戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1570/004.hmos

無敵すぎる英雄。

それでいいじゃないですか。

 

ハラハラ、ドキドキなんて要らない。

地上には坊主が、これだけ蔓延っているんです。まず駆逐。

さくさく進めましょう。さくさく。

こんな序盤で手こずっていては先が思いやられます。行けるところまで、なるべくとっとと行きましょう。

 

ところがデウスは、私に、余計な試練を与えたがる。

なまけちゃいないってのに、甘えるな怠けるなと、休む暇をくれたがらない。

困ったことだが、期待されている私としては、これにあまんじなければならないのだ。

そんなわけで。

カヅサ殿が、逆境に立たされている。

 

発端は、先月の祝宴にあった。

クボウサマの新政庁落成1周年記念の盛大なる祭典。

挨拶しに来なかった大名が、若干いた。

 

正当な理由、たとえば領内で坊主が大暴れしていて、などの弁解があればまだしも。

国王の権威を認めていないのではないか、叛意を抱いているのではないかと、クボウサマは疑いを持つ。

そして最も頼りにしているカヅサ殿へ、ちょっと様子をみてきてくれと、出動を要請する。

 

高飛車な命令であれば、カヅサ殿は従わないだろう。

クボウサマがメソメソと泣き言を述べる形で相談して、なら私がちょいと挨拶がてら様子を見てきてあげましょうかと、カヅサ殿が腰を上げる。

実際には、そんなやりとりだったのではと想像する。

それぞれの性格から、推察するに。

 

そしてカヅサ殿がひとたびミヤコで号令をかければ、たちまち数万人規模の軍勢が、お伴しますと馳せ参じる。

弱い者ほど勝ち馬に乗りたがる。

戦場に転がる放出品を狙う者。火事場泥棒に生活を賭けている者。

戦場で必要な、ありとあらゆる武具の製造販売に携わる商人たち。

さまざまな群衆が、カヅサ殿のうしろについてゆく。

あさましいものよのう。

そんな有象無象を引き連れた出陣を、見送った。

 

 

オーミ国の北半分には、カヅサ殿と戦ったことのない小領主が何人かいる。

その一人、ムトーという王が、最初の訪問先となった。

見たこともない大軍勢を前にして、必死に言い訳をしたそうだ。

彼を脅しつけているうち、どうやらすぐ北隣のエチゼン国王にそそのかされたらしいとわかる。

 

エチゼンといえば、トマスが行くたびに太って帰ってくる土地だ。

現在のクボウサマがまだ坊主だった時期、ここへ逃げ延びた。

すぐ北にはイコ宗の坊主領国が接しているため、エチゼン兵の大部分は、ミヤコと反対側の北部方面へ張りついている。

そんなエチゼンへ、カヅサ殿、乗りこみます。

 

エチゼン軍は、抵抗した。カヅサ軍と一戦を交えた。

意外にも粘り強く、カヅサ殿、ひとまず退却。

城のひとつを奪取した。そこに屈強な兵団を配置した。

態勢を立て直し、準備が整い次第、ここを拠点に再出撃する手筈だ。

 

カヅサ陣営の中から、裏切者が出たらしい。

オーミ北部の小領主で、アサイという男。この男がユダだった。

まだ若く、カヅサ殿の妹を嫁にしていた。だから格別に信頼されていたというのに、エチゼン側へ寝返った。けしからん。

その問責と、処罰と。そして再編制をするための一時的な撤退であった。

 

カヅサ殿は小部隊でミヤコ入りし、クボウサマへ報告をすませた。その後すぐ、一旦ミノへ戻った。

ミヤコでは、カヅサ殿がすぐにエチゼン王の首を提げて戻ってくるだろうと凱旋式の準備をしていたのだが、ひとまずは、お預け。

 

カヅサ殿は慎重に後退したことで、危機を免れた。

ミノへ向かう道中、山の中で、鉄炮による狙撃を受けたのだ。

鉄炮。日本製エスピンガルダ。

頬をかすめたとか、際どい噂も流れているが、さいわい無事だった。

よかった。

 

この一件は、きわめて重要な示唆をいくつか含む。

カヅサ殿が整備した街道での事件だ。敵地での襲撃ではない。

旅の利便性は、犯罪者も利する結果につながっていたのだ。

噂が、たちどころにミヤコ中を駆け抜けたことも懸念事項。

カヅサ殿が自ら公にする必要はないし、普通にありえない。

情報を広めた奴がいる。

襲撃者とつながりを持つ組織が、すでにミヤコでも暗躍している可能性は高い。

 

カヅサ殿の身辺警護は今後、強化されざるを得ない。

勿論、してもらわなければ困る。

カヅサ殿の身にもしものことがあれば、コンパニヤの庇護だって一瞬で無に帰すのだから。

デウスがそんなことを望まれているはずあるわけないのだが、でも、デウスのことだからなあ。

私を苦しめるためなら、どんなことでもするのが、デウスなので。

まったく。わけがわからないよ!

 

どのくらいの距離で撃たれたのか判らないが、射手の腕前は驚異的な水準だろう。

まさか、馬で走っている最中ではあるまいけれど。

休憩中だったにしても、カヅサ殿を見分け、正確に狙っている。

そんな敵を、みすみす、このままにしてはおけない。

 

狙撃犯に告げる。

あなたにも、愛する者があろう。守りたいものが、あるにちがいない。

話を聞こう。きかせてくれ。

あなたが償いを求めているなら、私はそれを赦すことができる。

心を開いて向き合えば、必ず、道は拓けるはずだ。

どうか取り返しのつかないことをしでかす前に、私を頼ってほしい。

私にできる、せいいっぱいのつとめを、果たそうじゃないか。

 

この声が届いていれば、お願いだ。来てほしい。

私はあなたの心から、悪魔を祓おう。

あなたの力はもっと有意義なことに活かすべきで、私はその道を示すことができると思う。

エチゼンより、カヅサ軍に入りたまえよ。私が紹介するから。

それが最善じゃないかな。アーメン。

 

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