さてお届けいたしますは番外編2話。
『ES兵装ノ相互干渉ニヨル バイパスウィンドウ発生ヲ確認 通常空間復帰シークエンス作動!』
ここまでは想定内、問題はどこに放り出されるかだが・・・ツムギ、念の為に浄解モードで衝撃に備えていてくれ。
「分かりました!Jもトモロも一緒です、何ともありません!」
不安を感じさせない凛とした声でツムギが返す。頼もしいものだ、と思っていると爆発を起こした空間へ引き寄せられ始める。その力に身を任せ光と爆発の中へと機体を沈ませるのだった。
10秒にも満たない体感時間の後、放り出された私たちの目に映ったのは周囲に瞬く星の海。無事に通常空間へと復帰は出来たようだが見える範囲に惑星や恒星は無し。トモロ、ツムギ、大事は無いか?
『問題無イ。バイパスウィンドウ ヲ通過スル際ニ 外装ガ多少 焦ゲ付イタクライダナ』
「大分揺れましたが私は大丈夫です。Jこそ体の負担は大丈夫ですか?フュージョン時間が気になりますし、アジャストも必要なのでは無いでしょうか?」
『ワタシカラモ 提案スル。一度ジェイアークノ状態デ 損害ヲ精査シタイ。ソレトJ、オ前モ少シ体ヲ休メロ』
ツムギはともかくトモロからも気遣われるとは。休める時に休むのも理に適っているか、それではお言葉に甘えて・・・メガフュージョンを解除しジェイアークの艦橋へと降り立つと体の芯に鈍い重さを感じる。疲れていた、のだろうな。お前達に感謝を。それとトモロよ、左部推進機の故障はともかくメーザー砲・主砲の方は大丈夫だと思うんだが?
『ソレヲ判断スル ノハ ワタシダ。現状ヲ把握シ ソノ中デノ最大効率ヲ 模索スル、見テイロ』
ハイハイ、頼りになる仲間だよお前は。ツムギも済まない、お前こそ休養が必要だというのに。
「いいえ。Jが、トモロが戦ってくれたからこそ私がいるんです。それにとてもとてもお返し出来ないものを貰っちゃったんですし!」
Jジュエルに触れながら花のような笑顔で答えるツムギ。無言だが心地の良い時間を私は最大限に噛みしめた。
『分析完了。推進機ハ勿論 ジュエルジェネレーターモ調整必須、当面ハ出力50%デ対処。ジェネレーティングアーマー モ同様ト考エテクレ。ダガ出力ガ落チヨウトモ 主砲・ジェイクォースハ健在、問題ハ無イ トモ言エンガ問題無イ』
リミッター解除のハイパーモードが効いたか・・・ン、現状は理解した。であればここに留まっても居られん、適当な恒星を見つけられればいいのだが・・・この周辺の座標は計算できるか?
『不明。外宇宙ノドコカ、トシカ言エン』
002の様に宇宙の果てよりはマシ、いや迷子になってる分こちらも質が悪いな。嘆いていても始まらん、移動しよう。
「え?見られてる?気持ち悪い・・・」
どうしたツムギ、見られているとは?トモロ、周辺の反応は?
『小天体ヤ岩石ノ反応ハアルガ・・・反応ガアレバ 見逃シハアリ得ナイ』
ふむ?ツムギが不安を訴える地点にスキャンを掛けても岩石の反応以外無し。単なるステルスであればトモロの言う通り何らかの反応を見逃す筈も無し。だがツムギのリミピッドチャンネルが何かを拾ったというなら何者かがいる、又はいた痕跡があるのは可能性が高い・・・ツムギ、不安を感じた場所を教えてくれるか?ジェイダーで出てくる、ツムギ視線はどこからだ?
「は・・・い、む、向こうのあそこから・・・こちらを見てイるヨ・・・」
頭を抱えるツムギの様子に一抹の不安を覚えつつジェイダーにフュージョンし指定された場所へと急行。相変わらず目を凝らしても何もない宇宙空間にしか見えない。だが代わりにこちらへと近づく飛行物体を確認した、してしまった。
ソレは蠢く肉塊を前面に装備し、同じような肉塊から金属のスラスターを生やした5機の戦闘機・・・戦闘機か??キャノピーらしき青いレンズらしきものは見られるが果たしてパイロットがいるのか?と言う疑問が頭を過ぎる。機械とも生き物とも思えぬ、その姿。
警鐘を鳴らす己の本能に従いプラズマソードを振り上げた瞬間、敵機後方から禍々しい色をした光学兵器が発射される。絶妙なホーミング性能で纏わりつくような軌道で迫るソレ、ホーミングの隙を与えぬとばかりにトップスピードで抜けて敵機撃墜に目的を切り替える。敵弾幕の隙間を見つけ一気に加速、両手に展開したプラズマソードで両断。球体の方は多少頑丈だったが耐久的には然程では無かったのか、一撃で仕留められたが肉とも金属ともつかぬ何とも言えない感触に眉を顰めながら残りも処理する。
それにしても・・・コイツ等は一体・・・?残骸を調べようと近づこうとした時にトモロから飛び込んで来た緊急報告。
『不明物体カラノ奇襲!迎撃体制ヘ移行!』
「やだ・・・っ、来る、来ないでェ!!!」
急ぎ駆けつけてみればジェイキャリアーは前方に4本の触手が生えた丸い物体を付けた魚を思わせる、生理的嫌悪感を抱かせる5機の異形に纏わりつかれていた。目に悪い3色の光学兵器やミサイル・・・ミサイル?先端の丸い物体を直接ぶつけたりと攻撃は様々だが痛手には至ってない様に見える。今もメーザーミサイルでの迎撃を続けるトモロから悲鳴にも似た通信が入る。
『J!何ナノダコイツ等ハ!ESウィンドウノ兆シモ見セズ急ニ現レタ!!ツムギノ様子モオカシイ!』
「やめ・・・え?我たちは、ワレワレは、たダ帰還、ヲ・・・?」
何だ!?まさかリミピッドチャンネルが何かを拾っている、精神的な干渉を受けているのか!?トモロぉ!ツムギが危険だ!多少手荒でも構わん、急ぎツムギの意識を落とせ!それとヤツ等の隊列を乱せ、私が片付ける。
『ッ!了解』
メーザーミサイルを前面の球体で受け止めてはいるが4機に数を減らした異形。その只中へプラズマソードを展開し吶喊。乱れた隊列を整える暇を与えず切り捨てていく。先の肉塊戦闘機と同じく耐久力的には先の肉塊戦闘機同様に破壊できた。念の為それぞれを4等分すると体組織を崩壊させながら偉業は消滅して行く。片付いたか、損壊状況は?
『軽微。何発カ直撃シタガ現状ノ ジェネレィティングアーマーデ ダメージハ修復範囲内。シカシJ、一体何ナノダアレハ? 生物トシテハアリ得ナイ火器ヲ用イ、機械ニシテハ生物的過ギル。ヌメヌメシテイタシ・・・』
分からん。分からんが迂闊に触れてはならないモノであることは分かる。ヌメヌメしてるしな。っと、ツムギの様子はどうだ?
『錯乱状態ニ陥ッテイタ為、ヤムナク気絶サセタ。緊急トハ言エツムギニ酷イ事ヲ・・・』
あのままではツムギの心が危ないと判断した。指示を出したのは私でトモロに責は無い、ツムギが目覚めたら共に詫びようではないか。それよりも一旦状況を整理だ。見て欲しい、私が接触した肉塊飛行物体だ。
『コレハマタ・・・常軌ヲ逸シタ光景ダナ、無機物・有機物ガ融合シテイルノカ?マルデ ゾンダーノ亜種・・・』
ゾンダー・・・言われてるまで思いもしなかったが似ているとも言えるな。でこっちの先程殲滅した魚型というか異形の戦闘機?だ。相手をしてみてどうだった?少なくとも私は本能で動いているようには見えなかったし、むしろ統制の取れた編隊行動に思えた。
『ソレハ・・・フム。迎撃ト ツムギノ対応ニ追ワレテイタガ 確カニ無機質ナプログラムデ動イテイル トハ感ジナカッタナ』
となればアレらを操っている・指揮している存在がいてもおかしくない、どう思うトモロ?
『・・・生物デアレバ 逸レ個体トモ考エラレ、母体トナル群レガアル ト考エルノガ妥当。ダガ明確ニ人工物ヲ持ツコノ肉塊ハ 何ラカノ文明ニヨッテ製造サレタ 戦闘機械ト断定。マタ先ノ魚ヲ模シタ異形機械ト 同期シテイルト思シキ行動カラモ Jノ考エハ十分ニアリ得ルト判断』
であれば敵旗艦を撃破・突破し早急にこの場を離脱だな。ツムギにも一刻も早い治療を行わねばならん。
『ウム。早急ニ敵旗艦ヲ撃破出来レバ治療ニモ取リ掛カレル。何ノ事ハ無イ、同時ニ行ッテシマエバ良イノダ。ククッ、ワタシモ オ前ノ影響ヲ受ケ・・・ドウヤラ オ喋リノ時間ハココマデ ノ様ダ』
トモロの言葉と共に映し出された画面には例の肉塊戦闘機を展開しながらこちらに近づく赤い巡航艦だった。
『敵艦、推定200m。随伴トシテ 細長イ肉塊ニ装甲版ヲ張リ付ケタ様ナ 異形艦1隻モ確認。発艦シタト思ワレル 肉塊10機。アチラハ迎撃態勢万全トイッタ所カ』
意気軒高な様で大変結構。トモロ、雑魚は無視して旗艦を叩く。私は先行しまずは敵艦の武装を最優先、トモロの判断でジェイクォースを発射、止めを刺す。肉塊は適当に切り捨てていくが残党はキャリアーの質量で磨り潰してやれ。
『現状ノジェネレーター出力ダト 幾分チャージ時間ヲ要スルガ 撃破ハ容易キ事。シカシ質量デ、トハ要スルニ体当タリダロウ?先モ言ッタガ ボディノ清掃ハ忘レルナヨ?』
ワックス掛けまで仰せのままに。よし!ジェイダー出る!これより敵陣に打ち込まれる
『了解。ナラバワタシハ傷口ヲ抉リ蹂躙スル
宇宙を駆ける。肉塊戦闘機は変わらず赤い円状の光学兵器や岩石に当たると軌道を変える青い光学兵器などを撃ってくるが私のスピードに着いて来れない。進路上の肉塊を球体ごと切り裂いて一直線に敵艦へと迫る。
『前方ヨリ 高エネルギー収束確認。主砲発射ノ兆候 ト断定。間違ッテモ当タルナヨ?』
チラと後ろを見て見れば前方に集中展開させたジェネレイティングアーマーで肉塊を弾き飛ばし・・・物理的に弾けてるのもいるな・・・メーザーミサイルをばら撒きながら進むジェイキャリアーの姿が。何だかんだでやる事はやる、それでこそトモロだ。
前方へ視線を戻せば敵艦に灯った光が徐々に強くなっていくのを確認。当たるなだと?誰に物を言っている!加速を緩めず主砲と思しき部分に両手のプラズマソードを突き立て十字に切り裂く!収束していた光が一気に消えてなくなったがお返しとばかりに後部からのミサイルが多数発射される。破壊箇所を教えてくれるとは、随分と親切な奴等だ。ミサイルを掻い潜り発射管も破壊、これで武装的には丸裸か。
武装を黙らせた敵艦に見切りをつけ、後はジェイクォースで・・・とキャリアーの方へ意識を向けた時、違和感を覚えた。
足元に影に違和感を覚え、見上げてみれば頭上に見慣れぬ装甲板が。んん?装甲板を張り付けた肉の葉巻の様な随伴艦・・・バカな、いつの間に!?遠くはないがそれなりに距離は離れていた筈、武装破壊に集中していたとは言えここまで近づかれるまで気付けなかっただと?ホログラムの類を疑ったが装甲の隙間から覗く脈動する肉塊がそれを否定する。この一時でも足を止めた代償をこの身をもって受ける事となった。
醜い肉塊が膨張した次の瞬間、爆発。自爆、だと!?
爆風と衝撃が私を吹き飛ばす。まさか躊躇いも無く自沈するとは乗組員の命などどうでもいいという事か!こんな狂った連中に長々と付き合ってやる義理も無い。トモロにさっそく要請を送ろうとしたが受難は続く。
背後から青白い光に照らされている事に気付き振り返ってみた私が見た物は、プラズマソードで潰したはずの主砲に今にも発射されそうな光。爆発の勢いで主砲の真正面に吹き飛ばされたのか・・・って、この短時間で修復したとでも言うのか!全身に走る痛みを気合でねじ伏せ体を捻り、射線上から逃れる為にその場から跳ぶのと敵艦主砲発射は同時だった・・・
『J、J!無事ナノカ!応答シロ!』
「五体・・・満足とはいかなかったが・・・生きているぞ・・・」
『コノママデハ オ前モコチラモ 火力ガ足リン、ジェイアークヘ戻レ J!』
直撃は免れた、免れたがその代償として右腕を肩から持って行かれた。右脚の反中間子砲も少々怪しいかもしれない。トモロの言う通りジェイアークへと戻るのが最善か。ジェイバードへと戻りキャリアーにプラグ・イン、艦橋に戻った。
「済まない、不覚を取った。しかしトモロ、一体何が起きた?」
『信ジラレンカモシレンガ・・・突然同ジ大キサ・質量ノモノガ出現シタ。見ロ』
空間ディスプレイに投影された映像を見て納得せざるを得なかった。離れた所を航行していた肉葉巻(仮称)の隣に全く同じものが出現していた。但し唐突と言うには何だか「ネチャァ」とか「ナポォ」とか効果音が付くような出現の仕方だったが・・・ソイツがミサイルハッチ攻撃に夢中になっている私に近づき、自爆するまで映像だ。
「見た目で判断できない分身を創り出せるのか。囮・爆弾にしてやられた訳だな」
『数ニ限リガアル、ト信ジタイ所ダガ・・・単細胞生物ト同ジ ダト考エルト 生キテイル限リ出続ケルト 思ッタ方ガ良イナ』
生体機械・・・まずまずゾンダーの親戚に思えて来たな。っと、ジェイクォースの状態は?・・・宜しい、早速やってくれ。
『了解。ジェイクォース、発射!』
エネルギーを纏い炎の鳥と化したジェイクォースが敵艦に食らい付く・・・寸前に肉葉巻の分身・・・いやデコイが展開されジェイクォースの行く手を遮る。多少の抵抗はあるものの肉葉巻を切り裂くかに見えたジェイクォースだがデコイ越しに敵主砲の発射を許してしまう。主砲とデコイの爆発エネルギーが相まって徐々に拮抗・・・いや、押されている!?クッ、トモロ!
『エェイ、黙ッテイロ!ジェネレーター出力・・・不足。一時的ニ出力上限ヲ85%マデ解放。エネルギーバイパス確保、ジェイクォース伝達完了。続キ反中間子砲ヘエネルギー供給開始・・・完了。反中間子砲、全砲門斉射!』
トモロの演算能力でジュエルジェネレーターに現状の最大効率を吐き出させ、ジェイクォースの輝きが増すと同時に反中間子砲が火を噴く。強化されたジェイクォースと反中間子砲が敵主砲との拮抗を崩して行き・・・ついにその赤い戦体をジェイクォースが真っ二つに引き裂いた。勢いのまま肉葉巻をも切り裂き、その残骸は反中間子砲でチリへと還ってゆく・・・
終わったな、トモロ。限られたリソースの中、よくやってくれた。お前にしか無しえない素晴らしい偉業、そんなお前と戦えることを誇りに思うぞ。
『下手ナ世辞ハヨセ、ト言イタイガ 今ハ素直ニ受ケ取ロウ。仕方ノ無イ事トハ言エ、ジェネレーターニ カナリノ負担ヲ強イタ。ソレニ ツムギノ件モアル、急ギきかんノ目途ヲ立テネバナラン』
そうだな、ツムギの治療とジェイアーク修理のメドを立てねばならんが今はこの宙域を早急に離脱してしまおう。帰るべき場所の為に。
26世紀からの迷惑な贈り物、バイドに手を焼いていた22世紀の地球人類。ところがある日を境に状況が変わり始めた。今まで一途に地球へ向けて進行していたバイドの一群に火星を目指すモノが現れたという報告だ。
100m級の大型バイド体が火星へと着陸、暫くの間通過するバイド軍と戦闘を繰り広げ、一時的に地球への圧力が弱まった。これを機と見た地球軍は火星バイド体破壊へと乗り出したのだが討伐軍は敢え無く全滅、帰還した機体は無かった。
辛うじて回収されたブラックボックスを解析した結果、ノイズ塗れの映像とパイロットの末期の言葉を回収する事が出来た。
『白い・・・白い巨人が!こちらの攻撃が弾かれる!うわ・・・うわぁぁぁぁ!!!!』
相も変わらず地球へと押し寄せるバイド軍、こちらには干渉してこないとは言え無視できない力を持つ火星バイド軍(仮称)。新たな脅威に地球軍は頭を抱える事となった。
「帰りタい」
「帰リタい」
「青き水ヲ湛えル/美しき赤い風景の、ワレラノコキョウニ・・・」
上げて、落とす。なんで火星?と言われればバイドの地球への帰巣本能と赤の星のイメージがアレコレしちゃった結果、と思って頂ければ。
ある意味赤の覇界王だな!
バイド側でご出演頂いたのはB-99ことアポカリプスで赤レーザーに昇格?したボルド君、ノーザリーたん、おなじみのバイドシステムαにアンフィビアンでした。
ジェイアーク弱く描写し過ぎたかも・・・でもバイドもバイドで有機物・無機物に関係無く、更には空間や人の精神すら融合捕食して己と一部としてしまえるし(この時点でリミチャン持ちのツムギには相性最悪)、なにより物質としての存在を持ちながら、波動としての性質を併せ持つという特徴も持ちます。
さてここで。ジェネレーティングアーマー等のバリア装置で実弾・光学兵器は防げても波動~波~は防ぎきる事が可能なのか?
話は変わりますがジェイバード→ジェイダー=スタンダップですがその反対って名前付いてましたっけ?シットダウンでない事は確かだと思うんですが、調べても出て来ないんですよね。
探し方が足りないだけなのかな。