戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1597/003.hmos

天にまします、デウス、イエズス、そしてスピリツサントスよ。

並びに、地上で私と共に戦ってきてくれた、輝かしき同志諸君。

お別れのときが近づいた。

最後の告白を、ここに遺したい。

 

私の名はルイス・フロイス。

リジボーアに生まれ、王室の特別学級で学んだ。

私は、幼い頃から文章を書くのが好きだった。見たまま、聞いたまま、ありのままに、余すところなく、かつ素早く書く才能を、デウスは私に与えられた。

真実をまっすぐ訴求する正義感も、ここから生まれたのだと思っている。

 

私は常に、考える。

何が正しいのか。どれが間違いなのか。

わからなければ、書くのだ。書きながら、整理していくのだ。

それが、真実へ到達する王道である。

私は生涯をかけて、この道を究めた。

 

若人たちへも、伝えておきたい。書くことは力だ。

敵が1000の嘘を書くなら、私たちは100万の真実で立ち向かうのだ。

それが、勝利の鍵となる。

 

私には、ポルトガルは小さすぎた。

大志を抱いてコンパニヤへ入り、大海へ飛び込み、インディアの地を踏んだ。

バサインやゴアで過ごした十年余りは、今思えば若気の至りで恥ずかしい時代だが、私には貴重な修練期間だった。

あるとき、偉大なるメステレ・フランシスコ・デ・シャヴィエルの講演を聴いて、日本への憧れを抱いた。

当時も今も狭き門だったが、私は食らいついた。

そして、日本上陸を果たす。31歳の夏だった。

 

あの日の感動は、今でも、昨日のことのように思い出せる。

日本は、想像以上にひどい国だった。

土地は貧しく、人の心も際限なく貧しい。

嘘と殺人が日常茶飯事で、1000年にわたる坊主の浸潤が何もかもを根深く腐らせており、手の施しようがない。

地震、火事、暴風雨が周期的にこの国の文明を壊滅させていくことがわかっていても、原住民は何ひとつ学ばない。

私たちの努力は、これまで幾度も水泡に帰した。

 

だが、私たちは学ぶのだ。

ここに私が築き上げてきた、日本史の集積がある。

かつて日本には存在しなかった、初めての、活きた歴史だ。

私はまもなく天へ帰るが、若人たちよ、これを役立ててほしい。

 

障害は、取り除かれた。

国内の抵抗勢力は今どんどん外地で死んでいるし、コソコソ暗躍していた卑劣なメノール一派の排除にも成功した。

色情狂の耄碌爺がくたばるところを見届けられないのは心残りであるけれども、パライゾから見守っているので、せいぜい惨めな死に様を飾らせてやってほしい。

 

パードレ・マルティンス管区長は、素晴らしい指導者だ。

メステレ・フランシスコ・デ・シャヴィエル以来の傑物だ。

これほど皆を安心させてくれる後継者が着任したことは、何よりの、私へのはなむけだ。

デウスよ、深く感謝いたします。

 

 

口述筆記は、ここまででいい。あとは、遺すな。

聞いてはほしいが、すぐ忘れてくれ。

私の、最後のお願いだ。

実はな。私はずっと、誰にも言えないでいた、ある持病を抱えていた。

いいか、語るぞ。

 

私の心の中には、もう一つのペルソナが、いるみたいなのだ。

最初に話しかけてきたのは、日本へ来て、まもなくの頃だった。

彼は、ウルトラと名乗った。

時にはスピリツサントのように知恵を貸してくれ、ある時はサタナスのように惨忍な思考を私に吹き込んだ。

 

君にもそんなペルソナがいるか?いないよな。

不思議なのは、私の知らない事実を知っていたり、絶対に思いつけないような謀略を提案してきたりなど、明らかに私の能力を超えた論理と性格を備えていたことだ。

あれは、決して、私の意識が生み出した産物ではない。

だから、怖かった。誰にも打ち明けることができなかった。

しかし、このまま秘密にし続けて地上から離れるのも、耐え難かった。

 

いいか。もうすこし語るぞ。

 

つきあい始めて30年以上になるからな。困った時は、よく相談もした。

とくに追放令以降は、ずいぶん、ウルトラに頼った。

どうしていいかわからなかったのだよ、私でも。

おかしいだろう。しかし今ようやく、こうして希望が見えてきたのだ。

あのとき踏ん張っていて、よかったと思っている。

だからウルトラにも感謝してやるべきなのかもしれない。

 

いや、撤回する。

あいつには、邪悪すぎる一面がある。やはり、感謝はすまい。

 

知ってのとおり、私は、2月のメノール処刑前日、激しい発作を起こして、倒れた。

耳から血と煙を噴き出しながら、のたうち回ったという。

それ以来、四肢が麻痺し、寝たきりになった。

 

意識不明のまま何週間も過ごしたが、うわごとで処刑の様子を聞きたがり、それを口述筆記させていたようだね。

私には、骨の髄まで報道記者としての使命感が染みついているのだなあと、我ながら呆れている。

しかし、もう、仕事ができる身体ではない。

ウルトラもどこへやら、いなくなったみたいだ。

デウスが私を呼んでいるのがわかるんだよ。

ああ、すっきりした。

もう思い残すことはない。ありがとう。

 

では、ミサを始めてくれたまえ。

私の旅立ちだ。

盛大にやってくれ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(おしまい)

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