NIKKEの世界に指揮官の友人をぶち込む話 作:アンダーソンの香水の匂い好き♡
その閃光を見た瞬間、私たちの指揮官は狼狽え始め、彼女らのバックアップという任務を忘れたかのように閃光が落ちた場所へヨロヨロと向かいながら呟いた。
「始まった…向かわなければ…せめて…」
「指揮官、お気持ちはわかりますがあの爆発では生存は…」
「そんな事はない!あいつがこんな所で死ぬはずがない!そうだ、これはわかっていた事なんだ…だから大丈夫なんだ…」
大きな声で私の言葉を否定したかと思うと彼は力無く、まるで親に言い訳をする子供のように呟いた。
その瞬間、私は理解してしまった。
ああ、この人も今までの奴らと同じだ。
この後言うこともわかっている。
「何としてもあいつと合流する!
そのため、多少の損傷を覚悟し、落下地点へ急行、その後、捜索部隊の指揮官の状態で作戦の続行の判断を行う!」
ほらきた、要は私たちを盾として、その捜索部隊の指揮官の元へ向かうとさ。
今の墜落の音でラプチャー共がうじゃうじゃ集まるだろう。そんな所に突っ込むだなんて、考えただけでうんざりする。
むしろそれを囮として私たちが集合地点へ向かえばいい。そのためのバックアップ部隊なんだから。
いくら同じ士官学校のお友達だからといって私たちを巻き込まないでほしい。
そんな私の考えを知ってか知らずか、まあ知らないだろうが、彼は言葉を続ける。
「これより部隊を再編成!F.A.を先頭とし、08は部隊の後方にて援護射撃!12は08の護衛!オーシャン!E.G.とバディを組め!お前らは遊撃、援護が必要な方へ行け!最短距離を一点突破だ!覚悟はいいか?」
「あの、指揮官はどちらに…?」
「俺か?俺は最前列で指揮を取る!
ラプチャーは手当たり次第に人間を殺すわけじゃない、俺が囮になる!遭遇時は俺の許可なしに発砲する事は許さんが、俺が指揮できなくなるか、乱戦時は…E.G.!お前が指揮を取れ!俺になにかあったら生存者を回収後、アークへの帰還を許可する!この会話は録音してある!中央政府に何か言われればこのレコーダーを提出しろ!」
…お馬鹿なのか?この指揮官は。
いくらラプチャーがすぐに人間を殺さないとしても戦闘の近くだ、流れ弾に当たる可能性だってある。
…いや待て、今この指揮官はなんと言った?
ニケに部隊の指揮を任せると?
この指揮官に何かあれば帰還を許可する?
そんな事言ったら尚更不慮の事故が起こるだろう。いったい何を考えているんだ?こいつは。
そんな事を考えていたせいか、NIMPHが作動するとき特有の頭痛がした。この程度の考えも人類への反逆とみなされるのか、生きづらいものだね、まったく。
「意見があるなら言ってみろ!…無いようだな、行くぞ!遅れるなよ!」
指揮官は意気込んで走り出してしまった。私たちは呆れたように目を合わせた後、彼の言われた通りにフォーメーションを組む。
さあて、賽は勝手に投げられてしまったし、せめていい目が出るよう祈っておきますか。
どうやら出た目は悪く無いらしい。
それは指揮官から見てだが…
墜落地点へ辿り着いたはいいが、付近にラプチャーとの戦闘跡があるだけで件の指揮官は見当たらなかった。それらしい遺体も。
あの爆発で生き残り、さらにはラプチャーとの戦闘をこなすなんてほんとに人間か?まあ、戦闘はニケに丸投げした可能性もあるが…
そんな考えをよそに我らが指揮官様は涙目で安堵して何か呟いている。
「よかった…やっぱり生き残ったか…
いや、今は安心している場合じゃない、ここにいないという事はランデブーポイントか?
間に合うだろうか…」
何に間に合うというんだろうか。そんな彼の独り言を聞き流しながら兵装のチェックを行っていると彼は突然立ち上がり言った。
「捜索部隊の指揮官は生存、ランデブーポイントに向かったと判断し、これより我が隊もポイントへ向かう!」
「待ってください指揮官!生存した可能性はありますが、ランデブーポイントに向かったかどうかはわかりません!一度作戦本部へ連絡を試みてはいかがですか!?」
「いや、あいつならランデブーポイントへ向かうはずだ!総員、兵装チェック!準備が出来次第、出発する!時間がないんだ!」
ひゅー、お熱い事で。そんなにお友達が大切なのか?もしやその指揮官と恋人だったのだろうか。いや、ブリーフィングで顔を合わせたが明らかに男性だった。もしや、その気があるのか?
くだらない事を考えるのが癖になったまま報告を済ませる。
「よし!これよりランデブーポイントへ向かう!フォーメーションはさっきと同じだ!行くぞ!」
このお馬鹿指揮官はそう言うとまた意気揚々と走り出してしまった。
さっき奇襲したラプチャーに組み伏せられて泣いていたのが嘘のようだ。
まあ、そんな姿を見て胸がすく思いだったのは内緒だが…
ランデブーポイントに近づいたとき、聞こえてきた銃声に意識が切り替わる。
「戦闘中のラプチャー、その側面より強襲!戦闘中の味方部隊との十字砲火にて殲滅せよ!行くぞ!フォーメーションFF!殺してこい!」
そんな指揮官の掛け声に合わせて私たちは戦闘を開始した。
ああ、どうか捜索部隊の指揮官はこの指揮官よりまともでありますように。
ところがぎっちょんってやつだ。
私の祈りが届いたかはともかく、叶う事はなかった。
ニケに指揮権を渡すような人の友人だ。そりゃイカれてる、ニケに包帯を巻くだなんて。
こう言ってはなんだが私たちの見てくれは悪くない。作戦後に昂った指揮官がその処理のために私たちを使うだなんてそれなりに聞く話だ。
だが包帯を巻いてお人形さんごっこだなんてはじめて聞いた。なんだったか、ニケフィリアだったか。
まあ、そんな奴の友人の我らが指揮官。類は友を呼ぶってやつか?そうなると私たちもそんな変なやつの一員になるのか?まあ、叶わない願いをして裏切られたと嘆く私は少なくとも変わり者だが…
私のくだらない考えをよそに和やか…和やか?に自己紹介と状況説明が始まる。
突如行方不明になる味方部隊。
その部隊の捜索隊が結成されるも前任は愚かしくも勇敢にラプチャーと戦い戦死、その部隊の後釜として彼…名前を聞き逃したので包帯野郎と呼称…その包帯野郎が士官学校を卒業したてのひよっこな為その補佐兼追加の戦力として私たちの隊が投入されたと。まあ、私たちの指揮官も新人らしいが…
中央政府はお間抜けなのかな?
それとも包帯野郎を主人公とした映画でも作る気か?大ヒット間違いなしだな。
捜索部隊の後釜に新人を使うことも、その新人に作戦区域の座標を教えていないことも。本当にうんざりする。
しかしまあ、このマリアンさんだったか。包帯野郎に優しくされて情でも移ったのか、包帯野郎に当たりが強いラピさんとギスギスしてる。
内心で包帯野郎なんて呼んでる事がバレたら大ごとだな。なんて考えていると彼女がふらついた。
どうやら誤作動を起こしたようだ。
ラピさんがメンテナンスのため服を脱げと言い出した。それに反応する変人2人。
どうやらうちの指揮官もニケフィリアだったみたいだ。ジーザス。
それを冷めた目で見るアニスさん。まともなのは彼女だけか?
異常は見つからなかったため、作戦区域へ向かう途中オペレーターからの通信がきた。どうやら今まで繋がらなかったらしい。
しかし、対空火器がいない地域で撃墜?
その時の会話中にうちの指揮官の心拍数が上昇したのが気になるが…
そんなことを考えていると包帯野郎はこの先にいる大型ラプチャーとの戦闘を決めたようだ。
さあ、補佐とはいえお仕事の時間だ。
戦闘終了後、マリアンさんに包帯野郎が包帯を巻いている。
いくらダメージが大きいからと言ってもミイラにでもするつもりか?
それを悲しそうに見る我が指揮官様。いったい何を考えている?
なんだろうこの違和感は。
作戦区域に到達したがそこには誰もいなかった。
それでもマリアンさんは静かに言う。
「探しましょう」
それに従うように散開しようとしたがオペレーターからの通信でラピさんがマリアンさんに銃口を向けた。
何事かと固まる私たち、ラピさんの質問に答えずにいるマリアンさん。
なんだ?ここ?何を言って…
っ!?侵食!?いつから!?いや、そんな事よりラプチャーが来る!
私たちは自然と指揮官の元へ集まる。
包帯野郎は戦う事を決めたようだ。私たちの指揮官はどうする?
なんて決まってるか。
「08!距離をとって装甲の脆いところを探せ!12!マリアンが抜けた所に入り弾幕を張れ!E.G.とF.A.は捜索隊のカバー!オーシャンは俺と戦友の護衛だ!エンカウンター!」
ほらね、なんて肩をすくめて戯けながら私は位置についた。
戦闘終了、シミュレーション上だと勝率24%だったらしい。4分の1ならまあ、こんなもんか。ラピさんとアニスさんに目立った損傷はないがこっちはちょっと厳しい。帰還まで持つかな?
なんて考えていると土煙の中からボロボロの彼女の姿が見えた。
虚な目、右腕はあるべき場所についていないし、左足も太ももの半ばあたりで無くなっている。
それでもなお、彼女は呟いた。
「ここ…です。」
彼女はもう助からないだろう。
ラピさんが包帯野郎に拳銃を手渡した。指揮官としての職務か。大変だねぇ。
包帯野郎はマリアンさんだったものへ近づき銃口を向けるが何かを躊躇っているようだ。
ラピさんは侵食されたニケの危険性を説明しているが彼女に向けられる銃口は焦点が定まらず、引き金にかかる指は震えている。
そんな彼を悔しそうな、嬉しそうな、赦しを求めるかのように見ている男が近づいた。
彼は一言
「すまない」
そういうと包帯野郎の銃に手を伸ばす。
しかし、それを遮るように包帯野郎の手を包み込む手があった。
「指揮…官…ここ…です…
指揮…官……包帯…嬉しかった…です…」
周囲に乾いた音が響き渡る。
オペレーターから指示があった。
作戦終了。RTB。
これは、この世界ではよくある話だ。いつかは忘れてしまう、悲しい話だ。だから気に病む必要はない。
そんな私の思考とは別にチクリとコアのあたりが痛んだ。
アークに戻るエレベーター内で、今回の侵食の原因を探している話を聞き流す。
ああ、やだやだ。そんなきな臭い話を一介の量産型にしないでもらいたいな。
しかし、これでこの変な指揮官とはおさらばだ。次はまともな指揮官と楽な作戦である事を祈ろう。
おかしい…ちしかんの友人を作り上げてそいつにライナーしてもらうはずだったのに…いつのまにか部隊内の量産型ちゃんの視点で出来上がってしまった…
こんなのチュートリアルの焼き増しだよぉ…!
言い回しがアメリカンなのは最近フルハウスを見たせい。
フォーメーション等は適当
実をいうとこの後書きの一番最後のやつを投稿したかっただけ
語り部の量産型ちゃん
それなりに運のいいただの一般量産型。くだらない事を考えるのと意味もなく祈るのが癖。この後このメンツでカウンターズの補助部隊を結成される。もう逃げられないゾ♡可哀想は可愛いね。部隊内の誰かはご想像にお任せします。
救出部隊の指揮官
我らがちしかん、バックアップの人とは士官学校にて親友だった。
はじめて私を見た時、あいつはまるでずっと探していた人にやっと会えたような、これから成功率の低い手術に挑む家族を見るような、存在しない物語の人物に会ったような、まるで地獄から救われたような顔をしていたことを思い出す。
バックアップ部隊の指揮官
NIKKEのストーリーを知っている転生者。はじめは自分が主人公だと思っていたが本物っぽい指揮官を見つけて安堵した。誰だって辛い話の主人公にはなりたくないよね。ちしかんの呼び方は戦友。いったいどこの第4小隊長に影響されたんやろなぁ
…誰かが、侵食コードを埋め込まなければ マリアンは、カウンターズと一緒に、苦楽を共にしながら、地上奪還だって果たしただろう。
でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ、指揮官。だから、この話はここでお終いなんだ。