ウーサー君は切嗣君のマブダチです   作:クソ眼鏡3号

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燦然と輝く王剣

 

 

「行きますよ、『燦然と輝く王剣(クラレント)』───増幅(ブースト)──敏律(AGI)──」

 

マスターからの許しを得たセイバーはそう呟き宝具が解放される。

真名解放された『燦然と輝く王剣』は所有者のステータスを増幅させる効果がある。

増幅させる項目はセイバーの意思で決められる。

増幅されたのはランサーの時と同様に“敏律”。

限定解放された時と比べてたら増幅の倍率は限定解放時が10とするなら真名解放時は100だろう。文字通り桁違いの増幅効果だ。

増幅効果をスピードに全振りされた際のセイバーの速さはかの人類史最速の男にも匹敵するだろう。

 

セイバーの解放と同時にアーチャーとバーサーカーの対決にも変化が起きた

 

「痴れ者が…天に仰ぎ見るべき我を同じ大地に立たせるか!」

 

「その不敬は万死に値する。そこな雑種よ、もはや肉片ひとつも残さぬぞ!」

 

街灯の上に立って見下ろしていたアーチャーがバーサーカーによって街灯のポールを斬られ、地面に引きずり下ろされたのだ。

当然、プライドが天元突破しているアーチャーの機嫌は最高潮に達し激怒していた。

アーチャーの背後から新たな宝具群が現れる。

それも砲門の数は数十門。更なる激しい掃射がバーサーカーを襲う。

 

「ちょっとお邪魔しますよ」

 

と思われたがそうはならなかった。

いつの間にかバーサーカーの背後に回っていたセイバーが、正に神速の速さで振るわれたセイバーの剣がバーサーカーの両腕を斬断した。

バーサーカーは振り向き反撃しようとした際にセイバーの顔を見た。するとバーサーカーの口から明らかな人名が溢れた。

 

「……Ar(アー)……thur(サー)……」

 

セイバーはそんな事はお構いなしにバーサーカーの両脚を斬断する。

 

「人違いです。事情はよく分かりませんが傍迷惑なので人探しなら他所でやってください」

 

それだけ言って、セイバーの刃がバーサーカーの首を斬り、頭部だけになったバーサーカーの顔面を両断した。

 

第四次聖杯戦争におけるバーサーカー…ランスロットは脱落した。

余談だがバーサーカーのマスターである間桐雁夜は、後に銃弾で額を貫かれた死体で発見された。

 

当然、そんな事は今はどうでもいい。後始末は全て聖堂教会の仕事だ。この場の誰もが脱落したバーサーカーとそのマスターを気にかける者は誰もいなかった。

 

 

 

「感謝しておきますよ、貴方のお陰でバーサーカーを楽に始末できました」

 

「王の裁きに水を差すとは大した痴れ者よ…だが許そう。よくぞ、かの不届者を掃除した。褒めてやろう」

 

セイバーがバーサーカーを強襲し勝てた勝因はバーサーカーの意識がアーチャーに向いていたからだ。

アーチャーがバーサーカーの注意を引き付けてくれたお陰だ。

そのおかげでセイバーはバーサーカーの隙を突けたのだ。

突然のセイバーの介入にアーチャーは先ほどの憤怒の表情が消え、多少は機嫌が良くなったようだ。

 

「して、如何にするセイバー?先ほどの続きでもするか?」

 

「では、それでお願いします」

 

セイバーの返答をすると同時に、ノータイムで宝具の群れがセイバーを襲う。

 

だが、増幅された敏律がアーチャーの投擲する宝具より速く、セイバーに当たる事は叶わない。

 

「なんという速さだ…まるでかのアキレウスの様だ…」

 

襲いかかる宝具群をセイバーは体を捻り、避け、ある時は剣で叩き落として躱していく。

どれも一撃必殺の宝具群をセイバーは傷一つ無く避け続け、アーチャーとの距離をどんどん詰めていく。

 

「速さは認めるが、これはどうだ?」

 

アーチャーが次に展開したのは魔杖。その数、約20挺。

魔杖の先端だけを取り出し、魔術を行使する。

神代の魔術が込められた魔杖から絶対零度の冷気、荒れ狂う暴風、灼熱の炎がそれぞれから放たれる。

速さではどうにもならない範囲攻撃。

躱すにはその範囲から出るしかない。無論、躱すだろう方向にも武具が設置されている。

故にセイバーに逃れる術は無い。

 

「『燦然と輝く王剣』───増幅──筋力(STR)──」

 

ならば避けなければいい。

『燦然と輝く王剣』の増幅によって強化された筋力は、彼からスピードを失わせた。その代わりに剛力を手にした。

魔術で剣と両腕を強化し、更に威力を高める。

そして鈍重だが確かな威力を纏った剣を両手で横薙ぎに振るう。

 

振るわれた剣から生じた剣圧はまるで天変地異。

アーチャーの放った魔術を薙ぎ払った。

 

「そら、次だ」

 

今度はセイバーの周囲にアーチャーの宝具群が取り囲むように展開される。

そしてすぐさま射出される。

いくら素早くとも逃げ場が無ければ意味は無い。

串刺しは免れないだろう。

 

「『燦然と輝く王剣』───増幅──魔力(MGI)

 

周囲に展開された宝具群を認識したセイバーは瞬時に『燦然と輝く王剣』の増幅機能を魔力に振る。

 

ズガガガガガンッッッ!!という地響きのような大地の怒号が鳴り響き土煙が舞う。

しかも宝具群は一度に襲うだけでなく、取り囲んだ状態で連射している。

宝具の雨は止まず、セイバーを襲い続ける。

 

(物量で投げるだけの馬鹿みたいな戦法の割には、随分と応用の効く宝具のようだ)

 

セイバーは健在だった。いくらか衣服が破れているが無傷だった。

逃げ場の無い状況でセイバーが取った行動は一つしかない。

全て己の剣で叩き落とす事。それしかない。

敏律に全振りした状態には及ばないが、驚異的なスピードで宝具群を捌いていた。

増幅効果を魔力に全振りしたセイバーは全身を魔力で強化していた。

通常の強化よりも遥かに高い倍率で強化されたセイバーの肉体は、まるで昼間の太陽の騎士のように通常の三倍の能力値を叩き出していた。

魔力と宝具を除いた全ステータスの強化、それが魔力に増幅効果を全振りした場合の恩恵だった。

 

「ほう…」

 

急激に通常の三倍の速度で動き、速度自体は先ほどより劣るもののセイバーの威圧感は更に増した。

まるで新しい玩具を見つけた子供のようにアーチャーは凶悪な笑みを浮かべながらセイバーを凝視し観察する。

アーチャーがセイバーへの関心が深まったと同時にセイバーは捌ながら銃を構える。

次の瞬間、アーチャーが銃に気づいて更なる宝具を展開する前に一条の光がアーチャーの右肩を貫き、その勢いはアーチャーの右腕を吹き飛ばした。

 

「おや、今ので仕留める気でいたんですが…外しましたか」

 

一条の光の正体は銃弾だった。

セイバーの全力の魔力が注がれた銃弾は音速を遥かに超え、亜光速に達した銃弾はレーザービームのような弾道を描き、アーチャーの腕を千切った。

その代償として、セイバーの持っていたグロック17は膨大な魔力が込められた銃弾の反動に耐えられず銃身が跡形もなく吹き飛び、銃床に至っては銃弾が生み出した熱に耐えられず溶け始めていた。

それに仕留めきれなかったのはレーザービームのような銃撃はたった今思いつき、初めてやったので狙いがよく定まらなかったのが原因だ。

 

“やはり思いつきで行動するもんじゃありませんね…"

 

とセイバーは心の中で自嘲する。

さっきの銃撃は今のセイバーがアーチャーに出来る最大の攻撃だった。

いくら『燦然と輝く王剣』によって優れたステータスを引き出しても、アーチャーの出す無尽蔵の宝具群は厄介だ。

このままではジリ貧。グロックは紛失し、後はもう最大の切り札である()()()()()()()()()()

だが、セイバーの第二宝具は負担が非常に大きく乱用は出来ない。

一見するとセイバーはアーチャー相手に有利に立ち回っているように見えるが、実際はその逆、セイバーは追い詰められていた。

 

「フハハ、ハーハハハハハハ!!」

 

そんなセイバーの心境を他所に吹き飛ばされた腕を気にも留めずにアーチャーは呵々大笑と笑う。

面白い。よもや此度の聖杯戦争は退屈なものだとばかりと思っていたが、存外に魅せる者が現れた。自分を倒し得る敵が現れた。

これはもはや認める他ない。

 

「良いだろうセイバー。お前を敵と認め()()()()()()()()()()()。貴様はこの我自らが首を刎ねる」

 

「首を刎ねるだけの技量があるとは驚きました。とてもそんな芸達者には見えなかったモノで…」

 

追い詰められたセイバーの精一杯の煽りが鶏冠に来たのか、次の瞬間、アーチャーの背後から約1000挺を超える宝具が展開された。

空を照らす太陽のように宝具群が光を放ち夜空を光で覆っていく。

 

「付け上がるなよ…下郎が」

 

「お互い様でしょう。貴方も従者(サーヴァント)である以上“下郎"である事に変わりはない」

 

一触即発。

次の瞬間には先ほどとは比べ物にならない宝具の豪雨がセイバーに迫るだろう。

 

「『燦然と輝く王剣(クラレント)』───増幅(ブースト)──敏律(AGI)──」

 

セイバーは増幅効果を敏律に全振りし迎撃の準備をする。

あれだけの膨大な数の宝具を捌き切るにはスピードしかない。果たして全て捌き切り活路を見出せるかはセイバー自身にも分からない。

 

真の戦いはここからだった。

 

本当の神話の戦いが繰り広げられようとした。

 

 

 

 

 

だがそうはならなかった。

 

「むっ…」

 

興が乗り、笑みを浮かべるアーチャーに笑みが消えた。

それはおそらくアーチャーのマスターからの念話。

あまりにも勝手な行動をするアーチャーに剛を煮やし漸く重い腰を上げたのだ。

 

「貴様如きの諫言で王たる我の興を鎮めろと?大きく出たな、時臣…」

 

アーチャーはおそらくマスターがいる方向、遠坂家のある東南の方向を忌々しげに睨みつける。だが、何を思ったのか王の中の王は背後に展開した宝具群を仕舞い込む。

 

「興が削がれた。貴様との戯れは最後までとっておくとしよう」

 

「此度の聖杯戦争、どうやら我が見届けるだけの価値ある戦争と見た。故にセイバーよ、次に見えるまで他の有象無象を間引いておけ。我との決着はその後だ」

 

そう言ってアーチャーは、黄金とエメラルドで構成された“(ヴィマーナ)"を取り出し、それに乗りその場を後にした。




悲報 AUO、ウーサー君に対して本気モードになる





なんでクラレントにこんな強力な宝具になっているのか疑問に思う方もいると思いますが、そもそもの話モードレッドの『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』はクラレントのバフ効果と魔力放出のスキルを組み合わせて放つ宝具なので、本来王ではないモードレッドが使ってあの威力ならば、本来の使い手である王が使って、なおかつ使い手が才能オバケの天才が使った場合を想像して書いていたらあんな感じになりました。
「クラレントがあんな強い武器な訳ねーだろ」と思う方は解釈違いでしょうが申し訳ありません。
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