戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1566/004.hmos

恋愛事には疎い、というより興味が無い、僕だけれども。

ヴィレラが去ってからのモニカの変化を、注意して見ていた。

 

ひとりのとき、どうしているかはわからないけれど、教会にいる間はつとめて冷静にふるまっている。

報告を求められたならば「何ひとつ変わったところはありませんけどねえ」とでも答えるべきだろう。

しかし時折、空間を見つめて考えこんでいたり

おかしな言い間違いをしたり

同じ話を聞き返したりなどは、かつてのモニカにはなかったことで。

察するところ、必死で自分を抑えこんでいるのだ、という見解も可能である。

 

ヴィレラ、手紙でも書いてやれよ。

いや、書くな。

きっぱりと別れたんだから、モニカの新しい人生にてめえは干渉するべきではない。

モニカは気丈な娘だ。そっとしておけば、必ず自分自身の力で正しい道へと帆を向ける。

一時の気の病なんて、笑い話のひとつに過ぎなくなるさ。

大丈夫、大丈夫。

 

 

私がキナイ上長となってから、サカイ教会では、少なからぬ変化があった。

 

住み込み従僕は、60歳から8歳まで10人以上、入れ替わり立ち替わりしていたのだけれど。

半分くらいが、ヴィレラと共にいなくなった。

今までさんざん、ヴィレラとつるんで僕をバカにしていた奴らだ。

僕の下では働きたくないという。

僕だって、持て余してしまう。

 

きちんと挨拶して出て行く奴には、多少のカネを持たせてやった。

私を嫌いでも、デウスの教えは絶対かつ永遠だ。

そのことだけは生涯忘れるなと説諭して、円満なお別れをした。

勝手にいなくなった奴らは知らん。

いろいろ盗んでいくしな。

 

パウロはアルメイダと、ロレンソはヴィレラと一緒に出て行ったから、いま僕が頼れる人材としては、トマスと、その次はダミヤンという日本人青年かな。

ああ、僕と一緒に来てた大小ジョアンがいたね。かれらは、今はシモにいる。

連絡員をさせていたのだが、物資を持って戻ってくるときは別の信徒が来た。

僕とヴィレラの諍いは、いろんな人に迷惑をかけていたのかもしれないなと、しんみり思う。

しかしその元凶は消えてくれたわけだから、これからは明るい未来を築こうよ。

いつでも、戻ってきてほしいな。

 

 

人手不足をなんとか乗り越えて、昇天祭と、ペンテコステを迎えた。

ペンテコステを過ぎると、トマスはシモへ向かう準備を始める。

本業は商売人だからね。トルレスたちからの信頼も厚いし。

誠実なパードレをひとり回してもらうよう、強い要望を託して送り出した。

それからしばらくは、平穏な日々が続いていた。

 

 

聖ベネディクトの週。

新たな軍事行動が大規模に開始された。

アワ島より、14代クボウサマ候補者ヨシチカ殿が、ツノ国へ上陸開始。

護衛するのはミヨシ一族。

大挙して乗りこんできているらしい。

 

今春、もうひとりの候補者ヨシアキ殿が名乗りを上げていた。

彼はミヨシ一族を兄の仇と断罪し、ロカクという領主に守られて、ミヤコの東に接するオーミ国に陣取っている。

ミヤコに入れば、ミヨシ一族との全面戦争となるため、にらみ合いが続いていた。

その向こうから、アワのミヨシ勢が大上陸。

ヨシチカ殿が先にミヤコへ入り、戴冠式をすれば、勝負はついてしまうだろうね。

 

地理的に見ても、決戦場はミヤコ以外にありえまい。

人々は100年前の戦乱が再来すると恐怖し、大勢逃げ出してきている。

十数年にわたり道は壕と穴ボコだらけになり、建物という建物は焼かれ、死体と追い剥ぎと浮浪者と坊主ばかりが溢れかえった。

そんな日々がまたしても、と。

 

キナイじゅうに散らばるミヨシ軍は、内紛をピタリと停止。協議を始めた。

翌日、びっくり仰天の大発表。

大ミヨシドノは3年前に亡くなられていた。

その葬儀を、これから盛大に執り行うという。

 

え??

私がミヤコへ来た日には、もう、死んでいた?

ヴィレラは、知っていたのか?

ロレンソは?サンティアゴ殿は?

アンタン殿や、ジョルジ殿は?

私は、すっかり騙されていたぞ。

 

ミヨシ家が前クボウサマを殺したときから、まったくまとまらず内紛に明け暮れていた理由が、なんとなくだがわかる。

どうすればいいかわからなくなった幹部たちが、誰にも相談できず、右往左往を繰り返していたのだろうなあ、と。

 

 

葬儀の場で、フィウンガ殿と、サキョウ殿が、共闘を誓ったという。

フィウンガ殿は、最大派閥のまとめ役。イイモリ城から大ミヨシドノを追い払ったと噂されていたが、実は最も中心にいた人物ということになる。

サキョウ殿は、大ミヨシドノの息子。最大勢力から追い払われたと言われていた。規模では第二党だ。

この2人が結んだことで、ミヤコ南方の戦乱は、ぴたりと収まった。

再編が整い次第、全力を北へ向けることになりそうだ。

ミヤコ人は、蜘蛛の子を散らす如く、逃げ場を探している。

 

ソウダイは、包囲から解放された。

これからどうする?

タモン城はあいかわらず難攻不落のようだし、背中を向けた大軍に挑む余裕もなさそうだから、当分は動かないかな。

オーミ国の戦力がどれほどの規模か。これが不明だけど、今日までミヤコを攻めあぐねていたことから考えても、更に戦力増加したミヨシ大軍勢に勝てるとは思えない。

もしかするとミヤコを通過して戦場はオーミになるかも。

となると、ヨシアキ殿がどう足掻いても、14代クボウサマの座はヨシチカ殿で決まりかな。

 

戦争するならするで、早く終わらせてもらいたい。

十数年は、やりすぎです。

 

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