戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1563/006.hmos

ドン・バルトロメウ。

彼は澄んだ黒い瞳を輝かせ、小柄ながらもよく鍛えられた四肢で優雅な身のこなし方をする、聡明な好青年である。

 

王の居城は、丘の上からは見えないものの、港より東に臨む対岸の景勝地にある。

定航船の入港はすぐに伝えられたが、前線への出征中であったため挨拶に出向くのが遅れたと、心から申し訳なさそうに詫びられた。

以前から、これほど謙虚な人柄であったのか。

否。デウスの教えを学ぶことによって、アニマが清められたのだ。

 

私はドン・バルトロメウに深い感謝の意を伝えた。

彼こそは日本の未来を支える資格を持つ人物であり、慈悲の力によって争いを終わらせることのできる、稀有の存在である。

私は一目で確信した。

 

船を見たいというので、私が案内する。

3隻の巨大な黒船は、湾の中で堂々とたたずんでいた。

日本では造ることのできない技術がふんだんに詰め込まれており、これでなくては世界を旅することなど到底かなわない。

真理と邪智との決定的な差が、ここには歴然と存在する。そのしるしを存分に見ていただいた。

 

船団長ドン・ペドロ・ダ・ゲラもまた、ドン・バルトロメウを非常に気に入った。

2人とも私より少し若く、ほぼ同い年だ。5人ほどの通訳が知恵を駆使して仲介をしてくれ、ドン・ペドロはバルトロメウが珍しがるものを、なにがなんでも贈り物にしたがった。

ヌエバ産の愛犬までが、バルトロメウに献上された。

 

船の中にはポルトガル製の地球儀があり、日本はまだ描きこまれていなかった。

取り外せないし、貴重品だったので贈り物にはできなかったが、日本を描き入れたものを何年か後にあらためて持参しよう、とドン・ペドロは約束する。

 

サリートリの販売許可について船員が私に質問をしてきたが、私には決められない。要は、オオムラへサリートリをもっと提供するべきではないのか、ということなのだが。バルトロメウも切実に望んでいるという。

それならば、適切な範囲で報いてほしい。彼は私たちの大恩人なのだから。そう答えておく。

最後には、権限を持つドン・ペドロが許可を出し、アルメイダへは私から書翰で伝えておくということで、話がついた。

 

教会から少し離れたところに、ドン・バルトロメウは別荘を持っている。私たちはこの日、晩餐会に招かれた。

パードレ・トルレスには輿が用意された。体格のよい人夫が数人がかりでそれを運んだ。

日本における食事について、私にはまだ語れるほどの経験がない。

しかし今日の食事でも、思うところをいろいろと感じた。覚え書きのつもりで述べておこう。

 

宣教師でも船員でも、日本での食事に文句を言わない人はいない。

実のところ、私もいささかうんざりしている。

パードレ・トルレスは、慣れるべきだという。しかし一年365日をずっと四旬節のように過ごせと言われて、これに慣れようとするのは実際つらすぎる。

まだ1箇月も経っていないが、すでに、私の肉体は、かなりの悲鳴をあげている。

お肉が食べたい。

 

日本では、肉食が禁じられている。

インディアでも、牛を崇め、牛だけは殺さないという習俗があるが、もっと徹底している。

そもそもからして、豚も羊もいない。鶏も、玉子は食すが肉は棄てる。

そう。日本では、牛馬も死ねば棄てるのだ。いただかないのだ。

肉や血は穢らわしいとされる。

ただし、魚は食す。生で。

日本人は、魚を焼かない。塩や油で味を付けて、箸を使って器用に平らげる。かなり不気味な光景だ。

食品の種類も、きわめて限られている。

基本はコメという穀類だ。

コメしか作らず、コメしか食べないといってもいいほど、これが日本を象徴している。

貨幣のかわりにコメで支払われるくらいだ。貴人の収入は、一年で収穫できるコメの量で表される。

徹底されている。なぜだかわからないが、これが日本66領国すべてで徹底されている。

 

1000年前の邪宗徒どもが広めた、人を家畜化するための方法なのか?

しかし、それよりずっと前からだという説もあると、フェルナンデスが言っている。

過去幾度も論戦した、坊主や学識者たちの見解によると、かれらより更に古くからある土俗信仰にその起源が認められるらしい。

よって、我らが日本から邪宗徒を駆逐し、すべての日本人を信徒にし得たからとて、日本でエウロパ並みの食事ができるようになるかといえば、保証の限りではない。

葡萄酒はつくれなかろうと言われている。この風土と気候では、葡萄は育たないらしい。

大麦・小麦に似たものは存在するが、日本人はパンもつくらない。

絶望的な気分になる。

 

最後に。

日本人は、コメからサケを作る。

そして、これを、吐くまで飲ませ合うことを、最大のもてなしと考える。

私はサケの味も好きではないのだが、それ以上に、酔いがきつい。

盃一杯も飲めば、いしきがもつれてくる。日本では酩酊は恥でないどころかめいよなこととされる。のみほすこともきようようされる。つつしみぶかいはず、のばる、とめう、ろおで、さえ、あ、あばばばばばば……

 

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