戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1570/005.hmos

北部戦線、やや異常。

 

カヅサ殿はミノのギフ城で1箇月、策を練った。

準備を整え、まず裏切者のアサイを討伐するため、北オーミへ出陣する。

 

アサイは妻である、カヅサ殿の妹を人質にしたまま、和睦を訴えてきていた。

いったい、どういう了見なのか。停戦交渉なら、仲介者を立てるのが筋であろう。

聖職者である私なら適任だ。いつでも引き受けるよ。

それをしないばかりか、もしカヅサ殿が再度エチゼンを攻めるならば、自分たちが背後から妨害します、と条件をつけてきた。

世迷い言じみていないか。

 

カヅサ殿は、アサイを領地もろとも壊滅させることにした。当然のなりゆきだ。

ただその前に、妹君と子供たちの救出が必要。もしものことが、あってはならない。

得意の駿足は封印して、相手に脅威を与えながら、ゆっくりと進軍する。

途中、新たな敵が現れた。

3年前、カヅサ殿の進撃にひとたまりもなく駆逐された、南オーミのロカク軍。なんと、生きていたのだ。

アサイから頼まれたのか、自発的に蜂起したのかは、謎である。

速攻、カヅサ軍に叩きのめされ、消えた。

新兵の予行演習にもならなかったようだ。

いったい、何を考えていたのだろう。

 

駄目元で、陽動するだけの役回りだったのか。

アサイとエチゼンに準備をする時間を与えるつもりだったのか。

アサイだって、本命エチゼンへ勝負を託して、ただカヅサ軍を消耗させるためだけに、粘り抜くつもりかも。

これを周囲からじっと窺い、大国同士の疲弊を待ってから乗りこもうとする小国も、沢山ある。

小領主たちは参入する時機を狙いつつ、競いあってアシガルを募集し、訓練するのに余念が無い。

ミヤコからは、浮浪者の数が急速に減っている。

ひとまずは、よいことだ。

 

 

北オーミで、戦端が開かれた。

カヅサ軍は、手こずっている。

本気でかかれば雑作もないはずだが、本陣へは向かわず、周辺の城砦を叩くことに終始する。

エチゼン国から、かなりの援軍が北オーミへ差し出されているとも聞く。

エチゼンからすれば、アサイが滅ぼされればカヅサ軍がすぐ北進してくることは判っているので、その前に可能な限り戦力を削らせておきたいと考えるのは自然なこと。

自国を戦場にするよりは、出来る限り北オーミ領内で暴れさせておく方が、賢明だろう。

そんな打算も見てとれる。

 

エチゼンの北に接する、カンガの坊主どもは、何をしているのだ?

坊主どもよ。いま、エチゼンの防御は薄いぞ。狙いどきだぞ。

攪乱だけでもいい。動けよ。いま動かなくてどうするんだ。腰抜けめ。

エチゼンの海の幸が、欲しくないのか。普段あれだけ強欲なくせして。

最終的にはカヅサ殿が総取りするんだが、その後では、食べられないんだぞ。

 

余談だが、このカンガ国。

ミヤコから承認された領主を坊主どもが倒して政権を奪ったのは、80年ほど前らしい。

それ以来、完全に無法地帯となっているかといえば、そうでもないようだ。

占拠してる坊主はイコ宗で、イコ宗といえばオーザカが本拠地。

カンガ国の領主は、カンガにいない。オーザカの最上位坊主が、カンガ領主を名乗っている。

これを任命したのは9代目あたりのクボウサマ。その後、ダイリも承認したらしい。

よっぽど貢いだんだろうな。

実態は私には依然、よくわからないのだが。ひとまず、66領国の一角であるという体裁は保たれているようなのだ。

もしかすると、エチゼン攻めにはオーザカの許可が必要なのかもしれない。能率が悪すぎだな。さすが坊主だ。

 

 

カヅサ殿は、2週間ほどで、北オーミより撤収した。

作戦の練り直しであろうか。予想外の事態がいろいろあったので、やむを得ないことかもしれない。

それにしても見極めが早い。埒が明かぬと思ったらいつまでも留まらないのだ。

想定以上の損耗が生じたからではないか、という風聞も無くはないが、それならそれで、撤収は正解だろう。

カヅサ殿は適確な計算をもとに動くのだ。それもまた、カヅサ軍の強さである。

 

それにつけても、発端となったオーミ膺懲を依頼した張本人であるクボウサマは、何をやっているのか。

今度の北オーミ戦には、クボウサマも参戦する予定だったらしい。

自分から大々的に告知しておきながら、兵が集められなかったので、不出馬となった。

いったい、何を考えているのだろう。この人は。

情報もだらだらと漏らしまくっているしさあ。

 

カヅサ殿は、秘匿戦術でも抜きん出ている。ことに過日の狙撃事件以来、ますます神出鬼没になった。

それでいいのです。そうあるべきです。

学ぶべき姿ですよ。迷える小羊たちに教えてあげたい。

あんたにもな、クボウサマ。

 

 

((( ちょっと、いいかな。フロイス。)))

 

ん?ウルトラか?

なんだい。今、考え事をしていたところだ。

 

((( 友人が、また、来たようだ。

少し時間をもらえないかね。)))

 

冬に一度来た、あの犬かい?

いいよ。僕も少し、散歩でもしたい。

 

((( 戸棚に、梨があるだろう。一つもらえれば、嬉しいね。)))

 

え?ああ、いいけど、犬にやるのかい?

 

((( そうだ。四つに切って、口に入れてやってくれ。たぶん、彼にはご馳走だ。)))

 

 

犬は、前に来たときより、野性味が増していた。

手を噛まれるどころか、食いちぎられるんじゃないかと怖かったけど、ウルトラが、絶対に大丈夫だと請け合う。

事実、犬は礼儀正しく梨を食べ、満足げに喉を鳴らした。

今日も半時間ほど、寄り添っていたが、一度も吠えず、大人しく去っていった。

 

……なあ、ウルトラ。

君たちは一体、どうやって、どんな会話をしているんだい?

 

((( 共振現象により思考波を共鳴させて対話している。

残念ながら、君にも、他の犬にも、それは感じ取れない。

内容は、取るに足りない世間話さ。

彼はあちこち歩くからね。海を見てきたと言っていた。)))

 

へえ。のどかなもんだな。

いいなあ動物は悩みがなくて。

君にも、悩みなんて、あるのかい。

僕の体に居候してるって言うけど、死ぬまでそのつもりかい?

 

((( 君のような悩み方とは、おそらく無縁だろうね。

死ぬまでか。

私たちも、いずれは死ぬが、パライゾへもインヘルノへも行かない。

そのときが来れば、消滅するだけだ。)))

 

フウン……じゃあ、パライゾの門前で、お別れかな。

 

 

暑い陽射しを浴びてたら、喉が渇いた。

僕も梨を一つ、いただこう。こっそり。

 

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