タイトル通り。キノピオ山田(鼻じゃなくて脚だけど)
ギャグだけどちょっとリョウ虹。



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えっ、リョウの脚が嘘つく度に伸びるようになった!?

 休日の昼下がり、虹夏は自室で課題を片付けていた。今日はいつも入り浸っている幼馴染がいないのでちょっかいをかけられたりすることもなく、普段より集中して取り組めたおかげか早く終わりそうだ。

 これならバンド練習の開始時間までに終わらせれるな、と時計を見る。

 課題を再開しようとしたその時、スマホが鳴った。

「喜多ちゃんから?なんだろ…」

 手にしたペンを置き、代わりにスマホを持つ。画面を開き内容を確認すると──

 

『伊地知先輩大変です!リョウ先輩が嘘をつく度に脚が伸びるようになっちゃいました!!』

 

 

***

 

 

 後輩から目を疑うようなメッセージを送られてから課題を中断した虹夏は公園に呼び出されていた。

 まだ事態が呑み込めず頭上に疑問符を浮かべながら郁代に問いかける。

「喜多ちゃん、さっきのメッセはどういう意味?」

「どうもこうも、そのままの意味ですよ!ほら!!」

 郁代が指した方を向くと、見慣れた幼馴染の顔が見慣れない位置にあった。

 身長差9㎝、顔を見るときはやや見上げるような形。の、筈なのだが……。

「……え?」

 おかしい。明らかにおかしい。特に腰から上と下で比率がおかしい。

 いつもの顔の位置には何故か腰がある。そこから更に上に視線をやると漸く顔。

 そこには脚だけ伸びたリョウの姿があった。

「う、うわぁー!?気持ち悪っ!!」

 思わず漏れた本音にリョウは表情を変えず、

「全人類が憧れる脚線美を見てなんてこと言うんだ」

「いや普段のリョウならそうかもしれないけど、今は比率的に化け物にしか見えないよ!」

「郁代~虹夏が酷い事言っていじめてくるよ~」

 シクシク、とわざわざ声に出しながら目元に手をやり嘘泣きを始めるリョウ。

 するとリョウの脚がぐぐっ、と若干伸びた。

「あっ!駄目ですよリョウ先輩、これ以上長くなったらスタジオ入れなくなっちゃいますよ!」

「しまった、つい…」

「問題そこ?っていうか、脚と一緒に服も伸びてない?なんで??」

「さぁ…?」

「服破けなくて良かったですよね~」

 目の前で起こる超常現象に疑問が止まらない。しかし郁代とリョウは虹夏ほどは気にしていないようだ。

「まぁそこは置いとくにしても、どうしてこんなことになってる訳?」

「友達とランチをした後、練習の準備のために家に帰る途中で公園を通りかかったら脚が伸びてるリョウ先輩がいました。びっくりしました!」

「う~ん、ごめん喜多ちゃん、全然参考にならない!」

「あっその、さっきまで私とリョウさんでお昼を食べてたんですけど……」

「うわぼっちちゃんいたの!?」

 ひょっこりとリョウの伸びた脚の陰から出てきたひとり。異形と化したリョウに目を取られて全く気が付かなかった。

「あっいました、驚かせちゃってすみません……。えっとそれで、ご飯を奢らさr…一緒に食べた後、練習まで微妙に時間があったから公園で砂遊びをしてたんです」

「こっ高校生が砂遊び!?あとリョウ、後輩にたかるな!」

 いつものように頭を引っぱたこうとしたところで、頭が遥か上にあることを思い出す。代わりにギリギリ届いた尻を引っぱたいておいた。

 いやん虹夏のえっち、と宣うリョウを無視してひとりに続きを促す。

「あっそれで砂のお城を作りながらお喋りしてたら、いつの間にかリョウさんの脚が凄く伸びてました」

「不思議だよね」

 当事者のくせに他人事のようにあっけからんとしているリョウを虹夏はジト目で見ながら、

「それってぼっちちゃんに嘘をつきまくったってことだよね?」

「だってぼっち、なんでも信じて面白いから……」

「ひとりちゃんさっつーの冗談もよく信じてるもんね」

「ぼっちちゃんが将来詐欺にあわないか心配だよ……」

「あっあの、それなんですけどリョウさん、どれが嘘だったんですか?」

「何話したっけ?」

「いやどんな話したのか分かんないけど、こんだけ伸びてるんだからほとんど嘘だったんじゃない?」

「てへ」

「も~!ぼっちちゃんで遊ぶな!!」

「まぁまぁ、そんなに怒ったら可愛い顔が台無しだよ?」

 リョウの脚が更に伸びた。

 怒りを通り越して虹夏は呆れた顔をしている。

 そんな二人のやり取りにひとりは狼狽える。

「えっ!?じっじゃあもしかして、東京の学校ではハロウィンの日に仮装して登校しないと退学って言うのも嘘なんですか!?」

「うん、嘘だよ」

「信じたままだったら実害が出るような嘘をつくんじゃない!」

 さっきより強めに尻を引っぱたく。痛かったのか、リョウは冗談を言う事もなく「う"っ!」と呻いただけだった。

「あれ?今、リョウ先輩少し縮みませんでしたか??」

 違和感を覚えた郁代がリョウの美脚を注視する。続けて虹夏とひとりも郁代の視線を追うが、違いが判らず首を傾げる。

 改めてつま先から頭のてっぺんまで目を通してみるも、やはり違いがわからない。

「ぜ、全然わからん…」

「え~、1㎝位縮んでません?」

「こっこれだけ長いとわかりませんね」

「私もわからん。郁代、良く気付いたね」

「っていうか、なんで突然縮んだんだろう?」

 顎に手をやり縮んだ状況を思い返す虹夏。一緒に考えていた郁代がピンときたようで、

「もしかして嘘だってネタバラシしたからだったり?嘘をついたら伸びるなら、嘘をついたことを白状したら元に戻る、とかありそうじゃないですか?」

「おぉ、ありそう!リョウ、他にどんな嘘ついたの?」

「え、何言ったっけ……?」

 はて?と首を傾げるリョウを無視することに決め、改めてひとりに問う。

「ぼっちちゃん、リョウにどんなこと言われたの?」

「あっえっと、フレッシュネスバーガーでは食べ終わったら『フレッシュ!』て叫ばないと店員さんが片付けてくれない、とか」

「ごめんそれ嘘」

「ラウンドワンには入場前に遊ぶ体力が本当にあるかどうかの検査がある、とか」

「それも嘘」

「渋谷とかのお洒落な店は入るのに入店料が必要だけど1000円以上の買い物をすると入店料が無料になる、とか」

「それは本当…と見せかけて嘘」

「ロイヤルホストにはドレスコードがある、とか」

「嘘」

「そっそんな、これ全部嘘だったんですか……?」

 嘘だと言われるたびに段々と青ざめていたひとりは遂に膝をつく。

「信じるひとりちゃんもひとりちゃんね……」

「にしても嘘つきすぎだろ!この分だと全部嘘だったんじゃない?」

「ははっ、そんなまさか!さっ流石に虹夏ちゃんが天使だから本気出せば空飛べるっていうのは本当ですよね?」

「なんだその嘘」

 誰が聞いても嘘だとわかる内容に真顔の虹夏を見て、ひとりは今日一番のショックを受ける。

「えっじゃあ天使なのに飛べないんですか……?今度一緒に飛ばせてもらおうと思ってたのに……」

「いやまず天使じゃないから!」

 それを見て先程よりは縮んだリョウが笑う。

「ね、面白いでしょ?」

「少しは反省しろ!!」

 確かにひとりに嘘をつくのはちょっと面白そうだな、と郁代は思ってしまったのだが、プンスコ怒る虹夏を見て心の中に留めておくことにした。

「ぼっちちゃんさ、いくら知ってる人が言う事でも、なんでも信じちゃ駄目だよ?」

 諸悪の根源であるリョウに一頻り説教した後、虹夏はひとりにも注意する。肩を竦めたひとりは、

「うっはい……。あっでも、1個は嘘だってわかりましたよ。喜多ちゃんがリョウさんの使い終わった割り箸を1万円で買い取ったって話!あれは嘘ですよね?」

 自信に満ちた顔で高らかに言い放つ。だが、郁代は笑顔で──

「それは本当よ」

「えっ?」

「それは本当よ、ひとりちゃん」

「……えっ!?」

 空気が、凍った。

 この話は掘り下げたら不味い。そう感じた虹夏は話を変えるために慌てて切り出した。

「りょ、リョウ!スタジオの予約時間も迫ってるし、早くついた嘘全部話しちゃいな!」

 

 

***

 

 

「ぜぇぜぇ、これで全部?」

「多分」

 嘘の多さと内容にツッコみ疲れ、やや息を切らす虹夏。

「あっ私ももうリョウさんと話した内容は全部言ったので、これで脚の長さも治ったんじゃないですか?」

「そうね、見た目も普通になったし!」

 しかし軽く息を整えてからリョウを観察していた虹夏は眉を顰める。

「う~ん、でもまだちょっとだけ長いんじゃない?」

 見た目は確かに戻っている。だが、長年の付き合いでリョウを見上げる角度を覚えた体が違和感を訴えていた。

「でも他に嘘ついたっけ…………あっ」

 少し考えた後、何か思い当たったのかリョウが声を上げる。そして虹夏の目を見つめて、

「さっき、『怒ったら可愛い顔が台無し』って言ったけどさ」

「うん」

「あれ、嘘。実は怒ってる虹夏も可愛いなって思ってた」

「…………へ?」

 顔を赤くして固まる虹夏。黄色い歓声を上げてひとりの肩を揺さぶる郁代。流石ベーシスト…!と揺さぶられながら感心するひとり。

 結局、リョウの脚は元の長さに戻ったが、固まった虹夏が中々元に戻らずスタジオには遅れてしまった。




山田が言った嘘はあにまん掲示板の「ぼっちちゃんがギリギリ信じそうな嘘」https://bbs.animanch.com/board/2461497/から何個か拝借しました。(あとフレッシュネスバーガーは2ちゃん)


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