戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1573/007.hmos

カヅサ殿から招待された。

馬に乗って、オーミへ向かった。

 

ビワ湖の西岸、サカモトから、舟に乗る。

東へ向けて、横断する。

風が気持ちよい。

 

到着したその港では、巨大戦艦を建造中だった。

 

見た目は、ジャンクである。帆も四角い。

左右合わせて100近い櫓を持ち、全長30ブラサ、幅6ブラサほど。

 

すでに、二番艦、三番艦も準備されているという。

私は設計図から、乗り心地から、ほぼ全てを見せてもらった。

その上で意見、とくに問題点の指摘と、改善案の提出を求められた。

 

ビワ湖は外海とつながっておらず、干満もないし、波も立たない。

これがまだ試作艦であることはわかりますが、外海あるいは内海で建造する際は、もっと複雑な要素を考慮せねばなりません。

碇泊させるだけでも、接岸距離および船同士の間隔には充分な余裕をもってください。

そのための港は、波風を防げる入江の中に。水深も測量して選ばれる必要があります。

 

敵地への揚陸も、同様に検討されねばなりません。

座礁すれば、格好の標的です。火矢で帆を狙われるかも。その炎が弾薬に引火するかも。

水中へ飛びこんだ兵は、武装を脱ぎ捨てて、岸まで泳がねばなりません。

このときに陸上から弓や鉄炮で狙われると、まず逃げ切れません。

這い上がれたとしても、濡れそぼっていて丸腰ですから、戦えません。

つまり大船は、すでに占領して安全の確保された港にしか、入っていけないのです。

 

敵を驚かせる効果は、抜群でしょう。

しかし、大船のみで戦は勝てません。

機動力のある小舟を多数つくり、すみやかなる上陸を敢行すること。

主力がそちらであることは、揺るぎません。

 

 

言いたいだけ言っちゃったあとで

あ、まずかったかな。責任者が処罰されちゃったりしたらどうしよう。

と気付いてしまったのだけど

意外なほど感心されて、私は海戦の権威と見做されてしまったようだ。

いいのかな。今更あとへも退けないが。

 

大船建造計画はかなりの修正を求められ、私もしばらく滞在することになった。

この期間中、カヅサ軍を支える多くの部将たちとも、より親睦を深めることができた。

 

私にとって一番古い顔なじみ、サクマ殿。

猛将である。

カヅサ殿幼少時からの家臣。齢は、5つほど上。

交渉術にも抜きん出ており、判断力もすぐれている。

シンゲンがトトミを制圧したあと、サクマ殿はミカワの救援を志願し、3000の兵を率いて出発した。

だがミカワ王が無謀な玉砕戦をたくらんでいると聞いたので、途中で引き返し、ヲアリの防衛を固めたという。

冷徹にそんな判断を下せる部将は、逸材である。

その行動を正しく評価できるカヅサ殿も、すぐれた大将というべきであろう。

 

彼よりさらに5つほど齢上の、シバタ殿。

カヅサ殿が生まれる前から、家臣の一人だった。

オタ家が内紛を重ねていた時代は、カヅサ殿の兄上に与していたらしい。弟が病気だと聞いて、とどめを刺すため見舞に駆けつけ、返り討ちにされたという、あの人だ。

カヅサ軍へ編入されても数年は邪険にされ、打ち解けることがなかった。だが今では特別級の信頼を、互いに認め合っている。

ここ最近の作戦では、総指揮官を務めることが多い。

 

この港を管轄する城を任されている部将は、ニワ殿という。

カヅサ殿や私より、3つくらい齢下か。

キビキビとして、どんなことにも精力的だ。

大船には、彼の人生が懸かっている。その真剣さには、私も全力で応えたい。

 

ニワ殿が尊敬してやまない、憧れの大先輩が、アケチ殿。

ヒエノヤマ麓の最重要拠点に強固な城を建築し、四方八方に睨みをきかせている。

最近知ったのだが、のちにクボウを名乗る坊主がナラを離れて逃げ回っていた頃、アケチ殿はエチゼン王の家臣だった。

坊主がクボウになってからは、カヅサ殿の外交官としてミヤコの王宮に入りこみ、人脈づくりに精を出す。

つまり、なんとクボウもエチゼンも、手の内を知られ尽くしているわけだ。

いやはや、とんでもない逸材である。

アケチ殿がカヅサ殿の忠臣である限り、クボウもエチゼンも、絶対に勝てるわけがない。

 

かつて敵だったといえば、ヤマオカ殿も外せない。

この人はつい最近までロカク氏の家臣で、コガという里を管理していた。

実はロカク氏、まだ生きているのだ。ヤマオカ殿がとりなしを願ったおかげらしい。

ヤマオカ氏は現在サクマ殿の配下に置かれているが、コガの農民は忠誠心がひときわ高く、戦場での働きも格別にすぐれているということだ。

ヤマオカ殿も誠実すぎる人柄で、すでにカヅサ殿から全幅の信頼を寄せられている。

ちなみに、亡きワタ殿も、コガの出身だったそうである。

なるほど、わかる。私は独りごちた。

 

ワタ殿つながりで、アラキの話も、しておくか。会っちゃいましたよ。

 

策士なんだろうな。今ではカヅサ殿に取り入って、ツノ国をまかされているらしい。

私にも、にこやかに、挨拶しやがりましたよ。

あまりに人の好さそうな仮面ができすぎていて、驚きました。

私を捜索していた疑惑については、とても聞けませんでした。

顔はヒヒそのもので愛嬌ありましたけど、その心の中には、どれだけどす黒いものが詰まっていることやら。

 

カヅサ殿は、人に情けをかけすぎる気がします。

今は一兵でも味方につけたいところなのでしょうけど。

時が来たら、裁くべき人物へは正しき裁きを、与えたまわん。

 

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