戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1568/004.hmos

アマンガサキでも、てんやわんやの大混乱。

 

サカイからの船便は、割増料金を取られた。

コスモくんがへたばり、荷役人をその場で雇ったりしたので、予想外の出費も嵩んだ。

さんざんだ。

 

ジュリヤンという裕福な信徒の家を訪ねる。

意外なほど、歓待された。

ちょうど娘さんが出産のため戻ってきていて、うなりながら、たたかっていたのだ。

祭具は全部持ってきていたので、盛大に祈りを捧げた。

元気な女の子が誕生し、母親はデウスのお膝元へ帰られた。

洗礼と葬儀を連続して行う。

ここまでいっぺんに、しかも完璧に出来ることは、なかなかない。ジュリヤンよ、君は御主に愛されているぞ。

 

 

私がアマンガサキへ来て2週間も経たないうちに、ミヤコは完全制圧され、ヲアリ軍はツノ国まで侵入した。

ヲアリ兵は闇夜の岩山でも全速力で馬を走らせるとか、敵兵が降伏してもその場で地面に埋め生きたまま鋸で首を切断するとか、様々な噂がつきまとうが、どうやらほとんど事実のようだ。

布陣していたミヨシ兵は一目散に逃げ出した。蛮族の蹂躙を妨げる者は誰もいない。

14代将軍ヨシヒデ殿も、靴を履く暇も無く逃げ隠れたとか。

状況の変化が烈しすぎて、ついていけないよ。

 

アマンガサキじゅうの信徒が入れ替わり立ち替わり私たちを訪ねて、救いを求める。切実だ。

サカイへもヲアリ兵がやってきて、ミヨシ一族との同盟破棄ならびに多額の用心棒代を要求しているという噂も聞く。

私たちの帰る場所は、またも、なくなってしまうのだろうか。

どうすればいいのか。

聖ヨハネは、ここまで預言してくれてはいなかった。

 

そんなところへ。物々しい使者の到来。

装備に、しるしをつけていた。

しかもロレンソの姿を見て、驚いている。

ロレンソも、兵士の声を聞いて、かつて自分が授洗した信徒だと気付いたようだ。

 

私たちは、かれらに連れられミヤコ方面へ向けて歩き始めた。

兵隊が一緒だと、盗賊から襲われる心配が無いので、却って安心できた。

5レグワほど先のテラへ、ひとまず匿われる。

ここは、つい先日までミヨシ軍の拠点だったという。

ヲアリ軍が来たときには、もぬけの殻だった。

そんな城や砦があちこちにあり、今も次々とヲアリ兵によって接収されている。

ミヨシ兵にはまったく戦意が無い。逃げ足だけは異様に早い。

海岸沿いの舟という舟は、かれらを乗せてアワへ逃げ去り、一艘も残っていないとか。

憂鬱にさせられる情報ばかりだ。

 

あまり詳しくは教えてもらえなかったが、この兵たちは、ワタ殿の指令で来た。

私たちの保護を命じられ、次の指示を待つようにと言われている。

ワタ殿はいま、ヲアリ王の家臣のような立場となって、ミヨシ掃討戦の指揮を執っている。

東将ヨシアキとヲアリ王が手を組んでいる以上、必然的な流れかな。

ワタ殿は軍人としてより政治家として、各方面との調整役に利用されているのだろう。私たちのことも忘れてはいないでくれた。再会できる日が、楽しみでならない。

 

ワタ殿の下で、サワ城主のダリオ殿も、ヲアリ軍に協力をしている模様だ。

やたらと噂だけは聞く、敬虔なる信徒と名高い人物。

ロレンソによると、ダリオ殿の指揮下にある兵は、全員が信徒のはずだという。

かれらの情報網により、私たちがアマンガサキへ避難していることを突き止め、手近な拠点へ匿ってくれたようだ。

なんとも、おそれいります。

 

 

数日後、私たちはサカイ教会へ戻ってこられた。

まだ交渉中ではあるけれども、サカイが戦場になることは絶対にない。

なぜなら、担当しているのがワタ殿だから。

たしかに、それなら間違いないだろう。

落ち着いたら教会を訪ねるので、それまで大切な信徒たちを安心させていてください。そんな伝言をいただいて、帰ってきました。

いの一番に逃げ出したことがとても恥ずかしく思えてくる気もしたのだが、しっかり前を向くことが大切だ。今日からまた、せいいっぱい聖務に励もう。

トマス、ただいま。

 

ドタバタしている最中に、東将ヨシアキ……殿が、15代クボウサマに正式就任していた。

名前は、替えてないようだ。

日本人でも、この状況にはめんくらっている。

ついていけなくて、当然だ。

 

14代ヨシヒデ殿は、逃亡中に死んだらしい。

自ら毒を飲んだとか、盗賊に襲われたとか、持病がとどめをさしたとか、判然としないが、死んだという一点だけは異論が出てこない。

今年の灰の日頃じゃあなかったっけ、クボウサマになったの。

1年ももたず。あらまあ。

 

ヲアリ王は、殺しに殺して満足したのか、新クボウサマをミヤコに置いて、すぐミノへ帰っていった。

台風一過のような静寂の中で、私は降誕祭の準備にとりかかる。

 

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