戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1570/009.hmos

((( おつかれ。

今日は、何も食べさせてあげられないが、大丈夫か? )))

 

<<< 食事には不自由してません。ここのヒトの方が、よっぽど心配だ。>>>

 

((( 肥大化しすぎた都市につきものの脆弱性だね。

私もセービングモードで動いている。

ヒトはカロリー変換効率もきわめて劣悪なのだ。まったく、どんな適応をしたらこんな生物種ができあがるのだろう。)))

 

<<< 俺なりの仮説があるんですが、余裕があるときにでも。

まず、報告です。

カヅサって大将、ほぼ特定できました。>>>

 

((( 大したものだ。匂いかね? )))

 

<<< はい。護衛に囲まれながらウマで街道を移動するところを、複数箇所で追跡、および接近して識別しました。

E日前の夜に、この都市へ入ってきたはずです。>>>

 

((( 多分、それじゃないかな。

カヅサは多くの敵に狙われている。この都市では現在も最重点標的だ。

だからヒトのネットワーク内にいる方が、むしろ情報を入手できないでいる。)))

 

<<< 犬を協力させれば、簡単なんですけどねえ。

ヒトには道具がつくれるんだから、犬を喜ばせるために何かしてくれれば、良い相棒になれると思うんですが。

そこまで考えが回らないのかな。>>>

 

((( 犬は、ヒトなんかいなくても生きていけるが、ヒトはあまりにも多くの生存必要物を外部に依存しすぎている。

一方的におねだりするだけでは、愛想を尽かされ、孤立する。コスモスの法則だ。

相棒という関係性を築くのは、無理だと思う。)))

 

<<< もっともですね。

さて、俺はカヅサを見届けたあと、方位Eの偵察に向かいました。>>>

 

((( よく気がつく。これも、匂いかね? )))

 

<<< カヅサたちが、E方面に強い注意を向けてました。

その方向へ進むにつれ、広範囲な燃焼反応を感知しました。

関連性は大いにあると読んだまでです。>>>

 

((( 燃焼か。人為的な、放火かな?

カヅサたちが知っていたということは、逃げてくる前に敵対勢力の拠点を焼き払っておけと、別働隊へ指示を出したのだろうか。 )))

 

<<< いえ。おそらく、逆です。

場所は淡水海の岸辺。ヒトの町がひとつ、計画的に焼かれていました。

火をつけた側が周辺の街道や陣地で哨戒をしていましたが、かれらからは、以前の泥濘地遭遇戦のC軍と同じ匂いがしました。

カヅサ=G軍の、敵ということになりませんか。>>>

 

((( ふむ……もう少し、複雑な過程を辿っているようだね。)))

 

<<< 単純な二極間抗争ではないのでしょう。

ただ、兵器種も戦術思考も、陣営ごとの有意差が見出しにくいのですね。

各勢力を色分けする基準は何なのか。

レイシズム?

イデオロギー?

ヒエラルキー?

それとも、資源の奪い合い?

これが、さっぱりわかりません。 >>>

 

((( 答えられるよ。

ただのマウンティングだ。

概算でH個ほどのプレイヤーが、頂点を争っている。

カヅサはその中でも有望な選手というだけだ。)))

 

<<< へ?

……ええと。はあ。まさか。

え、ただのマウンティングですか。

それだけのために、これだけ破壊をして回っている?

効率が悪すぎじゃありませんか。>>>

 

((( だって、ヒトのやることだよ。

おや、私の乗物は睡り始めたようだ。君の体温を、非常に心地好く感じているらしい。

もうしばらく一緒にいてもらっていいかな。)))

 

<<< いいですけど。……ヒトって、体毛が薄すぎますよね。

この気温ではすぐに血流が維持できなくなりませんか? >>>

 

((( 欠陥だらけの肉体に、欠陥だらけの思考回路。ユニークだろう。

まったく、どんな適応をしたらこんな生物種ができあがるのだろう。

そういえば、仮説を立てたとか言っていたかい? )))

 

<<< あ……はい。ただの思いつきではありますが。

ヒトって、この星の進化系統樹上から生まれた生物では、ないんじゃありませんかね? >>>

 

((( おや。そうくるか。

しかし、外来種にしてはこの星の環境に適合しすぎているよ。

構造上、犬との共通項もきわめて多い。

矛盾せず説明することは、かなり難しいと思うんだがね。)))

 

<<< たとえば……モノリスどもが介在した。>>>

 

((( ほう。それは思いつかなかった。

まさかな。いや、まさか。

あいつらが、この宙域にまでテリトリーを広げていたというのか? )))

 

<<< 可能性はあるでしょう。

もし来ていたら、ヒトの起源を説明しやすくなります。>>>

 

((( モノリスか。ユニヴァースの秩序を乱すことしかしない奴らめ。)))

 

<<< 成功した例もありますが、この星では、失敗したんでしょう。奇形を生んだだけだ。

まったく、なんてことを。>>>

 

((( ちなみに、ヒトは自分たちの創造主をデウスと呼んで尊敬しているよ。

デウスは、自身の姿に似せてヒトをつくったのだそうだ。)))

 

<<< デウス。そいつが、この星へ来た、モノリスというわけですね。

今も、この星のどこかにいるんでしょうか。>>>

 

((( デウスは、箱庭を手に入れた。

箱庭の中に、自分より優秀な者はいらない。

自身よりも愚かな者だけに囲まれて、私だけを敬えと、教えつけた。

……それが、この星か。

なるほど。説明はつく。見事にな。)))

 

<<< 通報します。これは犯罪だ。>>>

 

((( しかし、デウスは、たったひとつ、希望も残したようだよ。)))

 

<<< え?それは……何でしょう? >>>

 

((( この星には、犬がいる。

私たちがヒトだけを根絶させれば、この星は、犬たちによって、理想的な世界に生まれ変わる。

それだけならば、難しい仕事ではないよ。)))

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