戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1576/006.hmos

<<< こんなところを、ヒトに見られたら、まずいですか。>>>

 

((( まずいね。大いにまずい。

ヒトは嫉妬深い生物で、ヒト以外の生物と仲睦まじくしている他のヒトを見ると、驚異を感じるようだ。

こいつは集団から放逐されるか、あるいは集団内で監視されたまま、疎外されるかもしれない。)))

 

<<< 幽閉されては困りますが。

放逐なら、より自由になれるから、よいのでは?

先輩がヒトと協働して何かをする姿には違和感があります。>>>

 

((( その時はいっそヒトをやめるよ。

私はこの乗物を原則自由にさせてきた。

観察者として適切なポジションを保っているつもりだが、ずっと退屈だった。

ヒト集団内における、こいつの存在意義だって、根本的に理解しかねている。)))

 

<<< 意味がわかりません。

以前は従軍教誨師をしていると言ってましたよね。

今は、何をしているんですか。

参謀? >>>

 

((( そんな高級な役割は担っていない。何と呼ぶべきかねえ。

うろちょろして、口出しして、餌を食って、寝ているだけだ。

集団に何ら貢献していない。

カヅサこそよくこんなのを飼っていて、飽きないよな。)))

 

<<< ペットですか。

ああ……いま気付きました。先輩からは、ほのかにカヅサの匂いが感じられます。

カヅサを間近で観察するために、先輩はそのポジションを維持しているんだ。

当ってますか? >>>

 

((( 君も、勘が鋭くなってきたな。気をつけねば。

さて、ピロートークはこのくらいで。

前回より季節が一巡しているが、面白い話題はあるかね。)))

 

<<< クボウの話なんてどうです?

今は、アキにいます。>>>

 

((( ほほう、興味深いね。

個体特定は済んでいる感じかな。)))

 

<<< 先輩やカヅサのような大物と違って、クボウは無警戒無防備で、どこへでも出歩きますから。楽なものです。

方位GHHの海沿いに隠れていた頃から、追跡していました。

あの辺は、なんていう土地なんでしょう。

鉄炮の匂いに満ちているサイカより、/D日くらいG方向へ進んだ先にある集落です。>>>

 

((( 断言できないが、キノクニとか呼ばれている辺りかな。

クボウはそこからアキへ移住して、カヅサ憎しのアジテーションを各方面へ送りつけているとか聞いている。

実態としては、どうなのだね。)))

 

<<< ノブナガというのがカヅサのことであるなら、その音節は激しい痛罵を伴って、頻りに発せられますね。

クボウは常に取り巻きに囲まれています。その集団全体でのスローガンになっているようではありますが。

あれは、遠吠えですらない。

軍隊でも政治組織でもなく、きわめて未熟な群れの、なんというか、ナルシシズムと共依存が渾然と膨張していっているような状態にあります。>>>

 

((( グダグダというやつかな。

想像通りといえなくもないが、実見したら想像よりもひどいのだろうね。

しかし、そんな遠吠えだって影響力を持つみたいだよ。

グダグダは、強い共鳴を発生させ、堅牢な連帯感を成立させる。

ヒト同士にしか効かないが、意外に大きな効果をもたらすもののようだ。)))

 

<<< それは、遠隔兵器と認めてよいものですか?

怨念波とか、サイコ粒子といった不連続体攻撃が、ヒトには可能であると。>>>

 

((( グダグダとは伝染病みたいなものだと思う。

ただし使用者側が理解し制御して運用しているようにも思えない。

毒を放流し、自身も被害にまきこまれるが、それでも殺傷力は期待できるから使う、といった感じか。

媒介者になるのもヒトだけというのが特徴だ。

今わかっているのは、このくらいかな。)))

 

<<< その兵器を行使しているのはクボウですよね。

カヅサは、なにか対策をしていますか? >>>

 

((( 実効性が不確実なためか、カヅサは一笑に付して、構う気もないようだ。

だが今、彼は広範囲に拡大した複雑な戦場の只中にいるわけだろう。

ここにグダグダという新兵器がうまく融合すると、なかなか厄介な怪物になりそうでね。

はたして適切な対処をして切り抜けることができるだろうか。

それを注視している。)))

 

<<< カヅサはこれまで基本的に武力で敵集団と戦闘し、降伏させ或いは殲滅して勝利を収めてきた。

新たな敵は、新たな形態をとって、カヅサの前に立ち塞がる。

これに対し、カヅサがどうルーティーンを構築していけるか。

それを愉しんでいらっしゃると。

こういうことですかね。>>>

 

((( いいね。その通りだ。

この状況が面白いのは、戦火を伴わず政治的に結着することはないだろうと期待できるところでね。

各勢力がどのように同盟・敵対関係を更新していくにせよ、当分の間は大規模な破壊行為を連鎖させていくだろう。

この乗物はゲームの参加者に含まれず、決定権も責任も有しない。

それでいて最強プレイヤーのすぐ近くをうろちょろできる特権を有している。

観察するだけなら、実に便利なポジションでね。

総括は最後にまとめるが、ユニークなレポートを提出できると思うよ。)))

 

<<< なるほど。いま、やっと察しました。

先輩は報道員なんですよ。

或いは、取材者。評論家。言論人。ジャーナリスト。

俺も取材はできますが、ヒトと共感性を持つ先輩の方が、同じ目線で報告をつくるには都合がいいでしょう。>>>

 

((( 報道員か。まるで侮辱されているように感じるな。

私は一応、君と同じく文明監視員なのだがね。

しかし、この乗物の役職については、たしかに報道員が適切かもしれない。)))

 

<<< た、他意はありません。あくまで、その乗物についての仮分類です。

おや、ヒトが近づいてきている気配が。

もう行きます。では! >>>

 

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