじゃないよ!おばあちゃんだっているよ!それにハルくんとはそういう関係じゃないし…」

 

ましろは顔を赤くしながらハルトの方をチラチラ見ている。

 

「そうなの?二人とも小っちゃい頃から仲良しだし、今からでもくっついちゃえばいいじゃない♪」

 

「ま、ママ?二人はまだ子供だしそういう話は早いんじゃないかな?」

 

今度はあきらがテンションの上がっている妻を宥めた。まひるは色恋沙汰に目がなく、特にハルトとましろの関係に興味津々なのだ。

 

「おじさんの言う通りですよ。そもそもましろは俺の妹分ですから付き合う事なんて…」

 

「ええ!?ちょっと待ってよハルくん!何で私が妹になの!?私はハルくんのお姉ちゃんだよっていつも言ってるよね!?」

 

ハルトに妹呼ばわりされたましろが不満そうに声を上げる。

 

「何言ってるんだよ。ましろの面倒は俺がいつも見てやってるだろ?ごはんの支度から家の掃除、宿題も俺が見てあげてるじゃないか。だから俺がましろのお兄ちゃんだ」

 

「ハルくん、エイプリールフールにはちょっと早いよ?」

 

口からアンダーグエナジーのように真っ黒な嘘をつきはじめるハルトをましろはジト目で見つめる。

 

「だいたいお兄ちゃんになりたいならもっとしっかりしてほしいな。朝だって私がいないと起きれないし、この間のテスト勉強だって…」

 

「ま、待ってくれましろ!おばさん達の前でその話はやめてくれ!」

 

私生活を暴露されそうになりハルトは慌ててましろを止めようとする。やはりましろに頭が上がらないようだ。

 

「二人とも仲がいいわね」

 

「うん、楽しそうで何よりだよ」

 

そんな二人の様子をあきらとまひるは微笑ましそうに見つめるのであった。

 

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__

 

 

ビデオ通話を終えた後、ハルトはベットに座って息を吐いた。

ましろの両親と久しぶりに話したからか、いつもより疲れがたまっていた。

 

「二人とも元気そうだったな~」

 

「うん!お仕事は大変そうだけど、向こうの生活楽しんでるようでよかったよ」

 

ハルトの隣に腰掛けたましろはニコニコしている。

久しぶりに両親と会話出来て嬉しかったようだ。

 

「なあ、ましろ」

 

「どうしたのハルくん?」

 

「俺がこんな質問すると気を使うかもしれないけど…寂しくないか?父さん母さんと離れ離れで…」

 

ハルトはましろを心配そうに見つめながら言う。以前までハルトとましろは、彼女の両親のあきらとまひるの4人で暮らしていた。しかしハルト達が中学校に進学する頃、仕事の都合で二人は海外に出張することになった。その為ハルトとましろは去年の春からヨヨの家でお世話になっている。

 

ましろの両親は仕事が忙しくてなかなかこっちに戻ってこれない。ハルト達の誕生日にはお祝いするために帰ってきてくれたが、帰省はその1度きり。ビデオ通話もめったにできない。だからハルトはましろが寂しい思いをしていないか心配していた。

 

「平気だよ!おばあちゃんもいるし、何よりハルくんが傍にいてくれるから大丈夫なんだ!」

 

ましろはハルトに向かって満面を笑みを浮かべた。

 

「おばあちゃんの家で暮らすようになった最初の頃は寂しいって思ってたけどね。だけどお寝坊さんのハルくんを起こしたり、ハルくんのご飯を準備したり、ハルくんにお勉強教えたり…他にも色々ハルくんのお世話をしてたらそういう気持ちどっかへ行っちゃうんだよ」

 

「お、お世話って人をペットみたいに…。ましろの世話になってるのは確かだけどさ…」

 

両親と別れてからのハルトとの日常?を楽しげに振り返るましろに、ハルトはバツの悪そうな表情を浮かべる。

 

「ふふっ!でもハルくんと一緒にいるおかげで毎日が楽しいよ!」

 

そう言いながらましろはハルトの手を握る。柔らかい手の感触が伝わりハルトはドキッとした。

 

「心配してくれてありがとう!ハルくんは優しいね!」

 

「ど、どういたしまして…」

 

ハルトはぎこちなく返事した。感謝されたうえに手まで握られてしまった。ましろはハルトに対しスキンシップが多いので新春期のハルトは緊張してしまうのだ。

 

「えるぅ!え~ん!!」

 

その時、突然赤ちゃんの泣き声が家中に響き渡った。

 

「エルちゃんが泣いてるみたいだよ?」

 

「急にどうしたんだ?」

 

部屋を出たハルトとましろは階段を下りて一階のリビングへと向かう。

そこには泣いているエルと彼女をあやしているソラの姿があった。

 

「よしよし、ミルクですか?オムツですか?」

 

ソラは優しく声をかけるがエルの泣き声は激しさを増すばかりだ。エルは心配するソラ達には気もくれず、誰かを探すように部屋中をキョロキョロ見回している。

 

「もしかして、パパとママに会いたいの…?」

 

ましろがそう尋ねると、エルはこくこくと頷いた。

 

「ホームシックってやつか…」

 

ハルトは寂しそうな表情を浮かべるエルを見つめる。エルがこっちの世界に来てから数日経つが、その間エルは両親に会えていない。寂しいのをずっとこらえていたのだろうが、とうとう我慢の限界が来たようだ。

 

「無理もないよな。急に知らない所に連れてこられたんだから。むしろ今までよく辛抱した方だよ」

 

ハルトはエルの頭を撫でながら呟いた。赤ん坊の頃の自分も父親に会えないのが寂しくて泣くことがあったに違いない。だからハルトはエルの気持ちがわかるような気がした。

 

「エル、安心しろ。絶対にお前の父さん母さんに会わせてやるからな!」

 

「ですが一体どうやって?スカイランドに戻る方法はわからないままですし…」

 

エルを励ますハルトにソラが質問してくる。彼女の言う通りスカイランドに帰る方法はまだ分からないのだ。

 

「そ、それじゃあこの場は俺のギャグでエルの気を紛らわせて…」

 

「それはやめといたほうがいいよ!エルちゃん本気で悲しんでるのにまた大泣きされても知らないよ!?」

 

またあのアホ面を晒してエルを笑わせようとするハルトを必死で止めるましろ。

 

「うーん、せめてパパとママの顔を見せてあげられたらなぁ…」

 

そう呟くましろに救いの神が舞い降りた。

 

「できるわよ。両親の顔を見せてあげることがね」

 

「ヨヨさん!?」

 

リビングに入ってきたましろの祖母、ヨヨ。彼女は鏡のようなものをハルト達に見せてきた。

 

「これを使えばスカイランドと通信することができるわ」

 

「「「ええ~っ!?」」」

 

三人とも驚きの声をあげた。

 

「これはミラーパッド。好きな場所を移すことができるの。スカイランドにいるこの子の両親ともお話しできるのよ」

 

ヨヨはそう言うと鏡についた赤いジュエルのようなボタンを、指で押して起動させた。すると鏡に映像が映し出され、ソラシド市のいたるところの景色が映し出された。

 

「へー、この世界には便利な道具があるんですね―!」

 

「いやいや!そんなのないよ!」

 

感心するソラにましろがツッコみをいれた。一方、ハルトはヨヨが猫型ロボットのようにポケットから秘密道具を取り出す光景を想像する。昔ヨヨえもんとよばれたり、いじめっ子にからかわれて泣きついてきたハルトに、未来の世界の秘密道具を貸し与えたことがあったかもしれない。

 

(ましろ、実はヨヨさんっておばあちゃん型ロボットだったりする?)

 

(ええっ!?そんなことないよ!普通のおばあちゃんのハズだよ!…って、このやり取り前もやったような…)

 

ひそひそと話かけてくるハルトに、ましろはデジャヴを感じながらも返事した。

 

(昔カバヤンにいじめられた俺に空気砲とか貸してくれたり、机の引き出しにタイムマシンを隠していたりとかは…)

 

(ないない!そんなことないから!多分……もうっ!ハルくんおばあちゃんで変な妄想するのやめてよ~!)

 

ハルトの妄想にましろはぷんすこ怒る。そんな二人の様子を見ていたヨヨが再び口を開いた。

 

「実はね、私はスカイランド人なの。このミラーパッドもスカイランドから持ってきたものなのよ」

 

「あ、なんだヨヨさんスカイランド人なんだ…って」

 

「ほらハルくん!おばあちゃんはスカイランド人なんだから、ロボットなんて言ったら失礼…って」

 

「「ええええええええっ!?ヨヨさん(おばあちゃん)がスカイランド人!?」」

 

しれっととんでもないことをカミングアウトするヨヨ。ハルトとましろの本日二度目の絶叫が響いた。なんでもスカイランドで博学者だったヨヨは、50年前ハルト達が住む世界に調査にやってきて、そのままこの世界で暮らすことになったらしい。

 

これは孫のましろも知らなかったことで彼女も驚愕していた。だがヨヨが内緒にしていたのも無理はない。こんな夢みたいな話、スカイランドと縁もゆかりもない生活をしていた二人に説明したところで、信じられないだろうから。

 

「でも、今なら夢じゃないって信じてもらえるかしら?」

 

ヨヨはゆりかごの中で不安そうに横になるエルを見ながら二人にそう尋ねた。

 

「う、うん。びっくりしたけど、信じるよ」

 

「俺は逆に腑に落ちました。ヨヨさんの正体がおばあちゃんロボ…げふんげふんっ!!スカイランド人ってことに」

 

「それじゃあヨヨさん!もしかして私とエルちゃんがスカイランドに戻る方法も知っているんですか!?」

 

「ええ、ちょっと時間が必要になるけど。私に任せておいて」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

嬉しそうにお礼を言うソラ。スカイランドに帰れる方法も知っているとは、まさにヨヨ様様だ。

 

「それじゃあヨヨさん!俺のこのスカイトーンのことや親父が今どこで何してるのかも知っているんですか?」

 

「いいえ」

 

「あ、それは知らないんだ。そうですか…」

 

ハルトはソラに便乗して尋ねてみたがダメだった。これはずっと前から何度もヨヨに聞いてきたことだし、答えられなくても仕方がない。

 

「まあ、今は寂しがってるエルのためにもスカイランドに通信するのが先だよな」

 

「そうですね!パパとママと話せばエルちゃんも寂しくなくなると思います!」

 

「うん!早くエルちゃんをパパとママに会わせてあげたい!」

 

ハルトがそう言うとソラやましろも頷いた。だがそう簡単にはいかないらしい。ヨヨによると、スカイランドと通信するにはスカイジュエルという宝石が必要らしい。スカイランドで使われている様々なエネルギーへ変換できるこの宝石は、なんと虹ヶ丘家の裏山にもあるらしく、宝石の場所はハルトとソラのミラージュペンがあれば探し出せるとのことだ。こうして三人はエルのホームシックを解消すべく、裏山へスカイジュエル探しに出かけるのであった。

 

 

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__

 

 

裏山の山道を歩く3人は、会話をしながら目的地に向かって歩みを進める。

 

エルも一緒でソラがスリングを付けて抱きかかえていた。

 

「ホントびっくりだよ。まさかおばあちゃんがスカイランド人だったなんて…」

 

「俺もビックリしたけど、ヨヨさんだったら納得できるんだよな。何なら昔プリキュアだった、とか言われても信じるくらい」

 

「おばあちゃんがプリキュアに!?さすがにそれは…ない、とも言いきれない自分がいるよ」

 

「もしヨヨさんがプリキュアだとしたら、宇宙の平和を守れるくらい強かったかもしれないなー」

 

「だからおばあちゃんで変な妄想しないでよハルくん!もう、ちゃんと宝石探しに集中しなきゃだめだよ!」

 

またまたヨヨをネタに妄想を広げるハルトにましろがピシャリと釘をさす。

 

「ヨヨさんがスカイランド人ということは、ましろさんもちょっとだけスカイランド人ってことですよね?」

 

「そういうことになるねぇ…」

 

ソラの問いかけに同意するましろ。

 

ヨヨはこの世界の男性と結婚したそうなので、孫のましろはスカイランド人の血が4分の1混ざったクォーターということになる。

 

「じゃあやっぱり、ヨヨさんが言うように私たちが出会ったのは運命かもしれませんね!ましろさんはちょっとだけスカイランド人ですし、ハルトさんは夢の中でキュアスカイになった私と出会ったそうですし!」

 

「運命か…。そうかもしれないな」

 

ソラの言葉にハルトも頷く。彼もソラやエルとの出会いが偶然とは思えなくなってきていた。

 

(実際、夢で見たことが現実になってきてる。これが運命の導きなら、きっと親父の夢のことも…)

 

「えるぅ~!!」

 

ハルトがそう思っていると、エルが急に癇癪を起こして暴れだした。

 

「よしよし。エルちゃん、元気を出してくれるといいんですけど」

 

「元気を出すなら今度こそ俺の一発ギャグの出番だな!よし、今回はちょっと趣向を変えて…」

 

「だからもうあの一発ギャグはいいよ!ダメだよ、1回ウケたくらいで調子に乗っちゃ!?」

 

ましろはハルトにピシャリと釘を刺すと、綿毛をかぶった、たんぽぽの花をとってエルに見せる。

 

「エルちゃん、はい!ふわふわの綿毛だよ」

 

「んぅ~……ぷぃっ!」

 

チラッとたんぽぽを見るエルだが、すぐにそっぽを向いてしまった。

 

「じゃあこれは?…ふぅ~」

 

ましろはたんぽぽの綿に向かってゆっくりと息を吹きかける。無数の綿毛が宙をふわふわ舞う。エルもソラも、その光景を眺めていた。

 

「える!えるぅ!」

 

綿毛に向かって手を伸ばすエル。興味を示してくれたようで、目をキラキラと輝かせている。

 

「ましろさん、エルちゃんのあやし方上手ですね!」

 

「え、そう…?」

 

「はい!赤ちゃんにとって大事なのは、今何を感じているのか分かってあげることです。こうしてエルちゃんが好きそうなものが分かったのも、きっとましろさんの優しさの力ですね!」

 

「そ、そうかな…」

 

「うん、ソラの言う通りだよ。ましろは昔から俺と一緒だったし、落ち込んだ時はいつも励ましてもらってた。そのおかげで、実の親がいなくても寂しい思いをせずに済んだんだ……」

 

ハルトはソラの言葉に頷く。昔からましろの優しさに救われていた自分がいた。

 

「俺がこうして過ごせるのはましろの優しさのおかげだな。うん、きっとそうだ!本当にありがとな、ましろ!」

 

「も、もうハルくんまで…!やめてよ二人とも、そんなに褒められると恥ずかしいよぉ」

 

顔を赤らめながら照れるましろ。素直なソラはいざ知らず、ハルトにこんな風に褒められることがないため、そんな彼の感謝の言葉は非常に照れくさいものだった。

 

「しかしこのまま何もエルにしてやれないのは悔しいな。俺もましろを見習って何か探すか…。ん?あれは?」

 

ハルトは地面に生えている怪しい色をしたキノコを見つける。

 

「ソラ。これ、エルに見せたらウケるかな?」

 

「おお!実に興味深い色をしたキノコですね!ではさっそく…!」

 

「ふ、二人とも待って!それは毒キノコ~~~!」

 

あろうことか毒キノコを素手で触ろうとするハルトとソラを必死で止めるましろだった。

 

その後、エルがお腹がすいてぐずり始めたので、近くの野原で休憩することにした。エルにミルクを飲ませた後、二人はましろが焼いた、スカイランドをイメージした「雲パン」に舌鼓を打つ。

 

「う~ん美味しいです!ましろさんの雲パン、プロ級の味です!」

 

「うん、生地がもちもち、中のクリームも程よい甘さで絶品だ。ましろおねーちゃん!明日も可愛い弟のためにこのパン焼いてくれない?」

 

「ハルくんったら何かしてほしい時だけ私の事お姉ちゃんって呼ぶんだからぁ。でもよかった!実はうまく焼けたかちょっと心配だったんだぁ」

 

ましろの雲パンは大好評で、ハルトとソラはあっという間に平らげてしまった。エルもふわふわな雲パンに興味津々で食べたそうに手を伸ばしてた。

 

「そういえば、ハルトさんは大丈夫なんですか?」

 

「え?何が?」

 

「お父さんの事です。ずっと会えなくて、寂しくないんですか?」

 

ソラはハルトが虹ヶ丘家に住んでいる理由を彼から聞いて知っていた。1歳の頃に父親に詳しい理由もなく預けられて、それから13年経っても迎えに来ないことも。ソラはエルがホームシックを感じているように、ハルトも寂しい思いをしていないか心配だったのだ。

 

「よく分かんねえや。ヨヨさんに預けられてから一度も会ってないし。いないのが当たり前だもの」

 

そう言いながらもハルトの横顔はどこか寂しそうに見えた。

 

「そうですか…ごめんなさい。余計なことを聞いてしまって」

 

「気にしないでくれ。親父はいなくても、俺の傍には家族がいるからさ」

 

そう言ってハルトはましろの方をチラッと見る。

 

「俺には虹ヶ丘家の人たちがいる。ましろやヨヨさん、ましろの父さんと母さん。俺を家族だと言ってくれる人たちが一緒にいてくれる。だから大丈夫だ」

 

ハルトは小さい頃、実の父親に置いて行かれたことがコンプレックスだった。今でも完全には克服できたとは言えないが、ましろたち虹ヶ丘家の人たちに支えられてきたおかげで、ハルトは寂しさや孤独感を感じることはなかった。

 

「それに最近可愛い赤ちゃんと、ちょっと変わったヒーローガールの友達ができたからな。寂しいよりも楽しいことでいっぱいなんだぜ」

 

「ひーろーがーる?それもしかして私のことですか!?」

 

「うん、ヒーローを目指す女の子だから、ヒーローガール。プリキュアの名乗りや必殺技にもかかってるし、いい名前だろ?」

 

「ヒーローガール!とってもかっこいいと思います!」

 

ソラは満面の笑みでハルトのネーミングセンスを褒めた。

 

「でもちょっと変わった、というのは一言多い気がします!そんなに変ですか?私?」

 

「そ、そんなことはないです!それよりソラこそどうなのさ!?」

 

「え?私ですか?」

 

「俺はソラのことも心配なんだ。もう1週間近く家族と離れてるのはソラも同じだろ?不安じゃない?」

 

ハルトは今度はソラに尋ねる。彼女もエルと同様知らない世界にやってきた。ハルトはソラが、家族や知り合いと会えなくて、寂しい思いをしていないか心配なのだ。

 

「私は大丈夫です。元々夢をかなえるために家から飛び出した身です。全く寂しくないわけではないですが…」

 

ソラはハルトとましろを順に見る。

 

「でも大丈夫です!この世界に来たおかげで、ハルトさんとましろさんという大切なお友達に出会えましたから!」

 

そう言ってソラは、ハルトとましろに笑いかける。

 

「特にハルトさんは、私と夢で出会ったーとか不思議なことを言ったり、私とエルちゃんを助けようとして頭ぶつけたり、エルちゃんにイッパツギャグなる変な顔をお披露目したり。ちょっと変?いえこれはすっごく変なんでしょうか?とにかく変わった所がいっぱいある面白い人ですね!」

 

「ああ!ソラこそ俺のことバカにしてる!?もしかしてさっきのお返しか!?」

 

ソラの言葉にショックを受けるハルト。特にあのソラ救出劇も一発ギャグも、本人はいたって真面目にやってるいるので余計に傷ついた。その様子をクスクス笑うソラだったが、やがてハルトを真っ直ぐ見つめてにっこり笑う。

 

「でも、とても勇敢で優しい人です。私と一緒に戦ってくれて、無茶した時には叱ってくれて、泣いたときは抱きしめてくれて、未熟な私をヒーローだって、助けてくれてありがとうって言ってくれて…」

 

「あれ?えーっと、ソラ…さん…?」

 

じっと自分を見つめながら語るソラ。ハルトはなぜか恥ずかしくなってきた。

 

「そんなハルトさんがプリキュアになってくれて、初めてヒーロー仲間ができて、私とっても嬉しいです!だから私も今とっても楽しいんです!」

 

そう言いながらハルトの手を握ってきたソラ。柔らかい感触がハルトの両手を包み込み、ドキドキと胸が高鳴る。

 

「ハルトさん!私とお友達になってくださって、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いしますね!」

 

「ふぇっ!?あ、ああ!どど、どういたしまして!」

 

ソラに満面の笑みでお礼を言われたハルトは思わず赤面してしまう。手も握ってくる上にとびっきり可愛い笑顔で見つめてくるのでハルトの心臓は破裂しそうになっていた。

 

「ソラもましろもスキンシップがすぎるんだよ…勘違いしそうじゃねえか…」

 

「何か言いましたか?」

 

赤面しながら呟くハルトに、ソラが上目遣いで見つめながら尋ねてくる。ソラの顔が間近に迫り、さらにハルトはドキッとした。

 

「な、何でもない!それよりもう休憩は終わり!早いとこスカイジュエルを見つけないと日が暮れちゃうぞ~!!」

 

「あ、ハルトさんちょっと待ってください!急にどうしたんですか~?」

 

ハルトはソラから逃げるように走り去る。ソラも慌ててハルトの後を追いかけ始めた。

 

「ふふ、ハルくんったらあんなに照れちゃって。おかしいね~エルちゃん!」

 

「える~♪」

 

そんなハルトの様子を、ましろとエルは笑顔で眺めていた。

 

 

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