NIKKEの世界に指揮官の友人をぶち込む話 作:アンダーソンの香水の匂い好き♡
前回の後書きにあんな事を書いたのにあらすじにネタバレがあるので初投稿です
「・・・ここが地上。」
「初めてなの?」
「はい。こんなに広くて、空がパチパチしないなんて。こんなの本当に初めて見ました。
空気の成分は同じなのに、微妙に何か違います。」
彼女の感極まってふと漏れたような言葉に改めて空を見る。前回は初任務とあんな事があったせいであまり意識してなかったが、同じような感想を抱く。
晴れ渡る空に手をかざし意味もなく握る。
前世でも似たような事をしていた記憶がある。
これはもう俺という人間に根付いた習性みたいなものか
これを見れただけで嬉しくなるが、五感で感じる情報から紛れもない現実だという確信が少しだけ胸を痛めた。
感傷に浸っているとアニスがこちらを急かすように声をかけた。
「何遊んでるの?地上で1時間以内に、ラプチャーと遭遇する確率は100%。感傷に浸ってボーっとしてたらビームに頭ぶっ飛ばされるわよ!」
「ああ、それなら似たような事を前回経験した。」
「なにそれ?どういうこと?」
「詳しくはうちのニケに聞いてくれ、08なら見ていた筈だ。」
アニスがうちの隊のニケに話し掛けるのを横目に
「作戦の最終目標は発電所にある制御室の調査です!目的地の発電所まで続く道をスキャンした結果、無人浮上式鉄道の線路に沿って移動する必要があります!
ただ、路線全体に高圧の電流が流れていて、ニケならダメージを受けても問題ありませんが・・・」
苦々しく言葉を詰まらせ、俺と
「私なら大丈夫だ。行こう。」
「何が大丈夫なの?死ぬよ?それか電気で痺れたところにラプチャーに馬乗りにされて泣いちゃうかもよ?」
わざとらしくこちらを見ながらアニスが
なかなか様になっているニヤケ面で煽られるがそんなものは人生2回目の俺には効かない
「ニケとして何十年生きているがは知らないが、そんな子供みたいな元気があるのはいい事だな。やはり身体年齢に精神も影響されるのか?」
「あー!今、女性に対して年齢の話をしたわね!このノンデリ男!うちの指揮官様を狙う同性愛者!なぁにが『ピエロと呼んでくれ。』よ!今時そんな挨拶する奴ドラマにも出てこないわ!こんな奴が指揮官様の親友なんて何かの間違いでしょ!」
騒ぐアニスを横にラピが頭を抱えながらシフティーに話しかけ、彼女は苦笑いをしながら答える
「高電圧の原因は?」
「ええと、5年前の都市封鎖作戦でラプチャーの外部への移動を防ぐため、意図的に流したようです!当時にしては完成度の高い線路でして、電力は自家発電で供給されます。」
オペレーターの話を聞き、騒いでいたアニスが急に1トーン下がった声で問う。
「都市の内部に残っていた人間は?」
「・・・」
「・・・建物には入らない方がいいわ。何がいるか分からないし。」
その言葉の意味が理解できず気づけば口に出していた。
「・・・?地上の人間はアーク封鎖の100年以上前に全滅したのではないのか?」
こちらの純粋な問いにアニスは苦虫を噛み潰したような顔をした後、何かを諦めたようにため息を吐いて言葉を続ける。
「・・・はぁ、無学なピエロ様にはわからないかもしれないけど作戦である以上、私たちニケの他に人間の指揮官様も参加していたの。一刻を争う状況の中で、逃げ遅れたってだけで助からなかった人もいるかもしれないでしょ?」
「・・・すまない。嫌な事を言わせたな。」
そうか、ゲームでは過去にあったこととしか認識していなかったが、現実である以上は人が動き、その結果として今がある。そして結果はどうあれ、そこには感情があった筈だ。
五感は現実だと認識していたが俺自身の意識がまだ、この世界がゲームであると心のどこかに残っているのだろう
少しだけ暗くなった雰囲気を切り替えるかのようにラピが口を開いた。
「・・・とりあえず、路線の電流を遮断しましょう。外部からコントロールする方法はない?」
「はい、あります!制御センターをマップ上にチェックしておきました!」
その言葉通りに開いていたマップ上にチェックポイントが表示される。そのゲームのような機能に思わず声が出た
「おお、なかなか便利なもんだな。」
「チェック確認。指揮官。準備完了です。」
「出発しよう。」
「あ。」
まず動き出したのは声の隣にいるアニスだった
「!!ラピ!」
ラピはアニスの声に反応し、
「指揮官!私の後ろへ!」
俺はその声で状況を理解し、うちの分隊に命令を出す
「ラストクラウン総員!カウンターズを中心に円形陣!周辺警戒!」
ただ、声を溢した当人だけは周りの動きを見て慌てて自らも列を組んだ。
全員が辺りを見回す。しかし俺たち以外に動いているのは風に揺れる草木だけだ。
いや、地中に潜っている個体や太陽の中に隠れているかもしれない。改めて周囲を観察するとオペレーターから通信が入った。
「広域スキャンでは周辺にラプチャーは確認されません!もしかして、新種?!」
「・・・え!新種のラプチャーが出たんですか?」
「・・・・・・」
その言葉の意味を咀嚼するために全員が数秒を要し、はあ。とアニスがため息と共に元凶へ声をかける。
「・・・ねえ、ネオン。地上に出たニケには暗黙のルールがあるの。
『あ。』単独では使用禁止よ。分かった?」
「あ、そうなんですね。これは大丈夫ですよね?」
「それは大丈夫。」
そういえばこんなやりとりもあったなぁと過去の記憶をぼんやりと思い出していると、くだらない漫才を切り上げるべくラピが頭を抑えながら声をかける。
「・・・それで、何があったの。」
「私、いいこと思いついたんです。路線に流れる高電流が問題なら、ゴムの長靴を履けばいいのでは?」
「・・・」
「・・・悪くないな。」
何を思ったのかそう答える彼にオペレーターが咄嗟に否定した
「悪いですよ!高圧電流が流れる場所は人間が近づくだけで・・・!
・・・はあ。とにかく、ダメです!」
「もっと詳しく説明しないの?」
「いいアイデアだと思ったのに・・・指揮官、もしかして・・・」
「いい考えだと思うが・・・」
「全然よくありません!」
「おいおい、そこまで死に急ぐことはないだろう戦友。いいか?電気ってのは熱を持っているんだ。漫画みたいに黒焦げアフロで済めばいいが、下手したら全身の皮膚が焼けて動くだけで痛いミイラになるぞ?」
怖い提案に注意しながら目的地へと移動する。
しかしまぁ、ニケだから多少の怪我はどうとでもなると強行しようとするのは悪い癖だな。
その点、オペレーターがいてくれて助かった。
「制御センターへ到着!線路への電力を遮断するため、コネクティングデバイスを接続してください!」
「コネクティングデバイス?」
「え・・・士官学校を卒業したって嘘じゃないわよね?」
ありえないものを見るようなアニスの視線を遮りデバイスを接続する
「戦友、変わろう。コネクティングデバイスを接続。・・・接続完了。こちらのデバイスに異常は見られない。操作権を譲渡。」
「譲渡確認。これより電力を遮断します!・・・遮断完了!これで線路から都市内部への進入が可能です!」
肌をヒリつかせる感覚がなくなると同時にオペレーターの進入許可が出た
「行きましょう。」
「ゴムの長靴は本当にいらないですか?」
「いらないってば」
気の抜けるような会話を横にマップを確認すると全員が動き出した
線路に沿って都市を移動しているとオペレーターからの通信が入った
「発電所の位置を確保!進入可能です!」
「50機以上のラプチャーがいるところに入ることを、『進入』と呼べるならそうね。普通は自殺行為って言うのよ、それ。」
「まあ、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれと言うし、やるだけやってみるのも悪くないんじゃないか?」
「高電圧の路線の上を歩くのが嫌でラプチャーの群れに飛び込むのはいい理由を教えて貰えるかしら?それとも何か策でもあるの?」
オペレーターに不満を隠すつもりもなく言葉を返すアニスについ声をかけたが何も考えずに言葉を放った俺を見抜いたかのような鋭い質問に言葉が詰まる
「・・・戦友、どうする?」
「結局他人任せじゃない!」
俺の言葉に何かを考えていた
「・・・あの発電所は稼働しているのか?」
「はい。理由は分かりませんが、少し前から稼働を始めたようです!」
「まさか人間がいるわけでは・・・」
「公的には、地上に残った人間の数は0です!しかし物事に例外はつきものです。この怪現象を調査するために、何度も試みましたが、成果はありませんでした!」
「あ、ちなみに結構大規模でやってもダメだったわ。わんさかいるラプチャーに、みんなやられたの。」
彼の希望的観測をオペレーターは無慈悲に否定する。それに同意する様にこちらの意見を述べておく
「1世紀近くも経って、地上に残った人間が今更発動所を取り戻すとは考え難いな。しかもラプチャーが占拠していた所をだ。それに近くでドンパチやってたらそれなりの合図なり援護なりをすると思うが・・・」
「生存者という可能性を除いても、あの発電所には大きな意味があります!あの規模ならアーク内の全ての施設を2ヶ月は稼働させられます!つまり、この作戦の重要度は非常に高いと言えます!」
「2分隊に任せるくらい、すご〜く重要な作戦だってことね。」
「アニス。」
「何よ?」
「作戦拒否?」
「それは・・・違うけど」
「では、そんな無意味な説明はしない方がいい。」
「・・・」
「そう不貞腐れるなよ。上の考えは分からないが、君らの指揮官は変人の類だが無能では無い事は前回の作戦で証明しただろう?」
バツの悪そうにしていたアニスに声をかている間にもラピと
「どうやって進入しましょうか?」
「発電所を占領しているラプチャーを全滅させ進入すればいい。」
「ああ、なるほど。」
「行きましょう。私の火力をお見せする時が来ましたね。」
「それって、選択肢じゃないわよね。」
「では、ご命令を。調査を続けますか?」
「・・・調査を続けよう」
その言葉を聞き、アニスは半ばヤケになった様に文句を言う
「ああ、分かったわ。行けばいいんでしょう、行けば。じゃあ皆、装填を確認してから突進しましょ。2分隊だからすぐ死んで終わっちゃうからね。」
「アニス。」
「私たち、弾除けくらいはするから後ろに隠れてて。脳だけはちゃんと回収してね。それくらいはできるよね、指揮官様?死地へ追いやるよりは全然簡単よね。」
「アニス!」
窘めるようなラピの声を無視して話を続けるアニスについ語気を強め名前を呼ぶがその威圧感が不快だったのかヤケを起こしたまま反論する
「何?この状況で下せる適切な判断なのよ。」
「下剋上と判断していい?」
「どうぞお好きに。」
「下剋上は即決処分よ。」
「ラピ・・・!何でそんな事言うの・・・!」
処分という言葉に前回の事を思い出したのか半ば悲鳴に近い声色で驚愕するアニスをラピが落ち着かせる
「落ち着けってこと。」
「落ち着くも何も、私たちが無駄死にになるようなものよね!」
が言葉一つで落ち着ける筈は無くまくし立てる様に言葉を紡ぐ
「私たちはまだ指揮官の作戦を聞いていない。」
「・・・・・・」
ラピの咎める様な声でアニスは押し黙り希望を持つかの様に
「状況は絶望的です。実際、方法はないと言っても過言ではないでしょう。もしかして、何か作戦が?」
「潜入してみるのはどうだ?」
「・・・潜入?・・・ルートなら1つだけあります!」
「中に入って確認してみよう」
「はい、分かりました!案内します!」
彼の作戦に皆が活気付く。しかしその希望を打ち砕くかの様に言葉を発する
「まあ、待てよ戦友。潜入するなら陽動が必要だろ?それにこの人数だとどうしても目立つからな。」
「はあ?!何言ってるのよ?!さっき私が言った事をもう忘れたの?!策も無いのにどうやって勝つのよ!」
「待ってくれ」
がなり立てるアニスを前に
「行けるか?」
全員が俺を怪訝な目で見る。ここが分岐点だ。錆びていても道化師として最後まで踊ってみせよう
ーーー芝居がかった仕草で指を一つ立てる
「一つ、君達は勘違いをしている。俺は何も、ここにいるラプチャーを全滅させるつもりはない」
その言葉に驚いたのか、目を丸くする
ーーーもう一つ、中指を立てる
「二つ、俺は策がないとは一言も言っていない」
そして理解が追いつかないのか完全に固まる。俺はとっておきの方法があると言わんばかりの表情を浮かべ、巫山戯る様に立てた指を合わし離す。
ーーー最後に薬指を立てる
「三つ、死ぬ気は更々無いしうちの部隊員を1人も欠けさせるつもりもない。」
その言葉にふと笑みを溢すと諦めた様な仕草をする
虚勢も張り続ければそれは強さだ。それを今から俺は証明する
「死んだら承知しないからね!」
「ああ、分かっているさ。オペレーター、カウンターズと
「えっ?はい!大丈夫です!これでも私は複数の部隊の同時オペレートをやった事があるんですよ!」
激励ともとれるアニスの言葉に続きこちらを励ますためか、オペレーターが自信あり気に鼻息をふんっと鳴らす
その仕草に思わず微笑んでしまった
「なら、問題はないな。戦友、最大で1時間だ。・・・そうだな。君らの移動も加味してこれから10分後、最大1時間の陽動攻撃を始める。もし潜入に失敗した時は出来るだけうちの部隊員を回収して撤退してくれ。ま、君なら大丈夫だろう。では時計合わせといこう。オペレーター、カウント頼む。」
「は、はい!」
「・・・3、2、1。現在時刻から10分後にラストクラウンによる戦闘行動を開始します!カウンターズは潜入ルートへ!」
「ピエロ・・・」
君は納得しないだろうが今は勢いで押し切らせてもらおう
「何て顔してるんだよ、戦友。君みたいに上手くは無いがこれでも指揮官なんだ。何とかするさ。だから頼むぜ。相棒。」
すぐさま姿勢を正し敬礼する
「勝利の栄光を、君に!」
「・・・それだと私が君に裏切られるのではないか?」
つい出た激励の言葉に巫山戯て返す彼と二人笑い合う
「ちょっと!何遊んでるのよ!早く行くわよ!」
時間がないと急かすアニスの声に彼はこちらに背を向け歩き出す。それに合わせる様に俺も背を向け、いつの間にか整列していた隊のメンバーを見渡す。
「これよりカウンターズの潜入調査を支援するため陽動戦闘を開始する!幸い、敵はある程度密集している!オーシャン!E.G.と共にバディを組み発電所に対し左側から攻めていけ!08は右側にある廃ビル群からの援護射撃!観測手兼護衛として12を組ませる!F.A.は俺と共に真正面から行くぞ!」
ドクドクとうるさい心音を無視するように眼前で屯するラプチャーを物陰から睨みつけているとインカムからノイズと共に声が聞こえる
「08、12組スナイパースポットに到着しました。いつでもいけます。」
「オーシャン、E.G.組も準備できました。」
「了解。オペレーター、作戦開始時刻までどれくらいだ?」
「後2分です!戦闘開始と共にカウンターズは排水路から潜入します!」
「うへぇ・・・排水路か、着いて行かなくて正解でしたね。・・・ところで指揮官、策ってなんなんですか?」
「・・・そうだな。・・・今、俺のポケットの中に何が入っていると思う?」
「・・・?さあ?指揮官用の携帯端末とか?」
「食べかけのパーフェクト?」
「私たちへの特別報酬でしょ」
「それだ!」
「違うでしょ。F.A.何か見える?」
「うーん・・・何か入っている様には見えないけど・・・」
「・・・まさか、何も無い。けど手はある。とか言わないですよね?」
「・・・・・・」
「え?そうなんですか?」
「時間になりました!戦闘行動を開始してください!」
「了解。さあ、答え合わせは終わってからにしよう。喰い散らかしてやれ。エンカウンター。」
言い終わるや否や物陰から身を乗り出し、手に握った拳銃を発砲する。放たれた弾丸は発電所の方を向いていたラプチャーに上手く当たり、カンと甲高い音を鳴らし弾かれる。
撃たれたラプチャーは何事もなかったかの様に発砲音の元を向き、獲物を前に舌舐めずりするように鳴き声を上げる。
ーーーキィィィィィィィ!
「コーリングシグナルを検知!付近のラプチャーが集まってきます!ラプチャーが接近する方角を別途報告します!ラストクラウンは戦闘のみに集中して下さい!」
「助かる!戦闘中は時間経過と共に乱戦になる事が予想される!こちらの指示が間に合わないと思えば自らの考えの元、行動せよ!」
「了解!ところで撃破数に応じて追加報酬とかあるんですか?」
インカム越しに発砲音と共にふざけた提案を受ける。こちらに向かってビームを撃つラプチャーの射線を切るように物陰に隠れ応答する
「そうだな。ラプチャー1体に付き特別報酬をやろう!数え間違えるなよ!」
すると12の悲痛な叫びが聞こえる
「嘘!?私だけ不利じゃ無いですか!キルサポートの場合はどうなりますか!」
「しょうがないな。今回は諦めろ」
「そんなぁ!」
ふと感じる喉の痛みに咳き込む事で誤魔化しながら声を上げる。
「作戦開始から何分経った?!」
「37分です!」
「よし!半分は過ぎたな!気張って・・・」
ーーードォォン
気を入れ直すために声をあげようとした瞬間、インカムから轟音と共にノイズが走る。その音に怯みながらも状況を確認する
「どこの組だ!?何があった!」
インカムに向けて怒鳴ると酷いノイズ混じりのまま声が聞こえる
「08です!場所がバレました!直撃では無いものの瓦礫により負傷しました!」
「移動は出来るか!?」
「出来ます!」
「分かった!援護ついでにそちらへ向かう!ビル群の近くにあるスーパーマーケットで落ち合おう!」
「了解です!」
「オーシャン!E.G.!聞こえていたな!お前らも一度合流するぞ!」
「了解!」
ラプチャー侵攻前はそれなりに賑わっていたのであろうスーパーマーケットも、もはや腐敗物を溜め込むだけの廃墟と化していたその中で周囲を警戒する2人組のニケを見つける
「08!被害状況は!?」
「左腕をやられました!生存機能は無事ですがこれでは戦闘が・・・」
「指揮官!」
08の状態を確認していると突如として閃光が走りF.A.に突き飛ばされる
爆発音が近くで響いたのち視界が土煙で埋まる
「すみません指揮官!ラプチャーを数匹撒ききれませんでした!」
インカムから聞こえるオーシャンの声に、土煙で何も見えないまま12に指示を出す
「12!オーシャンとE.G.は見えるか?!」
「見つけました!ラプチャーを排除します!2人とも伏せて!」
声と共に12の機関砲の連続した発射音が聞こえる。まだ視界は晴れない
「F.A.!08!無事か!?」
「はい!何とか無事です!」
「すみません!今ので足をやられました!」
「生きているならそれでいい!」
申し訳無さそうな声の08にぶっきらぼうに言い切るとE.G.から謝罪があった
「すみません指揮官!08、ごめんね。」
「味方を危険に晒した場合、特別報酬はどうなるんですかね」
ラプチャーを排除した12の茶化すような言葉にE.G.は尚更申し訳無さそうに言う
「ごめんって〜、私の少し分けてあげるからさ〜」
少しだけ和やかな雰囲気が流れたところでインカムから鋭い声が聞こえた
「ラストクラウン指揮官!聞こえますか?!」
「何があった?」
「潜入作戦は成功しました!8分後、現在地から南西方向300mにある地下ステーションにカウンターズを乗せた貨車が通過します!そのまま都市郊外まで移動する予定です!」
「南西ってどっちだ!?」
「正面左側!10時の方向です!広域スキャンで路線の天井部に穴が空いていることは確認しています!急いでください!」
「移動する貨車に飛び乗れって事か!?」
「ひゅ〜、映画みたいですね!」
茶化すようなE.G.の声に続いて周囲を警戒していた08の声が和やかな雰囲気を完全に消し飛ばす
「指揮官!右後方よりラプチャーの移動音が聞こえます!近いです!」
「くそ!一息つく暇もない!総員、最低限の弾薬以外移動の邪魔になる物は全て投棄!オーシャン!08を背負って移動しろ!08!索敵係ぐらいはやれるな!?」
「はい!やります!」
「よし!他の奴は2人を守るように移動するぞ!走れ!」
言葉と共に走り出そうとすると、先程12が撃破したラプチャーの残骸が目につく
「・・・おい、矛盾って言葉をしってるか?」
「・・・え?・・・何かをやろうとすると別の何かに反する・・・でしたっけ?」
「ああ、ラプチャーの火器と装甲。どちらが強いと思う?」
「・・・?何を・・・?」
「F.A.、手伝ってくれ。ラプチャーの残骸から装甲を外す」
「何を言っているんですか指揮官!そんな事より急いで移動しないと!」
「移動中は背後がガラ空きになる!生存率を上げるためにラプチャーの外装を盾にする!」
「ああ!もう!どうなっても知りませんよ!」
そう文句を垂れながらもF.A.はラプチャーの外装を剥ぎ取るのを手伝ってくれる。それを急いで背負うように固定し、移動を開始する
「よし!俺が最後尾で盾役になる!全員!走れ!」
「何を考えているのですか指揮官!生身の人間がそんな物背負って走れるわけ無いじゃないですか!渡してください!」
「いいから行くぞ!お前らは追っ手を振り切るために後ろのラプチャーに弾を撃ち続けろ!」
「走りながらでは当たる訳ありません!」
「やたらめったらでいいんだよ!撃てよ!」
文句を言いながらも走り出した俺に合わせるように陣形を組みながらニケも走り出す。
時折、足をもつれそうになりながらも目の前にオペレーターが言ったと思わしき穴が見え、それに近づくにつれカウンターズが乗っているであろう貨車が移動する音が聞こえてくる。
「見えた!あれか!?」
「それです!間も無く通過します!飛び込んでください!」
「指揮官!ラプチャーからの攻撃が来ます!」
オペレーターの無茶な言葉に反論しようとした矢先、08からの言葉で後ろを振り返り認識する。
飛び込むには少し距離がある。おそらく奴らも俺たちが無防備になる瞬間を狙っている筈だ。
「お前らはそのまま飛び込め!あいつの攻撃は俺が防ぐ!」
「何言ってるんですか!?いいから来て下さい!」
「何のためにこんなクソ重い板っ端持ってきたと思ってるんだ!いいから行け!俺は俺で何とかする!」
「もう!死んでも知りませんからね!」
戦闘による疲れか、追われているというストレスからか半ギレでこちらの身を案じてきたF.A.は呆れたように吐き捨てるとそのまま他のニケと共に穴の中に飛び込んだ。それを見逃さないラプチャーはすぐさまビームを発射する。
「ぐおっ」
想像以上の衝撃に
回る世界の中で一瞬見えたラプチャーにせめてもの
ーーー最強は盾だったな。ざまぁみやがれ。
数秒の無重量体験を楽しんでいると身体は貨車の床に叩きつけられた。
「指揮官!大丈夫ですか!?」
「ピエロ!大丈夫か!」
痛む身体と麻痺した三半規管が作り出す幻覚のような世界のまま声が聞こえて来た方を向きながら無事を伝える
「よう相棒、まだ生きてるか?」
アーク中央政府、副司令官室にて俺と彼は顰面をしたアンダーソン副司令に睨まれるように立っていた。彼は話す事はないと言わんばかりの短い言葉で用件を伝える
「君たちは追放処分とする。」
「追放?」
その言葉を理解できずオウム返しすると副司令官はため息と共に説明する
「君たちに下した命令は、発電所の調査だった。発電所を壊せとは命令していない。交戦の影響で発電所の内部が、連鎖爆発を起こして大破し、保管されていた資材と施設が、粉々になったのだよ。2ヶ月分だ。2ヶ月もアークを食べさせられる資源を。君たちが吹き飛ばしたのだ。言い訳があるかね。」
「あります。」
間髪入れずに即答した
「いや、ない。君たちにできる言い訳はない。君らと君らが指揮した分隊は、今日付でアークから追放、『前哨基地』への配属が決まった。不毛の地だ。人もいないし、施設もない。ああ、そんなに心配することはない。最低限の資源くらいはある。護衛もつけてあげよう。『更正館』送りじゃないことに、感謝するべきだ。」
「ラピはどうなりましたか」
「修理中だ。他のニケも終わり次第上がらせよう。では荷物をまとめて、すぐ動きたまえ。」
言い終わると出て行けと言外に扉の方へ顔を向ける。その威圧感に俺たちは逃げるように退室した
新しい住居となった前哨基地にて
「・・・今の音は?」
「銃声です。おそらく指揮官が使うような人間用の物だと思います。」
「今日、お客様が来る予定はなかったよな?」
「はい。となると泥棒ですかね?」
「アウターリムじゃないんだからそんな事無いでしょ。第一、ここに盗むような物もないし。」
「本当に低い確率だが、何か起こってからでは困る。戦友はカウンターズが守っているとはいえ、人質にされたらどうしようもないはずだ。」
「まだ2回しか見てないですが、彼女達が不意を突かれるような相手なら相当の手練れだと思います。」
軽口を飛ばしながらも顔つきは戦闘時のものになっているニケ達にため息を吐きながらも指示を出す。
「・・・だよなぁ。総員、戦闘準備。サプライズ好きなお客様にはサプライズでお返ししてやるか。」
「08です。指揮官室にてカウンターズを発見。・・・全員倒れてますね。指揮官に外傷は見られません。」
「まじかぁ・・・。仕掛け人は?」
「数は3。チビが2人と長身が1人いずれも女性。・・・長身の腹部から血が出てますね?」
その言葉で今何が起こっているかを理解する。
ワードレスはこのタイミングだったか。
「チビが1人で出口の方を向きました。帰るんですかね?」
「何もせずに帰るのかな?」
「そんなわけないでしょ。少なくともカウンターズはやられたみたいだし、手練れかな?まあ、殺しても正当防衛でなんとかなるでしょ。」
「ニケが人に危害を加えた時点で終わりよ。指揮官。どうしますか?」
「決まってる。こうするんだ・・・よっ!」
勢いよく扉を蹴り開け、すぐさま元凶と思われる人物に銃口を向け声を張り上げる
「動くな!A.C.P.U.だ!」
「・・・違いますよね?」
「・・・!お前達は完全に包囲されている!武器を捨て今すぐに投降しろ!」
「何なのよあんた達!」
ツッコミを入れるF.A.を無視するようにE.G.が便乗するがいきなりの事に条件反射で困惑の声を上げる
「警告はした!従わない場合は制圧する!」
「田舎のお袋さんも泣いてるぞ!」
「・・・頭痛くなってきた。」
ついには呆れて頭を抑えるF.A.に同意するようにクソガキも癇癪を起こす
「あー!もう!どいつもこいつも!ミハラ!」
「はぁ〜い」
「シュエン!」
「指揮官!」
「!・・・能力持ちのニケ?!貴女!何をしたの?!」
F.A.の言葉が聞こえていないのか半狂乱のように騒ぎ出す
「
「・・・とりあえず能力を解除しなさい。貴女の能力範囲がどれほどか知らないけど、こちらには貴女を狙っている味方もいる。変な事は考えない事ね。」
F.A.がミハラの頭部に銃口を向け投降を勧める。その言葉に諦めたのか素直に手を挙げると体が自由を取り戻した
「ゴム弾でめちゃくちゃにされるのも楽しそうだけど、シュエンの倒れ方が危なかったから検査の方が優先ね。救急車は手配してくれるのかしら?」
「
「・・・それもそうね。ユニ、行きましょ。」
F.A.との軽口に納得したのかミハラはシュエンを抱いてユニと部屋を出て行った
「・・・で、結局何の用だったのよ。」
アニスの呟きに答えられる者はいないまま散らかった指揮官室の掃除が始まった
ジャッジスⅦの行動原理が、クロウと同じと言われてて笑っちゃったんすよね。
それはそうとアルカナ、セイレーン。金を貸して欲しい。このピエロにはFXで為すべきことがある!!いっぱい稼げたら幸せにするから!