戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1597/002.hmos

セブン、レッドマン。

私は、セブン、レッドマン。

 

((( セブン、レッドマン。了解。

こちら、ハヤタ、ヒカリノクニ。

明日処刑される、二十六勇士の中にいるのか? )))

 

たぶん、その一人だ。人間に乗っている。

 

((( ノイズがひどいな。私が出力と感度を最大にするから、君は最低出力でささやけ。)))

 

この声量でどうか?

 

((( OKだ。拾える。)))

 

君の乗物は人間か?余命を縮めてしまわないか?

 

((( 心配ない。この乗物は使い潰して次へ移る。それより君こそ、明日まで生き抜け。)))

 

かたじけない。さて、君は、どこにいる?

 

((( 処刑場の下見に来ている。明日、君たちの死を見届けるつもりだ。)))

 

なぜ、私の存在に気付いた?

 

((( ミヤコでの医療活動を知った。

人間にできる発想ではないと思ったよ。だから、その中にいるのではと考えた。)))

 

ちょっと、やりすぎてしまったかな。

私たちの他に、仲間はいるか?

 

((( ああ。大量に集結している。この付近だけでも相当数いて、皆、乗物の習熟中だ。

特に外洋には、エースという、私の愛弟子が泳いでいる。私よりもこの星について詳しいよ。人間からは、レビヤタンとか呼ばれているな。)))

 

それは怪物の名前じゃないか?

 

((( そうみたいだね。

ところで、君はなぜ逃げないんだ?

ずいぶん不自由な状況に自らを追い込んでいるようだが、何か狙いがあるのかね。)))

 

ああ……逃げたら、たぶん僕は、人間たちから、バケモノだったと語り伝えられてしまうだろうからね。

 

((( そう語り伝えられると、何が困るんだね? )))

 

ここまでついてきてくれた勇士たちの幻想が壊れる。それから、私の乗物だった人間の名誉に傷がつく。

 

((( わからない。そんなもの尊重して、何か意味があるのかい。)))

 

人間にとっては、たぶん、大きな意味があるよ。

実は私は、この乗物の生命を、不注意から、奪ってしまったんだ。

すぐに乗り移って意識を保全したんだが、せめて、この人間が本来全うすべきだった筈の生涯を引き継ぎ、最期まで演じてやりたいと思った。

この人間に化けたまま、人間らしく死なせてやろうと誓ったのだ。

結果、こうなってしまったわけだが。

 

((( 人間になりすまして、ばれないように演技しつづけてきたというのか!

それはまたずいぶん、エキセントリックなことを考えたものだな。)))

 

そんなに驚かれるようなことかな。

 

((( 被実験動物の感情に配慮すべきだとか主張するイデオロギーも、たしかにあるけれどもねえ……

ちなみに、君の乗物は、今も意識を保っているのかな? )))

 

いや。もう死んでしまった。

大地震の日以降、必要なエネルギー摂取が困難になって、呼びかけても、返ってこなくなってしまったよ。

 

((( その性格だと、君は栄養を確保するときも自分を優先しなさそうだな。よくないぞ。

ひとまず承知した。明日、その乗物は破壊される。

次の乗物に移ったら、コールしてくれ。

積もる話は、それからにしよう。)))

 

わかった。……ああ、ひとつお願いしておきたいことがあるんだが。

 

((( なにかな? )))

 

君が人間に乗っているうちに頼みたい。

実は私は、自分の罪状を知らないのだ。

直接の決め手は、床下に隠していた金塊を見つけられたことなんだが、それだけでここまでの仕打ちはひどすぎる。

余罪を山ほど付けられているはずなんだが、それを知りたい。

 

((( 裁判……なんて、行われているわけがないか。)))

 

そういうこと。

 

((( わかった。調べて、何らかの形で記録しておく。

それだけでいいか? )))

 

ありがとう。あとは、静かに見守っていてくれ。

 

((( カーテンコールまで、邪魔をしないよ。

それでは、健闘を祈る。

交信終了。)))

 

 

私は、ゆっくりと、目を開いた。

おだやかな木漏れ日が、厳かに、最後のエネルギーを与えてくれているのを感じた。

 

傍らに立つ兵士に、駄目もとで、尋ねてみる。

 

明日、私は磔にされ、身体を切り刻まれるはずなのだが。

その前に、この着物を脱がせておいてもらうことは、可能だろうか。

日本へ来てすぐの頃、好意でつくってもらった修道服なのだが。

私はそのとき、心から日本が大好きになった。

以来、毎日、欠かさず、着てきた。

汗と血と泥で、すでにボロボロではあるけれども、私は、この着物に、これ以上、傷をつけるのが忍びないのだ。

どうか、お願いしたい。

 

兵士は、ぽかんとしていた。やがて、口を開いた。

 

「知るか。ふざけるな、罪人」

 

……やっぱりなあ。

僕は、こんな服一着も守りきれない。ほんとうに、無力な人間だったよ。

 

みんな、すまない。

でも、ありがとう。

君たちのことを、僕は永遠に、忘れまい。

 

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