戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1567/004.hmos

白衣の主日を迎えてから、サンガを去りました。

 

サカイへ戻ると、心配されていて、いろいろ聞かれましたけど。

正直、私が戻らなくても、特別困ることは何もなかったようです。

 

信徒や従僕にとっても、私より、日本人のダミヤンの方が相談しやすいみたいだね。

復活祭はとても楽しかったよ、なんて空気を感じました。

悲観主義に過ぎますかね。ひねくれてますかね。

 

おカネがない。

次の仕送りまで、どうやって食いつなごう。

この不安が、どんよりと私の心に覆い被さっています。

そのせいか。このせいですね。

貧乏が悪いんだ。

私を貧乏にさせたのは誰だ。サンガへ来てた連中だ。

ああ思い出すと肚が立ってしようがない。むしりとりまくりやがって。

もうビタ一文残ってないぞ。

とれるもんならとってみろ。

 

私は考えました。皆に、こう提案しました。

私たちは恵まれすぎていないか。

街の外には戦火が拡がっている。家を焼かれ、親や子とも離ればなれになり、日々の糧にもありつけず、あちこちに転がる死体の中をさまよい歩き、それでも悪いことを一切せず、懸命に生きている人々が大勢いる。

清貧とは、かくあるべしだ。

私たちも、倣わねばならない。

徹底した倹約を厳命しました。ぜいたくは敵です。

削れるものは削るべし。可能な限り削り抜け。不可能を可能にせよ。

おお美しい。

清き貧しさとは、どんな無理をしてでも、手に入れるべき尊きものであると知れ。

 

 

ペンテコステに、またサンガから呼び出しを受けました。手ぶらで行きました。

堂々たる態度で臨みました。

失うものが無いって、こんなにも、強くなれるんですね。

今年の初めに戻れるならば、戻って私に教えてやりたい。

あの日の私からすべてを奪い、目を覚まさせてやりたい。

奪ったぶんは、今の私が大切に保管します。

日本人どもにくれてなんかやるもんか。

 

ナントカいうおエライさんが、サンガ城で待っていました。

宗論をしました。

ナントカ殿はデウスのことを全く知らず、初歩的な質問しかしてきません。

しかも、偏見による先入観で頭がガチガチです。

人肉なんて食べるわけがねえっつってんだろーがよ。

 

他にも、テンジク人は草木に触れるだけでそれを枯らす、なんて噂が流れてるみたいですね。

おもしろい。この国は雑草だらけですから、私たちにそんな力があるなら庭師として雇ってはいかがですか。

残念ながら、そんな奇術はできません。

坊主どもの方がよっぽどこの国の何もかもを腐らせる大破壊者ですよ。

あいつらを酒蔵で煮詰めれば、さぞや強力な除草剤がつくれるでしょう。原料も豊富ですから、ぜひ事業化してください。

 

聖書に示されている奇蹟を起こしてみよ、とも言われました。

奇蹟は、見世物ではありません。

聖人と、信徒たちのヴィルトゥスがその場に満たされて、初めてデウスがそれを顕現なしたまう。

これが奇蹟です。

あなた本当に何もわかっちゃいないですよ。

 

腹だけはなんとか満たして、サカイへ戻りました。

従僕は今や2人しか残っていません。

かれらの筵をかけ直してやり、洗い残しを片付けて、私も筵へくるまります。

サンガではずっとこらえていたのに、涙が、涙があふれてきてしまう。

 

 

さいきん夢によく現れる、謎の物体があります。

 

最初は、また天使かと思いました。

話しかけると、応えました。

私は、救済を請いました。

 

しかし、どうも、天使ではない。

そのうち、もしかして、堕天使が私を誘惑しに訪れたのではないかという疑いも湧いてきました。

でも、それにしたって、謎なのです。

 

((( フロイスよ。

私は君に、これだけしか求めない。

よく食べ、よく眠り、よく考えよ。

あとは好きにしていいから。)))

 

物体よ。私は食べたい。

しかし、カネが無い。

私は眠りたい。

しかし、寝つけない。

よく考えている。人並み以上に考え抜いているつもりだ。

それでも足りないと言われるのか。

 

((( 生命維持に必要な量と質を満たしていない。

特に人間の脳は、酸素と水分の供給を一瞬も休ませられない上、その消費量は肉体全活動分の1/5に相当する。

これに加えて、私は君からエネルギーをもらっているのだ。

今のままでは私が困る。

だから、お願いをしている。)))

 

物体よ。よくわからない言葉がいくつも出てきた。もう一度たのむ。

 

((( 簡単に言い直そう。

食費をケチるな。

そのために考えろ。

考えて実行しろ。)))

 

物体よ。

君は私に命令をしているのか?

いったい何の権限で?

 

((( 私は君の体内にいる。

君はすでに死んだ。

私がその崩壊を食い止めている。現在もだ。

だから私は君に命令する権限を持つ。

納得するか? )))

 

……ひとつずつ、確認をしたい。

君は私の体内にいる?

どこにいる?

 

((( 首の後ろ側だね。延髄と脊髄の境目あたりに潜り込んでいる。

私の本体はマイクロ・ベータカプセルといって、君の中指くらいの大きさだ。

理解しなくていいから、納得してくれ。)))

 

……ますます、わからなくなった。

マイクロ?

いつ、私の体に入ったんだ?

 

((( 君たちの暦でいうなら、1563年11月3日ということになるかね。

ところで、この流れだと君は質問をし続け、私は延々と答え続けなくてはならなくなる。

君の理解は求めていない。要点だけを伝える。

私は、いつでも、君の脳を制御できる。

同時に、肉体すべてもだ。

思考の一部だけを切除することも可能だ。

君は、これに逆らえない。よって、君は私に絶対服従をするしかない。

しかし、私はそれを望まない。

私の活動維持、およびその意思を邪魔しない限り、君は君の好きなように生きたらよい。

だから最低限の要求だけを行う。

食って寝ろ。

以上だ。)))

 

ま、ま、待ってくれ、物体。

 

((( その一般名詞は混乱を生じる。私を呼ぶなら、今後は、ウルトラと呼べ。)))

 

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