戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1565/013.hmos

金曜日。

兵士たちがミサに訪れなかった。授業にも来なかった。

なんでも、召集命令が下って全員、兵舎へ呼び戻されたという。

 

土曜日。

ミヨシドノの兵が大挙してミヤコへ乗りこんできた。

近々、大決戦が行われるらしい。

その出陣式と、クボウサマへの挨拶を兼ねてミヤコへ集合したものと思われる。

そのように聞いてました。私は。

 

翌日は、三位一体の主日です。

三位とは、デウス、イエズス、そしてスピリツサントスのこと。

御父、御子、聖霊ですが、この中に上下の格はありません。

文脈によって呼び分けたりはしますけど、御主といえば、三位一体を表します。

蛇足ですがアンジョはこれより格下です。

アンジョの中にはサタナスに誘惑され悪の道へと堕ちたものもいますから、注意が必要です。

 

話を戻しますが、土曜日の夜。

クボウサマの王宮で、私たちも参詣したあの邸で。兵士たちとの懇親会が催されたそうです。

ミヨシドノ配下の、小ダイミョウたちも武具に身を包んで参列し、キショウモンを捧げたのではないかな。

そんな光景を、想像しました。

 

これは、後から聞いた話ですけど。

クボウサマは、この宴に出てこなかったとか。

兵士たちは、クボウサマに対して吠える。

あなたも戦びとではないのか。そもそもダイリサマと、このミヤコをお守りする、最も重要な地位を任された立場ではないのか。それが何たる腰抜けぶりか。

たいへん、失望をされたということです。

 

日曜日の早朝。

カミキョウから、火の手が上がりました。

クボウサマが殺されたという噂が、シモキョウまで駆け抜けました。

王宮の中にいた、クボウサマの子供たちまで、容赦なく斬り殺され、火の中へ放りこまれたとか?

 

ここで、私は、疑問に思うのです。

クボウサマが腰抜けであるからといって、翌日朝にすぐ、そこまでやるか?

もっと以前から用意周到に仕組まれた、謀反なのではないか。

ミヨシドノは次のクボウサマの座を狙っていると、広く噂になっていた。それをついに、決行したのではないか。

となると、ミヨシドノが次のクボウサマとなるわけですが。

これは私たちにはありがたい状況です。

旧クボウサマからも布教許可状はいただいてますが、コンパニヤに協力的なミヨシドノが支配者になれば、これをもっと強化したものにできるでしょう。

 

ヴィレラはクボウサマと何度もお会いしていた縁もあり、彼なりに心を痛めていたようですが。

私はそこまでの思い入れもないので、黙々と炊事や洗濯をしながら、人々の会話に耳を傾けていました。

ああ、でも、お邸で私たちを歓待してくれた女官の、一番偉そうな婦人がクボウサマのお母様で、その方も斬り殺されたと聞いたときは、思わず十字を切りました。

クボウサマの顔は覚えてませんが、口を隠して嗤い続けていたあのご婦人の顔は、記憶に焼き付いていますから。

そうか、殺されましたか。

私の何がそんなにおかしかったのか、いつか尋ねてみたかったものですが。

もういいや。アーメン。

 

夜になって、ジョルジ殿が教会を訪れました。

これからしばらく、教会に護衛の兵をつけてくれるそうです。

カミキョウでは、混乱に乗じた掠奪や放火も相次いでいるそうで。シモキョウでも何かあるといけないからと。

なんと気のつく方でしょう。

ジョルジ殿はミヨシドノの家臣で、教会へ部下を派遣しては信徒を増やしてくれている、元締めのひとりです。

この日も勇ましい軍装でした。

おつとめ、ごくろうさまであります。

 

次いで、コスメという男が現れました。ミヨシドノの秘書だそうです。

ヴィレラと長話をしています。

最新の情報を教えてくれているようです。

え?坊主どもが絡んできているのですか?

 

ミヤコの最大派閥はフォッケ宗。

かれらはダイリサマやクボウサマへ礼儀正しく取り込み、穏健に実効支配を達成するという、きわめて政治色の強い集団です。

戦争協力にだって積極的でしょう。

反乱により旧クボウサマが斃されたことは、フォッケ宗の坊主にとっては、想定外の大事件。

何してくれとんじゃあ!と新興勢力のミヨシドノへ文句のひとつもつけたでしょう。

 

ここで、ミヨシドノがコンパニヤへ協力的であることが、攻撃材料となります。

テンジク人にそそのかされたのだろうとか。こんな形での政権交代はシャカの教えに反しますぞとかなんとか。

見苦しい。

政権交代なんて、私たちが日本を発見する前から、何度もあったんでしょ。

そのときあなた方は何をしてたっていうんですか。

言いがかりをつけるにしても、もっとマシな理屈を考えつきなさいよ。

 

なんて言っても始まりません。相手は坊主なんですから。

便乗放火も何割かは坊主がやってるって噂も流れてますよ。

もっとも、噂にすぎないので、私たちはそんな流言飛語を根拠にあなたたちを攻撃するなんて、しませんけどね。

これでも文明人ですから。

それにしても、うぜえ。

 

実際ですね。

デウスの信徒め、と言われてイヤガラセを受け、身の危険を感じた市民が、教会へ何人も避難してきてるんです。

今夜、私の寝る場所はありません。

雨降ってないからいいけど、優先的に追い出されました。

家の裏手で、筵をかぶって寝ます。

 

ほんと、坊主、ゆるせねえ。

 

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