戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1566/003.hmos

復活祭は、つつがなく終わりました。

いっぱいお客さんが来ました。ミヤコからも。ナラからも。

ヲアリっていう東の方の領国から、8日かけて到着したっていうおじいちゃんまで。

さすがのヴィレラも、悪魔の表情を覗かせることなく、送別会の主役らしい態度で毎日泣いて感謝を捧げてましたよ。

私も、君と別れるなんて嬉しくてたまらないから泣いちゃうじゃないか。

ばーか。

 

モニカは朝から夜までずっと教会にいて、来客への接待をしています。

ヴィレラと、きっぱり別れるのか。送り出せるのか。

それとも、同時に姿をくらませるつもりじゃないだろうか。

来客を含めた全員がその真意を探ろうと懸命になってますが、彼女と彼の表情からは読み取れません。

 

イルマン・ロレンソはもともとアマングチの出身だし、本人の希望もあって、一緒にシモへ戻ることとなりました。

戦力減としては甚だ心痛ですが、やむを得ません。

今までたすけてくれて、ありがとう。

 

ロレンソは、ナラへ何度も行っています。

いまソウダイがタモン城に追い詰められていますが、そこから8レグワほど先に、サワという城があります。

ここの城主一家は、サンガ城のサンティアゴ殿並みに敬虔な信徒なので、いつか行ってみるといい。大いなる力となってもらえるだろう。と助言をもらいました。

家長の霊名は、ダリオ。

いまは戦争中でなかなか出てこれなさそうですが、去年ミヤコの教会へ何人かの貴人と一緒に訪れたことがあり、その時私とも会っているはず、だそうです。

覚えてないなあ。

ミヤコでなら、私は従僕の仕事をしてたんじゃないかな?

変にそこだけ記憶されてなければいいですけどね。でも、私は覚えておこう。

サワ城の、ダリオ殿だね。

 

ここで初めて、ロレンソがソウダイへも説教を試みたことがあるという話を聞いた。

順を追って説明すると、こうだ。

 

ヴィレラがミヤコへ来て数年は、想像を絶する困窮生活が続いた。

物価はおそろしく高く、人々は冷たく、坊主どもは容赦なく喧嘩をふっかけてきた。

それでも当初は手当たり次第に出かけていって、宗論を戦わせた。

 

ある年、大ミヨシドノからの招待状が届いた。

説教を聴きたいから、城へ来いという。

本格的に身の危険を感じたヴィレラは、ブンゴから助っ人として派遣されてきていたロレンソを、代理に立てた。

このときの宗論は、実のところソウダイの根回しで何人もの学者を揃え、たしかに公開処刑の如きものだったようだ。

しかしロレンソは力強く、デウスの教えを奏でた。

10日ほど、語り続けたという。

学者の何人かが洗礼を希望した。

ソウダイの目論見は砕け散った。

 

頂点に立つ大ミヨシドノは戦びとの長であるゆえ信徒にはならなかったが、家臣たちの説得が効いた。コンパニヤの庇護を引き受けようと約束してくれた。

大ミヨシドノの口添えあって、ヴィレラはクボウサマへの謁見も叶い、正式に布教許可が発給された。

シモキョウの片隅にではあったけれど、公認の教会も設立できた。

アンリケ、ジョルジ、そして今は亡きアントニオらの兵が通ってくることで、坊主どもの嫌がらせもおさまった。

まさにミヤコの布教史は、ロレンソの大手柄に拠って立つという次第である。

 

面目を潰されたソウダイは、その後再びロレンソを呼び出し、説教を求めた。

ロレンソは万全の準備をして赴き、語ったが、ソウダイの心を開かせることはできなかった。

それでも謝礼に、値打ち物の茶器をくれた。

大事にするつもりだったが教会では価値の判る者が一人もおらず、いつの間にやら盗まれてしまったという。

 

トマスもソウダイには心酔してる風だし、ロレンソでも改心させられなかったと聞けば、どれほど手強い悪魔なんだと気が気じゃなくなるね。

 

「拙者の感じるところ、ではありますが。弾正殿は、デウス様の教えをきちんと理解されたと思いますよ。とくに物語の部分は、楽しまれたと思います。

しかし洗礼するとなれば、一切の偶像と訣別せねばならない。それは弾正殿にとって絶対にできないことでしょうから、結末はわかっておりました。

弾正殿は二千年も続く、この王国で生まれたすべての文物を愛してやまないお方です。

可能であればなんとか折り合いをつける道がないものかと、拙者は今も考え続けております」

 

正しいものも、間違ったものも平等に愛するなんて、おかしな話だ。

僕にはソウダイが教えを理解したとは到底思えないよ。

でもロレンソの話は、とても役に立った。

これからはトルレスとフェルナンデスをたすけてあげてほしい。

本当に、ありがとう。

 

ばたばたついでに、もうひとつ。

おかしなことが、おきてるよ。

 

クボウサマが殺された日。ソウダイはナラで、クボウサマの弟を保護した。

その後、弟は逃げ出し、ソウダイはミヨシ一族から狙われる立場となった。

この弟が、ミヤコ東隣国の領主を味方につける。

我こそは新クボウサマであり、兄と家族を殺したミヨシ一族は反逆者であるぞ、と宣言した。

すでにダイリサマから14代クボウサマの内定をとりつけた、という噂も流れている。

本人が流しているようだ。

 

あくまで内定であり、正式ではないことが重要だ。

14代クボウサマ、もう一人いましたよね?

イヨだかアワだか。

そう。ミヨシ一族に育てられてきた、アシカンガ家の遠縁だっていう候補者がいたんですね。

ミヨシ家内紛ですっかり忘れていましたが、この状況でミヨシ家が担ぎ直さないわけがない。

自分たちを逆賊と呼ばわる弟の登場は、ミヨシ同士の内紛をひとまず止めさせるほどの脅威を孕んでいる。

 

ミヤコへ戻れる日が、また遠くなったかな。

いや当分サカイでいいけど。

 

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