戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1563/011.hmos

アルメイダがフィラドから戻ってきた日の夜。

私たちの教会は、灰と化した。

 

順序立てて話そう。

私が村へ行き、子供たちを怖がらせてしまった話は、すぐ噂になったようだ。

邪宗徒の側からすれば、悪魔が戻ってきて、子供をさらおうとした。

肉を食らい、血をすする私たちエウロパ人は、船に閉じこめられて飢えている。

見つかったらその場で頭からかじられるぞ。

こんなデタラメを、坊主どもは触れ回っているらしい。ひどい話だ。

怒りがこみ上げてくる。

 

西集落では、信仰を守る者が、邪宗徒へ戻ってしまった者どもや、オオムラ城下から来る役人どもから、迫害を受けている。

収穫期なのに人手を借り合うことができず、税金をめぐって不当な扱いもされる。

この火種が、とうとう爆発してしまった。

 

私たちは、方角から見て間違いなく教会が焼かれているとわかった瞬間、小舟を出して浜へ上陸した。

水兵たちに囲まれながら、丘へ上る。人影はなかった。

私たちの大切な大切な聖堂が、メキメキと音を立てながら、崩れ落ちていた。

おゆるしください。私たちの力が足りぬばかりに、御主の聖なる泉がひとつ、消え去ろうとしています。

おゆるしください。おゆるしください。

 

村の方からも、火の手が上がっている。

私は駆け出していた。

人々は私を見て、叫び、逃げまどった。

敵と味方は一目でわかる。信徒は、私にかけよってくる。

私は力いっぱい、抱きしめる。

すまなかった。こんな事態を招いてしまって、本当に、すまなかった。

敵意をあらわにして、私へ向かってくる者もいる。

私は、毅然とにらみつけ、敵の前に歩み寄る。祈りを捧げる。

敵は、わめきながら逃げていく。

おそれるがよい。

デウスの使徒はひるまない。戻って君たちのルシヘルに伝えよ。

所詮おまえたちなど、デウスの光の前には、虫けらも同然なのだ。思い知るがよい。

 

燃えさかる家の前で、泣き叫んでいる家族があった。中にまだ人がいるらしい。

私は、考える間もなくとびこんだ。熱さなど感じなかった。

季節はずれの、大きなホタルが一匹、飛んでいた。私を導いている気がした。

家の奥に、老婆がひとり、寝ていた。

起き上がることができないらしい。

抱きかかえて、外へ連れ出した。

家族も、信徒も、敵さえもが、歓声を上げた。

水を浴びせられた。甘露だ。

見よ。これが信仰の力だ。君たちにはできまい。思い知るがよい。

 

ホタルが、また、私を誘う。私は、光についていく。

次の家の前でも、人々が叫んでいる。私は、祈りながら入っていく。

奥に、やはり老人がいた。

抱きかかえ、連れ出そうとした。……が、目の前が燃えさかっていて進めない。

メキメキと、柱がひび裂ける音がする。

さすがに限界だったか。

ご老人、すみません。ちょっと苦しいかもしれませんが、駆け抜けますよ。

それ!炎に向かって飛びこむ。

思いきり柱に頭をぶつけた。

息が苦しい。

ご老人をもう一度、抱きかかえ、背中に負う。

出口はどちらだ。

考えている余裕は無い。走れ。走らなければ、死ぬだけだ。

 

 

気がつくと、船の中だった。

アルメイダに看病されていた。思いきり頬を叩かれ、目が醒めた。

何日か昏睡していたらしい。ご老人は助かったという。よかった。

私は、マルチルになりそこねたようだ。

 

服が焼けただれていた割には、私の体にはほとんど火傷の跡が無い。不思議なことだと言われた。

不思議じゃありませんよ。

御主が奇蹟を起こされたのです。それだけのことです。

私にはまだ、使命があるということらしい。

 

ラウマ本部へ、報告をお願いします。

私は奇蹟を体現したのだから、列聖される資格を持つでしょう。

よこしまですかね。いけないいけない。口を慎みます。

でも、いま私は生涯で最高に、誇らしい気持なんです。

 

寝ながら、聞かされた。

パードレ・トルレスはアリマ領へ移住する。

教会もなくなった以上、この地にとどまることは困難が大きすぎる。

アリマも安全な場所ではないという。ドン・バルトロメウ及びアリマ王の実の父親である先王がまだまだ権力を有しており、邪宗徒たちが彼を虜にしているそうだ。

それゆえ、アリマの使徒たちも迫害にさらされている最中とのことである。

だからこそ、行かねばならない、と。

 

私はゴアへ戻ってもよいと言われた。

無理をしすぎて体がボロボロになっているし、皆の書翰と報告を携えて管区長へ実情を訴えてくれと。

最後まで言われる前に、お断りした。

 

報告はドン・ペドロに委ねましょう。日本には、一人でも多くのパードレが必要です。

私が抜けることは許されません。

かつ、私はフィラドへ行くことを希望した。認められた。

理由はある。日本語を学びたい。

一日も早く修得し、日本人と直接ぶつかりたい。

 

日本語は、フェルナンデスに教えてもらうのが一番の近道だ。それにフェルナンデスを助ける者がいなければ、日本語辞典をつくる作業がまた一段と遅れてしまう。

これを何とかしなければ、私たちの布教活動は、いつまでも先へ進めないだろう。

 

まもなく北風が吹く。それまでに体をすっかり治しておくようにと言われ、私はふたたび眠りについた。

まどろみながら、あの夜のことを思い出している。

私の身に、奇蹟が起きた。そして、アンジョとも対話をした。

初めての体験だった。

それはしかし、想像していたものと、少し違っていた。

 

 

((( 勇敢なる者よ。たった今、君は死んだ。)))

 

……ああ、そうですか……私は、パライゾへ、行けますか?

 

((( パライゾ?わからない。しかし私は、君に命をあげよう。)))

 

……パライゾをわからないと?あなたは、アンジョではないのですか?

 

((( アンジョ?それも、わからない。質問は、あとにしてほしい。)))

 

……待ってください。私は、インヘルノへ堕とされるのは、ごめんです。

 

((( 待たない。君の体の修復を優先する。さもないと、手遅れになる。)))

 

わ、私にいったい、何をしようというのですか!

 

((( 質問はあとだ。できないなら、意識を遮断するぞ。)))

 

あなたは!もしかして!サ

 

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