魔法が忘れ去られた世界で願いを   作:六角ルビー

26 / 42
第八話 照らし合わせ

 部屋の外から扉を叩く音が聞こえ、ワラの上に寝転がっていたアートが扉を開ける。開けられた扉から姿を見せたのはマリナだった。

 

「アート君。夕飯の準備が出来たよ。お仲間さんを起こして準備を済まして待っていてくれ。私は子供たちを起こしに行くからさ」

 

 マリナは夕飯の時間だと伝えるとすぐに子供たちが眠る場所へと速足で向かっていく。開けられたままの扉を閉めた彼は近場で眠ってしまっているコミを先に起こすことにするのであった。

 

「コミさん。起きてください」

 

 アートが肩を優しく揺するとコミが目を覚ます。

 

「どうし……たん……です?」

 

 眠そうな顔をしたコミが上半身だけ起き上がると、寝ぼけた様子で聞いてくる。

 

「夕飯の時間だそうです」

 

「夕飯の時間……? 分かりました。少し待っていてください」

 

 半分だけ起きた感じのコミは放心した状態のまま髪や服に付いたワラを叩き落としていく。

 

 彼女が身綺麗にしている間にアートは深く眠っているベルを起こそうとする。しかしコミと同じように肩を優しく揺すったところで起きる気配がなかったため、強く揺らした。

 

「……なんじゃぁ……?」

 

 眠そうに腕で顔をぬぐうと自身を揺らす存在に目線を向けた。

 

「ご飯の時間だそうです」

 

「おおぅ。もうそんな時間だったのかの」

 

 ゆっくりとベルは起き上がり、まだ眠そうに大きく欠伸をした。

 

「それで、マリナ殿は?」

 

「子供たちを起こしにと言って――」

 

 部屋の中に木材の叩く音が聞こえ扉が開かれる。外から顔を覗かしたのはマリナだった。

 

「準備は出来たかい?」

 

 彼女は入室せず、背後に大勢の子供を連れたまま三人に問いかけた。

 

「ベル博士。立てますか?」

 

「大丈夫、立てるのじゃ。それよりも背中のワラを取ってはくれぬかの?」

 

 ベルの背中には大量のワラが引っ付いていた。

 

「コミさんはー」

 

 ワラを叩き落としたアートがコミの方へと顔を向けると、マリナに背中のワラを払ってもらっているのが見える。

 

「ありがとうございます。マリナさん」

 

「これぐらいお安い御用だよ」

 

「あっちは終わっておるようじゃ。ほれ、アート背中を向けるのじゃ。お主にもワラが引っ付いておるぞ」

 

 ベルに言われた通りにアートは背中を向け、ワラを取り払ってもらう。

 

「これで最後じゃな。コミが待っておる。行くのじゃ」

 

 彼の背中を綺麗にしたベルは手に付いたワラを払い。先に部屋の外へと出ていたコミの元へとアートと二人で向かう。

 

「お待たせしました」

 

「お待たせしたのじゃ」

 

「それじゃあ。食堂に案内するからついて来て」

 

 三人は子供たちと共に、マリナを先頭として歩き始めた。

 

「着いたよ。ここが食堂さ」

 

 食堂はすぐ近くにあったようで、そこまで歩くこともなく到着する。

 

「本格的な食堂まであるとは、この地下はかなり広いもんじゃのう」

 

 中へと足を踏み入れたベルが、少し興味深そうに周囲を見渡した。

 

「人数が少なくなってしまった大人達で協力して、子供たちのために頑張って掘り進めたからね」

 

 マリナが上腕二頭筋を見せつけながら答えた。

 

「ベルさんも早く座ってください。食事をお持ちしますので」

 

 エプロンを付けたティレアが遠くから声をかける。

 

「もしかして先ほどからティレア殿がいなかったのは」

 

「そう。料理長と共に料理を作っていたからさ」

 

 マリナはそう言うと、ティレアと一緒に食堂の奥の方へと向かっていった。

 

「ベル博士。こっちです」

 

 声がした方に顔を向けると先に座っていたアートが小さく手を上げており、その横には近場の子供たちと会話しているコミがいた。

 

「待たせたの」

 

 ベルはアートの隣にある空いた席へと座る。

 

「何の料理でしょう?」

 

「お芋だよ!」

 

 アートが疑問を口にすると、コミの陰から顔を覗かせた子供が答えた。その言葉に反応した近場の子供たちが次々に芋と口にしだす。それはやがてお芋コールへと発展し、ティレアが料理を持ってくるまで止むことはなかったのだった。

 

「お待たせしました」

 

 アートたちの目の前に料理が入った一皿が置かれる。中にあるのはスープに浸かる食べやすく切られた芋であった。

 

「芋のみでごめんなさい。本当であれば、もう少し良いものをお出ししたいのだけども……」

 

 申し訳なさそうな顔をするティレアに、ベルがなだめるように言葉を返した。

 

「よいのじゃ。村が機能していない状態で、ここまで食料を調達できるのは素晴らしいものじゃ」

 

 ベルが周囲を確認すると、芋だけではあるが食堂の中で料理を配られていない者は、目で見る限りいないようであった。

 

「苦労したかいがあったな」

 

 ティレアの横からエプロンを付けた肩幅が広い男とマリナが顔を見せる。

 

「そちらの方は?」

 

 三人が男の方へ視線を向けると、男の隣にいるマリナが疑問に答えてくれた。

 

「彼が先ほど言っていた料理長さ」

 

「初めましてだな。ここで料理長を任されている元酒場の店主フルミトだ」

 

「フルミトさんですか?」

 

「ああ、そう呼んでもらって構わない」

 

 アートの言葉にフルミトは頷き返す。

 

「その芋は俺たちが外で必死にかき集めた食べ物だ。良く味わってくれ」

 

「どうして、ここまでしてくださるのですか? 寝床まで用意して下さったうえに、そんな貴重な食べ物を私たちに提供するなんて――」

 

 村が滅んで外から来た人を歓迎する余裕なんてないはずなのに、ここまで三人を歓迎してもらっていることに不信を実らせたコミが疑問を口にした。

 

「それはだな……」

 

「フルミト。ここは私から――」

 

「いいえマリナ。私が話します。フルミトはフルグに夕飯を持って行ってください」

 

「ティレア……分かった」

 

 フルミトは頭を一度下げると、一人で食堂の奥へと姿を隠していった。

 

「それでコミさんの話ですが……」

 

 一度、ティレアは息を吸う。

 

「先ほどの会議で皆さんの話を聞き、村の現状と照らし合わせたところ、所々一致している事柄がありました。それにより皆さんの話が間違っていないと考えています」

 

「でもそれだけでは私たちを、ここまで歓迎しないと思うのですが……」

 

「ええ、その通りです。前にも話した通り、現状、私たちは他人を歓迎するほどの余裕はありません。ですが黒い霧の化け物は太陽が苦手という話のおかげで日が昇っている時であれば安全とのことが、皆さんのおかげで分かっています」

 

 四人は静かにティレアの話を聞いていく。

 

「そこで明日、マリナを領主様がいらっしゃる街へと、助けを求めに向かってもらう予定です」

 

 マリナが横を向き三角筋を見せびらかす。

 

「だから歓迎する余裕ができたということじゃな」

 

「おっしゃる通りです。ですから、今夜だけですけど、ゆっくりしていってください」

 

 ティレアとマリナはお辞儀をして自身の席へと移動した。

 

「少し冷めてしまいましたが、食事にしましょうか」

 

「それもそうじゃの。話に夢中ですっかり忘れていたのじゃ」

 

「話が長すぎたようで子供達がいつの間にか、いなくなっていますしね」

 

 コミが辺りを見渡すと、先ほどまで騒いでいた子供達の姿が見当たらなくなっていた。

 

「そんなに長いこと話していたんですね」

 

「話はもうよいじゃろ。それよりも食事にするのじゃ」

 

 三人は食事を始める。芋だけではあるが久しぶりの料理に心が温かくなった気がするのであった。

 

 ♢

 

 食事を終えた三人は与えられた部屋に戻り、座り込んだ。

 

「あまりにも話が出来すぎていると思っていたのじゃが、杞憂じゃったかの」

 

「害がないことだけでも、分かって良かったです」

 

「そういえば、コミさん。あの本は読まないのですか?」

 

 アートが部屋の端に立てかけてある一冊の本を見る。

 

「本ってなんじゃ?」

 

「この本です」

 

 コミが本を手に取りベルに渡す。

 

「絵本? もしかしてこの本は、あの時の?」

 

「そうです。ミリアちゃんに渡された絵本です」

 

「この絵本がどうかしたのじゃ?」

 

「アートさんには話したのですが、この絵本の中に黄色い花という単語が出てきたのです」

 

「それを言うということは、コミが見た映像じゃの?」

 

「はい。黄色い花に浸食された少女について何か分かるかもと」

 

「そこまで言うのであれば、読んでみるかの」

 

 コミがベルから絵本を受け取ると、部屋の扉を叩く音が聞こえた。

 

「僕が出ますね」

 

 立ち上がったアートが扉を開けると中から、ミリアとブルムンが姿を見せた。

 

「マリナお姉ちゃんから、コミお姉ちゃんが絵本を持って行ったって聞いたんだけど……」

 

 ミリアがどこか落ち着かない様子で言葉を口に出す。その様子を見かねたブルムンが話しだした。

 

「その本を読むのだったら私たちも聞いていい?」

 

「……どうします? ベル博士?」

 

「いいのじゃ。元はと言えば、あの子達の物じゃからの」

 

「では、どうぞ」

 

 アートが出入り口から離れ、道を開けると二人は緊張した様子で中へと入り、腰を下ろした。

 

 扉を閉めたアートも後に続き、腰を下ろすのであった。

 

「では読みます。青き花」

 

 全員が聞く姿勢に入ったことを確認したコミは本を捲った。言葉をつむぎ話を進めていく。やがて子供達に読み聞かせさせた部分を通過し、まだ読んでいない文章へと突入していくのであった。

 

『言葉にならない声を上げ二人は泣き叫びます。しかし、泣き叫んだところで目の前の惨状が変わることはありません。空から降り注ぐ火によって街は更に赤く染まっていく光景だけが目に入っていきます。空には空中を舞う複数の大きなトカゲがいました。そう、この惨状は翼を持つ大きなトカゲによって引き起こされていたのです。どうすることもできず丘の上で泣き叫ぶだけの彼女達に、ある光景が目に入ってきました。それは複数もの黒い影が街の中から空にいるトカゲに向かって飛んでいく様子です。黒い影は瞬く間にトカゲを地へと落としていきました。あまりの光景に彼女たちは泣いていたのを忘れ、目で影を追いかけていました。影を追いかけるのに夢中になっていた彼女たちは近づいてくる存在に気づかないまま声を掛けられます。大丈夫? そんな女性の声がする方へ顔を向けたその時でした。手に持っていた黄色い花が発光し始めます。早くその花を捨てなさい! 焦る声が聞こえるのと同時に辺りが黄色い光に包まれました。光が収まるとそこには、黄色い花に浸食された一人の少女セラと翼を持つ巨大なトカゲがいました。もう一人の少女ユウリは花に浸食された少女へと涙目になって抱きかかえます。ドラゴン。近くにいた女性の声が響き渡りました。女性はドラゴンと呼んだトカゲを睨みつけ手に取った剣で斬り伏せると、花に浸食されたセラを抱え、ユウリに対して後をついてくるように指示をしました。女性の後ろを歩く少女は質問します。セラは治るのかと。女性は少し顔を背けると、ユウリの方へ振り向きました。きっと治る。それだけ言うと前を向きますが、少しだけ女性の歩く速さが増すのでした』

 

「コミさん。少し読むのを中断してください」

 

 読むのに夢中になっていたコミはアートの方へと顔を向けると、ある方向へと指を差しているのが見えた。その指先を目でたどっていくと二人の少女が眠りこけていた。

 

「ティレアさんを探しましょう」

 

 状況を理解したコミは彼と共にティレアを探し出し、二人の少女をティレアの案内のもと寝床へと連れていくのであった。

 

 ミリアとブルムンを寝床へと送り届けたアートとコミは部屋へと戻る。

 

「無事に運んだかの?」

 

「ティレアさんのおかげで無事に」

 

「なら、本の続きを読むとしようかの」

 

 ベルの言われた通りにコミは再び絵本を読み始めた。

 

『着いたよと女性が言う。目の前には一つの車と複数の人がいました。女性は人がいる場所へと駆け寄ると何かを話して、抱えていた少女を渡します。渡し終えた女性がユウリの所へと戻ってくると車に乗ってと手を握りました。ユウリはお父さんは? お母さんは? と怯えたように口にします。その様子を見た女性は少女を抱きしめました。頭を撫で耳元でささやき、大丈夫、大丈夫だからと少女をあやす様に。落ち着いた少女は女性と共に車へと乗り、目的地へとたどり着きます。そこは教会のような形をした巨大な建物でした。少女は女性に連れられて建物の中にいたお偉いさんと対面します。お偉いさんは浸食された少女を救うためには、貴方の瞳の力が必要だと言います。鏡を渡されたユウリの瞳は丸い形をしておらず長細い見た目になっていました。少女はこうして組織の一員として力を行使しながら、ドラゴンとの戦いに身を置くこととなったのです。さまざまな難所を乗り越えユウリは有名な戦士へと生まれ変わります。しかし、どれだけ戦っても治療されている少女の様態は良くなることがありませんでした。原因は分かっています。黄色い花を生み出した存在を倒さないことには治ることはないと。ユウリは戦場を駆け抜け必死に元凶を探します。幾たびの時と戦いを越えて黄色い花を生み出した存在を見つけました。しかし、少女の力だけでは倒すことは叶いません。迫りくる死に少女は嘆きます。ここまで来たのにどうすることもできない自分に。少女は恐怖で目をつぶりますが一向に来ない衝撃を不思議に感じて片目を開けました。そこにいたのは過去に少女を助けた女性と仲間たちがいたのです。女性と仲間たちがユウリの無事を確かめると元凶との戦いに参戦します。ユウリも後に続くように戦いへと身を投じました。少女は全員で戦えば勝てると希望をいだいていたのですが、元凶の力は凄まじく苦戦を強いられます。心身とも疲労していた時、女性の声が響きました。指示に従い少女たちは残った力で手を繋ぎ願います。元凶を倒すことを心の底から。すると大地に咲き誇っていた黄色い花が青い花へと色を変えていきました。青い花から粒子が解き放たれます。それは元凶を包み込み消滅させた後も留まることはなく、世界を包み込むのでした。戦いが終わり帰還すると大勢の人たちに出迎えられる中、一人の少女が駆け寄ってユウリを強く抱きしめます。その少女に見覚えがありました。そう建物内で治療されていたセラなのです。二人は人目も気にせず泣き叫けびます。しばらく泣いていると後ろと前から抱きしめられました。何事かとユウリは驚きますが、その人物は両親でした。涙腺の緩んだ家族は長いこと嬉し泣きします。この瞬間、少女の長きにわたる戦いが終わりを告げたのでした。おしまい』

 

 静かになった部屋の中でコミの吐く息と絵本が閉じられる音が鮮明に聞こえた。

 

「絵本にしては、かなり濃い内容でしたね……」

 

 静かに聞いていたアートが感想を述べる。

 

「確かにそうじゃがコミの言う通り、この本はわしたちが知りたい情報が、かなり載っていたの」

 

「本に登場した青い花と私たちが宮殿で見た青い花は、どこか似ているような気がします」

 

「もし似ているのであれば僕たちが見たあの青い花は、元々黄色い花だったということですか?」

 

「話が本当であればの」

 

「でも私たちはこの目で青い花や粒子を見てしまっているのです。全てが嘘とは言い切れないでしょう」

 

「コミの言う通りじゃ。それにコミが青い宝玉から見た話が本当であるのならば、この本に登場するドラゴンの存在も妄想の産物ではなくなってくるの」

 

「空を飛ぶ巨大なトカゲですか……本当にそんな生物が昔にいたのでしょうか?」

 

「分からん。実物を見てないからの」

 

「本当にいたのかもしれません。この絵本に描かれている絵と宮殿の奥地で戦った。あの巨大な機械と似ています」

 

 コミは絵本を開いてドラゴンが載っている絵に指を差す。

 

「ふむ、確かに似ているのじゃ。あの黒い霧によって姿を変えた巨大な機械にの」

 

「もしかしたらコミさんに声をかけていたのは、この文明の方だったのかもしれませんね」

 

「もう少し会話を出来たらよかったのですが……」

 

「ないものねだりしても、しょうがないじゃろ」

 

「そう……ですね。それでこの黄色い花なのですが」

 

「コミが見たという黄色い花に浸食された少女の事じゃの」

 

「絵本には確かにコミさんが予想していた通り、同じような姿をした少女の事が書いてありました」

 

「はい。絵本に書かれた通りであれば、その花は元々大地に咲いていたようですね」

 

「原住民でも知らない花じゃったか」

 

「書かれてはいませんが、少女たちや女性の反応からするに、おそらくはそうなのでしょう」

 

「それが眩しく光り、少女を浸食したと……」

 

「ドラゴンも現れたの」

 

「黄色い花とドラゴンは何か関連性があるかもしれないですが、今も存在しているかと言われると薄いでしょう」

 

「絵本の通りであれば黄色い花は青い花に変わったからですね……そういえば少女たちが使う力というのは、コミさんが使うマホウの可能性はありませんか?」

 

「話がぼかしすぎて分からんのじゃが、未知の力を使うという点に関しては共通しておるかもしれんの」

 

「ぼかしているといえば、この元凶に関してもそうですね」

 

「かたくなに名前を書かず、絵も黒く塗りつぶしたような姿をしていますね」

 

「そこまでしてなにか隠したいことがあったのか、単純に知らないだけなのかどっちなんじゃろうの」

 

「……分かりませんが、現状絵本で得られる情報はここまでのようですね」

 

 コミが絵本を片付けようと立ち上がるとアートが待ったをかけた。

 

「待ってください。絵本の著作名は誰なんですか?」

 

「著作名ですか?」

 

「絵本があるのならば書いた本人がいるはずです。話を聞ければ僕たちの疑問を解決してくれるとは思いませんか?」

 

「解決は難しいのではないか? わしらでさえ知らない事を知っておる人物がいるのであれば、とっくの昔に福音は解読されておったはずじゃ。亡くなっていてもおかしくないのじゃ」

 

「確かに解読された話は出てこなかった。誰かが意図的に隠したのでしょうか?」

 

「隠したところでのう。マホウが使えねば意味がないのじゃ」

 

「とりあえず、著作者を見てみますね」

 

 コミが絵本から著作者が書かれている場所を探し出す。

 

「書いてありました。著作者はミツルギ・カトウって書いてあります」

 

「ベル博士は知っていますか?」

 

「知らぬのじゃ。過去の有名な人物にそんな名前はなかったはずじゃ」

 

「では探し出すことは……」

 

「不可能に近いの。コミ、その者がどこにおるのか書いてないかの?」

 

「所在地ですか? 書いてないですね」

 

 絵本の中を隅々までコミは探しすが首を振って否定した。

 

「なら無理じゃの。広大な大地で情報もなしに、目的の人物を探し出すのは自殺行為なのじゃ」

 

「残念です」

 

 落ち込むアートを前に、コミが何か思い出したように口を開いた。

 

「あっ、でも。ティレアさんなら何か分かるのではないでしょうか?」

 

「ティレア殿が所持していたんじゃったかの。なら明日、聞いてみるとするのじゃ」

 

 絵本について話し合ったアートたちは自身が眠れるようにワラを整えると上に寝転がり明日に備えて眠るのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。