これは恵理香が久々に日本に帰った時の話だ。
通常援助隊への艦艇の派遣は1年毎であり、はるなもそれを終えて日本へ戻る予定だったのだが。
恵理香と乗員達ははるなを置いて航空警備隊の輸送機で日本へ戻る事になったのだ。
異例だったがこれは有事(巨大有害生物出現)に直ぐ対処する為だと恵理香は理解した。
まあ予想はしていた、今や恵理香達は対巨大有害生物のエキスパートだ。
簡単にはそれから離れられないだろうとは恵理香も予想していた。
要は有事に備える為人員だけ一時帰還させ艦艇は現地で待機と言う事らしい。
はるながパールハーバーのアメリカ海軍ドックに入り整備と点検を行う事になったのはそういう事情があったからのだと。
まあ恵理香が予想していなかったのはそれだけでは無かったのだが。
それは乗員達と空港に着いた特に起こった。
「も、もしかして対策チームの牧瀬艦長ですか?」
後から思えばこの時人違いだと言っていれば良かったのだが恵理香は馬鹿正直に「え、ええそうですけど。」と答えてしまったのだ。
その瞬間話し掛けきた若い女性は「ファンなんです!」と言われ、それを聞いた周りに居た老若男女に取り囲まれる事になったのだ。
本人は知る由も無かったが恵理香は日本では知らぬ者の居ない有名人、正に時の人になっていたのだ。
南太平洋における怪獣退治は連日テレビや新聞そしてネット等で報道されていたからだ。
それもあって恵理香を描いたドキュメンタリーや活躍を描いたテレビドラマ(後日映画化される事が決まった)まであった。
もちろん恵理香本人の知らない所でだ、まあこれには警備隊や政府の思惑もあったからだが。
お陰で空港を出るのに小一時間掛かってしまい警察まで出動するという騒ぎになってしまったのだった。
この為恵理香だけ混乱を避ける必要からパトカーで警備庁へ向かうと言う目にあった。
だが到着した恵理香の受難はこれで終わりでは無かった、急きょ警備庁で開かれた記者会見で出席させらてしまった。
後日には警備庁長官からの怪獣退治への功績に対する表彰や何と官邸での首相との会合(双方テレビ中継された)まであったのだ。
これら予想外の連続に恵理香が頭を抱えたのは言うまでもない。
なお余談だが恵理香がこういう羽目に陥った原因である特撮オタクに彼女をさせた従兄は・・・
「凄いな怪獣退治の専門家様。」
と余計な事を久々に会った恵理香に言った為、「貴方が元凶でしょ!!」と鍛えられた足腰から放たれた蹴りを食らい撃沈されたのだった。
なお恵理香の両親のうち父親は喜んでいたが、母親の方は娘の特撮オタクを知っていた為か複雑そうな様子だった。
こうして恵理香の休暇は散々な結果で終わり、彼女はまったく休んだ気になれないままはるなに戻るのだった。