とにかく、情報が欲しくて。
クボウサマに、新年の挨拶を申請しました。
3週間待ちで、謁見が叶いました。
しかし。そこでの対話には、判断に苦しむ内容の発言も多くてですね。
教会へ持ち帰り、可能な限りの頭脳を集めて検討を加えていたのです。
持ち帰るといえば。
機械時計、返してもらいました。
あの時計動いてますか?そろそろ調整が必要なので。
というのが、訪問の口実だったんですね。
案の定、動かなくなっていて。
埃かぶってたみたいです。分解した跡もありました。
私にも直せないようです、と陳謝して、引き取りました。
直して、教会で使ってます。
まあ、それはさておき。
復活祭も近づいてきて、信徒も集まってきたので。
腹蔵なく話せる人にも、知恵を出してもらって。
コンスタンチノからは、ヲアリ国の最新情勢など、貴重な話をいろいろと聞きました。
そこへ突如。
クボウサマからの大発表。
「織田信長は御敵なり」
カヅサ殿との絶交宣言ですね。
ここですべてが腑に落ちました。
ようやく私の口から、自信たっぷりの分析を、語ることができます。
かなり前から、クボウサマは、カヅサ殿の命を狙っていたと思われる。
15代目に就任した時は、さすがに感謝してたろうと思いますが、カヅサ殿は彼の家臣となることを拒んでギフへ帰った。
もしかすると、その頃から、怨み始めていたのかもしれない。
カヅサ殿は、破竹の勢いで領土を拡張した。
その度ミヤコへ報告しに来ては、ギフへ戻った。
ミヤコで客人の相手をしてるだけの15代目には、カヅサ殿に滅ぼされた側の泣き言も聞こえてくる。
あいつさえいなければ私が国王なのだぞ。
実力もないくせに、そんな思いも膨れあがっていったのでしょう。
流浪の時代、彼は、エチゼンに身を寄せていた。
エチゼン王とは、親しくしていたはずです。
当時は、むしろ大恩人。
そのエチゼン王と、カヅサ殿は、仲が悪い。
焚きつけてやれと誰かがささやく。
カヅサ殿、エチゼンを攻めに行く。
撤退する。
帰り道、狙撃され、辛くも助かる。
誰かが情報を流してる?
そろそろ、偶然だけでは説明が難しくなってきましたね。
続けざまに、オーザカへミヨシ勢が上陸します。
ミヨシは15代目の敵なので、この時点では無関係だったかもしれません。
でも、最強のカヅサ軍を排除したいという目的が共通するなら、同盟は可能です。
カヅサ殿は、15代目の要請に応じて出動。
いざ決戦。というその時になって、イコ宗が全国で雄叫びを上げます。
カヅサ殿は、15代目と一緒に脱出し、ミヤコへと駆けこみました。
ずっと、彼の背後にいたのです。
30年近く坊主として生きてきて、今はカヅサ殿を憎むことしか考えていない、その男は。
こんな狗にも劣る畜生を守り抜こうとしてる間に、カヅサ殿の兄弟ふたりがイコ宗に殺されました。
妹も、未だに囚われの身です。
絶体絶命。
正真正銘、ほんとに敵だらけの中にいたんです。あの時のカヅサ殿。
なんとか一命は取り留めましたが、二度と野心は抱かぬと誓約してミノへ帰還。
雌伏の時を過ごします。
翌年、ヒエノヤマの坊主から情報を引き出しました。
カヅサ殿には、そろそろ真相が見えていたかもしれません。
「まだまだ、殺さねばならん奴が、多いものでな」
真犯人をどう追い詰めてやるか。じっくり考えていたのではないでしょうか。
なぜ、シンゲンは、ミヤコを目指す?
これが、ずっと、謎だったんですよね。
今は、わかります。
15代目に呼ばれたからです。
王宮の官吏たち。どいつもこいつも、シンゲンの快進撃を嬉しそうに語る。
わかりやすすぎて、ほんと、笑っちゃいます。
危機感ゼロ。
ミヤコの民は、いえ、キナイ中が、戦火を恐れて身構えているのに。
こいつらだけは。早く来ないかなって、それしか頭にない。
情報管理が、まるで、なっちゃいない。
腕もないのに、足腰も立たないのに、知恵すらないか。口はゆるいか。
15代目の絶交宣言は、勇み足もいいところ。
カヅサ殿を、はっきりと、敵に回した。
まだまだシンゲン、はるかかなたで泳いでるのに。
早く来てよ、ぼく、襲われちゃうよって、意思表示なんでしょうけど。
カヅサ殿、すぐ来ますよ。
一撃必殺で、てめえなんざ、血祭りだ。
ほんと、笑っちゃいます。
どこまで、頭が鈍いのだろう。