戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1566/002.hmos

サカイは、非武装中立地帯です。

 

濠で囲まれています。

すべての橋に関所が設けられていて、通行税を取られます。

もちろん、武器持ち込みも、戦闘行為も禁止です。

兵士たちがゾロゾロと、飯を食いに市門から入ってきます。

ミヤコで洗礼を受けた懐かしい顔ぶれが、教会へ寄り、祈りを捧げます。

四旬節なので、コンヒサンもしていきます。

戦局を、断片的にですが聞き出します。

 

ミヨシ家の内乱は、現在のところ、大ミヨシドノ勢と、その反対勢力とに二分されています。

大ミヨシドノ勢はイイモリ城から出てきて、東のナラへ集結。

悪魔の如き智将ソウダイの建設したタモン城を、包囲しています。

タモン城は、非常に、攻めにくいらしい。

城まで近づくと、くねくね曲がった細い通路の両側から、テッポウの銃眼が覗いていて、一斉に火を噴く。

相当の犠牲を払わねば侵入できないという、近代戦に特化した造りとなっているそうです。

 

どうしてこんなことまで聞き出せるかというと、教会へは両軍の中下級兵が集まってくるからですね。

もとは、同じ一族です。

我も彼もが、不倶戴天の敵同士ではありません。

むしろ、うるさい上長に見られてる時でなければ、本気で戦ったりするもんか。

いつでも仲良しに戻れるよう、個人的に怨まれるような態度を極力控える。

とりわけ信徒であれば、旗や軍装に必ず、それとわかる印をつけてますから。

戦場で出会ったら威勢よく近寄って、派手に斬り合う仕草をしてみせ、名勝負にて引き分けて別れる。

そんな擬態が、けっこう演じられているみたいですよ。

 

隊長も信徒であれば、話が早いそうです。

その代わり、邪宗徒相手であれば、多少は真面目にやれと。

緩急をつけてるんだってさ。

 

 

しかしこの度、サカイのすぐ傍のウエノシバというところで起きた戦闘は、かなり本気のぶつかり合いだったみたいです。

なんでもミヨシ家ではない別の領主の軍隊が出てきて、どちらかに味方したのだか。便乗して暴れまくったとか?

よくわからないのですが、ともあれミヨシが勝ちました。

どっちのミヨシですか?

大派なのか反派なのかも、よくわかりません。

 

サカイの自警団も防衛のため出動し、その戦闘に関わったみたいですね。

これが原因で、なんだかサカイはミヨシ勢との連携を宣言するという、更によくわからない方向へ政局が揺れ動いています。

信徒ジョウチンもこの自警団の戦闘員ですが、彼に聞いてもよくわからない。

ぐちゃぐちゃです。

まったく、困ったものです。

 

 

ついでに、昨今の戦術理論と世代間乖離問題についても、新たな知識を得ました。

 

以前キショウモン問題について考えましたが、日本では戦争という行為はカミに捧げる儀式なのです。

殺し合いだけれども、一種の競技でもあるから、オオキミという審判官に宣言して始め、終えるものである。

このオオキミとは、ダイリサマのことを指すらしいです。

1000年前、フォトケを招く招かない戦争のときから、そうなったみたいです。

ところがカミはフォトケに乗っ取られてしまった。傀儡になり果ててしまった。

カミに捧げる儀式という手順だけは残っていますが、形骸化甚だしく、現在の日本では戦争を仲裁する共通の審判がいません。

お互いが、自分にだけ都合のいい審判を準備し、勝手に始めて勝手に終わらせます。

これでは何もかもグダグダになるのは当然ですよね。

 

古典体育であった時代の名残で、日本の戦争では

雑兵が大将の首をとってはならぬとか

敵将を追い詰めたあと、自分自身の腹を小刀で抉らせ死なせることが礼儀であるとか

意味不明で残酷で要領を得ない約束事が、多々あります。

ある程度の階級以上の、名のある武士が戦うときは一対一の騎馬戦を基本とし、各々の配下の兵は円陣を組んで、手出しをしてはならんとか。

たしかに、戦争というより競技ですね。

殺し合うんですけど。

 

日本人がエスピンガルダを知ったのは、つい最近。まだ20年にもなりません。

この革新的兵器を、日本人はたちまち複製し、テッポウと呼んで大量生産し、その習熟にも類い稀な才能を発揮しています。

エウロパであれば、戦争の勝敗は、エスピンガルダの配備数で決まります。戦争ですから。

ところが馬の乗り方ひとつにもいちいち拘泥りたがる旧世代の日本武士には、この道具が実に面白くないわけだ。

エスピンガルダは単独兵器ではない。

集団で撃って、弾幕を張るのが戦法です。

決闘にすべてを賭ける上級の将ほど、自分に見せ場が回ってこない戦い方には嫌悪感を抱き、興味すら示さない。

そんなのは雑兵にやらせとけ、と最下級の兵だけでテッポウ隊を編成させます。

 

最下級の兵といえば、アシガルですね。

飯さえ食わせてもらえるなら、何だってやる。

坊主どもにさんざん慰みものにされた、少年たちの、成れの果て。

エスピンガルダの力を本当にわかっていたら、こんな物騒なもの預けさせないと思うのですが、つまり、わかってないのでしょう。

 

秩序を失った王国で、最も貧しい者たちが、最も強力な武器を持っている。

その両方を、坊主どもが、今もせっせと、量産している。

 

これに、私ひとりで立ち向かえというわけですよね。

デウスよ、難度が高すぎます。あまりにも。

 

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