巨大有害生物担当チーム   作:h.hokura

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第6話「姿なきもの」

「こちらニウラキタ島、至急救援願う繰り返す至急救援願う!!」

村の無線局で通信士が必死になって救難要請の通信を送っていた。

『・・・こちら国連災害援助隊所属はるな、ニウラキタ島へ状況を報告願います。』

通信が受信され通信士は喜びの表情を浮かべるが、直ぐにまた必死な表情に戻ると状況を伝え様とする。

「島で異常事態が発生、村人が・・・ぎゃぁぁ!!」

だがその直後何かが覆い被さり通信士は悲鳴を上げる。

『ニウラキタ島資源採掘プラント、どうしました?応答して下さい。』

通信機のスピーカーから呼び掛ける声が聞こえるが、無人の通信室に虚しく響くだけだった。

数時間後、ツバル諸島ニウラキタ島の沖合にはるなが現れた。

艦橋のディスプレーに映し出された村に人の姿はまったく見られなかった。

「通信室、こちらの呼び掛けに応答は?」

艦長席に座って居る恵理香が艦内電話を通信室に繋ぎ問い掛ける。

『今の所応答無しです艦長。』

その答えに恵理香が眉を顰めながら今度はレーダー室に電話を繋ぎ直し問い掛ける。

「レーダーに何か反応はありますか?」

『付近に他の船舶の反応無しです艦長。』

「分かりました、監視を続行してください。」

電話を戻すと恵理香は溜息を付くと次の指示を出す。

「両舷停止・・・総員警戒配置に。」

「両舷停止。」

「総員警戒配置繰り返す総員警戒配置。」

恵理香の指示が復唱されはるなが沖合に停船する。

「小銃班の出発準備を。」

「小銃班は出発準備に入って下さい。」

指示を受け三浦1尉以下小銃班員達が出発準備を開始する。

『小銃班出発準備完了です艦長。』

やがて出発準備が終わったことが報告される。

「では出発して下さい。」

艦後部のウェルデッキからLCAC1号が滑り出して行く。

そしてLCAC1号は村の手前の砂浜に上陸すると停止し三浦班長は班員達と共に降り立つ。

「艦長上陸した、周囲には相変わらず人影無しだ。」

三浦班長が無線ではるなに伝える。

『了解です・・・三浦班長なら大丈夫だと思います慎重にお願いします。』

「了解だ艦長。」

通信を終え三浦班長は班員達に指示をだす。

「装備を確認次第出発だ、気を抜くなよ。」

「「「はい班長。」」」

班員達が三浦班長の指示を受け銃やその他の装備を確認すると村に向かって歩き始める。

村は動いている者はおらず不気味な静寂に包まれていた。

三浦班長は辺りを見渡して溜息を付きながら呟く。

「まるでゴーストタウンだな・・・嫌な予感がするぜ。」

首を振ってその予感を払うと三浦班長は班員達に指示を出す。

「これより3人1組の3チームで捜索に入る、残りは此処で待機、何か有れば直ぐに連絡を入れろ。」

「「「はい班長。」」」

班員達は指示通り3人一組になると三浦班長を先頭に村の中に入って行く。

村の中は何日もいや下手をすれば何週間も放置されていた様に見えた。

「ここの人口は35名だったな?」

一体皆何処へ行ったと言うのだろうと三浦班長は考えながら問い掛ける。

聞かれた班員がその状況を見ながら答える。

「はいそう聞いていますが・・・思ったより今回の件厄介かもしれませんね。」

人の気配はまったく無かったが荒らされた様子も無かったので何か事故が起こった結果だと三浦班長は思ったのだが。

村の中の様子に三浦班長達は言い様の無い不安に襲われるのだった。

「兎に角徹底的に調べるぞ、総員かかれ。」

3チームはそれぞれ家の中に入って捜索を開始する。

三浦班長達は一軒の家に入る、そこにはやはり誰も居なかったのだが、その代わりに見つけたのは脱ぎ捨てられた多数の服だった。

良く見てみれば下着まで含まれている。

「班長これは・・・?」

「・・・」

皆服を脱ぎ捨ててまで何をしようとしたのだろうか困惑する三浦班長に他のチームから連絡が入って来る。

『班長!今捜索している家ですが、誰も居ない代わりに・・・・』

「服だけが散乱しているか?」

『へっ?どうしてそれを・・・』

三浦班長の返答に報告して来た班員は戸惑った声を上げる。

「こちらも同じ状態だよ・・・」

困惑する三浦班長に残りのチームから報告が入って来る。

『班長、こちらも服だけが散らばっている状態です。』

これでは村人達は全員裸で居ると言う事になってしまうと三浦班長は眉を顰める。

「取り敢えずそのまま捜索を続行しろ、警戒を忘れるなよ。」

『『了解です。』』

各チームに捜索と警戒を指示すると、同行して来た班員に声を掛ける。

「奥の部屋を確かめろ。」

「はい班長。」

命じられた班員は奥の部屋へ向かう。

「俺たちはこの部屋を探すぞ。」

その間三浦班長と残った班員はリビングの中を捜索する。

リビング内は服以外にも料理や飲み物や散乱しており酷い有り様だった。

「食事中に襲われたってところか。」

一応隅々まで調べたのだが結局手掛かりになりそうな物は見つけられなかった。

「班長。」

そうしていると奥の部屋を捜索していた班員が戻って来て三浦班長にノートらしきものを見せてくる。

そこにはかなり乱雑な文字でこう書かれていた。

「家族が・・・突然何かに襲われ消えてしまった・・・だと?」

それを見た三浦班長はリビングに散らばる服を改めて見る。

「全員に通達、村の中に何らかの危険が潜んでいる可能性がある、引き続き警戒を怠たるな、異常を発見したら直ぐに報告をしろ。」

ベストに付けている通信機を作動させ三浦班長は全員に注意を促す、ここには得体の知れない物が居る可能性が高いと判断して。

「これから・・・」

そして連絡を終えた三浦班長が班員達に声を掛けようとした時だった。

『班長、至急広場にある倉庫まで来て頂けますか、何者かが鍵を掛けて潜んでいる様です!』

通信機から他のチームからの報告が飛び込んで来る。

生存者だろうか?それとも・・・三浦班長は頷くと答える。

「分かった直ぐ行く、そのまま監視を続けておけ。」

班員達に合図して三浦班長は家を急いで飛び出して行く。

・・・だから気付けなかった、キッチンの換気扇に何かが蠢いていた事に。

「班長、こちらです。」

倉庫に到着すると、ある扉の前に居た班員が三浦班長に呼び掛ける。

「状況は?」

「何度か呼び掛けてはいるんですが返答は・・・ただ中で動き回っている物音がします。」

扉に近寄った三浦班長は確かに部屋の中で誰かが動き回っている音がする事を確認する。

「・・・間違い無いな、おい救助に来たぞ、開けてくれ。」

そう声を掛けるがやはり返答は無い、だが更に動く音が増したところを見ると聞こえていない訳では無いと三浦班長は判断した。

「仕方ないな、多少乱暴だが扉を強制的に開けるぞ。」

出来れば穏便にやりたいところだが、一刻も早く状況を確認せねばならない。

「了解それでは・・・」

班員が頷くとドアを蹴破って開けたきなと部屋に突入する。

「ひっ!く、来るなあ!」

すると部屋に入った瞬間男が鉄棒らしき物を振り回しながら真直ぐ三浦班長に向かって突進して来る。

「!?」

三浦班長は咄嗟に身を捻って突進を避けると、男の腹に64式小銃のストックを叩きつける。

「ぐぇぇ・・・」

その三浦班長の一撃によって床に膝を着いた男は瞬く間に班達に拘束される。

拘束された男を一瞥した後三浦班長は倉庫の奥を見る。

「あああ・・・・」

「・・・・・」

奥には男女数人が固まり震えながらこちらを見ていた。

「俺達は国連災害援助隊所属はるなより捜索と救助の為来た。」

「こ、国連災害援助隊の?」

三浦班長の言葉に震えていた者達は安堵の表情を浮かべる。

「もう大丈夫だ、ところで他の連中はどこに行ったんだ?村には人影がまったく無かったが。」

その質問に安堵の表情を浮かべていた者達は押し黙ってしまう、まるで話す事自体が恐怖だと言う様に。

そんな様子に三浦班長は困惑の表情を浮かべる。

「あははは!!お前達も・・・あの化け物にやられるんだ・・・もうお終いなんだぁぁ!!」

突然拘束されていた男が喚きちらすと、押さえていた班員達を弾き飛ばし扉に向かって駆け出して行く。

「待て!何処へ・・・」

三浦班長が呼び止めようとするが男はそれに構わず外に飛び出して・・・

「ぎゃあああ!!!」

男は頭上から落下して来た液体の様な物に覆われて悲鳴を上げる。

「「「!?」」」

三浦班長達が見ている前で液体に覆われた男の身体は、服だけ残して溶かされ消えてゆく。

「・・・なるほどこれで謎が解けたな。」

服だけ残して消え去った人々は何処かに行ったのでは無く、この液体状生物に身体を溶解させられたのだと三浦班長は確信した。

そして男を溶解させた生物は今度は三浦班長達に襲い掛かろうと言うのか部屋に侵入して来る。

「・・・!」

三浦班長は小銃を液体状生物に向けると躊躇なく引き金を引く。

銃声が部屋に響き薬莢が三浦班長の足元に散乱して行く。

茫然としていた班員達は銃声に我に帰ると自分達の小銃を向け撃ち始める。

だが液体状の為か弾丸が命中し弾け飛んでも直ぐに元に戻ってしまいまったくダメージを受けた様子が無かった。

「射撃を止め!」

効果が無いと分かった三浦班長はそう言って班員達に射撃を止めさせると、倉庫内を見渡し隅に置かれている消火器に気付くと駆け寄る。

「班長!?」

班員が驚いた声を上げる中持って来た消火器を生物に向けてレバーを引く三浦班長。

放出された消化液が掛かると生物は液体状の身体を震わせると急速に部屋を出て行く。

後を追って三浦班長が通路に出ると液体状生物は村の奥へ向かって行く。

「液体状の生物に注意しつつ生存者を連れてLCAC1号へ後退する、交戦は許可しない!」

指示を受けた班員達は座り込んでしまった生存者を立たせると倉庫を飛び出し、それに三浦班長も続く。

「艦長、あちこちから液体状のやつが現れて向かって来ます!!』

家々の窓やドアから溢れ出してこちらに向かって液体状生物が押し寄せて来る。

「皆急げ!!」

班員達と生存者達を急がせつつLCAC1号へ向かう三浦班長。

背後から液体状生物が迫ってくる中、ようやくLCAC1号に辿り着いた三浦班長はまず班員達と生存者達を乗り込ませる。

「三浦班長!」

迫って来る液体状のやつを一瞥し三浦班長はLCAC1号に乗り込む。

「出発しろ。」

三浦班長が叫ぶと乗員はLCAC1号を発進させ港外のはるなへ向かわせる。

発進したLCAC1号から三浦班長が砂浜の方を振り返ると液体状生物がちょうど到達するところだった。

「これからどうするんですか班長?」

「俺には専門外だ、あとはこう言った事に慣れた艦長に任せますと通信しろ。」

三浦班長は班員の問いに肩を竦めそう答えるしか無かった。

その通信を聞いた恵理香は内心深いため息を付きつつ外部カメラが捉えた映像を見ながらケイに問い掛ける。

「パーク博士、あれは一体何だと思いますか?」

「今まで遭遇した事の無い生き物としか言い様が無いね艦長。」

腕を組みケイはお手上げだと言う様に答える、異端と呼ばれる彼女もこれには答えようが無かった。

「そもそもあれは生き物なんですか?」

共に映像見ていた副長が困惑した表情で呟く。

「私達から見たら異質な存在だね、もっともあいつも同じ様に思っているかもしれないけどね。」

液体状生物は砂浜上で蠢いていた、どうやら海上へは出られないらしい。

「どうやら他の所へは行けない様ですね、それがせめての慰めですか。」

恵理香がほっとした表情で言う。

「とは言え通常の兵器ではダメージを与えらそうもありません。」

恵理香が銃では駄目だったとの報告を受けていたのでどうすべきか考える。

「爆薬を使ったとしてもバラバラになるだけで効果は期待できそうも無いね、どうする艦長?」

ケイがそう言うと恵理香を見て聞いて来る。

「そうですね・・・あれは・・・」

悩む恵理香はふと液体状生物が蠢く桟橋近くに村に運ばれて来た燃料を貯蔵するタンクが有る事に気付く。

「機関砲射撃用意、目標は桟橋傍の燃料タンクと電源装置です。」

そう恵理香はかって見た特撮映画で同じような液状生物がどうやって始末されたか思い出したのだ。

「了解です艦長。」

恵理香の指示で艦橋の前後に装備された近接防衛用のガトリング砲が旋回してタンクと電源装置に向けられる。

『測的良し、照準合わせました。』

火器管制担当の報告に頷くと恵理香が命じる。

「撃ち方始め。」

「撃ち方始め。」

前部のガトリング砲がタンクを破壊すると貯蔵されていた燃料が液体状生物に降り掛る。

続いて後部ガトリング砲が電源装置を破壊すると、その火花が降り掛かった燃料に引火する。

「撃ち方止め。」

液体状生物は炎に包み込れ必死にそれから逃れようとするが、瞬く間に全身に燃え広がり逃れる術は無かった。

恵理香がケイと乗員達がその光景を無言で見つめる中、液体状生物は火の中に消えて行くのだった。

「帰りましょう、あとマーべリック准将に連絡を。」

液体状生物を飲み込んだ炎を見い詰めながら恵理香そう指示すると艦長席に座り溜息を付く。

あの映画の結末通りになったなと思いながら。

これでまた自分の名声(本人的には悪名)が広まるなと思って鬱になる恵理香だった。

そんな思いに駆られる恵理香を乗せはるなはニウラキタ島から離れて行くのだった。

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