「見て、有咲ちゃん。春が咲いてる!」
それは、私たちが二年生に進級してすぐの帰り道。隣で歩いていたらかすみんが急に駆け出したかと思えば、どうやら道端に咲いていたたんぽぽを見つけたみたい。そうね、春が咲いてる。私はそう笑って、かすみんと一緒に小さな春を見つめる。
陽の光に照らされるたんぽぽは、なんだか隣にいるこの子みたいで。素朴で可愛いところが特に似てる気がするな、なんて。そんな時、びゅぅ、と風が吹いて、かすみんの髪が綿毛みたいにふわふわと揺れる。
こうして嬉しそうにはしゃぐかすみんを見ていると、私もなんだか嬉しくなる。やっぱり、その笑顔には敵わないわ。
かすみんって、本当に春が似合うのね。ただそこに立っているだけで周りの心がぽかぽかあったかくなる感じとか、よく似てる気がするわ。そうね、かすみんが持つ温かさは、四季の中だと一番春に似ている気がする。
……だとしたら、りみりんはどう考えても夏ね。あのテンションで夏じゃなかったら、逆にどの季節なんだか。おたえは……秋? 照れた時の真っ赤な顔が紅葉みたい、って言ったら、ちょっとズルかしら。じゃあ消去法でさーやは……冬? コタツみたいな安心感があるから……とか……流石に無理があるかしら。
そんなくだらないことを考えられるようになったのも、かすみんがあの日星に導かれたからって思うと、なんだか感傷深くなっちゃう。それに、かすみんだけじゃない。私やりみりん、おたえやさーやも、一緒に星に導かれて、私たちは出会えた。そうして出会えたこと、そんな小さなキラキラを集めるような日々が私たちにとってはかけがえがない、大切な日々。
「……これからも、こうして小さな春を見つけられたらいいわね」
「うん、春だけじゃなくて、夏も、秋も、冬も……たくさん、見つけたいな」
そう呟くかすみんの横顔は、すごくキラキラしていて。思わず見惚れてしまう。少しの間見惚れていたら、どうしたの? と不思議そうに首を傾げる姿もかわいいから、困ったものだわ。
かすみんなら、きっとできるわ。私はそう返して、私たちはいつもの蔵にたどり着く。そこには、いつも通りのみんながいて、いつも通り笑ってて。そんな毎日が、私たちにとっては宝物なの。
これからもそんな小さな幸せを噛み締めていきたいなって思った、そんな春の日のこと。
できれば、そう。あなたの隣で、たくさんの季節を重ねていきたいなって思った、そんな春の日のこと。