闇に堕ちた勇者、魔王になる   作:YuzuremonEP3

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後編は人間狩りのお時間となります。
ゴンド、ネージュ、そしてフォール。圧倒的な力を持つ3人がオーク達を救います!


第10話~魔王と亜人とブスと~ 後編

「さあ外道共。俺は外道が大嫌いなのだ。貴様ら…その首、二度と胴体に君臨できると思うなよ…?」

 

恐ろしい殺気を撒き散らし、ゴンドと名乗る騎士が冒険者たちに歩み寄る。

 

「何だァ、テメエ…」

 

「フン。貴様らに名乗るほどの者ではない。通りすがりの騎士だ」

 

「んなわけねえよなぁ!?んだよあのドラゴンはよぉ!」

 

「あれは…主君のペットだ」

 

「ペットォ!?」

 

ドラゴンをペットにする王など聞いたことがない。しかも銀色の鱗を輝かせたドラゴン…それは…

 

 

わたくしの名はステラ。魔王様がお困りなのに何もできずにオロオロするだけの情けないメイドでございます…。

 

「オークさん達が攻められているんですか!?」

 

「ああ。もう森の前にまでいる。時間がないんだけど…3人乗りはクレセントじゃできないなぁ…」

 

魔王様は北の大地の魔族たちを蹴散らした後、オークたち亜人が住まう森へ行き、親交を深めておられたご様子。いつの間にか亜人たちまで手中に収めておいでとは…さすがは魔王様です。

 

ですが、そのオーク達が今…壊滅の危機に瀕していると魔王様は仰っておられます。人間の謀略、魔王様から経緯をお伺いいたしましたがなんと卑怯な…!この世界で最も恐ろしいのは魔族ではなく、人間なのではないでしょうか…。

 

「俺は外道が大嫌いだ。トーゴやチュージ達オークやトロルたちも守りたい。だからゴンドとネージュの力を借りたい。ステラはこの城で待機してほしい、ごめんな」

 

「いいえ、魔王様。わたくしはまだ戦えるほどの力を備えておりません。ですが、この城でならば多少の戦いはできると思います。足手まといになるよりはここで城をお守りすることが最善策ではないかと考えます」

 

「ステラ、帰ってきたらまた頭を洗ってあげるからな。待っててくれよ」

 

「はい。このステラ。いつまでも魔王様やゴンド様達のお帰りをお待ちいたしております。ですが…」

 

「そうなんだよなぁ…」

 

「魔王様…私ならば走ってゆけば問題はございません。どうぞネージュ殿と森へ向かってください」

 

「いや、無理だろ。ゴンドが着いた時にはもう終わってるよ」

 

「むう…」

 

そうなのです。クレセントさんではネージュ様を乗せるかゴンド様を乗せてしまうともうお一人が余ってしまうのです。魔王様はゴンド様もネージュ様も必要と仰られておりますが…。その時でした、ピギャー!と言う何かの咆哮が…。魔王様が外へ向かいますと…。

 

「ベアトリスー!!!大きくなったなぁ!!!」

 

その姿を一目見た時、わたくしは腰を抜かしました。なぜならば…赤き巨大なドラゴンと銀色の鱗を持つドラゴン。間違いございません。これは…古の三賢竜の一頭…その炎は灰すらも残さないと言う炎のドラゴン…ワーグナー!以前魔王様が戦ったと言うことですが…やはり滅ぼしに来たのでしょうか…。

 

「フォールよ、久しいな。ベアトリスは見ての通りすくすく育っておる」

 

「おー!すげえよ!ドラゴンの成長は早いな!」

 

「うむ。フォールよ、再開を喜ぶのは後にしようではないか。困っておるのだろう?ベアトリスが急に騒ぎ出してな。フォールのもとへ連れて行けとな…」

 

「うん、俺いまめっちゃ困ってるんだ。実はさ」

 

魔王様はワーグナーと…会話をしておられます!後ほどお伺いしたところ、大切なお友達とのことです。魔王様は三賢竜とお友達に…わたくしは怖くて近寄ることはできませんが…さすがは魔王様…この不思議なご縁はきっと魔王様が魔王様であらせられるからでございましょう…。

 

「なるほど。ならばベアトリスの背に乗り、そこへ行くと良い。私が行っては巨大すぎて目立つだろうからな」

 

「いいのか、ベアトリス?」

 

「ギャオギャオ!」

 

「そうかそうか!ベアトリスはいい子だなぁ」

 

「ギャオー!!!」

 

「魔王様…そのドラゴンの子は…何と…?」

 

「背中に乗せてくれるって!そしたらゴンドもネージュも連れていける!」

 

「そ、そうなのですね…」

 

どうして魔王様はこのドラゴンと会話ができているのでしょうか…。この子は魔王様が助け出し、孵化を見守ったドラゴン…そしてこの銀の鱗…悪しきものを全て焼き払う白銀の炎を吐くセイントドラゴンではないのでしょうか?聖なるドラゴンに魔王とその手下が乗る…?不可思議なことも…いえいえ、それは大丈夫なのでしょうか…?

 

「魔王様すごいですぅ!こんなかっこいいドラゴンさんの背中に乗れるなんて!」

 

「海内無双*1…さすがは魔王様です」

 

皆様、そういう問題はお気になさらないのですか?わたくしは心配でございますが…。

 

「よーし、ベアトリス!!風を裂いて飛べー!!!」

 

ベアトリスさんは雄たけびをあげて空へと飛んでゆきました。

 

「皆さま!どうかお気をつけて!」

 

「ステラー!お土産期待しててくれなー!」

 

「外道の首などはいりませんので!」

 

「はーい!いってきまーす!」

 

わたくしは一瞬で消えてしまった魔王様を乗せたベアトリスさんをいつまでも見送っておりました。どうか、皆様ご無事で…!

 

………

 

そうしてまずはオークの集落へとゴンドを配備。一刻も早くオフィーリアを守り、チュージ達と共闘できるようにとフォールが考えたことだった。その後、森の中へネージュ、そしてギルド管理協会のギルドマスターとオフィーリアの父の前にフォールと言った采配である。

 

ゴンド1人、ネージュ1人で大丈夫なのか…?と言う懸念はない。なぜなら彼らは1人でそこいらの軍隊、一個大隊など簡単に潰すだろう。フォールに至っては国を一個壊滅状態に追いやった男だ。彼らを敵に回すとどうなるか?簡単な話である。一切の躊躇なくゴンドは目の前のゴロツキのような冒険者20人ほどを簡単に始末するだろうし、森の中にいる亜人への不可侵条約の話を知りながら金や甘い話に寄って来た100人にのぼる冒険者達はネージュによって鏖殺(おうさつ)される。

 

「チュージ殿、よくぞ大切なものを守り切った。その精神は誉れ高い騎士のようである」

 

「え、オ、オラは…」

 

「彼女はフィアンセか恋人か…それを守り、村と森を守り…素晴らしい戦いである」

 

ゴンドはそうチュージに伝える。オフィーリアの手を握る力が少しだけ強まる。この娘だけは絶対に守り抜くと、そう誓った。力が及ばなかったわけではない。チュージはオーク族の中でもかなり力も強く、武力がある。何かを守りながら戦うと言うのは至極難しい。それを見事守り抜いたチュージには誉れがある。そうゴンドは主張する。

 

「俺も主を守らねばならんと言う使命があるが…今は君たちを守るのが俺の使命だ。あとは俺に任せてほしい」

 

「へっ!かっこつけやがって!俺たちはゴールドランクだ!お前は何なんだよ!?」

 

「ゴールドだか何だか知らんが…それを誇って何になる?」

 

「ゴールドランクにでもなりゃ魔王討伐にだって推薦がかかるんだぜ!!ケッ、一介の騎士ごときがでかい口叩いてんじゃねえぞ!!」

 

「ほう、そうか。魔王討伐か。それは良いことを聞いた。ならば…その不穏分子を今この場で消すとするとしようか」

 

ゴンドが剣を構える。構えは正眼。一切の隙はない。

 

「魔王直属近衛騎士団長、死霊の騎士ゴンド…魔王様に仇なす者に慈悲も容赦もない。かかってくるがいい」

 

ゴンドは静かに相手の動きを待つ。

 

「なめてんじゃねえぞ!やっちまえーーーーー!!!」

 

おおおおおお!!!と数名の冒険者が襲い掛かる。斧や剣、槍などさまざまだ。そして、意外なことに連携が取れており、正面、左右、後方と何も言わずとも回り込んで攻撃を仕掛ける。さらにはアーチャーやマジシャンも矢を放ったリ魔法を放とうとする。ゴンドは一歩たりとも動かないが…。

 

「なるほど、貴様らの実力は分かった。このような動きで、このゴンドが怯むとでも思ったかァ!!!カアアアア!!!!」

 

ゴンドが吼えたと同時、スン…と黒い一閃が奔ったような気がした。それと同時にガキン!と言う金属同士が強くぶつかり合う鈍い音がした。

 

「へえ、よくかわしたじゃねえか。俺ら『氷の悪魔』を相手によくぞやるよ。褒めてやるぜ」

 

「かわすにも値せんかったのだが…どうやら俺が目測を誤ったようだ」

 

「強がりを言ってんじゃねえぞテメエ!!ヘッ、その涼しい顔を今にグチャグチャにしてやっからよぉ!おい、お前ら!もう一回やんぞ!」

 

「「………」」

 

「おい何してんだよ!!!早くやるぞ!!!!」

 

「残念だがそいつらは既に死んでいる」

 

「はあ!?」

 

そう言うや、左右と背後に回り込んだ冒険者たちは…ズルリ…と胴体が地面に滑り落ちた。ベシャリと言う嫌な音が辺りに聞こえ、そしてもう一度ドシャリと下半身が崩れた。ブンッ!とゴンドが剣を振れば、血の飛沫が飛び、数滴は正面に対峙しているリーダーと思しき冒険者の顔にかかった。

 

「きゃあああああ!!!!!」

「ひ、ひいいいいいい!?!?!?」

 

「これがゴールドランクとやらか?強いようだが、これで魔王様を討つなど笑止。魔王様ならば今の一閃で貴様も、後ろの射撃主も魔術師も胴体が分離している。俺の精進が足りん」

 

「な、なあ!?ま、魔王様…だと?」

 

「言ったはずだ。俺の主は魔王様ただお一人。魔王様をお守りするためならば俺は骨にもなろう」

 

キシャー!と言う声と共に死霊の騎士本来の姿に戻るゴンド。さらに冒険者たちから悲鳴があがる。ゴンドとしては骨にもなろうと言ったので骨になったのだから「マジで骨になるのかよ」くらいのツッコミはほしかったのだが…こいつらには冗談もわからぬらしい。嘆かわしいとため息をついた。

 

「ひ、ひいい…ガチの魔物じゃねえか…それも何だこいつ…国家災害級の魔物じゃねえのか…?」

 

「ひ、ひい!!あたいには無理!!!逃げるからね!!知らないから!!!!こんなの関わってらんないよ!!!」

 

「ゴンド流剣術…『飛燕』…」

 

ゴンドが剣を振るうと刃がアーチャーに向かって飛ぶ。それは簡単に足首を飛ばした。

 

「あ、あああああああ?!??!?!」

 

「貴様もオーク達に矢を射ったのだろう。同罪だ。俺に酌量と言う文字はない。この場にいる者には平等に刑罰を科す。貴様らは無論…死刑だ。亜人と人間の間で結んだ国際条約、知らぬとは言わせぬぞ。さあ、冥府の女王への挨拶の言葉を考えるといい」

 

カチリ…とゴンドが剣を鳴らすとアーチャーは失禁した。マジシャンはガクリ…と腰が抜けたのかへたりこんだ。

 

「ク、クソがぁ…こんなとこで死んでたまるかよ…俺たちはなぁ…プラチナランクになって遊んで暮らせるほどの金をもらって自由に女を抱いて生きるんだよ!!ギルマスがそんな将来を約束してくれたんだよ!!!」

 

「そうか。そんな約束をしたのか。オーク達をそのような理由で皆殺しにしようとしたのか。金に目が眩み、欲に溺れた貴様等は畜生にも劣る下等生物だ。そして、外道だ」

 

「うるせえええええ!!!」

 

「貴様のような外道共に生きる明日などない!!!!全員輪切りになっとけェエエエエ!!!!!」

 

スンスンスン!!!!と言う風を切る音。そして風が通り過ぎたと思いきや、剣士とアーチャー、マジシャンはバラバラにされた。

 

もちろん、悲鳴をあげながら逃げようとした冒険者たちも、ゴンドによって森へたどり着くことすらできずに壊滅させられた。

 

/森の中

 

「ちくしょう!どうなってんだよちくしょう!!!!こっちに行ったら出口だろ!?森の出口が消えたじゃねえかよ!!!!!」

 

悲鳴のように叫ぶ冒険者。そうしている間にもギャアとかうわあ!とか言う悲鳴が聞こえ、逃げ回ればそこには先ほどまで自分と同じように逃げ回っていたはずの仲間が転がっている。死体となって。

正確に眉間か心臓を撃ち抜かれている。中には力尽くで引きちぎったかのように首がない死体もある。木が爆発したように幹が弾けているものもある。

 

ちくしょう、こんなの聞いてねえ。こんな化け物がいるなんて聞いてねえぞ。俺たちはオークやトロルを集団でボコして狩って、村を焼けばいい簡単な仕事じゃなかったのかよ!貴族の娘を拉致したオーク共殺す楽な仕事なんだろうがよ!!

 

 

クスクスクスクスクス…

 

 

森には深いミルク色の霧がかかり、数メートル先さえ見えない。この森はこんな深い霧が出ただろうか?この森はいつも視界良好で、薬草なんかを取るノービスやアイアンランクの初心者が入っても問題ない森じゃなかったか?何でこんな日に限って霧がかかってるんだよ!

 

聞こえてくるクスクス女の子が笑っているような声は幻聴か?幻聴が聞こえるようになってらぁ。こりゃマジで逃げなきゃならねえ。

 

「逃げるぞお前ら!!!!ここにいたら全滅する!!各自で森の外を目指せ!!!」

 

彼らはいわば中堅部隊。先発隊が暴れた後にさらに追い打ちをかけ、一気に亜人を壊滅させる実力者が揃う部隊…のはずだったのだが、実力を発揮する前に100人いた冒険者たちは半分以下になってしまっている。どこからともなく正確に心臓や頭を狙った矢によって。

 

これ以上は損失がでかすぎる。いや、もう遅いのだろう。それでも、自分は逃げる。生きたい。だから逃げるんだ。

 

 

―—自分だけ逃げちゃうんですかぁ?

 

 

少女のような声が聞こえる。うるせえ。今は仲間だどうとか言ってらんねえんだよ。自分の身が一番に決まってんだろうが!!!

 

 

―—早く早く。早く逃げないと……

 

―—みーんな死んじゃいますよ?

 

 

こいつ、遊んでやがるんだ。俺たちは逃げまどう鹿か兎か。こいつはいつでも俺たちを撃ち殺すことができるんだ。逃げている間も他の奴らの悲鳴が聞こえる。クソが…遊んでやがる…!!!

 

 

ひとーり

 

ふたーり

 

さんにん

 

よにん!

 

「クソクソクソクソクソ!!!」

 

走る。森を走る。心臓が爆発しそうになろうとも。肺を吐き出しそうなくらい苦しくとも霧の森を走り続けた。すると矢は飛んでこなくなり、声も聞こえなくなった。息を必死になって整えようと立ち止まるが一向に息は回復してくれない。心臓は緊張も相まって本当に胸から飛び出そうだ。

 

「あ、あにきぃ…助けてくだせぇ!!!」

 

「シ、シード!?」

 

「あ、あああ…」

 

兄貴兄貴としょっちゅう後ろをついて回って慕ってくれた弟分のような存在であるシーフのシードが近づいてきたのだが…その胸には大穴が空いていて…涙を流しながら…死んだ。

 

周囲を見渡す。そこかしこに転がる死体。そして。

 

「アハハハハハ!!!足がないないったあ!!!俺芋虫みてえだぁ!!!!」

 

「ヒヒヒヒ!!!ヒヒッ!iイヒッ!!!!ないよぉ?手がないよお!!!!!これじゃあ女抱けねえじゃーん!!ヒヒヒヒヒヒヒ!!!!」

 

「ねえリーダー!あたしの心臓知らない?なくてさぁ、もう死んじゃうよねーあははははは!!!!!

 

なんだこれは…ナンダ…コレハ…?

 

「ヒヒッ…!」

「あはっ、おかしいよねぇ。あたし心臓ないのに痛くないし生きてるんだもん。ハハハ!!フヒッえっへへへひはははは」

 

ああ、俺は狂っちまったらしい。これは夢だ。悪い夢なんだよ。目が覚めたら横で今ここで心臓がないない言ってるセフレのカイが素っ裸で寝てて、また起き掛けに一発ヤッてやるんだ。ヒイヒイ言わせてやるぜ。そんで、しょーもねえクエストこなして酒飲んでまたカイを抱いて…そうだよなぁ!

 

「ヒャハ!ヒャハハハハハ!!!」

 

「何かおもしろいことでもありましたか?」

 

幻聴かと思った。しかしそうではなかった。霧の中から現れたのはこの世の者とは思えない美少女。俺から見れば乳くせーガキだな。胸はねえし、細すぎる。けどイイ女だ。ヤリ甲斐はある。

 

「お前は…」

 

「あなた達をぶっ殺しに来たダークエルフですっ」

 

殺しに来た?こんな女がか?いや、手には弓が握られている。こんなヒョロガキがこいつらを殺せるはずがない。囮か…?

 

「お前がか?ヒャハッ、笑わせんなよ!お前みたいなチビに何ができるってんだ!」

 

そう言うとエルフは頬を膨らませてムスッとした。

 

「ひどい人ですね。でも、わたしを犯そうとしてるんでしょう?」

 

「ヒヒ、そうだなぁ…死ぬ前にお前みたいな美人をブチ犯して…生きて帰るかなぁ!!!」

 

そうして飛びかかり、組み伏せた。こうなったらこんなクソガキが抵抗できるわけがねえ。腹掻っ捌いてブチ犯してやる!!!!そうしてナイフを腹に突き刺した。飛び散る血飛沫。肉を裂いて内臓が飛び出る。

 

「オラ!!粋がって出てくるからこうなんだよ!!!オラ!!!気持ちいいだろ!?俺ぁ超気持ちいいぜぇ!!!!」

 

………

 

行為が終わり、下卑た笑みを浮かべながらズボンを履く。快楽で脳が焼けそうだったぜ。そして死んでいるであろうエルフを見下ろしたのだが…。

 

「な、カ、カイ!?」

 

組み伏せていたはずのものはエルフの少女ではなく、心臓がないと狂って笑っていた仲間だった。

 

「あ、ああ…ど、どうして…」

 

「最初からその人を穢していましたよ?もう終わりました?」

 

シャクシャクとリンゴを食べながら木の上から見下ろしていた。

 

「はっ…は?」

 

軽い身のこなしで木から降りてくるエルフ。その顔はとてもつまらないものを見るようで男を苛立たせた。

 

「一体…なん…で?それにここは…」

 

男は気づいた。そこは霧が立ち込めて仲間が殺されていく中、逃げろと叫んだ最初の場所だったのだ。男は元にいた位置に戻って来てしまっていた。そんなはずはない。俺は一目散に出口へと…。

 

「さっきから同じところをグルグルしてただけですよ?」

 

「そんな…」

 

「わたしが仕掛けた魔法のせいなんですけどね」

 

えへっ、と言う表現が似合うような顔で笑う少女。しかし、その中には確かにだが狂気がある。そして、殺意がある。今から自分を殺そうとしている目だ。その朱色の瞳は明確に自分を殺そうとしている。

 

「魔法…だと?」

 

「はいっ!狂気の霧(クレイジーフォグ)って言う上位のエルフなら当たり前のように使える魔法です!それをちょこーっと工夫した霧の魔法です」

 

狂気の霧(クレイジーフォグ)…それは彼女、ネージュが編み出したまさに狂気。本来ならばエルフが生み出す霧は方向感覚を狂わせるだけの霧であるが、ネージュが編み出した文字通り狂気の魔法である。この魔法の恐ろしい所は方向感覚と言う優しいものではない。この霧は視覚、聴覚、嗅覚、触覚。味覚でさえ狂わせる霧。そして痛覚をも狂わせる。従って、足がちぎれようが心臓がなくなろうが痛みも一切わからず、そして最後には脳から溢れ出た快楽物質でしばらくは死ぬことも許されず、狂い続ける。

 

「死ぬのに優しい魔法ですよね~。だって苦しまずに死なないで済むんですもの」

 

クスリ…と無垢な中にも妖艶さがある。純粋なエルフではないが故の艶やかさだろうか。

 

「ヒヒ、ヒヒヒ。お前は俺らに苦しまずに死ねって言うのかよ…!」

 

「外道さんが楽に死ねるとでも?」

 

「なに?」

 

もういろいろと気持ちよすぎておかしくなっている。目の前のエルフを見ているだけで絶頂してしまいそうだ。というかさっきからしている。その度に少しずつ命を吸い取られている感覚がある。

 

「だから、楽に死ねると思わないでくださいね?」

 

少女が弓を構えたかと思った刹那、バツンと言う音がして倒れ込んだ。倒れ込んだ感触でさえ服状死してしまいそうな感覚だった。そして…。

 

「あは、あはははは!ヒヒヒ!!!気持ちいいいいいいいい!!俺の足!!なくなったのに気持ちいいいいいいいいいい!!!!!」

 

ネージュが足を撃ち抜いたのだ。足がちぎれた。さらにもう片方の足も撃ち抜いて千切った。

 

「ヒャアアアアアアアアア!!!!!!」

 

森にこだまする男の絶叫。狂気の霧はまさしく侵入者を狂気で殺す。ちぎれた足をかきむしってさらに快楽を得ようとする。

 

「わたし、外道さんは大嫌いなんです。あなたたちみたいな外道さんは死んでいいと思うんです」

 

「アハッ!ッヒヒヒヒヒヒヒギイイイイ!!!ヒッ!!」

 

「さようなら」

 

この男だけは簡単には死なせない。足を撃ったのは失敗だったかもしれない。だったらさよならと言ったけど、もっと苦しめて殺そうかな。魔王様ならそうする気がするとネージュは思った。

 

「じゃあ、今度はこれをどうぞ?激痛の霧(フォグオブペイン)

 

「ああああああああああああああああああああ!!!!」

 

「本当なら痛すぎてのたうち回るものなんですが…気持ちいいんですね……気持ち悪い」

 

この霧はクレイジーアップルの成分を含んでいる。水分にさえ毒が移り、一滴皮膚についただけで激痛をもたらす狂気のリンゴの猛毒をあしらった猛毒の霧。だがこの男はそれでさえ脳が焼き切れるほどの快楽となり、目、鼻、耳から血を流し、それでも狂気の快楽にのたうち回る。汚物でも見るかのような目でネージュが見下ろす。やがて…。

 

「ああ…アヘッ…アヘェ…ヒギッ…」

 

「今度こそ、さようならです。汚い人間さん」

 

体中から体液を垂れ流してその男はようやく死んだ。ネージュの残虐さは増幅しており、人間を嫌悪どころか憎悪している感じさえある。ある意味、フォールやゴンドよりも恐怖の対象になるのかもしれない…。

 

「さっ、魔王様に褒めてもらっちゃいましょう♪」

 

残虐な殺し方をした後とは思えない軽い、少女の無邪気なスキップで森を去るネージュ。こうして、森に潜んでいた後続隊100人はネージュただ1人によってあっけなく壊滅させられたのだった。

 

………

 

「おい、なんだ。どうなっている。森から悲鳴のようなものが聞こえたぞ?」

 

「気のせいでしょう。どうせ、亜人共を殺した連中がハイになって叫んでるんでさぁ」

 

「兄貴ィ…どう考えても悲鳴ですって…」

 

「やかましい!!喜びの叫びだっつってんだろ!!!」

 

「は、はひぃ!!」

 

森の入り繰りで事の成り行きを見守っていた亜人たちの土地、森の略奪の話にのったこの地方の冒険者、ギルド管理協会のギルマスとその子分。そして、オフィーリアを捨てた父であり、貴族である男が顔を見合わせる。この森を。亜人たちの土地を奪い取り、奴隷を使った畑や村の開発を行い、領土拡大をし、一獲千金を夢見、多くの冒険者たちを死地に追いやった彼らは自分達が今どういう状況かをまったく理解できていなかった。100人以上の冒険者や貴族が雇ったゴロツキたちは既に森の養分と化したり、首から胴体が分離したりと語るのも憚られる事態になっているのだが、いまだに彼らはこれが亜人たちの悲鳴ではないのか、とか喜びの声だと思い込んでいる。ひとたび森に入れば地獄を見ることになるのだが、彼らはそんなことはしない。絶対に叶わぬ夢を見、まだ余裕の笑みを浮かべることができた。

 

だが、それもこれまでである。なぜなら彼らにも死神よりも恐ろしい者がもうやってくるのだから。

 

「あ、兄貴!空から何か来やす!!!」

 

子分がそう言って指を指すと、何かが飛んでくるのが見えた。

 

「言ってないでさっさと撃ち落とせ!!!!グリフォンか!?」

 

「でけえ…グリフォンかもしれやせん!!」

 

巨大な鳥のような何かがこちらに向かって滑空してくるのが見えた。グリフォンにしては小さい。いや、グリフォンの子供が威勢よく襲ってきているのかもしれない。返り討ちにすればいいだけの話だ。グリフォンの成体は脅威だが、幼体などゴールドランククラスのギルド、パーティをかき集めている。造作もないことだ。ちょこざいな襲撃などとは…亜人も焦っているなぁとにやけていたギルドマスターだったのだが…。

 

ゴオオオオオオオ!!!!

 

グリフォンらしいモノが口を開いたように見えた。相変わらず太陽に光り輝き見えないのだが…と思っていた刹那、周囲を熱が焦がす。燃え盛る白銀の炎のようなものは一瞬にして数十人の人間を焼く。そこはまさに地獄絵図。肉の焼ける臭いさえ漂わせることなく、一瞬で灰になって燃えていく人。ようやく見えてきたその姿に、冒険者やゴロツキたちは慌てふためく。

 

「ド、ドドド、ドラゴンだあああああああ!!!!!!」

 

「何ぃ!?」

 

ようやく視認できるようになったその姿は…太陽の光を反射する白銀の鱗をまとったドラゴン。ソレが吐く炎によって一瞬にして周囲は熱地獄。直撃は免れても高温に喉をやられ、窒息死する者も少なくない。相手がドラゴンと分かれば話は別。幼体であろうが伝説のドラゴン。勝てるはずがないと悟った人々は蜘蛛の子を散らすように逃げまどう。しかし…それをドラゴン、しかも空想上でしかありえないと言われるドラゴンが出てきたとなればもはや現場は収拾がつかない。

 

「逃げろおおおおおおおお!!!!」

 

「いやああああ!!」

 

森の入り口はもはや阿鼻叫喚。成す術もなく燃やされる人々。さらに…。

 

「ぃよっしゃあああああ!!!呼ばれてないけどじゃじゃじゃじゃーーーーーーん!!!」

 

大混乱に陥っていた中に新たに飛び出してきたのは全身、剣まで黒に染まった剣士。その剣士がゴロツキを上空から叩き斬った。

 

「なんだぁ!?」

 

「おいギルドマスター!何とかいたせ!!」

 

「ベアトリスー!空で待っててくれな!危ないからな!」

 

ベアトリスと言うのはあの白銀のドラゴンのことか。ドラゴンを使役する伝説のドラゴンナイト…!?馬鹿な。そんなのがいるとは聞いたこともない。ギャオー!とドラゴンは鳴くと空高くへと舞っていった。残ったのは黒い剣士ただ1人。そしてにっこりと笑うと黒い剣士は名乗った。

 

 

ーーどうも。通りすがりの魔王です。

 

 

「ま、魔王…噂の奴隷商人や奴隷を買っていた貴族を殺して回っていると言うあの魔王か!?」

 

魔王と水から名乗り、ハイデルヴルグ王国の農奴にした子供や性奴隷に堕とされたエルフ達を解放し、ハイデルヴルグ王国において国王まで顔を青ざめさせて従わざるを得なかったと言う圧倒的な力を持つ男の噂があった。彼がやって来たところは魔物でも放っているのか?と言うくらい凄惨極まりない状況になっていたと言う。オフィーリアの父も、ギルドマスターも顔から血の気が引いて行った。

 

「そうだよ。俺がその魔王だよ。俺の友達とその家族、集落。それを潰しに来たんだったら容赦しないよ」

 

チャキ…と剣を鳴らす魔王フォール。本物の魔王がやってきた。しかも、ドラゴンを従えて。

 

「ああ、ベアトリス?あの子も俺の友達だよ。ちょっと力を貸してもらったんだ」

「んなこたぁどうでもいいんだよ!!1人でのこのこと殺されに来やがって!!」

 

「そうだ!!お前を殺せば名が上がる!魔王を殺して名を上げようぜぇ!!!」

「ヒャッハーーーー!!」

 

「馬鹿お前ら!!!やめろ!!」

 

ゴロツキ達にも魔王の存在は知れ渡っていた。裏社会ではこの頃この魔王を名乗る奴を殺せば名が上がる。戦えば箔がつく。そう言った話がハイデルヴルグでは駆け巡っていた。そうしてやってきた魔王を倒そうとするのはゴロツキ達にとっては当たり前のことだ。彼らだって名を上げてこんな貴族たちに名を知ってもらい、一躍有名人になって大金持ちになりたい。きれいな女を抱きたい。名声がほしい。そんな野望を抱くのは当然である。

 

が、しかし。

 

「ギャアアアア!!!!」

「ぐわーーーー!!!」

「ぬわあああああああ!!!!!」

 

「はいはい死にたい奴は一列に並んでー。首刎ねてやるから。並べって。並べっつってんだこのやろー」

 

軽く言いながら一振りで3人の首が飛ぶ。袈裟斬りで斜めに身体が落ちる。

 

「並ばないやつはお仕置きだー。雷魔法!」

 

「ぐえー!」

「あばばばば!!」

 

まとめて10人以上が黒焦げになる。無双。その言葉がふさわしい。冒険者もゴロツキもみんな殺されていく。その光景をただただ貴族もギルドマスターも見ているしかできない。レベルが違いすぎる。これが魔王か。まさに魔王だ。そうして待ち構えていた連中は全員が殺されていく。

 

「死ねぇ!!!ファイアボルトォ!!!」

 

「ん?何かした?はいじゃあスパーン!」

 

「なんでぇ!?」

 

「私の矢を受けろォ!!!」

 

「おそーい。返すねー」

 

「いらないぃ!!」

 

魔法は効かない。矢は簡単に受け止められ、逆に近寄られて脳天に刺される。剣も、槍も、魔法も矢も何もかもが効果がない。フォールの身体能力や動体視力などは勇者であった時よりも魔王の力も得ているのでさらに向上している。インチキ。その言葉に尽きる。

 

「ヒ、ヒイイイ!」

 

「あれ?もう終わり?じゃあ残ったのは親玉のお前らだけかな?」

 

ビッ!と剣についた血を振り払い、笑いながらギルドマスターと貴族に話しかける。

 

「お前らさ。何でオーク達の里狙ったの?」

 

「うああ…」

 

「早く答えろ。さもないと殺すぞ」

 

「言ったら殺さないでくれ…ますか?」

 

「いいや殺すよ?今殺されるか後で殺されるかの違い」

 

「やっぱり殺すんですかァ!?」

 

「当たり前だろ。お前らは世界条約を破って亜人を殺そうとして亜人の集落を奪おうとしたんだからな。そいつらどうなるか知ってんだろ?漏れなく極刑だよ。だから俺は王としてそれをやるだけ。わかった?で、なんで?」

 

「待ってくれ!儂はオフィーリアを奴らに連れ去られたのだ!!!それを冒険者たちに依頼しただけだ!!!」

 

「ふーん?」

 

「そ、そうだ!ギルド管理協会としてはワンサウザンド卿の依頼を受けたにすぎん!悪いのは亜人だ!!あちらから手を出したんだ!」

 

唾を飛ばしながらそう言う2人。残念ながらフォールは全て知っている。この親が言っていることは真っ赤な嘘であると。亜人たちを襲撃する口実のためにオフィーリアを森に捨てたことを。

 

「お前ら、オフィーリアがどうなったか知ってるか?」

 

「今ごろ…オフィーリアはオークの慰み者に…クフゥ!!頼む魔王よ!お前も協力してくれ!!娘を…!大切な娘を取り返すために!!」

 

「えっと、恨むのなら母親同様、そのような不細工な顔と体つきに育った自分を恨むんだな、だっけ?」

 

「えっ…」

 

「普段から不細工ではあるが泣き顔は一段と不細工だな。見ているだけで吐き気がするわ。これが名家、ワンサウザンド家の長女とは…もだっけ?」

 

「あ、あう…」

 

「うーそーつーきー!オフィーリアはお前に捨てられたことに泣いてたんだよ。けどな、オーク達が優しく保護して何とか立ち直ったよ。そうだなー、俺の友人の息子の嫁さんにふさわしいよな!いい子だよ、あの子」

 

「な、いき、生きて…しかも…オークと…?」

 

「オークはな、人間よりも理性的だよ。お前らみたいに奴隷を用意して汚え欲望の捌け口にしたりしない。本当に愛した人としか交わらない。子供も作らない。そんな生活をずっと続けてきたんだ。オーク達の奥さんは、お前らみたいにクソみたいな事情で捨てられたりしたわけありの女の人ばかりだ。けどな、オークのお嫁さんになって幸せそうにしてるよ。お前らみたいな外道な連中の娘やってるより遥かに幸せだよ」

 

「ばか…な…」

「ワンサウザンド卿…話が違う…そんな…」

 

「貴様!!私の話を一から十まで聞いておいて裏切るのか!?」

「知らねえよ!!!!俺はもう嫌だ!!魔王まで出てくるなんて知らなかった!!!!死にたくねえよ!!!」

 

「待て貴様!!!!!白金貨を出したんだぞ!!お前らに!!!お前らみたいな銭ゲバに!!!!金さえ払えば何でもするんだろうが!!!!」

 

「知らねえよ!!!!魔王が出たなら話は別だ!!!全員殺されて!!!どうせ森の中の奴も死んだんだ!!俺は死にたくねえ!!!ここからおさらばさせてもらうぜ!!!」

 

「待てぇ!!!儂だって死にたくない!!!!魔王!!こいつが実行部隊を出したんだ!!!!殺すならこいつだ!!!一番の悪はこいつだァ!!」

 

「違う!!!!話を知ってんだろ!?娘を捨てて亜人を殺そうと計画したのはこいつだ!!俺は助けてくれぇ!!!」

 

「いや、めんどくさいからどっちも殺すわ」

 

「「ひいいいい!!!」」

 

「実の娘を略奪と虐殺の道具にしやがったお前も。金に目が眩んでこれだけの馬鹿集めて虐殺に加担しようとしたお前も…どっちも外道だ。俺は外道が大嫌いだ!!!!!お前らまとめて死んでいいねぇ!!!!!」

 

「ああああああ!!!!!助けてぇ!!!!!!!!」

 

「いやだあああああ!!!!」

 

「お前らどっちも真っ二つーーーーー!!!!死んで当然だああああああ!!!!!!」

 

「「アバーーーーーー!!!!!!」」

 

魔王フォールの剣は外道を絶対に逃がさない。こうしてオフィーリアの父であったワンサウザンド卿も。ゴロツキでしかなかったギルドマスターも、フォールによって抵抗する間もなく、首を刎ねられてしまった。その首と胴体は魔物や動物の餌になったと言う。

 

 

騒動から一週間が経ち、フォールは再度トーゴやチュージ達の集落へと足を運んだ。結果として、集落は襲われ、家が燃え、チュージを含め重傷者はいたものの死者はおらず、フォールがハイデルヴルグ王国へ「お話」をしに行き、ワンサウザンド卿の領地は没収、貴族の位は親戚までも剥奪。ギルド管理協会はお取り潰しとなった。あわやフォールにブチ殺されそうになったハイデルヴルグ王であったが、ただのとばっちりでしかなかったため、とりあえず許された。ひどいとばっちりである。亜人たちに見舞い、そして条約を破ってしまった(とばっちりであるが)ため、違約金を大量に支払うことで魔王の脅威は消えた(消えたと言っていいのかは謎である)。

 

「チュージ、もういいのか?」

 

「はいフォールさん!オークは生命力だけがウリですから!フォールさんの回復魔法のおかげでピンピンしてます!」

 

「チュージさんを助けてくださり、ありがとうございました…フォール様」

 

「いいよいいよ!チュージとは友達だかんな!」

 

「ハッハッハ!ありがてえだべや!」

 

「ああ、チュージ、オフィーリア。正式に結婚、おめでとうな。これ、うちのニンジンとか宝物庫から持ってきた宝物だ!お祝いに!」

 

「うひょー!うまそうなニンジンだべや!フォールさん!うちの大根持ってってくだせえ!」

 

「わーい!スティックサラダの材料が増えたぞー!」

 

そう、今回の襲撃の際にチュージは命を懸けてオフィーリアを守り抜いた。そのことにオフィーリアが心底チュージに惚れ切ってしまい、ぐいぐいと押されてチュージは結婚することを決めた。チュージもオフィーリアのような美人に好きと言われては…と愛が燃え上がり、結婚を決めた。

 

「フォールさん。おかげで素敵なお嫁さんもできました。本当にありがとうございました」

 

「ああ、気にすんな!オフィーリア!元気な子をいーっぱい産むんだぞ!」

 

「はい!わたくし…頑張ります!」

 

「ハハハ!こりゃオーク族は安泰だなや!」

 

「それじゃあまた来るよー!バイバーーイ!!」

 

空駆けるナイトメアに乗ってフォールは帰っていった。こうしてオーク族、いや、亜人たちの最大の危機は魔王フォールによって救われ、このことは何百年経とうとも語り継がれる英雄となった。

 

「さあチュージさん!フォール様が仰った通り!そしてオーク族繁栄のためにも頑張りましょう!」

 

「ええっ!?い、今からだか!?」

「善は急げですよ!」

 

「ま、待つだ!!まだオフィーリアは完全にオークになったわけでねんだど!?」

「ガッハッハ!!!子供つくりゃ一発で仲間入りだ!マーガレットもオラと燃えるような子作りをして一発でオークよ!!おお!?」

 

「あんた!私達も負けてられないわ!!励むわよ!」

「お、おお!?どっからそげなすげえ力…!おお、おおおお!!!」

 

この後、チュージとオフィーリアの間には20人を超える子孫が生まれ、トーゴ達の間にも10人を超える子が生まれたそうである。それに火が着いたのか亜人たちの愛は燃え上がり、各地に集落ができるほどの子孫が生まれたとか、いないとか。

 

「いいことだよな!」とフォールは後に語った。

*1
かいだいむそう。この世に並ぶものがないほど優れていること。

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