迫りくる二本の鋭い短剣。
俺はそれを斧と盾で受け止めた。
大きな金属音が鳴り響き、盾を装備した左腕と斧を握り締めた右手が痺れる。
「なんつ~重い攻撃!」
ギリギリ防いだ俺は、襲い掛かった暗殺者を分析する。
今の一撃でわかったのは、『敏捷』と『力』に特化した暗殺者。
恐らくLVは2。
だけど今の俺のステータスならギリギリ対抗できる。
「だけど……それより」
俺は短剣を防いだ斧と盾を見て、顔を歪める。
斧と盾には深い斬撃の跡が刻まれていた。
「クッソ!なんつー攻撃だよ。アナティアが作った装備がここまで傷を負うなんて」
俺は焦った。
その直後、素早い斬撃の嵐が飛んでくる。
反射的に俺は斧と盾で防ぎ、受け流す。
攻撃を受け止めるこそしかできない俺は、後ろに下がっていく。
斧と盾がボロボロになっていった。
ダメだ……このままじゃあ、間違いなく死ぬ!
そう思った時、
バキン!!
破砕音が鳴り響き、斧と盾は砕け散った。
俺は顔を歪めながら、クソが!と叫びながら後ろに跳ぶ。
LVもそうだが、暗殺者が持っている二本の短剣もヤバイ。
恐らく一級品だ。
なら、
「二番武装・装備!」
俺は最強の武器を呼び出した。
右手の人差し指に嵌めた指輪が光り出すと、空中に大きな戦斧が出現。
それを握り締め、俺は力強く振るった。
「ウオラァ!!」
力強く、そして素早く振るわれた一撃を猫人の暗殺者は二本の短剣で受け流した。
火花が飛び散り、金属音が鳴り響く。
猫人の暗殺者は俺の懐に入り込み、短剣を振るおうとした時、
「
俺は大戦斧を巨大な鋏に変形させた。
それを目にした猫人の暗殺者は驚いたのか、一瞬だけ動きを止める。
その一瞬の隙に、巨大な鋏で斬りかかった。
二つの刃は猫人の暗殺者の身体を切り裂こうとする。
しかし彼女は一歩下がり、紙一重で躱す。
鋏は彼女が付けていた仮面を切断することしかできなかった。
真っ二つになった仮面は地面に転がり落ち、カランカランと音が鳴り響く。
「え?」
俺は暗殺者の素顔を見て、呆然とした。
なぜならその暗殺者は俺が知っている受付嬢の顔と同じだったから。
「アルル……さん?」
俺の目の前にいたのは、ギルドでいつも笑顔を浮かべる受付嬢―――アルルさんだった。
嘘…なんで……ここに。
「……見られてしまいましたね」
どこか寂しそうに、悲しそうに笑みを浮かべるアルルさん。
俺はわけがわからなかった。
わからない。
わかりたくない。
「どういう……ことですか……これは」
「……」
「答えてください!アルルさん!!」
俺の叫びが街の中で響き渡った。
アルルさんは口を閉ざしたまま、なにも喋らない。
「どうして……こんなことを……まさか」
俺は冒険者が噂していた暗殺者のことを思い出す。
新人殺し。闇派閥。暗殺者。毒殺。誘拐。
いくつもの言葉が頭の中で浮かび上がり、ある答えに辿り着いた。
「あなたが……新人殺し?」
俺の答えに、アルルさんは……ゆっくりと口を開く。
「そうです。私が……LV1の冒険者たちを殺し、誘拐してきた闇派閥の暗殺者です」
「どうして……どうしてそんなことを!!」
「……あなたを誘拐する前に教えましょう」
「私の正義を」