戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1577/009.hmos

((( 面白い体に、乗り換えたな。)))

 

<<< ひどいですよ。

ずいぶん探したんですから。>>>

 

((( 匂いは、どこまで辿れたかね? )))

 

<<< 海路をA方面へ向かったことは、わかりました。

それで陸伝いにA端まで来てみましたが、最も距離の短い海峡でも、流れが速い。

渡る手段を考えあぐね、最終的に、犬やめました。>>>

 

((( そして、鷹か。

乗り心地は相当変わったかね。)))

 

<<< 何から何まで大違いです。慣れるまでに何度も死にかけました。

飛翔能力を持つ代わりに大幅な軽量化を強いられるため、衝撃に脆弱です。

犬よりもシビアなダメージコントロールを要求されますね。>>>

 

((( 鉄炮や弓で狙われたら、逃げ切れなさそうか? )))

 

<<< ええと……

犬は外界センサーのうち嗅覚のウエイトが大きく、脅威も匂いで察知していました。

今度の鷹は、視覚が主体となります。

前半面しか見えません。夜になると完全に見えなくなります。

すなわち、人間に狙われれば、ほぼ確実に仕留められてしまうでしょうね。>>>

 

((( 私の記憶にもある。

カヅサは、鷹を何体も所有し、狩のために調教していたよ。

狩で使う現場を見たことはないが……

いや、飼って調教する対象としては、犬も同じかな。鶏も豚も牛も。

ヒトはあらゆる動物を家畜化するから。)))

 

<<< ヒトに飼われてる鷹を何体も見ましたよ。

そんなに珍しいことではないようです。>>>

 

((( 鷹同士のコンタクトや情報交換は、どの程度できるものかね? )))

 

<<< きわめて冷淡ですね。家族間でのみ強い結束が認められるようですが。

犬なら、異種族へもコミュニケーションとスキンシップを過剰に行います。

それと比較すると、鷹は冷淡に感じます。

同じ鳥でも、カラスなどともかなり性格が違います。>>>

 

((( ほう……

カラスは、たしかに、集団で群れる印象が強いかな。

知能は高そうだが、調教されやすい種族ではないのだろうねえ。)))

 

<<< カラスへの呪詛を吐いていいですか。>>>

 

((( 吐きたいのかね。

溜まっているなら吐くがいい。聞きたい。)))

 

<<< 獲物を、とったりとられたりは、世の常です。犬だった頃でもよくありました。

山で犬Aと猿Bが争っていたとします。

遠巻きにいろんな動物が観戦します。

犬Aが猿Bを倒します。

犬Aは傷を負っています。そこへCDEF以下が群がり、AもBも食い散らかします。

これが自然の姿です。

犬は障碍を負ってもまだ生きる余地がありますが、鳥の生活空間では、傷を負うことが即、死につながります。

だから狩なんて極力、したくないんですよ。

それでも腹が減れば襲います。倒します。

その獲物を咥えて、巣に戻ってから食うんです。

その場で気を抜いていたら、すぐ横から奪われます。

自分より腹を減らした奴が常に様子を窺ってる。

これが自然の日常です。

さてカラスは、他者からの横取りを集団で、きわめて効率よく行う連中なんですね。

あの知能の高さは、鳥類の世界でも群を抜いています。

俺は、狙われていたと気付いた瞬間に逃げ出します。

獲物は奪われますが、命には替えられません。

俺がこの乗物に慣れるまでかかった時間とは、数えきれないほどカラスから逃げてきた時間に等しいとさえ言える。

あいつら何とかしてやりてえ。以上です。>>>

 

((( 拝聴した。興味深い話だ。

してみると、鷹によっては人間に飼われ、餌を与えられて生きることをむしろ望む個体も多いかもしれないね。)))

 

<<< 多いでしょうね。知りませんけど。

それは犬でも豚でも、一定数いるんじゃないですか?

豚ってのは、ここで飼われてる、あの全身ハゲのD脚獣でしょう。

あれ、無防備すぎる肉の塊に見えるんですけど、ヒトに飼われてなければどうやって生きていけるんだろう。

俺は間違っても、あれを乗物には選びたくありませんね。>>>

 

((( かれらとて同じことを考えるかもしれないが、豚が自ら望んだ結果とも思えない。

私の目にはあれも、ヒトの調教によって造りだされた悲しい変種に映るが。

しかも見ていると豚はかなり高度な知能を有しているようなのだよ。つらいだろうねえ。

ヒトは、犬やカラスたちと比べても知能だけは高いポテンシャルを有している生物だが、それにしても残忍すぎる。

そこがまた興味深い点でもあるが。)))

 

<<< 先輩、以前はそんなヒトを早めに滅ぼしておかねばって計画してませんでした? >>>

 

((( それは今も考えているよ。

その上で、ヒトについてやっと面白いと感じ始めてきたところだ。

環境が変わったせいかもしれない。)))

 

<<< へえ。先輩の方でも、いろいろあったんですか。>>>

 

((( 君ほど大した変化ではないがねえ。この乗物は相変わらず退屈だし。

……ム?

エースよ。君はすでに犬の嗅覚を失ってしまっているのだろう。

今後、私にコンタクトをとる場合は、視覚でこいつを特定できるのかね?

それともその都度、シグナルを打つかい? )))

 

<<< 鷹の、主たるセンサーは視覚ですが、記憶容量が小さいんです。犬に比べると大幅に。

ヒトを個体識別することは実務上、不可能。

実はトレーニング中、カヅサ及びクボウを見つけ出そうとしたんですが、できませんでした。

ヒトに近付くだけでリスクが跳ね上がるので、尚更です。

ただ鷹には地磁気センサーが備わっており、座標系を捕捉することは以前より容易になりました。

記憶できるポイントには限度があります。せいぜいG個程度。

先輩がこの場所から動かなければ戻ってこれますが、それは望めないでしょう? >>>

 

((( そうだな、難しいだろうね。

カヅサを追跡できなくなってしまったことは残念だが、やむを得ないね。

脳の軽量化も強いられているなら君がシグナルを打つのは相当な負担だろう。

今日は私がすぐ出られたから会えたが、これからは定時接触さえ困難になるな。)))

 

<<< それでも、この顔だけは覚えておきましょう。記憶に刻みつけます。

こっちの島でまた犬に乗り換えるという手もありますが、飛翔能力がないと他の島へ移れませんから、当面このまま、くたばるまで鷹に乗っています。>>>

 

((( それがいい。

鷹のボディで他に何ができるか、模索しておいてくれ。

ちなみに好物は何かね。)))

 

<<< 鷹は、自分で捕らえた小動物の肉しか食べません。新鮮さが必要です。

ですから、おかまいなく。

なんだか小腹が空いてきたんで、もう行きます。>>>

 

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