戰國ぢあぼろす   作:ひねもす@HAMELN

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SengokD.1572/007.hmos

シナノ王が、ミヤコへ向かってきている。

 

おそるべき大軍。数万人規模との噂。

ミヤコの民は、逃げ出すか食糧を蓄えて立て籠もるか、究極の選択を迫られている。

どの街道を通ってくるか。ミノは通らないみたいだ。

いくじなしめ。

トトミ国、ミカワ国、そしてヲアリ国と、南に大きく迂回してくるとの予測が優勢である。

ずいぶん遠回りになるが、それでいいのかシナノ王。

ヲアリはカヅサ殿の生国だぞ。どうせそこで決戦になる。

 

せいぜい、かっこわるく死んでくれと思うところだが。カヅサ兵の損耗も大きくなろう。

問題はむしろシナノ軍を迎え撃つ間、背後が手薄になることだ。

すなわち西側の、オーミ・エチゼン方面である。

シナノとエチゼンは連携しているか?

していなくとも、エチゼンがこの機会を逃すはずはない。

カヅサ軍を弱らせることで利害は一致するのだから、シナノとの同盟は自然に発生し得る。

かつ、イコ宗の暴徒どもが突然湧いて現れることも、警戒せねばならない。

カヅサ殿も、必死で全方面の情報蒐集と対応を考えているはずである。

私も力の限り、応援しよう。祈って、ヴィルトゥスを天まで届かせよう。

 

シナノ王がミヤコを目指しているというのは、確かなことなのかな?

 

かれら自身が高らかにそう宣言してからシナノを出発したそうだ。そこは間違いないらしい。

まってくれ。その、そもそもの目的は何なのだろう?

いかなる大義名分を掲げてシナノ王はやって来るのか。

私はそこ、重要だと思うぞ。

 

ミヤコへの進軍といえば、カヅサ殿が昔やってのけた。

ギフからひと月足らずでミヤコを抜けツノ国まで攻めこんで、キナイに君臨していたミヨシ一族を壊滅させた。

逃亡中の身だった生臭坊主をミヤコで15代目クボウに就任させ、悠々と引き上げていった。

あの、華麗なる時代を、私はいま、思い返している。

 

シナノが、ミノとの戦争を望んでいないとしたらどうか?

カヅサ殿とは事前に交渉が行われていて、しかしミノを通すわけにはいかないと断られたので、大回りをしているだけという可能性を考えてみよう。

仮に、なごやかにヲアリを抜けてミヤコまで来れば?

カヅサ殿も、要警戒はしつつもシナノ軍の通行を妨害はせず、ミヤコまで辿りつかせたら、どうなる?

人騒がせな連中だが、クボウサマあるいはダイリサマへ新年の挨拶に参りました、という幕引きで終わってくれたりしないだろうか?

 

いや、参向なら普通に家臣だけ連れて馬で来いよ。

これだけの大軍ひきつれて来るからには、それなりの目的がなければ説明がつかない。

いったい何をしでかすつもりなのか?

 

たとえば。

シナノ王は、ミヤコを制圧し新クボウになるつもりである。すでにミヤコの坊主たちと密約ができている。

ミヤコへ入り次第15代目を殺し、権限の移譲をダイリに承認させ、そのまま防衛態勢を敷く。

カヅサ殿がこれを黙って見逃すとは思えないな。ありえまい。却下。

 

シナノ王が、クボウと結託していたら、どうか?

クボウの手引きで、シナノ軍がミヤコへ入る。駐留しているミノ兵を撤収させ、シナノ兵が治安維持を担当する。

クボウからすれば、提携先を切り替えるわけだ。カヅサ殿とは最近、ぎくしゃくしていたからな。

 

しかしこれも、カヅサ殿が黙って呑むとは考えにくい。

だいたい、シナノ王とカヅサ殿はずっと相手を口汚く罵り続けている。

ミノを通過させてもらえないところまでは確かだろうが、じゃあヲアリなら通させるかというのも、望み薄。

この両者間の密約は想像できない。

となれば、やはり衝突が起きる。戦争だ。激しいものとなるだろう。

どうやら、避けられそうになく思われてきた。

 

通過すると目されるミカワ国には、若い領主がいるはずだ。

カヅサ殿の元家臣だった人物であるとも聞く。

統治を始めた直後、領内でイコ宗が蜂起。カヅサ殿の弟たちと同様、命の危険に曝された。

だがミカワでは暴徒を鎮圧後、残党の殲滅にも成功したらしい。優秀だな。

イコ宗徒と連帯するシナノ王とは、絶対に妥協なんてできまい。

なのにシナノ軍はここを通っていく。

戦闘は、ヲアリより前に始まるか?

 

シナノ軍は、ミヤコへ到達するまでに、何度もの戦闘を繰り広げなくてはならない。

迂回すると余計に損耗は大きくなるだろう。

見落としはないか。いくら何でも、数万の軍勢を指揮する大将だ。どこまで計算しているか。

ウルトラ?ウルトラ?

どう思う?

 

……ちぇ。今日は寝ていやがる。

たまに鋭いこと言うくせに、頼りにならないんだよなあ。

 

ロレンソ、コスモ、ニエッキとも相談をしたが、シナノの情報がこれ以上集まらない。

商売人でも、シナノまで取引を広げているなんてよほどの大手くらいだ。

ちなみにシナノ王はもっと先のカイ国が本拠地で、シナノは占領して手に入れた国らしい。

名はシンゲン。

ここからはそう呼ぼう。

 

降誕祭の準備をしていたのだが、食糧の備蓄を確保する必要もある。今年は、おとなしめにする。

サンティアゴ殿からも招待を受けていた。ニエッキとロレンソに行ってもらうことにした。

サンガ城は今回の戦、静観をするみたいだし、シンゲン軍の進路上にも位置しない。

軍人目線での情報と分析を、聞いてきておいてくれとお願いする。

 

私は、ミヤコを守り抜こう。

 

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