戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1563/004.hmos

SengokD.1563/004.hmos

 

日本は、大きめの島3つと、無数の小島から成る。

すべての面積を合わせるとポルトガル本土より大きくなるという説もある。

 

私たちはシモ島のノッサ・スニョラ・ダ・アジュダという港町にいる。オオムラ領に属する。

オオムラ領はヒゼン国の一部である。ヒゼン国を含む9つの領国によって、シモ島は構成される。

 

シモ島より10レグワほど海を隔てた東には、その半分ほどの大きさの島が浮かぶ。この島は、イヨと呼ばれる。4つの領国に分割されている。

 

シモ島、イヨ島より北東には、最大の島、カミが横たわる。

66領国の大半はカミ島に含まれる。

その中央に位置する首都ミヤコは、ノッサ・スニョラ・ダ・アジュダからは150レグワほどの距離である。内海で海賊に出会わなければ、約2週間で着けるとされる。

この内海は波静かだが、水深が浅く小島が多いため、ナウやガレオンでは航行できない。

パードレ・ガスパル・ヴィレラが5年前からミヤコに駐在しており、孤独な戦いに身を投じている。

 

ポルトガル人が日本航路を発見し、定航船を往復させるようになったのは、15年ほど前だ。

ポルトガル王国は、ゴアを拠点にして、インディア管区を西から東へ向け開拓してきた。

エスパニヤ連合王国は、エウロパから西へ向けて遠征している。

世界を二分する両王国は、地球の反対側を境界線とする旨の条約を、前世紀に結んだ。

ポルトガルの勢力範囲では、ひとまず日本が世界の涯てだ。そう設定しているわけだ。

もちろんその気になれば、我々はもっともっと、どこまでも先へ行くことができる。

東回りにポルトガルへ凱旋することだって、じゅうぶんに可能だ。条約を尊重するから、やらないだけで。

 

パードレ・モンテは、シモの東端、ブンゴ国へ派遣された。先日、イルマン・アルメイダと共に旅立った。

商人と共に各地からの使者が次々と現れ、パードレが3人もいるのなら1人よこしてもらいたいと懇請を繰り返していた。これに応えたのだ。

我々も心細いが、日本人信徒だけで教会を維持するのがもっと困難なことは、理解できる。

パードレ・トルレスは足が治るまで動けないだろうから、私も近いうち、どこかへ派遣されることになると思う。

日本人への適切な対応と、日本語の習熟を、一日も早く磨き上げねばならない。

覚悟をしていたとはいえ、いざ目前に迫ってくると、猛烈な不安で胃が痛くなる。

 

パードレ・トルレスより、日本各地における布教の実情を聞いた。

15年前、メステレと共に来日したパードレたちは、上陸地であるシモ島南端サツマ国カゴシマで布教を開始した。

しかし言葉の壁もあり、成果は芳しくなかった。

何箇月か過ごすうち、ヒゼン国フィラド島領主より招待状が届く。

フィラドは有名な商業港で、外国人にも慣れていた。メステレ一行は、カゴシマより移住した。

フィラドの印象は悪くはなかったという。定航船団も、翌年からはフィラドへ寄港させる方向で話が進んだ。

 

その翌年、カミ島のスオ国アマングチ領からも招待される。

アマングチの王はどこよりもコンパニヤに理解を示し、教会用地まで無償で提供してくれた。

2年目の暮れには、アマングチを日本布教の橋頭堡とする決定が下され、全員がフィラドより移住する。

日本の政情への理解が進むにつれ、メステレは大王への謁見を実行に移す準備も始めた。

長引く戦乱で街道の町や村は多くが荒廃し、貧窮の極みにあった。デウスの福音は一日も早くこの王国にもたらされねばならない。その想いがメステレを奮い立たせたのだ。

日本人の従僕をひとり連れ、徒歩で、首都ミヤコへ向かった。

2箇月かかったというが、その間、より深く日本の風土を肌で感じとりながら、旅をした。

 

しかし、ミヤコの崩壊は想像を超えていた。目を覆うほどの有様だった。メステレは大王への挨拶すらかなわず、去ることを余儀なくされた。帰路は急ぎ、船を使った。

3年目はアマングチを拠点に、人々へ福音を届けることに全身全霊を捧げた。

 

日本人は生来、優秀すぎる素質と性向を有している。にも拘わらず、悪魔が1000年にわたりこれを簒奪し尽くしてきた。

その歴史の闇深さが、次第に明らかとなる。

悪魔の尖兵たる坊主との戦いが幕をあけた。毎日が、たたかいだった。

黄金郷は、ただそこに来れば救われるという、祝福された楽園ではなかったのだ。

コンパニヤには、もっともっと、力が必要だった。

 

援軍を要請するため、メステレは3年目の定航船でゴアへ戻る。

そして熱弁をふるい、日本は私たちが命を賭して勝ち獲らねばならぬ最終決戦の舞台であると、涙ながらに訴えた。

私は、それを、聴いたのだ。

 

今よりも、はるかに無益で矮小な、一片の下僕にすらなれない私ではあったのだけれども。

そのとき、私の運命は、決まったのだ。

ああ。メステレの話になると、つい熱くなっていけない。

まだまだ語り尽くせないが、今日はそろそろ疲労が限界だ。

つめこみすぎはよくない。明日できることは、明日しよう。

 

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