The New American Dream   作:古魚

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第四五話 The New American Dream

 1946年1月31日。

 

「ようやく、この世界に平和が訪れた、亜細亜、欧州に新たな国際体制が整い、平和に向けて世界が一丸となることができた。まずは、この戦争に協力してくれた国民に感謝を申し上げる」

 

 ブランドの最期の演説が始まった。

 

「1939年のポーランド侵攻から始まった長く、苦しいこの戦争は世界中に爪痕を残した。勿論、我が合衆国でも多くの兵士が散り、残された者が多くいる。世界の平和のために散っていった兵士たちに、哀悼の意を表する」

 

 静かにそれを見守る国民たち。

 

「だが同時に、感謝も表明する。君たちのおかげで、アメリカは守られた。イギリスは守られた。フランスは守られた。北欧諸国は守られた。ベネルクス三国は守られた。日本は守られた。古き時代は終わりを告げた」

 

 その手には、星条旗が握られている。

 

「国民には兵士のほかに、戦場で散った敵兵、民間人へ祈りを捧げることを要求する。本来であれば、銃ではなく農具やチョーク、レンチなどを握り、静かに暮らすはずだった人々は、戦争と言う災厄のせいでその生活を手放すしかなかった。我が国が落とした爆弾たちは、銃を握らなかった民間人の人生すら奪ってしまった」

 

 黒人、白人、日系人、労働者、資本家、子供。

 

「それは全て、歴史上から消すことのできない。戦争という災厄は永遠に語られるからだ。だから合衆国の国民は、この歴史を忘れてはならない。覚えなくてはならないのだ、それが、勝者が行うべき義務だからだ」

 

 誰もがただブランドの言葉を、自身の心に留めていく。

 

「この先も、アメリカは世界の秩序を維持する存在であり、常に世界の最先端を行く大国であるだろう! 国民の義務を忘れず、日々邁進すれば、この国を中心に、世界は1000年の平和を享受し、人類は一層栄えていくことだろう! 合衆国に、栄光あれ!」

 

 ブランドはこれまでで、最も大きな声で、そう声高に叫んだ。

 演説会場は歓喜に包まれる。まばゆいフラッシュで写真を撮られるブランド、その顔には笑顔が浮かぶ、全ての方向へ手を振り、演説台を降りていく。

 

 国民は、ブランド(英雄)背中(最期)を見届けた。

 

 

 

 世界は、国際連合を中心に均衡が保たれ、平和を享受した。

 政界を去ったブランドの姿を見た者は、只一人としていない。取材や伝記を書こうとしたジャーナリストや記者たちは、死に物狂いでその痕跡を辿ったが、フィラデルフィアでブランドに似た人物が海を見ていたという証言以外、一切何もわからなかった。

 アメリカの情報を全て記録しているアーカイブにも、ブランドの名前と就任以降退任以前のことのみであり。一切の経歴が不明なままであった。

 

 謎大き大統領は、1950年代になると、そもそもそんな首相が存在したのかとすら囁かれた。一説には首相はルーズベルトのままで、あまりにも思想や行動の仕方が異なったため、別人と勘違いされていたという説すら浮上した。

 だが、当時を生きていた人物、その時の閣僚全員が証言する

 

「グリーン・ブランド大統領は、確かに存在した。彼は、この国を導いたのだ」

 

 その功績を称え、存在否定説を否定するように、銅像も建てられた。

 そこには、以下のような文章が刻まれている。

 

『~かの大統領は、新たな国際秩序の構築を叫び、荒れる世界を鎮めるために奔走した。彼の夢見ていた物は、彼に影響された者たちの夢へと広がり、最終的にはアメリカの新たな夢として、掲げられるようになっていた。~』

 

 今現在アメリカの脅威は、共産陣営を広げようと画策するソビエト。しかし、アジア圏が日本を中心とした大亜細亜同盟で結束しているため、拡大は難航している。

 大亜細亜同盟は国際連合と共同し、共産陣営の解体に努めているため、今の所、ソビエトは劣勢である。

 

 この先も、日本とアメリカは協力し合い、ブランドが掲げた新たなアメリカの夢は保たれ続けるだろう。

 アメリカを中心とし、主に日英と協力、世界平和を保ち続けるという、ブランドの夢は、保たれ――――

                           ~To be continued?~




第??話 戦争は終わらない

 19××年×月×日。

「順調に飛行中、予想通り、日本の防空警戒網には穴があったようだ。迎撃機が来ない」

<了解、書記長はすでにGOサインを出している。アメリカに一泡吹かせられると意気込んでいたぞ>

「そりゃいい。こんな手軽に作れて素晴らしい破壊力を持つ兵器を隠し持っていた罰を受けるがいいざ」

<ほんとはアメリカに落としたい所だがな>

「流石に遠いからな、一番仲のいい国に落とされて、守れなかった悔しさに嘆くがいいさ」

<悪だねぇ。まあこれも全て、第二次世界大戦の勝利は自分たちのもののように振舞い、ソ連を潰滅させようと目論むアメリカの自業自得だな>

「アメリカがハノーファーで投下したこの爆弾、上手く結果を集計することが出来なかったみたいだからな、我々がしっかり人間で実験してやろう」

<その意気だ>

「と、そんなことを話していたら目標上空だな」

<しっかりやれよ。同志は見ているぞ>

「了解。目標、大日本首都、東京。投下」

                   The New American Dream
                              ~END~
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