《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》星12/攻3500→4000
魔法・罠
伏せカード1枚
プラシド LP4000 手札5→6枚
魔法・罠
《無限霊器》(霊器カウンター40)
伏せカード2枚(《ゴースト・コンバート》含む)
後方よりジャックを追うのは遊星とのデュエルに敗北し真っ二つになっていたはずの男。傷一つなく修復されたプラシドだが、その目元には以前はなかった赤い模様が付け足され、何らかの強化を施されたように見える。
「来たなプラシド! 遊星に負けた貴様がオレのバーニング・ソウルに適うはずもない! ルチアーノと同じように叩き潰してやろう!」
「何も知らない虫ケラの言葉など雑音も同然。俺の機皇帝の前にひれ伏すがいい!」
「「デュエル!」」
「俺のターン、ドロー!」
ジャック SPC 4→5
プラシド SPC 4→5
プラシドがエースモンスターを出す準備を開始するよりも早くジャックが動く。
「貴様のスタンバイフェイズに罠カード《砂塵の大竜巻》を発動! 伏せ状態となっている《ゴースト・コンバート》を破壊する!」
《ゴースト・コンバート》は自身の効果でまた伏せられるため、どこにあるかの場所は既にわかっている。そしてコアとなる機皇帝がいなければこの罠の効果は使えない。
また、前のターンで起きた攻防からするにルチアーノが残した伏せカードの中に罠を妨害できるカードは無い。――つまり、この破壊は防ぐことができない。
「チッ……《ワイズ・コア》を召喚!」
《ワイズ・コア》
星1/守0
「スピードカウンターが2つ以上あるため《
召喚されたモンスターに雷が落ちて即座に破壊される。破壊されることで役目を果たした白い機械卵の跡から光が溢れる。
「効果で破壊された《ワイズ・コア》の効果発動! デッキより《機皇帝ワイゼル
《機皇帝ワイゼル
星1/攻0→2500
《ワイゼル
星1/攻500
《ワイゼル
星1/攻1200
《ワイゼル
星1/守1200
《ワイゼル
星1/攻800
白の機体たちは人の形に合体し、幾度となくシンクロ使いに絶望を与えてきたシンクロキラーとしての姿を見せつける。
「《機皇帝ワイゼル
「その効果は《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》には通用せん! 《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》効果発動! 自身を除外して相手モンスター1体の攻撃を無効にする!」
無限から伸びた光の先にいたシンクロモンスターは炎となって消える。
これでジャックのフィールドに残っていた唯一のモンスターが去り、男の場からはカードが無くなった。
「この俺を侮った報いを受けろ! スピードカウンターが4つ以上のため《
「ぐっ……この程度!」
ジャック
LP 4000→2750
敵意と殺意の入り混じった効果ダメージがジャックを襲う。……だが、デュエル開始前にダメージを実体化させる合図となる無限の模様は発生しなかったため、このダメージはソリッドビジョンによるただの衝撃とDホイールのブレに変換される。
「バトルだ! 行け、《機皇帝ワイゼル
迫り来る機皇帝。振り上げられた剣はシンクロ召喚を使う愚か者を両断せんとぎらつく。
「《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》の効果による攻撃の無効化は対象を取る。貴様は《機皇帝ワイゼル
「甘いわ! 墓地の《ネクロ・ガードナー》を除外して《機皇帝ワイゼル
これまで影も形もなかったモンスターにより機皇帝の攻撃は止められた。
「《ボーン・デーモン》によって墓地に送っていたカードか……残る《ワイゼル
「《ワイゼル
パーツたちが分離し砲撃を実行。そのうち一つは炎による陽炎で逸らされたが、残る二つは避けられない。分離した機械は再び合体し元の人型に戻る。
「うっ、ぐっ……!」
ジャック
LP 2750→2250→1450
連続して受けたダメージによりホイール・オブ・フォーチュンがぐらりと揺れる。幸いにもクラッシュはしなかった。だが、今注視するべきはそこだけではない。
プラシドの手札にもしも《
緊張からデュエルを観戦するチーム5D'sの手に力が入る中、プラシドはフンと鼻を鳴らす。
「カードを3枚伏せてターンエンド!」
プラシドの魔法罠ゾーンは発動済みの《無限霊器》と4枚の伏せカードで埋まる。相手の手札はもうない。どうやら《
「エンドフェイズに《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》はオレのフィールドに帰還する!」
あと一押しで倒れてしまう程度のライフポイントしかないが、ジャックは弱った様子を一つも見せず、闘志を漲らせ声を張り上げる。
「先のターンで仕留めきれなかったことを後悔させてやろう! オレのターン、ドロー!」
ジャック SPC 4→5
プラシド SPC 4→5
「《変容王 ヘル・ゲル》を守備表示で召喚! そして召喚に成功した《変容王 ヘル・ゲル》の効果を《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》を対象に発動! 自身のレベルを対象のモンスターと同じにし、レベル×200のライフポイントを回復する!」
《変容王 ヘル・ゲル》
星1→12/守100
ジャック
LP 1450→3850
スライムのようなモンスターはぐにゃぐにゃと彼のエースモンスターと似た姿に変形した後、決闘者に回復をもたらす。ジャックのライフポイントはデッドラインから安全圏へ。呼吸を整え、更なる効果を宣言する。
「更に《変容王 ヘル・ゲル》の効果発動! レベル12となっているこのモンスターよりレベルの低い悪魔族モンスター、《至天の魔王ミッシング・バロウズ》を手札から特殊召喚!」
《至天の魔王ミッシング・バロウズ》
星10/攻3100
種族は悪魔であるが、そのモンスターの見た目は竜とよく似ていた。長い体と翼を銀河の色で染め、飾りとして金輪で惑星を繋ぐ。王を呼称するに相応しいオーラを放つ悪魔が君臨する。
「そいつは……!」
この時代に存在しないはずのモンスター、とプラシドは叫びそうになるのを何とか堪えた。ジェイド・アトラスのいる方角へと睨みを効かせるが、残念ながら怒りは届かない。
「《至天の魔王ミッシング・バロウズ》を手札から特殊召喚したため効果発動! モンスター1体と魔法・罠カード2枚を相手のフィールド・墓地から除外する!」
「一気に3枚もの除外はさせん! 罠カード《ブレイクスルー・スキル》発動! そいつの効果を無効にする!」
効果は止められたが、その程度でジャック・アトラスのパワーデュエルは終わらない。
「《
《ワイゼル
守1200→攻0
機皇帝を構成するパーツのうち、ガードと名のつくものは戦闘に対しての効果を持つ。《スキエル
守備表示ならダメージは受けないが、攻撃表示になってしまえば《ワイゼル
「《至天の魔王ミッシング・バロウズ》で《ワイゼル
守りが甘くなった盾を悪魔は打ち砕く。攻撃力0のモンスターへの攻撃のため、与えたダメージは悪魔の攻撃力と同じ3100。
「がああっ!」
プラシド
LP 4000→900
《無限霊器》
霊器カウンター40→71
「これでトドメだ! 《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》で《機皇帝ワイゼル
「ぐおああぁああ――ッ!」
プラシド
LP 900→0
《無限霊器》
霊器カウンター71→80
中核を成すモンスターが倒れたためパーツは全て自壊していく。謎の多い永続罠にカウンターが増えていく音よりも、仲間たちが勝利を喜ぶ声が会場内に響き渡る。
『ルチアーノに続きプラシドとのデュエルでも勝利! ジャック・アトラスの快進撃はどこまで続くのか! 予選でジェイド・アトラスが見せた3人抜きを……まさかまさか決勝戦で成し遂げてしまうのかーッ!?』
「…………」
勝利。そう、確かに勝利したが……ジャックにはどこか違和感があった。きっとチームの仲間たちも同じものを感じ取っている。
ここまでのデュエル、あまりにもあっさりとしている。しすぎている。
過去行われたデュエルで見えてきた性格と違うカード運び。デュエルの動きがあまりにもらしくない。
ならば、考えられることはひとつだけだ。
奴等は勝負を捨てたわけではなく、己という存在そのものをチーム全体の勝利へと捧げた――!
「……フン、これでいいんだろう」
プラシドは己の成したことを振り返る。
ジャックの手札は0枚。伏せカードは無し。対するこちらは《無限霊器》と伏せカード3枚を引き継ぐことができた。ラストホイーラーであるホセに繋げるにあたり最高の状態と言ってよい働きだ。
「真の力を発揮するためとはいえ、この俺にここまでさせたんだ。……ホセ、わかっているよな?」
己の使う
「下っ端からの心配なんかいらないだろ。あいつのカードを全部使わせ、ホセの力を思う存分使うための下準備は終わった。後は僕たちが――チームニューワールドが勝つだけさ。きっひゃっひゃっ……」
この後に訪れる更なる絶望を前に、チーム5D'sが絶望する様を想像してルチアーノは笑う。
かくしてプラシドからバトンを受け継いだホセだが――足裏のブースターを作動させ、ガキンガキンと人ならざるものの足音を響かせて走り出した。
『おぉっとどうしたことだー!? ラストホイーラーホセが自らの足で走り出したぁー!』
「あいつ何やってんだ!?」
相手チームのラストホイーラーの突然の奇行。セカンドホイーラーのクロウも思わず身を乗り出して異変を目視する。
「Dホイールに乗らないのかよ」
「何をするつもりだ……」
龍亞も遊星もホセが何を狙っているのかわからず、ただ困惑だけが広がっていく。
ピットの格納庫から解放され、一人でに走行する
「――ハハハハハ! チーム5D'sよ、覚悟するがよい! これからが本当の勝負。我等の力を思い知らせてやる!」
ホセは上空へと飛び上がり、下半身が人体の可動域を超えて折れ曲がる。稲妻のように可視化されたエネルギーが決闘者とDホイールを繋ぎ……そして二つが合体する。
『なーんと、DホイーラーがDホイールと一体化したーっ! これぞDホイールの最終進化形態! チームニューワールド、優勝にかけるデュエリストの魂を見たーッ!』
完成したのは半人半駆の異形、ホセ獣輪態。
何も知らない観客は突然の合体に己の目を疑っていたが、好意的な解釈をした実況で混乱は抑えられ、本来なら受け入れられるはずのないことがまあそんなことも起きるかもしれない……と受け入れてしまっている。
「……とうとう本気を出してきたか」
「ここまで来たら、サーキットは完成したも同然……彼には会える。大丈夫、大丈夫のはず……」
ブルーノとジェイドは疾る男を見て呟く。
「行くぞジャック・アトラス。まずは貴様から葬ってやる」
「出来るものならやってみるがいい!」
「「デュエル!」」
「私のターン、ドロー!」
ジャック SPC 5→6
ホセ SPC 5→6
ラストホイーラーとのデュエルが開始すると同時に互いを繋ぐのは無限を描く光の模様。
「これは……!」
それはダメージが現実となる合図。
「《グランド・コア》を守備表示で召喚!」
《グランド・コア》
星1/守0
大地を思わせる色合いの機械がホセの横に現れる。
「罠カード《ボム・ブラスト》発動! このターンバトルを行なっていない《グランド・コア》を破壊し、400のダメージを相手に与える!」
ジャック
LP 3850→3450
爆風による熱が肌をちりりと焼き、ホイール・オブ・フォーチュンの機体に煤が付着する。
「やはり、ダメージが現実となっている……!」
「たった400のダメージに怖気付いたか? ならば更なる絶望を見せてやろう――最強の機皇帝の姿を! 効果で破壊された《グランド・コア》の効果でデッキより《機皇帝グランエル
《機皇帝グランエル
星1/攻0
《グランエル
星1/守0
《グランエル
星1/攻1300
《グランエル
星1/守1000
《グランエル
星1/守700
5体のモンスターが合体し完成したのは見上げるほどの巨体。ダイダロスブリッジでホセがその姿のみを晒した機皇帝。戦車と人間が混ざったかのような重量級の機皇帝は赤いモノアイを光らせて君臨する。
「攻撃力が0だと……?」
「《グランド・コア》の効果により特殊召喚された《機皇帝グランエル
《機皇帝グランエル
攻0→2000
「ハ、攻撃力2000でよくも最強などとほざけるものだ!」
「そう慌てるな。スピードカウンターが4つ以上あるため《
「あの永続罠はこのために……!」
ルチアーノとプラシドの敗北により貯められていた霊器カウンターの数は80。その100倍、8000という膨大な数値がホセのライフポイントに加わる。
ホセ
LP 4000→12000
《機皇帝グランエル
攻2000→6000
ホセのライフポイントが増加したと同時に機皇帝の攻撃力も変動する。パワーを超えたパワー、とジャックが誇ってきた《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》の攻撃力を上回る。
「攻撃力6000だと……!?」
「《機皇帝グランエル
「させるか! 《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》の効果発動――」
何度も絶望をもたらす光を回避してきたから今回も逃れられるはずだ……そんな希望を摘み取るかのようにホセは更なるカードの発動を宣言する。
「無駄だ。《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》を対象に《迷い風》を発動。対象の効果を無効にし、元々の攻撃力は半分になる」
炎は風に絡め取られて消える。フィールドから去ることができず実体が残ったままのドラゴンは光に捕らえられ、機械の内側へ呑み込まれていく。
「なっ、《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》!」
「そして《機皇帝グランエル
《機皇帝グランエル
攻6000→9500
「カードを2枚伏せる。バトルだ! 《グランエル
守備表示のためダメージは受けない。……だが、ジャックのフィールドには攻撃表示のモンスターが1体残っている。
「《機皇帝グランエル
シンクロモンスターを吸収して得た力を解放し、大いなる殺戮者による砲撃がこの時代にあってはならない悪魔を屠る。
「――――ッ!」
ジャック
LP 3450→0
発生する戦闘ダメージは6400。ジャックのライフポイントを過剰に削り取り、モンスターの破壊音や決闘者の苦悶すらもかき消すほどの一撃が世界を揺らす。
ホイール・オブ・フォーチュンは幸いにも走行不能にはならずピットに帰ってくることはできたが、今にも気を失ってしまうほどの大怪我を負ったジャックは帰還してすぐに治療のため担架に乗せられ運ばれていった。
クロウは現在の状況を確認する。
ホセの場には最強の機皇帝と3枚の伏せカード、吸収して奪われた《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》。そしてあの機皇帝も間違いなく対象に取れない耐性を持っている。
「シンプルに高い攻撃力と対象耐性、しかもパーツ達の効果はどれも不明ときた……!」
厄介。それに尽きる。
「……クロウ、本当に戦うの?」
ぎゅ、と龍可がクロウの手を掴んで引き止めようとする。チーム内で何度も特訓し互いのカード効果を把握しているが故に、相性の悪さを皆がわかっている。ダメージが現実となるデュエルをして無事に戻ってくる保証はない。
「ここで俺が逃げちまったらジャックが繋いできた全部が無駄になる。俺は……俺たちは希望を繋げるために戦うんだ」
不安げな龍可を安心させるため頭をぽんぽんと軽く叩く。
「チームラグナロクの時のクロウ様の活躍を忘れたのか? あのぐらい心配いらねえよ! じゃ――行ってくるぜ!」
こうしている間もアーククレイドルは空にずっと存在している。あの建造物が現れる目的も、上空にあったという事実すら一般人が知らないまま終わらせるために。
全てはネオドミノシティを守るため、チーム5D'sはチームニューワールドとのデュエルは続行されるのだった。