戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1574/001.hmos

サクマ殿は、元クボウを追った。

 

カヅサ殿へ通報する可能性のある人物のもとへは、身を寄せるはずがない。

となれば、選択肢は限られる。

ヤマト国、タモン城へ向かう。

到着した途端、ソウダイが、降伏すると泣きついてきた。

だから誤解だっつうのに。

 

人質も出すと言っている。女の子。2人目だって。

しょうがない、預かってあげよう。

え、お姉様に会えるって喜んでる?

そんなことをしてる間に、元クボウを見失う。

 

誤解とはいえ、ソウダイは降伏したのだから、タモン城主にヤマオカ殿を据える。

はい。ここはカヅサ領になりましたよ。

 

これと逆に、エチゼン国が、カヅサ領ではなくなった。

聖ヴァレンタイン記念日ころ。領主が怪死。

彼は元エチゼン王に仕えていた家臣だったが、カヅサ殿に忠誠を誓い、進撃に協力した。

平定後、統治を任される。

ほどなく難病に罹り、失明。

そこへ領民の反乱が起こった。対応に追われている間に殺された。状況は判然としない。

領民の反乱とは、イコ宗だ。

いつの間にやら、カンガ国から入りこんだらしい。数は不明。

ともかく、政権は乗っ取られた。

カヅサ殿の家臣が直々に治めていれば、その者が同じ目に遭っていたろう。

そう考えれば慰めにはなるが、如何せん戦線が多方面に拡大しており、エチゼンの事態収拾にまとまった戦闘団を送りこむ余裕は無い。

 

ミノ国東端の城も奪われた。こちらは、シンゲンの息子に。

シナノ国より入りこまれた模様。

カヅサ殿直々に出陣したが、雪深い山地へ入る前に、落城したとの報告を受ける。

救援をあきらめ、手前の砦に守備隊を配置して、撤収。

 

いま、カイ軍と本格戦闘に突入すれば、カワチやツノ国でも叛旗を翻す輩が出てくるかもしれない。

オーミや、ヲアリでも、イコ宗が暴れ出すかもしれない。

多方面同時展開は、絶対に禁物。主力を分散させてはならない。

カヅサ殿が一番それをわかっている。ただちにギフへ戻り、全域に目を光らせている。

 

全国統一って、思いのほか難しいぞ。

 

現実的に、どうすれば達成できるのかと、考えてみる。

支配領域が拡大すればするほど、その維持に必要な兵力も大きくなる。

領国ごとに各1人、信頼のおける領主を置くためには、それだけの人材を育てておかなくてはならない。カヅサ殿のように優秀な家臣団を抱えていてさえ、すでに払底している状況なのだ。

 

ダイリサマという、誰もが認める王族がいて、この一族を皆でお守りしましょうとクボウサマを中心に66領主が団結する。15代前にはそんな状況が生まれていたというのかな?

信じられないんだけど。

たかだか200年後の末裔を見よ。クズ中のクズだぞ。

私の御先祖様は立派だったと口にする人間は確実にそれ未満だが、あのクズを15代遡らせたところでまともな先祖が現れるなんて、想像することすら難しい。

もはや、どうでもいいことか。

 

今後は、イコ宗対策も重要な課題となろう。あいつら、本当に厄介だ。

ここで妙なことを考えてしまった。カヅサ殿がイコ宗徒になったら、どうしよう。

カンガ、エチュウ、エチゼン、オーザカに加え、イセイ湾の反乱が、ぴたりと収まるんじゃないか。

一時しのぎでもいいが、イコ宗が蜂起する心配さえなくなれば、カヅサ軍は本来の対正規軍戦に集中できる。

血に飢えたイコ宗徒は、攻撃対象を他に移せばよい。

むしろカヅサ軍のいないところでだけ暴れてくれることは歓迎するぞ。

 

まあ、そううまくはいかないよな。

イコ宗徒の末端は命令されて動くだけの傀儡だとしても、オーザカの頭領はそれなりの知恵を持っている。

真似事でもイコ宗徒になる以上は、そいつの命令に服従することを要求される。

これは、命取りになる。やはり連中とは一瞬でも交わるべきではない。

 

カヅサ殿たちと話していて、よく言われる。

イコ宗徒にデウスの道を指し示し、改宗させて無力化することはできないかと。

できます。と私は答える。

ただし、もっと多くのパードレと、それから時間も必要です。

相手は狂信者。ニチジョウが赤児に思えるほど短気で、宗論できるほどの教養もありません。そんな暴徒に丸腰で語りかけ、相手が話を聴く態勢になってくれるまでは、皆さんに守っていただかなくてはなりません。

やはり殲滅するしかないか。という結論に、いつも落ちつく。

悲しいけど、そうなりますね。

命を賭してカヅサ殿に仕え、この先も困難な任務に立ち向かい、大きな犠牲を払わねばならない皆さんに、いま、デウスの教えを説く余裕さえ、ないわけですから。

悲しいけど、ゆるしてください。

 

アシガルなど下級兵の中には、人を殺すことがつらくてたまらず、ここから逃げ出したいと悩み抜いている者も、少なくないと思います。

口には出さなくとも、心の中で迷いと戦い、悩み苦しんでいる者は必ずいると思うんです。

皆さんの部下に、そんな徴候を見つけたら、やさしく声をかけてあげてください。

決して、叱らないでください。

私のもとへ連れてきていただければ、私は、かれらの迷いを捨てさせることが、できると思います。

 

指揮官には、冷徹さも求められるでしょうが。

正義を愛する善良な戦士をつくることでしたら、デウスの教えは単純明快で、とても適しています。

私はこの能力をもって、カヅサ軍の戦力を、現在の何倍にも高めることができると考えます。

イコ宗の手先どもを改心させるのは、後回しでもいいでしょう。

むしろ凶暴な信者は矯正にも時間と手間がかかりますから、早めに潰していただいて。

女・子供など、戦後処理に有益な人材だけなら、私も効率よく善良化できるので、残しておいてください。

 

こんな話をしていくと、家臣団の皆さんの表情も、明るくなってきます。

そうですよ。戦争なんて、悲しみながらやるもんじゃないです。

明るい未来を築くため。みんなで幸せになるため。

そのために、今、ちょっとだけ、つらいお仕事してるだけだと、考えましょう。

 

悪魔の囁きなんか、はねつけろ。

できないやつは、インヘルノへ逝け。

私たちは、パライゾへ、向かうんだ。

 

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