魔女の微笑み 作:カトレアの花言葉
意を決してグリフィンドール寮の談話室に入ると、「グリフィンドール寮らしさ」溢れるパーティの真っ最中だった。大広間で見るだけで食べることが出来なかったハロウィン風の料理…というかカボチャ料理に、多種多様なお菓子が談話室のテーブルの上に所狭しと並んでおり、グリフィンドール寮生達がそれらを楽し気な顔で食していた。
これだけなら、まぁよくある普通のハロウィンパーティーなのだが、怪物の仮装の代わりに怪物の立体映像(ゴーストより生々しい3D映像)を魔法で流しまくったり、蝙蝠の精巧なおもちゃを魔法で飛ばしまくったり、3分に1回の感覚で爆竹を鳴らしたり、火トカゲ…に模したドクシーをばらまいてたり、ゲーゲートローチのプロトタイプみたいな悪戯お菓子を食い合ってたり、カボチャの被り物をした男子生徒が奇妙なダンスを踊りまくっていたり、明らかに危なげな飲み物を度胸試し感覚で飲んでいたり、腕を組んで魔法界の流行歌をテンポ悪く合唱したり、良い意味で混沌としていた。というか半分くらいはウィーズリーの双子のせいじゃねぇの?まぁちょっと普段よりアングラ感があってワクワクするのは否めない。
もちろん普通にビンゴゲームやゴブストーンゲームをバタービールを飲みながら楽しんでいたり、チェスの賭け試合をゲラゲラ笑いながら観戦したり、普通(?)のハロウィンパーティーを楽しんでいるグリフィンドール生も大勢いたので、最低限の秩序は保たれていた。あ、監督生がバタービールを思い切り飲まされてる…まぁお互い楽しそうだから良いか。
「おう、オリヴィアちゃんじゃーん。なんか見なかったから、もう寝たのかと思ったよ」
「はい。実はレイブンクロー寮の友人から借りていたものを返しに行っておりました」
もちろん噓である。ってか早速絡まれた…しかも顔と学年は知っているが、名前は知らない6年生の上級生男子グループだ。向こうは俺を知ってるから、あんまり変なことは言えないな。ってなんかちょっとだけ酔っぱらってないか?え、まさかバタービールで酔ったの??屋敷しもべ妖精じゃあるまいし、普通の魔法使いや魔女ならアホみたいに飲まない限り酔わないでしょ。原作でも3年生時のハリー・ポッター達が純粋に楽しんでいたし。ってかハリーに至っては、あの時は誕生日よりかなり前だから12歳なんだよな。
「まま。オリヴィアちゃんも楽しもうや。ヒック。あ、これ飲む?」
「ちょ、お前それガチのヤバイやつなんじゃ…!?オリヴィアちゃん、断っても良いからねマジで!」
えぇ…寮監のマクゴナガル教授に見つかったらマジでヤバイもんじゃねぇの、それ。大丈夫なんすかね?まぁ前世で飲み会をはしごしまくってた元中年サラリーマンとしては、この挑戦(?)を断るわけにはいかねぇなぁ!オラ!貸せシャバ僧!
そうして彼らが飲んでいた「飲み物」と同じものを一気に飲んだが…え、なにこれ?麦茶だこれ。え、全然危険でも何でもないじゃん…。普通の麦茶じゃん。
そう思って同じタイミングで飲んだ彼らを見ると、なんと撃沈してた。えぇ…これで撃沈したの?噓でしょ?もしかして、そういうドッキリ?こう上級生が自分達を犠牲にして1年生を楽しませる的な感じの?
そう思いながら彼らを眺めていると、ふと胸元のラリエットネックレス(リング付きのY字型ネックレス)がまた温かくなったのを感じた。今日はよく温かくなるな、これ。確かお袋やお袋の方の祖母が言うには、装備者を「魔」全てから守ってくれる効果があり、危険や魔法による監視を知らせ、あらゆる毒をそのラリエットネックレスが危険と判断したら打ち消してくれるとか。…もしかしてこの「飲み物」を「毒」と認識しちゃったの?
そんな風に考えごとをしていると、監督生の一人であるパーシー・ウィーズリーがこちらに駆け寄ってきた。ちょっと心配そうな顔をしてるが、どうしたんだ?
「オリヴィア、大丈夫かい?彼らに何かされ…いや返り討ちにしたみたいだが」
いやーご心配をおかけしたようで、何かすんませんね、パーシーの兄貴。でも勝手に自爆したぜ、彼ら。
「どうもそのようだね。まぁハロウィンはみんな…特に我が寮は緩みがちになるし、彼ら6年生は例の『フクロウ試験』を去年に終わらせ、逆に来年に『イモリ試験』を控えている一種のモラトリアム期間だから、ちょっとだけ羽目を外す傾向があるんだ。僕より上級生とはいえ、そこらはちゃんと注意喚起してたんだけどなぁ…」
なるほどねぇ…。そういえばパーシーは今は5年生で、今年は例の「フクロウ試験」を控えているのか。監督生をやりながら勉強も頑張っていくの、本当に大変そう。俺たちの学年だと、ハーマイオニー・グレンジャーやロン・ウィーズリー、あとはドラコ・マルフォイやパンジー・パーキンソン、アンソニー・ゴールドスタイン、パドマ・パチル、ハンナ・アボット、アーニー・マクミランの8人だったな。過半数が聖28一族なのね。
「まぁ彼らにはキツく言っとくよ。だいたい6年生の男子生徒が集団で入学して2ヶ月の1年生女子に絡む時点でまぁまぁアウトなのに…。あ、オリヴィアは楽しんできてね。向こうはちゃんと他の監督生もいるし、女子生徒も多いから」
そう言ってウィーズリー家の三男は他の監督生と協力しながら例の6年生グループを引きずっていった。ってか魔法なしで引きずってね?すんげぇ力だ。細身でウィーズリー兄弟の中でもインテリ担当だろうに、パーシーもあのチャーリー兄貴の弟なんだなぁ…。
ちなみに、その後は鼻つきグルグル眼鏡をつけてバタービールをラッパ飲みしてたラベンダー・ブラウン大先生のところに合流してハロウィンパーティーを健全(?)に楽しんだ。ラベンダー大先生、もうそれ7杯目ってマジっすか?パーバティは…何故かサリー=アン・パークスと何かを熱心に議論してる。2人ともちょっと怖い笑顔だ…。
ちなみに、ハーマイオニー・グレンジャーもロン・ウィーズリーも、そしてハリー・ポッターも談話室にいたのを確認した。クィレル教授(死喰い人)によるトロールぶち込み事件は無事に終わったようだ。まだお互いにぎこちなさが垣間見えるが、食事を楽しんでた。素晴らしい。やはりあの偉大な三人組じゃないとな。後でハーマイオニーと会話を楽しもうっと。
そうして10月最後の日に勃発した「騒乱」は終わり、クィディッチ杯シーズンが開始する11月に突入した。
11月に入るとホグワーツ城周辺の山々は灰色になり、校庭は霜だらけになった。これで完全な冬じゃないってマジ?飛行訓練の授業とか本当にキツかった。地表でも寒いのに、上空はマジで風を遮るものがないから、極寒の世界だ。クィディッチ杯とか本当によくやるよ…。まぁとりあえず冬用ローブを着用し、更に保温魔法をかけて寒さを凌いだけど。
今までイングランド南部の寒さしか知らなかったから、無意識のうちにスコットランドの寒さを舐めてたのかもしれない。夏場の暑さと冬場の寒さだと、冬場の寒さの方がまだマシだったんだが、それはイングランド南部だったからなのかもなぁ。いやでも11月でこの寒さは本当にヤバイって…。クリスマスは絶対にイングランドに戻るぞ。
明日の土曜日11時にグリフィンドールとスリザリンの試合が開催されるけど、これ観戦しないといけないの?こんなにも寒いのに?マジで?
そんなことを考えながら変身術のレポートをまとめていると、談話室の窓際で額を寄せ合って深刻そうに何かを話し合っている主人公3人組が見えた。さっきハリー・ポッターが談話室から出て戻ってきたので、おそらくスネイプ教授に没収された『クィディッチ今昔』を返してもらいに職員室に行き、管理人のフィルチから包帯を貰って三頭犬による怪我を治そうとしてたスネイプ教授に怒鳴られて追い返された後だろう。
真犯人はクィレル教授なのだが、まぁ普段のスネイプ教授の行いが行いだけに、物語の主人公であるハリー・ポッターがスネイプ教授を疑うのは仕方ない面もある。あとクィレル教授の演技力(?)も威力を発揮している可能性も?ハリーも最後の最後までスネイプ教授を疑い、真犯人のクィレル教授に驚いてたし。
ここから学期末の6月末までの長きにわたって、主人公であるハリー・ポッター達三人組による推理や謎解きが展開していくのね。本当に感慨深い。彼らの成長及び俺の保身のために助言や関与、介入は出来ないけど、ハーマイオニー・グレンジャーやロン・ウィーズリーに対してならまぁ原作のネビル・ロングボトムみたいな「きっかけ」を与える役になっても良いが…うーん…やっぱりやめとくか。「君子危うきに近寄らず」とまでは言わないが、何がきっかけでハリー・ポッターと近くなるか分からないからな。ひたすら「見」に回るか。
おや?デイーン・トーマスとシェーマス・フィネガンが何やら熱心に話し合ってるみたいだが…いったい何を話し合ってるんだろう?
「トーマス君、フィネガン君、何を相談されているのですか?」
「あ、ランドールさん!実はね、明日のスリザリン戦に出場するであろうハリーに、何か心強い応援が出来ないかなって」
あーあれか、「ポッターを大統領に」応援旗を作るんだっけ?ロンの飼いネズミであるスキャバーズ(中身は人間の小柄なオッサン)が嚙み千切ったシーツを基に、絵の上手なディーンがデザインし、ハーマイオニーが様々な色に輝く魔法をかけるんだよな。ちょっと楽しそう。
スキャバーズで思い出したけど、あのネズミってポッター家の隠れ家をヴォルデモート卿に売ったピーター・ペティグリューが変身した「動物もどき」なんだよな。それってつまり、ロンはそこそこの期間をこのオッサン(原作の描写だと「てっぺんに大きな禿げがあった」らしい)と一緒に現在進行形で過ごしているってことだよな?それも後2年も。その…気の毒な話だな、色々と。
それはともかく、明日はまぁ11時に間に合えば良いから、ちょっと今夜はみんなと夜更かししようか。割と普段から夜更かしはしている方だけど、それは勉強がメインだからなぁ。たまにはこういったワイワイしながらの夜更かしも良いよね。あ、ラベンダー大先生その巨大なリボンはどうするつもりなんすか…?え、応援グッズ?マジっすか…。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
英国南部ウィルトシャーに、ルネッサンス風の巨大で荘厳な古典様式の館があった。16世紀~17世紀のイタリア風の意匠と、イングランド南西部の気風を合わせたカントリーハウスでありながら、どこか神秘的かつ権威的な雰囲気を放っていた。まるで魔法のような。そう、ここはウィルトシャーにある「マルフォイ荘園」のマルフォイ館。
それは英国純血家系の「王家」たるブラック家が「ほぼ」族滅した現代英国魔法界においては、英国魔法界の名門中の名門であり、現存する聖28一族の中だとトップクラスの権勢を誇っている「マルフォイ家」の館だ。
11月上旬のイングランド南部は寒いとはいえ、まだ秋の残り香も感じられる時分だ。その中でマルフォイ家の当主にしてホグワーツ魔法魔術学校理事のルシウス・マルフォイは、マルフォイ館の書斎で眉間に皺を寄せながら紅茶を飲むという奇妙な仕草をかれこれ2時間ほど続けていた。
事の発端は、彼が愛する妻であるナルシッサ・マルフォイの実家であり、純血家系の「王家」たるブラック家のアークタルス・ブラック3世が今年の9月に亡くなったことだった。享年90歳だった。彼は「高貴なる由緒正しきブラック家」の本家直流の魔法使いで、かのホグワーツ校長を務めたフィニアス・ナイジェラス・ブラックの孫に該当する人物だ。魔法省への莫大な寄付金により「マーリン勲章」を受賞した人物でもある。
そのブラック家の重鎮にして英国純血家系の大重鎮が亡くなり、それに動揺したのかブラック家の数少ない生き残りで妻の父親…すなわちルシウスの義父でもあるシグナス・ブラック三世も急に体調を崩してきたのだ。まだ50代前半なのに、もう余命幾ばくも無い容態だった。彼はブラック家本家ではなく分家のブラック家ではあるが、本家嫡流にして直系の男子は「例のアズカバンの囚人」なので、ルシウスの義父こそ事実上のブラック家の当主だ。
そんな義父の容体悪化に加えて、ブラック家分家のカシオペア・ブラックも体調不良になったとの知らせを、数時間前のフクロウ便で知った。次から次へとブラック家の生き残り達が、本家や分家を問わず健康悪化の憂き目に遭っている。このままでは本当に高貴なる由緒正しきブラック家が「族滅」し、我がマルフォイ家の親戚筋がまた一つ途絶えてしまう。
この危機意識は何もマルフォイ家特有のものではなく、英国純血家系…それも特にスリザリン閨閥の門閥家族を中心に凄まじい危機感が醸成されていた。彼らはもはやブラック家の没落と事実上の族滅は時間の問題と判断(例のアズカバンの囚人は比較的若いので、望みを捨てきれない者もいた)し、次の「王家」を希求していた。
そこでマルフォイ家に白羽の矢が立った。立ってしまった。もともとブラック家云々以前にマルフォイ家は凄まじい富と権勢を誇っており、更にはブラック家ほど近親婚をせずに(歴史的経緯故か)地味に遠い祖先には半純血もいたおかげか、健康面でも特に問題はなかった。近年のブラック家の(長命の魔法族にしてはだが)若年死の件数を考慮すると、その辺りも暗に考慮されたフシがあった。またフランス魔法界が故地からか、欧州大陸の純血家系にも伝手が多数あり、国際魔法協力を蔑ろにしがちな英国魔法省や英国魔法界を良い意味で補完する役割を期待する門閥家族もいた。
とにかく、彼ら門閥家族は今まで以上にマルフォイ家を盛り立て、スリザリン閨閥の中心軸に祭り上げた。ここまではまだ良かった。ルシウス・マルフォイ自身もまんざらでもなかったし、社交を特に得意とするマルフォイ家としても利点が多数あった。更なる権益確保と、英国魔法界全体への有形無形の影響力増大にも寄与するからだ。
問題は、彼ら門閥家族が少し調子に乗って「ご嫡男であり、かのブラック家の血もひくドラコ坊ちゃんのホグワーツ魔法魔術学校ご入学を記念し、んでもって次代の純血家系の更なる繁栄を目指して、ドラコ坊ちゃんの伴侶候補…の更なる候補をジワリと確保していきません?」と提案しやがったことだ。
もちろん総論では賛成であり、彼ら門閥家族が語るように「ジワリと」、すなわちゆっくりと息子の妻候補を決めていくこと自体は大いに結構なことだ。急に決めるなんて問題外であり、おそらく昔と違って親が頭ごなしに決めつけるのも逆効果になるだけだろう。息子の意見を最大限に尊重し、愛する我が子の配偶者を今のうちから考慮していくのは悪いことではない。
ただ、それに乗じて彼ら門閥家族が来月に開催されるマルフォイ館でのクリスマス・パーティに彼らの娘や姪っ子、孫娘等をアホみたいに派遣することを画策しているのはどうなのだろうか?そもそも論として、パーティというのは主催者側が招待したい人に招待状を送付し、その対象者が諾と返事をすることで一種の契約関係が生じるもの。それなのに彼らはもう既に参加する気満々なのだ。
これに怒ったのが我が愛する妻であり、ドラコの母親でもあるナルシッサ・マルフォイだ。彼女は来月のクリスマス・パーティ招待客を「これはあくまでもドラコのホグワーツ入学を祝う会なので、招待状を送付する子どもはドラコと同学年の者にのみ」とぶち上げた。気炎を吐いていた。ちょっと怖かった。ちなみに大人の参加者は別口なので、門閥家族の両親は普通にガンガン参加する。
しかし、愛する息子を思ったナルシッサはこうも思った。スリザリン閨閥の門閥家族に招待状を送付するのは大いに結構だが、昨今の情勢や「血の近さの危険性」を考慮して、スリザリン閨閥以外の門閥家族や、更にいえば中堅純血家系にも招待状を送付しても良いのではないか?と。中堅純血家系は門閥家族よりは劣るが、まぁ一応は純血家系ではある。かのゴーント家ほど酷くはないが、自分の実家であるブラック家の近年の健康面を考慮するに、やはり純血家系とはいえ多様性は必要である。
そこでドラコ・マルフォイと同学年の女子かつ、聖28一族や門閥家族だけでなく中堅純血家系にも招待状を送付した。膨大な数ではあったが、門閥家族が画策していた計画よりは遥かにマシな数だった。そもそも論としていくらマルフォイ館が広大でも、「年齢や学年を問わない未来の配偶者候補…の更なる候補」を招くのは物理的に難しい。同学年女子に限定したのは館のキャパシティーの面でも英断であった。
そんなことがあって、ルシウス・マルフォイも妻と同じく招待状を作成しているのだが、彼は非常に迷っていた。それは、近年の純血家系界隈や魔法省内部にて話題に事欠かないオリヴィア・ランドール嬢に招待状を送付するか否かだ。
彼女の家格はハッフルパフ閨閥系の中堅純血家系なので、本来ならば息子の配偶者候補の更なる候補としては微妙ではある。しかし、近年のその令嬢による「活躍」を聞くにあたって、是非ともマルフォイ家の身内にしたいとも思っていた。それも非常に近い身内に。
というのも、彼女の行動様式は我らマルフォイ家と似ている面が多々あったからだ。唸るほどの資金をマグルどもからかき集める手腕は当然として、彼女や彼女の一族郎党が決して魔法省やウィゼンガモット法廷といった公の組織に直接は所属せず、その代わりに莫大な寄付を効果的に行うことで、影から魔法省や魔法界を誘導しているように見えるからだ。特に明らかにオリヴィア嬢の影響力が垣間見える「週刊国際魔法経済」の創刊やその後の発行においては、絶大な影響力の行使が垣間見えた。
また、前魔法省大臣であるミリセント・バグノールド(在任期間:1980-1990)の任期後半から魔法省と魔法省大臣、更にウィゼンガモット法廷や聖マンゴ魔法疾患傷害病院等に毎年莫大な寄付を行っている。これは我々マルフォイ家ですら少々気後れするレベルの規模と金額だ。更にいえば、ホグワーツの基金にも多額の資金を寄付しており、ホグワーツの理事の一部は彼女の崇拝者になりつつある。もっとも、彼女は聖マンゴ魔法疾患傷害病院やホグワーツには一切口を出さない。故に恐ろしいのだが。
去年(1990年)から魔法省大臣職に就いているコーネリウス・ファッジなど、莫大な寄付を自分や自分が率いる組織に対して毎年行ってくれ、また最近は彼女が創刊したであろう週刊雑誌によって魔法省や自分を称賛してくれる提灯記事を世界中にばらまいてくれるオリヴィア・ランドール嬢に非常にご満悦だ。虚栄心をくすぐってくれるのだろう。
また、我々マルフォイ家に似ている面だけではなく、我らに無い強みも見いだせた。それは彼女の一族郎党であるランドール家が海外…それも我々マルフォイ家や親戚筋のレストレンジ家が保持する大陸欧州諸国との繋がりだけではなく、文字通り全世界と繋がりを構築している点だ。
各国に小鬼連中やランドール家代々の取引先相手を通して拠点や権益を分散し、リスク管理に勤しんでいるのだ。これは国際魔法協力を軽視しがちな英国魔法省や英国魔法界にない…というか思いつかない強みだ。まぁあの忌々しいホグワーツ魔法魔術学校校長閣下殿なら思いつくだろうが。あのご老人は国際魔法使い連盟だけでなく、北米や大陸欧州にも影響力を行使できる。
とにかく、彼女の行動はまるで「英国魔法界に遠くない将来、禍が降りかかり、それから逃げるよう」にも見えてしまう。まさかな…。考え過ぎか。
まぁ何はともあれ、彼女の家格と彼女を身内にした場合の影響力を考慮すると…うん、息子の配偶者…の更なる候補者レベルなら別に招待状を送付しても問題はないだろう。他にも候補の更なる候補は大勢いるわけだし。あくまでもその中の一人に彼女を追加するだけ。中堅純血家系でも純血は純血だし。
むしろ問題なのは、我が愛しき妻であるナルシッサへの「説得」だな…。ドラコが例の純血家系交流会やホグワーツ入学後のフクロウ便で「報告」してくれる女性でダントツの話題率を誇っているのがオリヴィア・ランドール嬢だ。…その…毎回その手紙を読むたびに、ナルシッサは凄まじい顔になるのだ…。本当に怖い。ナルシッサが「あのベラトリックス・レストレンジ女史」の妹であることを毎回思い出させてくれる。どうもあのブラック家三姉妹は全員激情家過ぎるよな…。高貴なる由緒正しさとは真逆な感じの情熱を感じる。
やっぱやめようかなぁ…ナルシッサを怒らせたくはないし…。でも怒ったナルシッサも綺麗なんだよなぁ。あとナルシッサ自身も一度は「その顔と姿を見てみたい」とは言ってたし、別に良いよね?大丈夫だよね?なんか「そのツラを拝ませてくれや」みたいに聞こえたけど、いける…よな?よし、やろうっと。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
いやー昨日のクィディッチの試合はなんだかんだで面白かったな。寒さはきつかったが、応援してたら意外にも慣れた。冬場のスポーツ観戦ってこういうものなのかな、魔法族やマグルを問わず。
あと、グリフィンドール寮とスリザリン寮の試合は本当に荒っぽいな。あそこまでやるのか。あと、原作通りというか、実況席のリー・ジョーダン(グリフィンドール寮)によるグリフィンドール寮贔屓の実況は笑ったし、それを毎回咎めるマクゴナガル教授(グリフィンドール寮監)との事実上の漫才実況は更に笑ってしまった。あれを毎試合やんのかよ。
ハリーは原作通りクィレル教授から呪詛を受けてニンバス2000から振り落とされそうになり、それをスネイプ教授が必死に防衛してた。んで我らが「ミス・勉強」にして「ミス・規律」のハーマイオニー・グレンジャーがクィレル教授をタックルでふっとばし、スネイプ教授の服を燃やして妨害に成功した。アグレッシブ過ぎる勇猛果敢ぶりよ。真のグリフィンドール寮生はハリーやネビルだけではなかった…?
そう思い出しながら大広間で朝飯を食おうとしてたら…おや、手紙が来たようだが…2通も?なんだこれ?片方は普通の封筒だが、もう片方は…うわなにこれ?エメラルドグリーンの封筒で、金色と銀色の装飾をしている…え、これガラスじゃなくて本物のエメラルドも装飾に使用しているの!?たかが封筒に!?豪華過ぎるわ。以前魔法省から貰った感謝状(アホみたいに寄付した返事)より豪華な辺り、純血家系でも最上位からの手紙なのか…?
何か嫌な予感がする…ってか表にあるこの「M」のついた盾に2匹のドラゴンが向かい合い、更にその上を2匹の蛇がとぐろを巻いているこの紋章って、聖28一族の中でも現在だと最上位にある例の家の紋章では…?なんなら「Sanctimonia Vincet Semper(純血は常に勝利する)」という家訓らしき標語も書かれてあるし。
…とりあえず、見なかったことにしよう。
もう一つの手紙を先に読むか。えーっとなになに…ふむふむ…『2月か3月頃にホグワーツの教室のどこかで一緒にお茶会でもしませんか?』ねぇ…。ホグワーツの生徒なのかな?それにしては妙に既視感のある筆跡というか、奇妙な書き方だな。何故かホグワーツの公式封書も使用している辺り、生徒ではないのか?教授か?でもそれなら普通に署名はするよな…?いったい誰からの手紙なんだ?
そしてさっきから胸元のラリエットネックレス(リング付きのY字型ネックレス)が温かい。しかも緑色の封筒ではなく、こちらの地味な(?)方の手紙に反応しているような気がする。警戒すべきなのかもしれない。
ところで、このエメラルドグリーンの封筒って開けないといけないの?本当に嫌なんだけど…。
またしても何も知らないオリヴィア・ランドールさん(12)
主人公の口調は主人公が意識して丁寧な言葉遣いになっていますが、素の口調は内心の通りです。なので感情が高ぶったり、動揺したり、酔っ払うと素の口調が漏れてしまう場合もあります(組み分けの時に出かけた)
アークタルス・ブラック三世(1901年~1991年)
フィニアス・ナイジェラスの孫。メラニア・マクミラン(聖28一族出身)と結婚。
カシオペア・ブラック(1915年~1992年)
フィニアス・ナイジェラスの孫。未婚のまま亡くなる。
シグナス・ブラック三世(1938年~1992年)
フィニアス・ナイジェラスの曾孫。ドゥルーエラ・ロジエール(聖28一族出身)と結婚。ブラック三姉妹の父親。ドラコ・マルフォイの母方の祖父。