「まじか?」
「ああ、島の中央部に光が見える、これは何かあるぜ。」
とあるクルーザーに乗船していた男女6人の若者たちが操舵室ぁら前方に見える島を見ながら話をしていた。
「それって前にネットの動画で見たやつじゃないか。」
男の一人がそう言ってスマホで確認しようとしたが。
「そうだけど・・・あれ消されているぜ、投稿した奴のアカントも無くなってやがる。」
「ふ~ん、でその光ってなんだとその投稿者は言っていたの?」
女の一人が聞いてくる。
「そいつも何か分からなかったらしいぜ、調べて結果をまたネットにのせるって言っていたんだけど。」
スマホをいじりながら聞かれた男が答える。
「まあそれも上陸してみれば分かるぜ・・・」
皆その島を見つめる、皆興奮を抑えきれない表情で、また功名心で・・・
だがそれが連中にとって悲劇になるとは知らずに。
「あれって・・・漁船か?」
島の海岸線に船を近づけた若者達は、漁船が傾いた状態で浮かんでいる事に気づく。
「どこの漁船だ?おい船名を検索してみろよ。」
言われた男がスマホで船名を検索をしてみる。
「・・・半年前に消息を絶った日本の漁船みたいだな、捜索はもうされていないようだが。」
さらに情報を読み進めた男はある事に気づき眉を顰める。
「妙だな・・・関連のニュースはどれも削除されているか閲覧不能になってやがる。」
「それって、もしかして影の政府の陰謀か?この島に何か秘密が。」
興奮して都市伝説な事を言い出す男の1人に皆呆れた様な表情を浮かべる。
「まあ、影の政府は大げさだけどさ、どこかの国が関わってるんじゃない、港を出発する前にさ。」
若者達は近くの島の港で補給と情報収集した時の事を思い出す。
地元の漁師達ならこの島の事を知っているかと思い彼らの元を訪ねてみたのだったが。
陽気そうだった漁師たちは話が例の島の事になると一応に口を噤み、こう言って若者達を追い払ったのだ。
「あの島に行こうなんて自殺行為だぞ、もっといい海は他にある、止めておけ。」
多くの漁師たちに門前払いされた若者達がようやく話を聞けたのは港に来てから半日以上たってからだった。
その漁師にもかなり嫌な顔をされたが、金を積む事で何とか話を聞く事が出来た。
「なあどうしてダメなんだよ・・・理由は一体?」
若者に聞かれた漁師は暫し躊躇していたが答える。
「その島は昔から絶対近寄ると二度と帰ってこれないって噂があるんだ。」
そう言った漁師は更に声を落として続ける。
「それに役所から最近になってあの島どころか海域に絶対近づくな、近づけば処罰されるって通達があったんだ。」
「役所から通達?なんだそれ・・・」
「知らんよ、前にお前達みたいに島に近づそうとした連中がいたそうだが、国連災害援助隊の哨戒機が飛んできて島に近づくなと警告されそうだ。」
漁師は肩を竦めながらその顛末を若者達へ話してくれる。
「その連中無謀にも無視していこうとしたらしいが・・・爆弾を船の周りに落とされてな、渋々かえってきたらしい、そして待ち構えていた警察に連行された。」
若者達はその顛末に絶句してしまう、援助隊に爆弾を落とされたうえに警察に捕まってしった連中の話に。
「だから絶対にその島に行くなんて考えるな、噂はともかく援助隊に追い帰され、警察の捕まりたくないだろう。」
これ以上その話はしたくないと言って漁師は周りを気にしながら去っていった。
「援助隊がそんな強引な方法で島に近づけさせないって言うくらいだからな、国連が黒幕って訳か。」
しかし何故国連がそんな事をすのか若者達は訳が分からなかったが、相手が大物だと思うと余計闘志がわく。
何かの陰謀を国連が隠している、その島に証拠があるのだ、だから彼らは誰も近づかせないのだと。
「よし俺達がそれを暴いてやろうぜ、上手くいけばヒーローだぜ。」
若者達はそんな薄っぺらい正義感が何を招くかその時点で気が付く事無く島に上陸するのだった。
島に若者達が上陸する3時間前。
ハワイパールハーバーにある国際航路安全情報センター。
当直に付いていたオペレーターの見ていたディスプレーに突然警告を表すポップアップが表示される。
「これは・・・」
オペレーターはその表示を見て緊張した表情を浮かべると電話を取り番号を押す。
「援助隊本部に緊急連絡を・・・封鎖海域に侵入船舶あり。」
放置された漁船そばに上陸した若者達は森の中に入って行く。
暫し無言で歩いていた若者達はやがて森を抜け開けた場所に出て驚きに目を開く。
「おいこれって・・・」
光閃くオブジェが見える限り広がる光景に。
「なあこれって水晶の塊なのか?」
男が呆然とその光景を見ながら問い掛けるが、誰もそれに答えない。
皆その幻想的な光景に言葉が出なかったからだ。
「しかしこれが国連が隠して置きたかった秘密なのか?」
ただ水晶らしきものが多数あるだけだったので若者達は落胆してしまった。
もっとも若者達も具体的に何が有るかとは考えていた訳では無かったが。
「・・・でも綺麗ね、これって持って帰っても良いのかな?」
女がそう言って水晶群を指さす。
「そうだな持って帰れば大儲けだぜ。」
男がそう言って女と共に水晶に近づいていく。
「そうかもしれないけどよ・・・何か嫌な感じがするぜ。」
残った男がそう言って顔を顰めていう。
「うん、これってヤバくない?」
もう一人の女が同調する様に言って後ずさる。
「何怖気ついているんだよ、まあ怖いならそこで見てろよ。」
恐れた男女2人を残しもう一組の男女は水晶に近づいていく。
「ねえ、水晶の中に何か入ってない?」
近寄った女が目を凝らしながら一緒に来た男に言う。
「何が入っているって・・・へっこれって?」
男が何が中に入っているものに気づいて声を上げた瞬間だった。
水晶の前の砂が突然弾け何かが飛び出して男に絡みつく。
「うぉぉぉ!!」
絡みついたものが触手だと気づいた男が叫ぶが容赦なく引きずられて行き、水晶の前面に開かれた穴に飲み込まれてしまった。
「きゃぁぁ!!」
傍にいた女が叫び座り込んでしまう。
「馬鹿!早く逃げろ!」
残された男が叫ぶが女は腰が抜けたのか動く事が出来なかった、そうしている別の水晶から伸びてきた触手が動けない女を絡めとる。
何とか伸ばし助けようとするが間一髪で間に合わず先の男と同じように飲み込まれてしまう・
「ど、どうするのよこれ!?」
周りにある水晶から触手が現れ残された2人に向けて向かってくる。
「ひぃぃ・・・」
男は女を引っ張て逃げようとするが足が縺れ2人は倒れてしまう。
その2人に触手が迫り2人はこれで終わりだと絶望した時だった。
銃声が響き触手が弾き飛ばされる、と同時に男は両腕を掴まれ引きすられて行く。
女もこちらは抱きあがられ水晶群から引き離されて行く。
男は自分の腕を掴む者達が迷彩服と鉄帽を身に着け小銃を持つ兵隊だと気づき呆然とする。
「班長、2名を救助しました。」
「よし後方へ連れて行け、総員射撃中止、下がるぞ。」
男は周りの兵隊達の会話を呆然と聞いているうちに引きずられていたが。森に入ると立ち上がらされて海岸方向に連れられて行く。
最早何が起こっているか分からなかった男はそれでも助かった事は理解できたのか急速に意識を失ってしまう。
やがて男が意識を取り戻しすとベットの上に寝かされている事に気づき周りを見渡す。
そこはベットが幾つも並んでいる部屋で隣のベットには女が居たが彼女はまだ意識を取り戻していなかった。
「ここは?」
部屋の様子と漂う消毒液の匂いから男はここが病室だと気づき、自分達があの化け物に襲われて事を思い出す。
その時部屋のドアが開けられ白衣を着た女性が入ってきて震える男に声を掛ける。
「意識が戻ったようですね・・・気分はどうですか?」
今度は分かる言葉にほっとしつつ答える。
「ああ大丈夫だ、ここは?」
「巨大有害生物担当チーム所属はるなです。」
その答えに男は驚愕して聞き返す。
「対策チーム・・・怪獣・・・あれが?」
「それについては暫くお待ちください。」
白衣の女性はそう言って部屋にある電話機を取ると何処かと会話を始める。
「はい艦長、目が覚めました、了解です。」
電話を終えた女性が戻って来て男に言う。
「今艦長が来られますのでお待ち下さい。」
10分後ドアが開けられ白い制服を着た女性が入って来ると、白衣の女性が敬礼をして言う。
「お待ちしておりました艦長。」
「ご苦労様です、2人の容態は?」
艦長と呼ばれた女性はベットに横わたる男女2人を見ながら問い掛ける。
「打ち身と軽傷程度です、ただ精神的なショックが残っているようです。」
白衣の女性いや医者は艦長にそう説明する。
「ですので事情を聴くのは短時間でお願いします。」
医者はそう言って後ろに下がり艦長は男の傍に行くと声を掛ける。
「担当チーム長の牧瀬 恵理香です、お話をお聞かせ願います。」
「エリカ・・・あのモンスターハンターの?」
「いえそれは・・・何故あの島へ行かれたのですか、止められたでしょうに。」
モンスターハンターと言われ恵理香は一瞬顔を引きつさせたが何とか表情を戻して男に質問する。
男は島で襲われるまでの経緯を素直に説明する、隠す気力はもう無かったからだ。
隣に寝ている女性はずっと泣き続けており話が出来なかった。
「それで助けてくれたの対策チームだろ、どうして俺達が島に行ったのが何故分かったんだ?」
その点を不思議に思った男が恵理香に質問する。
「貴方の船の識別信号が侵入禁止海域に入るのを航路安全情報センターが感知し援助隊を通して対策チームに連絡がありました。」
船舶は常に船名や所属を発信する事が義務付けられおり、その信号を元に船舶の安全を守っているのが国際航路安全情報センターだ
問題の島を含む海域は誰人も立ち入る事を禁じられており監視下に置かれていたから連絡が直ちに対策チームに入り向かったのだった。
「ドローンで貴方達を見つけ部隊を上陸させたのですが・・・」
恵理香はそこで言葉を切ると沈黙する、男は目の前で水晶に飲み込まれた友人達がどうなったのか恐る恐る尋ねる。
「ジャクとミナは?」
「・・・お二人を助けるので精一杯でした、水晶に捕らわれた方々は残念ながら助からないでしょう。」
硬い表情で恵理香が答えると男は俯き震え、女は顔を覆うと嗚咽を漏らす。
「貴方はこの後パールハーバーで待機している警察へ引き渡す事になります。」
「俺達は・・・これからどうなるんだ?」
恵理香からそう言われた男は顔を上げ縋る様に聞いてくる。
「事情を聴かれる事になります、その後の事は貴方の国と国連の話し合いの結果によります。」
まあ2人は暫くは監視下に置かれ後に所属する国へ送られ法律に沿った刑罰を受ける事になるだろう。
その刑罰がどんなものになるか恵理香には答えられなかった。
「後をお願しますね。」
呆然となる男とただ泣くだけになってしまった女を気の毒そうに暫し見つめた後恵理香は医務官に命じて医務室から出て行った。
もう対策チームとしてはしてあげられる事はなかった。
その後はるなはパールハーバーに向かい2人を警察に引き渡し今回の事件は終わった。
2人が故国に戻った後どうなったかを恵理香は結局知る事は無かった。