【悲報】10年間ツンデレだと思っていた幼馴染に本当に嫌われていた   作:島流しの民

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風邪だと思っていたらインフルエンザでした()
執筆する体力もないのでひたすら書き溜めを切り崩しています;;




 

 

「涼夏に関する変な噂が流れてる?」

 

 どんよりと曇った日だった。

 いつものように無気力に登校をして、無気力のまま一日を過ごそうかと計画を立てていた俺をHR前に校舎裏まで引っ張った知己は、出し抜けにそんなことを言った。

 

「うん……まだそんな大きな噂ってわけじゃないんだけど、ウチのクラスじゃみんな知ってると思う」

「噂なんて全然聞かなかったけど」

「ライングループで言われてたらしいよ。女子だけのグループだから入ってない人が多いけど」

「マジか、全然知らんかった……勉強会の後の土日は「涼夏の交友関係ノート」作るのに忙しかったから……」

「まだそんなの作ってたんだ……」

 

 最近涼夏に近寄るやばい人間が増えているので作らなければならなかったのだ。しょうがない。

 

「それで、どんな噂なんだ?」

「それが問題なんだよ……二宮さんが土曜日に変質者と密会してたっていう噂なんだけど」

 

 涼夏が、土曜日に、変質者と? ……どこかで聴いたことある話だな。

 

 ……って、

 

「もしかして、俺?」

「だろうね……。僕は見れてないけど、画像も撮られてたらしい。涼夏さんらしき人と、全身黒ずくめの男が歩いてるところ」

 

 確定俺やん! この前の勉強会を誰かに見られてしまっていたらしい。いや、あんな目立つ格好をしていたのだから、見られることが当たり前なのだろうけど。

 しかし、と俺は内心首を傾げる。

 

「そんなの別に噂になるほどのことじゃないだろ」

「普通ならね。けど二宮さんは校内ですごい人気もあるし、それに加えて、最近よく告白されてたからね……それを良く思わない人がいたって不思議じゃないよ」

 

 淡々と語られるその言葉の意味を理解できず、俺はただ混乱する。

 

「つまり、モテてる涼夏のことを妬んだやつらが大げさに噂を広めてるってこと?」

「まあ、そういうところもあるだろうね。それ抜きにしても二宮さんが変な人とこっそり会ってたって噂が出れば、ある程度広まっちゃうと思うよ」

 

 確かに、俺もそんな噂が流れてきたら食いついてしまうかもしれない。人間は野次馬が好きな生き物なのだ。

 

「それなら俺が誤解解けばいいんじゃないか? あれは俺ですよーって」

「それで皆が信じてくれるんだったらいいんだけど……」

 

 そう言われ、考えてみる。

 俺があの時の変質者は俺でしたと言って、果たして信じてもらえるだろうか? 涼夏を庇おうとしている元ストーカーみたいな目で見られるのがオチなのではなかろうか。

 

「みんな、彰が二宮さんに嫌われてると思ってるからね。そんな人間と休日に会っていたとは、証拠でもない限り信じないと思うよ」

 

 ま、嫌われてるのは嘘じゃないと思うけど、と余計な一言を付け加える知己。最近はそこまで嫌われてないわ。

 

 

 沈黙が流れる。俺が知らない間にそこまで大事になっていたとは……。

 暗い空気を吹き飛ばすように、そういえば、と知己は明るい口調に戻して言った。

 

「勉強会はどうだったの?」

「涼夏が可愛かったわ。ついでに勉強もした」

「普通逆でしょ。それで、答えは出たの?」

「当たり前だろ。俺はこの世に生れ落ちた瞬間から涼夏が好きだったわ」

「彰が生まれた時って二宮さんまだ生まれてないでしょ」

 

 マジレス乙。

 

 俺の誕生日が七月で、涼夏が十二月である。

 

「じゃあ、ツンデレか二宮さんだったら二宮さんを選ぶの?」

「…………まあ、そういうことになるだろうな」

 

 本物のツンデレを見たことがないので何とも言えないが、目の前にツンデレが現れたとしても、俺は涼夏を選ぶだろう。……多分。きっと。

 俺の答えに、知己は小さく微笑んだ。

 

「じゃあ、あの噂も何とかしないとだね」

「当たり前だ」

 

 

 

 

 

 

 教室に戻ると、心なしか普段よりざわついている教室の中に涼夏の姿が見える。

 涼夏は静かに席について本を読んでいる。その横顔から彼女の心は伺い知れない。

 ただ、いつもは誰かと話している時間帯であるにも関わらず、誰とも話さず一人で本を読んでいる姿は、いつもの涼夏を知っている身からすれば少し違和感を覚える。

 

 仲のいい友人がいると、楽しそうに語っていたあの時の涼夏の顔を思い出して、心の中で舌打ちする。

 

 彼女の日常を壊してしまったのは俺かもしれない。だが、噂程度で涼夏から離れていくような人間が、俺には許せなかった。

 

 何とかしたいが俺には何もできない。

 もどかしい気持ちを抱えたまま席に着いた俺は、この噂が早く消えてくれることを願うことしかできなかった。

 

 

 




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