【悲報】10年間ツンデレだと思っていた幼馴染に本当に嫌われていた   作:島流しの民

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勧誘と失敗

 

 

 さて、新たな生徒会役員探しを始めた俺たちであったが、これは俺たちの予想以上に難しい問題であったことを、一クラス目で思い知らされることとなった。

 

 教室に入り、生徒たち一人一人に(教壇に立って全員に話しかける勇気は俺にはなかった)話しかけ、警戒されながらも生徒会のことについて喋ってみると、最初は普通に話を聞いてくれるのだが生徒会役員に入らないかと聞いた途端、皆が同様に渋い表情を浮かべるのだ。

 理由を聞いてみると、それは至って簡単で、どんな仕事をさせられるのかがわからないが激務をさせられているイメージがあるということと、現段階で生徒会役員が会長の一人だけなのが不安らしい。仕事が多そうだとかブラックだとか、皆好き放題言っていた。まあ、仕事が多いことは否定できないのだが。

 

 そんなこんなで1組の全員に断られた俺がとぼとぼと教室を出ると、同じく収穫のなさそうな顔で出てきた涼夏と目が合った。どうやらあちらも断られたらしい。

 

「どうだった?」

「断られた」

「私も」

 

 話を聞くと、どうやら涼夏も似たような理由で断られたらしい。2組は部活があるからと断っていた生徒も多かったようだ。

 

「これ、結構大変かもね」

「だな。秋葉先輩になんて言おう」

「正直に言うしかないでしょ。私たちのクラスもやっておく?」

「んにゃ、どうせ断られるだろうしいいだろ。もう時間もあんまりないし」

「そうね……」

 

 生徒会室へ向かう。どうやら秋葉さんの方が先に終わっていたらしく、生徒会室のドアを開くと会長用の机に突っ伏している秋葉さんが見えた。どうやら彼女も良い結果は得られなかったようだ。

 

「遅くなってすみません、一組と二組に聞いてきました」

「どうだった……?」

「その、誰も……」

「だよね……」

 

 いい答えはハナから期待していなかったのか、俺たちの答えを聞いても秋葉さんは特に驚くことなく再び机に沈んでいった。

 

「とりあえず、全校生徒に聞いてみます? 三日もあればいけますけど」

「その力はどこから出てくるのよ……」

 

 女子生徒に限定していたとはいえ、全校生徒に話しかけまくっていた俺にとって怖いものはない。多分。

 俺の提案に対して、秋葉先輩はゆっくりと首を横に振った。

 

「多分、ただ聞いて回るだけじゃ意味ないと思う……何か違う方法でやらなきゃダメかも」

「それはそうですけど……なんかいい案あります?」

「アピールポイントを出していくとか?」

「そのアピールポイントは?」

「仕事がたくさんできるとか、先生に顔を知られるとか……?」

「デメリットでは?」

「だよねえ……」

 

 結局、ちょっと頭がいい高校だからといって、生徒が真面目というわけではないのだ。真面目なやつらは放課後にちゃんと勉強したり部活に行ったりしている。暇なのは俺みたいに勉強しない奴や、不良ぶって校舎裏で煙草ふかしてるような奴なのだ。そしてそういう奴らが生徒会に入りたいと思うことなんて未来永劫ないのである。

 

 だとすれば、放課後に時間がない真面目な生徒たちをどうにか生徒会に入りたいと思わせなければならないのだが、それが難しい。

 

「まあ、とりあえずもう昼休みが終わるんで、計画立てるのはまた明日にしましょう」

「うん、ごめんね、時間取らせちゃって」

 

 頭を下げる秋葉さんに大丈夫ですよと言って、俺たちは生徒会室を出た。それと同時に予鈴が鳴った。

 難しい顔をしている涼夏を促し階段を下りる。多くの生徒たちの足音が階下から聞こえてくる。

 

「ま、詳しい作戦はまた明日だな」

「そうね……早く新しい生徒会役員増えればいいんだけれど」

「…………そうだな」

 

 生徒会の手伝いが終わってしまえば、こうやって涼夏と昼休みに二人で歩くこともなくなるんだろうかとふと考えて、自分の浅ましさに少し笑ってしまった。結局俺の中の世界は涼夏を中心に回っているらしい。

 

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