戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1565/014.hmos

アントニオ・ユキノ・サイモンジョウ殿。

あなたは3年前、私たちの兄弟となり、両親および主君にもよく尽くし、誠実にして立派な人生をまっすぐ歩み続けました。

あなたを慕う部下たち、信徒たち、そして私たち宣教師も、誇らしい気持に満たされています。

短い間ではありましたが、共に過ごした日々に心から感謝します。

今はすべての重荷を下ろし、パライゾで安らかに憩われていることでしょう。

御主のみもとで、私たちの輝ける導き手となってくださいますよう、祈りを捧げます。

アーメン。

 

葬儀を、可能な限り盛大に執り行った。

ミヤコの外郭に信徒が土地を持っていて、そこを墓地にしてある。

兵士に見守られながら行進し、埋葬し、多くの蝋燭を灯した。

 

ミヤコ中の人が、物珍しさに群がった。

これだけの葬儀をして、一切カネはとらない。

ただ、無理をしない範囲で寄付をいただければありがたい。説教を聞きに来てくれれば本望だ。

毎度毎度これだけの規模でとはいかないが、私たちはすべての信徒に対し、その洗礼から帰天までを見守り、決して疎かにはしない。

貧しき者には目もくれない坊主とは、何もかもが違うのだ。

そのことを見せつけてやる、よい機会だった。

 

コスメ殿の情報によると、アントニオの死因は、毒殺。

そこまでやるか、と憤懣やるかたない思いであるが、坊主としては何がなんでも、私たちを排除したいらしい。

ほんとに坊主の仕業だろうかって?

たしかに証拠はない。

しかし、アントニオを殺して誰が一番得をするかといえば、この点については、坊主しかいない。

その奥から手綱を引いているのが、われらの最大の敵、ソウダイだ。

 

状況がやや複雑になってきたので、整理する。

 

カワチ国イイモリを本拠地とするミヨシドノ。

キナイを掌握する、実質的な支配者となりえる唯一の実力者だ。我々の味方である。

その筆頭家臣に、ソウダイという老人がいる。

骨の髄までフォッケ宗に染まっており、悪魔的頭脳でミヨシドノをたぶらかそうとする。

我々にとっては、坊主より手強い敵なのだ。

 

そういえば、アルメイダはソウダイに会ってからブンゴへ戻ると言っていた。

タモン城へテンジク人が訪れた噂は、コスメ殿の耳にも入っていた。アルメイダは実に大仰に感心し、城主ソウダイを讃え、高価な土産物を与えられて、無事に立ち去っていけたようだ。

しかし本人からその後、便りひとつ来ないので、詳細も真意も掴めないでいる。

アルメイダよ、ひどいじゃないか。

私からは、しつこく催促しているのだが。

 

ミヨシドノの軍には、大勢の百人隊長がいる。

アントニオやアンリケらは、これに属する部将たちだ。いずれも、ロレンソが授洗した。

配下の兵が教会へ送ってよこされ、私たちは彼らを信徒にして返す。

デウスの教えを理解した兵士は迷いが無くなり、主君へ絶対の恭順を示すようになると好評だ。

この美しい関係を、無能かつ驕慢な坊主たちは妬む。

自分たちだって陰ではエスピンガルダの製造とか、傭兵の錬成とか、しっかりやっているんだが、私たちには嫉妬を覚えるらしい。

でも自らを正す発想へは行き着かない。

だからこそ坊主だ。嘆かわしい連中だ。

 

三位一体の主日に、ミヨシドノはクボウサマを斃した。家族親族も一人残さず殺した。

妃だけは逃げ出し、市中のテラのひとつに匿われていたそうだが、数日後に発見され、首を刎ねられた。

ここでも、坊主はいったい何をしているのだと思うところもあるのだが。次へ行こう。

 

ミヨシドノへの政権交代は、すんなりいかなかった。

随分と揉めている。ミヤコには、ミヨシドノの兵があちこちに立っていて、治安は守ってくれているが、この兵たちもだんだん退屈してきたり、食糧を求めて市民への乱暴を働きだしたという噂も流れてくる。

私たちの教会へも、信徒の避難者がいま60人くらい詰め寄せてて、収拾がつかない。お隣さんからの苦情にもさらされている。

身寄りのある者は親族同士で助け合うべしと、調整に明け暮れている日々だ。

いつまで、この世情混乱が続くのだろう。

そんな思いで、疲れきっていたところへ、アントニオ殿が殺されたという、知らせが届いたのだ。

 

アントニオ隊は、ミヤコへ入ってから、テラの一つを兵舎にしていた。そこで、毒を盛られた。

2日ほど苦しんだ末の、最期だったという。

坊主が弔おうとしたが、部下が、隊長はデウスの信徒なのでと拒絶した。

坊主が知らなかったとは考えにくい。

アントニオも、配下の信徒も、毎日祈りを捧げていただろうし、軍装にはしるしをつけていたはずだから。

 

なお、隊の兵らも、コスメ殿も、そのテラの名をどうしても教えてはくれなかった。

ヴィレラも、しつこくは求めなかった。

私たちが赦したとしても、血気に逸る信徒か求道中の者が、躓きを起こさないとも限らない。

知らない方がいいだろう。しかし、葬儀だけは盛大に行おう。

道半ばで旅立ったアントニオへ、せいいっぱいの祝福を捧げよう。

そう決まった。

 

夏の夜空を見上げつつ思う。

今年の定航船は、どこの港に入っているかな。

パードレは何人、やって来たかな。一人よこしてもらいたいな。

アルメイダやモンテが手紙をくれなくたって、トマスが戻ってくれば、いろいろな話が聞けるだろう。

それまでにミヤコは、落ち着いてくれているだろうか。

 

外で寝ていると、虫を防げない。

おかげで肌が、ボロボロだ。

 

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