一般性癖TS転生少女、真白 光は絶望的なまでにすくわれたい 作:エテンジオール
昔から、おかしな夢を見る。夢の中のみんなは私の知っているみんなとそっくりで、同じようなことをしていて、でも少しだけ何かが違う。夢の中の
そんな夢の話をしたら、お母さんは不思議そうに笑って、光ちゃんには不思議な力があって、他の世界が見えているのかもしれないわねと言っていた。お母さんも色々考えてくれたけど、そう考えるのが一番無難だから、きっとそうなのだろうと言っていた。
小さい頃はよくわからなくてお母さんがそう言っていたからそうなんだと思った。賢くてすごい他の
成長していくに従って、
意味のわからないものを行動指針にしていて、わけのわからないことばかりしていて、周囲のことなんてなんとも思っていない人だった。そのクセ外面だけは誰よりも良くて、周囲に愛されている人だった。私に対してもそんな姿だけ見せてくれればよかったのに、
夢の中で、何度も
効率のいい学習法を知ることで勉強だって得意になったし、話し方を真似することで友達だって沢山増えた。私の人生は間違いなく恵まれていて、イージーモードだった。それもこれも全部
全部、
間違っているのだと、伝えたい。あなたたちの考えている幸せは、その
もっと、みんな幸せになれるはずなのだ。私の周りのみんなだけじゃなくて、
“変異は変異でも、がん細胞みたいだね、人類種の腫瘍だからピッタリだ!”
本当にそうだ。
“才能がありすぎるこの身が憎い”
才能のせいなのか。私の体に、
そう思うと凄まじい罪悪感に襲われて、悲しくなって涙が出てくる。きっとこれはこうして見ているだけの私ではなく、人生を奪われた私はもっと苦しんでいることだろう。その悲しみが伝わってきて、さらに涙が込み上げ……
人生奪われてめちゃくちゃにされているのにそれでいいのかと疑問に思いながら、この子にはそれを嫌だと思えるほどの自分が存在しないのだと納得する。私が家族のおかげで当たり前のように獲得できた自我を、この子は持っていない。
その事がとても歪で気持ち悪く感じて、同時にこれが自分でなくてよかったと安堵する。私は普通だから、まともだからこうやって忌避感を持てるが、こんなふうに育てたのは私の中に何もいなかったおかげだ。
夢を見た。夢の中で
夢を見た。夢の中で
夢を見た。夢の中で
そんな
気をつけないとと思いながら顔と名前を覚えて、あってもいない相手を警戒する。警戒したところで大した意味はないかもしれないが、多分しないよりはマシ。
「こんにちは、真白さん……であってるわよね?あなたが作った木工作品、自由工作のファンなの。少しお話いいかしら?」
ないよりはマシ程度の警戒をしていたら、相手が突っ込んできた。しかもその理由は、私が夏休みの宿題に出していた自由工作のファンだとかいうふざけたもの。お金なら払うから買い取らせてほしいとか、他のものも作ってほしいとか、意味がわからなくて怪しいことばかり言う彼女のことを信用することなんてできるはずがなく断って、おかえり願う。なんだかとても悔しそうにしているけれど、
「……今の人、光ちゃんの知り合い?なんかすごい顔してたけど」
ぐぬぬ、なんて本当に口にする人初めて見た……と何やら感動している様子のひろくんに、知らない不審者さんだから気にしなくていいと伝えて、不審者さんに対して興味津々だったひろくんの注意を私に戻す。私の大切な人には、不審者なんかよりも私のことを考えてほしい。ずっと一緒に過ごして、兄弟みたいに育って、お互いに大切に思いあっているかわいくて優しい恋人のことを考えてほしい。
そんな思いを伝えるために腕をとり、身体を寄せる。必要以上にくっつくのはマーキングであり、所有権の主張だ。それほど多くないとはいえ、私のひろくんを憎からず思っている人物にはいくらか心当たりがある。そんな子達に対して、入る隙はもうないのだと見せつけなければいけないし、ついでに私を狙う悪い虫も諦めさせる。ひろくんは、“こいつのいい所は私だけが知っている”みたいな誤解を持たれやすいのだ。ひろくんのいい所で私が知らないところなんてないのに。……だから灯、私のふりしてひろくんにベタベタするのやめなさい。お姉ちゃんあなたをそんな子に育てた覚えは……お母さんっ!あんまりひろくんをからかわないでっ!“からかってるのはひろくんじゃなくて娘”?どっちにしてもやめてっ!
そういうことばかりしてたら嫌いになるよ!と言うと、“本当に嫌い?”と聞かれる。もちろん、大好きなお母さんを本当に嫌いになれるわけもないし、嫌いなんて言葉は冗談でも言っちゃいけないので、“本当は大好き!”とキレ気味に言い返す。生温い目で見られて、ついでに抱きしめられた。ひろくんにも苦笑いされた。
ちょっと思うところはあるけれど、まあいい。よくわからない怖いものはいなくなって、それ以降話しかけられても拒絶し続けたらやがて諦めてくれた。……諦めてくれたはずだ。しばらく道端で遭遇することが多かったり、やたらと親しげに話しかけてこられたりしたが、警察に相談すると大人しくなった。だから、きっと、諦めてくれたのだ。
そうやって諦められてからしばらくして、
「最近、寝起きがいいね。睡眠の質が良くなったの?」
一緒に住んでいて、いつも隣で寝ているひろくんから見ても、
「うん。なんか最近、調子いいんだ。この子のおかげかな?」
ほんの僅かに膨らみかけた下腹部に手を伸ばし、まだなんの反応も示さないそこをさする。思い返してみれば、
もしかしたら、この子が私のことを守ってくれているのかもしれない。この子のおかげで、
だから、考えないことにした。きっと杞憂だから。
細けえ解釈は任せます(╹◡╹)ifダシ
これで完結よ(╹◡╹)
明日か明後日くらいにカクヨムで新作あげると思うから興味があれば見てみてね。長くなりそうならハーメルンにも載せるね(╹◡╹)