戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

174 / 328
SengokD.1580/002.hmos

<<< 最近は、いつ来てもここにいますよね、先輩。>>>

 

((( そうだな。毎日飽きもせず、ずっと部屋に籠もって、文字ばかり書いている。

たまに君が来てくれるおかげで、こうして日光浴をさせられるが。もう少し筋繊維を鍛えさせねば、脂肪がつきすぎて虫も食わないぞ、こんな肉。)))

 

<<< 安全圏に寝ぐらがあるわけだから、長生きするでしょう。それはそれで、いいんじゃないですか。>>>

 

((( たしかにこいつは長生きしそうだ。余命はG年といったところか。

かける時間に見合うだけの成果をつくり出せれば上出来なんだがねえ。

そこまでの智性は無いからなあ。)))

 

<<< ハハ。ヒトなんですから、そこは期待しちゃかわいそうです。

そういえば先輩が以前注目していた、規格外のヒトがいましたっけ。

あいつ、今どうしてますか? >>>

 

((( カヅサのことかな。まだ生きてるよ。

今も立派な戦闘狂だが、支配領域が大きくなりすぎて、その変化に対応しきれていないようだ。

君が犬をやめてからはヒト経由の情報しか入らなくなって、肝腎なことがさっぱりわからないので、私も積極的には追っていない。

例の計画は、いったん凍結だな。我々の現状戦力では、無闇に動いても大したことはできない。)))

 

<<< 俺の乗物は、酷使していますから余命はD年前後かな。

その次は何に乗るか、まだ検討中ですが、もっと機動力のある生物にしたいですね。

決してヒトの意に染まらぬ、強い精神と肉体を備えた生物種、いいの無いですかね。>>>

 

((( 案外、ヒトに乗るのが一番かもしれない。

他の生物種では、虫の群体くらいしか、ヒトに対抗できる存在を思いつけないが、かれらは小さすぎる。

君の本体だって、虫に入りこむのは難しいだろう。)))

 

<<< 無理……ですねえ。

それに単体を操れても、群体を組織することは不可能でしょう。

かれらのメカニズムを多岐にわたって研究する必要がありますけど、それこそ先輩と俺だけでは途方に暮れてしまうテーマです。>>>

 

((( 私も同意だ。だから、すぐ次でなくともよい。

私もこいつの次は他の乗物を試すつもりだが。君ももっと多種多様な生物に乗り替え、広範囲にこの星についての情報を蒐集し、蓄積してほしいのだ。

そのためには今乗っている鷹の生涯も、全うし尽くしてほしいと思う。

君は犬を余命半ばで廃棄したから、まだ個体の臨死を体験したことは無いはずだ。私もだが。

それはきっとドラマチックな瞬間のはずだよ。

どんな形であれその星の生物として死を迎える経験は、重要な発見につながる。私たちに足りないのはそこだ。

もう少し、時間をかけよう。)))

 

<<< わかりました。そうか……鷹の生涯。言われてみると、俺、鷹でいるうちに、やっておきたいことがありましたよ。

今年は、営巣を手掛けてみたいと思います。>>>

 

((( ン?営巣……子作りか。

以前にも、子供の養育をしていたとか、言ってなかったかね? )))

 

<<< ああ、はい。養育だけです。自分の子は持ったことがありません。

鷹はこれから繁殖期を迎え、夏季に入りかける頃まで猛烈に忙しくなるんですけど、ペアで有性生殖して、ベイブスをつくります。

鷹の幼体は驚くほど無力な上に大声で騒ぐから外敵を惹きつけます。これを両親が全力で守らなくてはならない。

ここで過労死する者も多いですし、俺のように集中力が低下してヒトに捕まる成体も出てくるわけです。>>>

 

((( ヒトにとっては、鷹を捕獲するのに格好の季節かもしれないなと、邪推してしまった。

幼体を手に入れて、養育からヒトの手で行う方が調教もしやすいのではないか?ああ、これは君にはつらい話題か。

やめておこう。)))

 

<<< いえ、大丈夫です。

先に答えておくと、幼体からではヒトが狩を教えこむことができないため、狩ができるようになってからの鷹を入手し、洗脳する必要があるのだと考えます。

戻ります。鷹のベイブスが巣立つときまで両親が無事であるケースは、幸運です。

片親だけでも巣は守りきれないし、共倒れすれば子たちはすぐに蛇や獣、他の鳥たちの餌食になります。

俺は、そんな状況にある家族を見つけては扶けて回ってたんですよ。>>>

 

((( そういうことだったのか。さぞや、頼もしがられただろう。)))

 

<<< 今年もそれをするつもりでいたんですが、自身での産卵も、一度経験しておくべきかなと思いましてね。

相手はいくらでも見つかるので、なるたけひ弱そうなオスを選んで、半年でどれだけ親らしく成長させられるかってのも一興ですね。>>>

 

((( 愉しいだろうね。私には何も手伝えないが、心より応援する。

果報を待つよ。)))

 

<<< おそらく先輩の乗物は、山へは入ってこないと思いますけど、念のため。

鷹の攻撃力は強烈です。戦闘経験を積んだ個体は、ヒトごとき簡単に無力化できます。

営巣中は、決して近寄ってはいけません。

俺は伴侶をそこまで鍛え上げるつもりですので、くれぐれも用心してくださいね。>>>

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。