戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1575/008.hmos

カヅサ軍はエチゼンへ到着後、ただちに容赦ない殺戮を開始した。

イセイ湾作戦より、はるかに容赦なかった。

 

イコ宗徒であるか否かを、問うてはならぬ。

子供だから、老人だからと、情に流されてもならぬ。

指定された村の者は、すべて殺せ。家は焼け。

武器が隠されてあれば、可能な限り接収せよ。

持ち去れなければ、破壊せよ。

 

初日と2日目は雨のため鉄炮隊の出る幕はなかったが、3日目以降は効率も上がっていった。

たしかにこんな仕事、容赦していたらとてもできない。

話なんか聞いてやったら情が湧く。

相手の顔も極力見ないで片付けましょう。

悲鳴は、そのうち気にならなくなります。

ありがたいのは、念仏を唱えてくれる悪魔。

念仏は、いいね。

ひと思いに無力化できる。わかりやすい。

意味の無い言葉だから、情も湧かない。

最高。

 

エチゼンでは、私はとくに目立つので、移動中も全身隠すようにしていた。

敵にも、弓や鉄炮の使い手がいる。

私は馬を速く走らせることができないし、輿なんて、大人物が乗っていると言っているようなものだから。

兵士たちの悩みを聴くときも、衝立を二重にして、直接姿を見ることなく見せることなく、語ってきかせた。

まるでダイリサマみたいだとも言われましたが、そうなんですか。あんなのと一緒にされてもなあ。

まあ、ありがたがってもらえるなら構わんです。

悩みを振り切ったら、お仕事に励んでください。

 

エチゼンは広いよ。

砦や城も、あちこちにつくられている。

そのそれぞれに、悪魔が巣くっている。

領民は我々の噂を伝え聞くと、一目散に手近の拠点へと身を寄せる。

途中いくつもの罠が仕掛けられ、矢が飛んでくる。その中を、我々は家々を焼き払いながら一歩一歩進んでゆく。

 

攻城戦を実際に見たのは初めてだ。

たいてい高い地形につくられていて、近づくと石を投げつけられる。

相手が素人でよかった。カヅサ兵が立て籠もる城になら、近づくことさえ容易ではなかろう。

我軍の弓兵は、火矢を使う。火薬入りだ。

これを、城壁より内側の、広場があると思われる辺りに落とす。

避難民がぎっしりとひしめいているので、一発でも大量に始末できる。

 

相手側から城門を開くことがある。

だが、一人も出すべからず。

門を開かせきることなく、その場を死体の山と為せ。

どれほどの武器食糧が備蓄されているかは興味尽きぬところだが、中には隠れる場所も沢山あるから、すぐに建物全体を焼く。

火薬が貯蔵されていれば、爆発が起きる。

破壊のみに邁進だ。エチゼン国には、将来にわたって城も砦も不要なのであるから。

我々は、握り飯を頬張りながら先へ進む。

 

領都では、激しい戦闘となった。

町じゅうのあらゆる家や物陰から、いくらでも悪魔が飛び出てくる。

まずは何もかも焼き払う。

邪魔にならないよう、死体も一箇所に積み上げる。

 

付近の山へ逃げた悪魔も大勢いて、夜も油断ならない。

翌朝から山狩りが始められた。

この頃から、おかしなことが流行りだす。

討伐隊はいくつもの班に分けられ出動するが、山で殺した悪魔の死体をわざわざ持ち帰ってきたりはしない。

我々は何人殺した、と主張しても証明が難しいため、誰も彼もが数字を水増ししてる疑いをかけられる。

これは褒賞にも関わるところだし、疑われただけで怒って喧嘩を始める御仁も少なくないのだ。

そこで、死体の鼻を削いで袋に入れて持ってこいということになった。

町なかの死体からも鼻が削がれ始めたので、やはりズルをしている者は少なくないようだが、そんなわけで山には鼻の無い死体がゴロゴロ、転がっているという話である。

私は見に行ったりしないが、おかしな光景なのだろうなと、想像だけをする。

皆さん、大変なのです。

 

現在エチゼンに住んでいる者は、一人残らず斬り殺す。

これが基本方針ではあるのだが、多少の緩和はされた。

エチゼンが再びカヅサ領となったとき、すべての土地を移植者で満たすことは、簡単ではないからだ。

これだけの虐殺をしたあとだと知ればなおさら、移住者も来にくいだろう。

 

そこで殲滅対象から除外される者たちも出てくるのだが。

これに選ばれるためには、いくつもの条件がある。

復興事業に貢献できる技術を持っていること。

商人としてオーミやミヤコの人脈につながりを持っていること。

そしてもちろん、イコ宗徒でないこと。

カヅサ殿への絶対服従を未来永劫、子々孫々まで誓うこと。

などである。

 

アケチ殿あらためコレトウ殿を含む精鋭部隊は、山を越えてカンガ国の一部も制圧した。

前回もカンガ国からのイコ宗浸透が、エチゼンの破滅を招いた。

今度はその対策もされる。

エチゼンは、やっと平和の楽園として再出発するのだ。

もう誰にも奪わせないぞ。

 

 

大局を決したところで私はそろそろ帰ってもよいと言われた。

あっけなかったなあ。

雪が降り始めるまで4箇月くらいは覚悟してたんですが。2週間くらいでした。

カヅサ殿はもうしばらく様子を見て、新しいエチゼン国の法規を制定し、国主にはシバタ殿を任命するつもりのようですけれども。

そういったことを細々決めねばならないから、まだしばらくは帰れないとぼやいてました。

しかし、難題がまたひとつ片付いたわけですから。表情には余裕がありましたね。

 

オーザカは、どう出てくるかな。

カヅサ軍の侵攻があまりにも速すぎたので、まだ噂すら届いてないかもですが。

ここまでされて、まだカヅサ殿に逆らおうとする人間は、いないと思いますが。

連中は悪魔だからね。わかりません。

 

追い詰められたホンガンジ。

さあ早く尻尾を出せ。角を見せろ。

我々は手慣れてきたぞ。いよいよ、決戦だ。

 

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